桜「う・・・。と、とにかく!次のコーナー!《学園五・七・五》」
柊「・・・急にありきたりなコーナーになりましたね・・・」
桜「うん、ネタ切れだからね」
鍵「言っちゃうんだ!」
桜「このコーナーはリスナーが考えた、この学園にまつわる面白おかしい五・七・五を紹介するコーナーです」
鍵「柊も言ってましたけど、逆に危機感を抱くほど、ありきたりなコーナーですね」
桜「こほん、ではいきましょう。匿名希望さんからの五・七・五」
《燃えちまえ メラメラ燃えろ 杉崎家》
桜「・・・素晴らしい詩ですね。情景が目に浮かぶようです」
鍵「・・・・・・」
桜「?えっと・・・杉崎?私が言うのもなんだけど・・・ツッコマないの?」
鍵「いえ・・・。・・・すいません。リアルに身の危険を感じて、テンションが上がり難いです」
桜「あー・・・」
柊「・・・まあ、このレベルの身の危険感じてテンションが上がる奴はそうそういないよな・・・」
夏「・・・ちょっと笑いの域を超えていたよな、今のは・・・」
冬「真冬も、若干引いてしまいました」
紅「まあ、でも、そうよね。キー君って、そういう立場よね、基本。皆の憧れの美少女達が集まるコミュニティに在籍してるだけでもアレなのに、その上自分から『攻略する』だの『ハーレム』だの宣言してるんだから・・・自業自得?」
柊「・・・これからも僕は謙虚に生きようと思います」
鍵「う、うぅ・・・。え、ええい!構うもんか!ここは俺のハーレムだ!文句ある奴、喧嘩なら買うぜ!だから・・・」
桜「だから?」
鍵「火をつけるのだけは勘弁して下さい。すみませんでした」
桜「・・・杉崎がラジオなのに泣きながら土下座したところで、次のお便り行こうか。これも・・・ええと、匿名希望みたい。こほん」
《金が無い 勢い余って 人さらい》
鍵「犯人コイツかぁーーーーーー!」
桜「え、なに?どういうこと?」
鍵「いや、だからさっきの誘拐事件の・・・。い、いえ、そんなことより、コイツの名前と住所!書いてないんですか!」
柊「いや、さっき会長匿名希望だって言ってたろ・・・」
桜「住所も書いてないけど・・・追伸で『二万円も要求してやったぜ!』とは書いてあるわね」
鍵「二万円かよ!安いな、ウチの生徒の妹の身代金!なんで両親用意出来ねーんだよ!」
桜「私に言われても・・・。杉崎、世の中には、恵まれない人間もたくさんいるんだよ」
柊「会長も背と胸が恵まれない人間ですもんね」
桜「失敬な!そんなことないわよ!二十歳になるころには知弦追い越すもん!」
柊「目標を高く持つことは良い事ですけどね、不可能なことはいくら頑張っても無駄な努力になりますよ」
桜「な、なによ!見てなさい、楠木!いつか、楠木に土下座して『あんなこと言ってすいませんでした!』って言わせてやるんだから!」
鍵「・・・なんかこの事件・・・割と浅い気がしてきました」
柊「そんなの最初から皆気づいてたろ・・・」
桜「まあ、うちはラジオを続けましょう」
鍵「収録中っていうか放送中に決着つきそうっすね・・・誘拐事件」
桜「では、最後の五・七・五です。こほん」
《真面目にさ 仕事をしろよ 生徒会》
鍵「一般生徒の素直な反応キターーーーーーー!」
桜「全く、失礼しちゃうわよね」
鍵「いえ・・・俺が言うのもなんですが、すげぇ気持ち分かります」
夏「あたしも分かる」
冬「真冬も分かります」
柊「僕もです」
桜「なによ!やるべきことはちゃんとやってるわよ!」
紅「やらなくていい事も大量にやってるけどね」
柊「しかも、やるべきことをやってるのは基本僕と鍵ですからね」
桜「不愉快だわ。このコーナー、終了!」
鍵「そういう態度が駄目なんだと思います!」
桜「さて・・・じゃあ、そろそろ終わりも近いし、フリートークしましょうか」
柊「いままで以上にフリーな会話するんですか・・・」
夏「お?会長さん、メール来てるみたいだぜ」
桜「え?なになに?」
冬「ええと、ですね。『妹が誘拐されていた件ですけど、無事解決しました』らしいです。よかったですね!」
鍵「おお・・・解決したか。良かった良かった」
紅「・・・ちっ」
柊「一応言っておきますが、結構はっきりと聞こえてましたからね、今の舌打ち」
紅「なんのことかしら」
鍵「録音&放送されているっていうのに、なにその自信満々な開き直り!」
