生徒会の庶務   作:高坂遼

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第一話 事の発端

 

「守ってばかりじゃダメ!時には攻めることも大切なのよ!」

 

 いつものように会長が胸を張りながらどこかの本から持ち出してきた名言を偉そうに言っている。というか、今回のはもう名言という範疇に入れていいものかどうかが疑わしい。

まあ、ただ。今回はそれよりも凄い気になる事が。

 

「あのー・・・会長?」

「何よ杉崎」

「何で俺達は終業式が終わって夏休みが始まった日に生徒会室(こんなところ)に召集されてるんですか?」

 

 そう、今日は夏休み初日。一学期中に終わらなかった雑務があるとか、緊急を要する雑務は無いはずなのだが・・・今朝、いきなり会長からメールがきたかと思ったら「今日会議やるから生徒会室に!」って書いてあって何かの間違いかと思ってたら他のメンバーも同じメール貰ってたようなので、仕方なくこうしてここに来ているのである。

 

「今日はとっても大事な話があるのよ!だから皆を呼んだの!」

「大事な話って・・・アカちゃん、そんなに急を要する議題なんてあったかしら?」

「無いよ!でも、これは間違いなく重大な事なの!」

「会議じゃねーのに重大な話って・・・内容が思いつかねーんだが」

「そう!ひいては今後の生徒会に関する超重要な事なのよ!」

「生徒会の今後に・・・ですか?」

 

 真冬ちゃんが小首を傾げる。僕達も同様に会長の言葉に疑問を抱く。会議じゃないけど、でも、生徒会の今後に関する重要な話って・・・一体なんだって言うんだろうか?

 

「そう!それはね・・・」

 

会長の言葉に少しだけ空気が張り詰めていく。

そして、次の言葉。

 

「『生徒会の一存』シリーズPRのために、私達自らが東京に出向いてイベントを行うのよ!」

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』

 

 一同、絶句。えっと、今何て言った?「東京に行ってPRイベントを行う」だって?HAHAHA、最近耳掃除してなかったから聞き間違えたのかな。

 

「というわけで、明日から一週間!東京遠征に行くから、ちゃんと準備しておいてね!」

 

うん、どうやら聞き間違えじゃないっぽいね。どうしてこうなった。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい、会長!」

「何よ楠木」

「一体何がどうしてそうなったのか説明をお願いします!」

 

僕が叫ぶと会長は「うむっ!」と我が意を得たりといった様な表情で話し始める。

 

「私達の勇姿を書き綴った今世紀最大の書物といっても過言では無い位になった『生徒会の一存』を更に向上させるために必要なことは何か過去を振り返って考えてみたの。今の現状で満足するんじゃなくて、更に向上させるためにはどうすればいいのか、ってね」

「過言が多すぎてどこからツッコめばいいのか分からないんですが」

「そしたら私気づいたのよ。『そう言えば私自身は『生徒会の一存』作成過程で何もやってないな』って!」

「で、出来れば一生気づいて欲しくなかったです・・・」

「いくら私がと言っても何もしないのはどうかと思って『何かやることある?』って編集さんに聞いたのよ」

「何で編集さんに対してこんなに上から目線なのかしら」

「最初は『今はしてもらう事は何もありませんよ』って編集さんも言ってたのだけれどそういう訳にもいかないと更に頼み込んだのよ」

「あまりにも迷惑だと思ってだろうな、編集さん」

「それで、ちょっと上目遣いで頼んでみたら一転して『生徒会の一存』PRを頼まれたのよ」

「ロリコンだ!やはりファンタジア編集部にはロリコンがいるぞ!」

「という訳で、私達自身が揃って『生徒会の一存』シリーズのPRを明日からしにいく事になった、て訳なのよ!」

「・・・まあ、状況は理解しました」

 

納得なんてどこれっぽっちもしてないけど。まあそれは置いといて。

 

「でも明日からってどういう事ですか!?そんな急に言われても色々と不都合ありますよ!移動手段とか向こうでの滞在場所とか、僕達の準備とか!」

「それについては大丈夫だよ!編集さんに頼み込んでみたら直ぐに手配してくれたみたいだから!」

「ええい、ロリコン編集者め!どうしてそんなに手際がいいんだ!」

「それに私はもう準備出来てるから問題無しっ!」

「俺達の準備が終わらないって言ってるんですよ、会長!」

「どうせ杉崎はエロ本だけあればそれ以外のものが無くても一週間くらいは生きていけるでしょう?」

「俺の事なんだと思ってんだ、アンタ!あ、でも会長が俺のために文字通り一肌脱いでくれるのならば俺は一週間どころか一ヶ月はいけると思いますんで、さぁ!」

「やらないわよ!やっぱり杉崎は東京に行く間くらいはエロ要素捨てなさい!」

「そ、そんな!そんな事されたら3日で干からびてしまう!」

「やっぱりそういう人間なんじゃない!東京行ってる間はエロ発言する事に新刊での登場ページを1P減らすからね!」

「主人公なのに出番減らされるんですか!?なんて酷い拷問を!」

「拷問と感じるその精神がそもそもの原因なんじゃない!と、に、か、く!明日の午後5時に駅に集合ね!」

『・・・分かりました』

「という訳で今日は解散!絶対遅れないのよ!」

 

 会長はそう言うと「それじゃあねー」と手を振りながら足早に生徒会室を後にしてしまった。何と言うか、明日が遠足で待ちきれない小学生のような雰囲気を感じる。もしかしたら今日の夜は楽しみで眠れなかったとかいうんじゃないだろうか。

まあ、それはいいとして。問題はこちらだ。

 

「はあ・・・また面倒な事を持ってきてくれましたねー、会長」

「全くだ。今回のは思い付きって言うにはちっとばかし大きすぎだよな」

「しかも、物事が物事ですからね・・・大丈夫でしょうか」

「まあ、アカちゃんの事だから今から止めるように説得するのは無理でしょうね」

「でしょうねえ・・・はあ・・・」

「ま、仕方ないか。取り敢えず僕達も帰りましょう。明日の準備、やるだけやっておくべきでしょうし」

「そうだな。それが一番だな。今のところは」

 

 そう結論付けた僕らは、急に降りかかってきた明日の予定に対応すべく、仕方無く準備を始めることにするのだった。

 

・・・それにしても、東京・・・か。

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