生徒会の庶務   作:高坂遼

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今回は鍵視点です。


第三話 いざ東京へ!

 

「さて、皆ちゃんと時間通りに揃ったわね!」

 

 会長が俺達を見ながら「感心、感心っ!」と満足げに頷いている。

俺、杉崎鍵を含めた生徒会役員達はあんなに急な計画だったにも関わらず驚くべきことに皆揃っていた。正直褒められてもいいんじゃないかと思う。まあ、母さんに急な旅行が出来たから一週間くらい家にいないって電話したらあっさりと了承された上にお土産まで頼まれたのには流石に違う意味で驚いたが・・・。

 会長が東京での諸注意を長々と述べているが、むしろ東京に着いたら気をつけるべきなのは会長の方だろう。学園やこの街でも時々迷子になるような人が、ビルがジャングルのように立っている場所で迷子にならない訳が無い。その上少し目を離していたら絶対にどこかにフラフラと行ってしまうだろうからな。

 それにしても、東京への旅か・・・。

 

「楽しみだな、愛の逃避行。一度経験すべきだと思っていたからな」

「いきなり杉崎は何言い出してるのよ!そんなわけ無いでしょう!」

「分かってますよ、会長。今回の旅は高校卒業後の生活する場所の下調べでしょう?全く、言ってくれればいつでも俺はOKだったんですよ?何も他のメンバー連れて偽装しなくても・・・」

「何の話!?」

「何って・・・以前に会長が俺の夢の中に出てきて『高校卒業したら一緒に家を出て暮らそう』って約束したじゃないですか。忘れたんですか?」

「いい加減に夢オチネタは止めなさい!」

「夢オチ禁止ですって!?そんな事したらこの物語の大半が成り立たなくなるじゃないですか!」

「貴方は何の心配をしてるのよ!」

 

 全く。会長は相変わらずツンデレだなぁ。もう少し素直になってくれればいいものの。そう思いながら俺は他のメンバー達を見回す。こんなところでも自重しない俺に対して苦笑しているメンバーが殆どだが、一人だけ違う反応・・・いや、そもそも俺達の話を聞いていなかったであろう人間がいた。

 

「柊?」

「・・・」

「柊ー?」

「・・・あ、な、なんだ?」

「お前はどう思うよ、会長の言ってる事」

「え、えっと・・・」

 

 そいつ・・・柊は少し頭をかくと、

 

「そうですね。僕もそう思います。異議なしです」

「でしょう!夢オチなんてもう使い古された過去の遺物よね!」

 

 会長は柊の援護を得ると調子に乗ったのか更に話し出す。まあそうは言ってもこの先に夢オチバンザイな話があるんだがな・・・。これ以上はメタいから止めとこ。そんな会長を横目に柊を見ると、「今そんな話してたのか・・・」と呟いていた。

 ・・・やっぱり最近の柊は少しおかしい。特に今日は変だ。駅に着いてからずっとどこか上の空で考え事しているし、いつもなら会話に参加しているのに今日は全くそんな素振りすら見せない。

柊の調子がおかしくなった理由・・・それは多分、いや、間違いなくアレが原因なんだろう。

俺はそう思いながらあの日の事を思い返す。

 

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「僕が・・・母さんを殺したんだ。」

 

 その言葉に俺達は衝撃を隠しきれなかった。柊が・・・人殺し?それも、殺したのは母親?そんな馬鹿な。でも、その言葉を言った柊の表情はとても冗談を言った人間の顔には見えなかった。

そんな俺達を見て柊は軽く笑いながら

 

「・・・冗談だよ」

 

そんな言葉を発した。

 

「え?」

「本気にしなくてもいいよ。今のはただの・・・そう、ただの冗談だから」

 

柊はそう言って俺達から視線をそらす。そして、

 

「すみません、今日は僕はこの辺で・・・」

 

そう言うと、足早に信号を目の前の信号を渡っていった。

 

「あ、先輩!」

 

真冬ちゃんが柊を止めようとしたが、柊はそのまま行ってしまった。

 

『・・・』

 

そして、その場に沈黙が降りる。最初に口を開いたのはまたしても真冬ちゃんだった。

 

「・・・先輩は・・・冗談だって言ってましたけど・・・」

 

 その言葉に空気が更に重くなったような感覚が襲う。確かに柊は冗談だと言ったけど、とてもその言葉を鵜呑みにすることは出来ない。でも・・・

 

「大丈夫よ」

『え?』

 

そんな空気を断ち切ったのは、知弦さんだった。

 

「クッキー君の過去に何があったのか私達には分からないけれど・・・でも、私達にあんな事を打ち明けようとしたって事はそれだけ私達の事を信じてるから。だから、待ちましょ?クッキー君が話してくれるのを」

 

 知弦さんの言葉に俺達は頷いた。・・・最初は驚いたけど、やっぱり俺の知っている柊は今実際に生徒会役員として一緒に活動している柊だけだ。それ以外の・・・昔の柊の罪なんて関係ない。

 それに・・・アイツは、俺が自分の罪を話した時も何も言わずに受け入れてくれた。だから・・・

 

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「杉崎ー?」

「あ、はい。何ですか会長」

「電車もうすぐ来るからホームに行こうって今行ったんじゃない。どうしたのよ杉崎まで」

「ああ、すみません。行きましょう」

 

 会長の言葉に思考を現在に戻した俺は

 そうだ。知弦さんの言うとおりだ。待とう。あいつが俺達に打ち明けるのを。そして、俺は・・・俺達はそれを受け入れてやろう。だって・・・俺はアイツの、楠木柊の、大切な親友なんだから。

 




一話辺り短い・・・。
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