紅「でも・・・随分あっさりと解決しちゃったわね。どんな犯人だったの?」
冬「ええと・・・よく分からないですけど、最終的には攫われた妹さんが、自分で犯人を叩きのめしたらしいです。犯人さんは・・・いま、重体です」
鍵「二万円欲しかっただけの犯人ーーーーーーー!」
柊「『重傷』じゃなくて『重体』なんだな・・・可哀そうに」
冬「妹さんも基本的には犯人さんに遊んで貰っていただけのようですよ。でも・・・このラジオをたまたま聴いていて、自分が攫われていることに気付いて、慌てて犯人をボッコボコに・・・」
鍵「俺たちのせいかっ!」
夏「結局、なんで二万円欲しかったんだ、コイツは・・・」
冬「えと・・・ですね。メールによると・・・うん、なんか犯人は、意識を失う前、『この子の姉に・・・貸したままの二万円・・・返してほしかった・・・だけなのに。ガクリ』と倒れたそうです」
鍵「いたたまれねーーーーー!っていうか、諸悪の根源は姉か!リスナーか!」
冬「そのリスナーさんから送られてきたメールの最後は『悪は滅びるのよ!あっはっはっは!』で締めくくられています」
鍵「このラジオのリスナーはろくでもないな!」
冬「ま、まあまあ。一件落着と言う事で・・・」
柊「全く落着してないと思うが・・・まあ、仕方ない」
鍵「・・・俺、この放送終わったら、犯人のとこ見舞いに行くわ。助かってくれ・・・」
柊「僕もなんか買ってから行くよ、鍵・・・」
桜「こ、こほん。ええと・・・色々ありましたけど、このラジオもそろそろ、お別れの時間が来たようです」
鍵「やっとか・・・。短い番組の割に驚くほどディープだった・・・」
桜「最後は、『今日の知弦占い』でお別れです。それでは皆さん、また来週」
柊「来週もやる気なんですか、このラジオ・・・」
♪神秘的なBGM♪
紅「では、今日の知弦占いを。
当校の獅子座のあなた。近日中に『世にも奇妙な物語』っぽい事態に巻き込まれるでしょう。注意して下さい。タ〇リを見かけたら全力で逃げなさい。ラッキーカラーは《殺意の色》。どす黒いか、真紅か、その辺は各々のイメージに任せます。ラッキーアイテムは《核》。常に持ち歩けるとなおよし。あなたがメタルギアなら、それも可能となるでしょう。最後に一言アドバイス。
死なないで
以上、知弦占いでした」
鍵「怖いですよ!獅子座の人間、今日が終わるまでビクビクですよ!」
紅「また来週、この時期に会いましょう。・・・獅子座以外」
鍵「獅子座ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
♪ED曲 《弟は白骨化していた》♪
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side 杉崎鍵
「今日の放送は大好評だったねー!」
例の番組の放送があった後の放課後。会長は大満足の顔で、生徒会室でふんぞり返っていた。あ、因みに、柊の奴、今日は自分がバイトしてる本屋で本の整理があるとかで先に帰ってしまったため、今日は来ていない。なので、今は俺が代筆している。
閑話休題。話しを本題に戻そう。ふんぞり返っている会長に、知弦さんは楽しそうにニヤニヤしているが、俺と椎名姉妹はすっかりげんなりしていた。俺は会長に聞こえないよう、小声で深夏と会話する。
「(おい深夏・・・。あれ・・・好評だったように見えたか?)」
「(いや・・・少なくともうちのクラスは、ドン引きだったよな)」
「(ああ・・・皆、途中で箸止めきったり、食欲なくして、結局、昼飯が食えてなかったよな)」
「(会長さんは、なにをもって、大好評だと思ってんだ?)」
「(おおかた・・・会長と知弦さんのクラスは、二人に気を遣って、皆、愛想笑いをしてくれたんじゃないか?)」
「(ああ、なるほど・・・)」
深夏が納得したところで、会長がこちらに視線を向けてきた。俺たちはぎくりと、体を強張らせる。
「二人のクラスはどうだった?皆、大絶賛だったでしょう?」
「う・・・」
そんな純粋な目で見つめられると流石に事実を言いづらい・・・。くそ、柊の奴、まさかこうなること予測して逃げたんじゃないだろうな・・・。深夏も、さすがに言いづらいのか、そっと視線を逸らしていた。
俺はぎこちもなく、笑う。
「え、ええ・・・。大人気でしたよ。例えて言うなら、小学生のなりたい職業ランキングにおける『会計事務』と同じくらい、大人気でしたよ!」
「それ、人気なの!?」
会長は首をかしげていた。・・・よし、うまくごまかしたぞ。深夏が「グッジョブ!」と俺を褒め称える。
しかし、会長の矛先は真冬ちゃんに向いてしまった。
「真冬ちゃんのクラスでも、人気だったよね?」
「え・・・は、はい。そ、そうですね・・・言うなれば、スーパー〇リオブラザーズにおける『逆さメット』くらい大人気でしたよ!」
「それ、ほんとに人気なの!?」
・・・どうやら、真冬ちゃんのクラスでも反応は俺らのクラスと同様なようだった。真冬ちゃんはすごい歪な笑顔を浮かべていた。
しかし会長はしかしすっかり気が緩んでいるのか、「そっかそっかぁ」と実に満足げだ。
・・・まずい、これはもしかすると・・・
「じゃあ、第二回もやらないとねー!」
『・・・・・・』
会長以外全員・・・今回は知弦さんも含め、嘆息する。知弦さんはある程度のっていたけど、それでも二回三回とシリーズ化するとなると、話は別らしい。全員でアイコンタクト会議開始。
(どうしますか・・・。会長、まだやる気ですよ)
(アカちゃんにしては、執着が深いわね・・・。一回やれば満足すると踏んでいたのだけれど。下手にクラスメイトが気を遣ったことが、裏目に出たわね)
(どうすんだよ・・・あたし、もうあんなの勘弁だぜ)
(真冬も、もう、無理ですぅ・・・)
個人的には《椎名姉妹の姉妹でユリユリ♪》はもう一度見たいと少し思っていたが、そんなこと言ったら恐らく深夏に経絡秘孔を突かれて「たわば!」という事になりかねないので自重する。俺だって自重っていう言葉くらいは知ってるんだぜ・・・。
会長は一人、上機嫌で次の企画を練っていた。・・・仕方ない。こうなったら妥協案を提示しよう。
「会長」
「ん?なぁに、杉崎」
「その・・・ですね。こういうのは、ほら、たまーにやるからこそ、味が出るんじゃないかと」
「?どういうこと?」
「つまり、ですね。二回目をやるにしても、ある程度間をおいたほうがいいんじゃないかと・・・」
「・・・・・」
俺の提案に会長は考え込む。その隙に他の皆を見ると、皆こちらにグッと親指を立ててくれた。・・・そう、会長は、流行に流されやすい人間。ある程度期間さえおけば、すぐにこんな企画は忘れてしまうだろうという目論見だ。
会長は数秒たっぷり悩み・・・そして、笑顔で答えてきた。
「そうねっ!このラジオはクオリティ重視だもんね!」
「え、ええ」
あれでクオリティ重視だったのか・・・。色々な意味で規格外すぎるラジオだったのに・・・。
「分かったわ、杉崎!次は・・・そうね。一か月くらいおいてからにしましょう!」
「そうですね」
全員胸を撫で下ろす。
こうして、この危険すぎるラジオの第二回は、少なくとも一か月はやらないことに決定したのだ。
よかった。これで未来は安泰--------
「じゃあ次は、生徒会のPRビデオの撮影にかかりましょう!ようやく、映像用の機械も貰ったのよ!」
ドンッと、机の上に置かれる、大きなビデオカメラ。
・・・・・なん、だと・・・・・?
全員、信じられないものを見たように、固まる。
会長は・・・一人ニッコリと微笑んでいた。
「楠木が今日はいないけど・・・まあ、後で撮って足せば十分でしょ!さあ、これからが本番よ!」
・・・・・・・・・・。
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
獅子座じゃないのに、世にも奇妙な事件に巻き込まれた俺たちであった。・・・柊・・・お前だけこの地獄から逃れようったって許さないからな・・・。
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「・・・!?」
「なんだ、小僧。風邪か?」
「あ、いえ・・・そういう訳ではないんですが・・・なんか悪寒が・・・」
「やっぱ風邪なんじゃないか?体調管理しっかりしとけよ」
「すみません・・・」
やっぱ今日の生徒会でなんかあったのかね・・・。参加せずに正解だったかも・・・。そう思いながら、本の整理を続ける僕だった。
次の日、鍵達に何故かえらく敵視されたのは余談である。