伊吹澪のお兄さん。   作:凪姫

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1巻
第1話


教室に入ると、15,6人くらいの生徒がすでに来ていた。それぞれ周りの生徒と会話している。

それを横目に見ながら、俺は自分のネームプレートが貼ってある席に向かった。……まだ俺の周りの席の人たちは来てないみたいだ。

 

「……まさか前後とは思わなかったけど。ひとまずはよかったね」

「ん。後は席替えがなければ最高」

「あのなぁ……」

 

俺の席は教卓から見て一番右、窓側の前から2番目の席だ。その後ろに澪が座っている。……名前順ではないと聞いていたけど、これに関しては幸運だったと思う。

そんなことを考えていると、澪から小声で話しかけてきた。

 

「ねぇ、周りの奴ら……」

「ん~……。確かに、あんまり言いたくはないけど不良みたいな生徒が多そうだね」

 

小声で話しかけてきたのは、周りに対する配慮なんだろう。不良みたいな奴らだとしても根は真面目という人間だっているからな。

 

(だけどあいつは確実に不良だと思うけどなぁ……。なんて言うか、明らかに雰囲気みたいなのも違うし)

 

周りを見渡した時にはっきり周りと違う奴だと分かったのは1人いた。

少し長めの髪の毛の男。体格はその近くにいる黒人の男子には劣るものの鍛えられたような身体をしている。

そいつは中央一番後ろの席に座っており、周りの奴らを観察しているのかクラスの中を見渡している。

 

(名前は……龍園翔、か。関わることがなければいいんだが……こればかりは祈るしかないか)

 

そいつ───龍園の名前を覚えた後、座席表を確認しながら今いる生徒の顔と名前を覚えていった……。

 

 

 

「なぁお前ら、ちょっといいか?」

 

そう声をかけられたのは、周りを観察しながらぼーっとしていた時だった。さっきまで澪と話していたのだが今はお手洗いに行っている。……どうやら俺から見て右前の生徒が声をかけてきたみたいだ。

……ん?お前ら?と思っていると、俺の前の席の寡黙そうな男子と、俺の隣の席に座るゆるふわそうな女子にも声をかけていたようだ。

 

「ん、どうしたの?」

「いや、今日から同じクラスだからな。近くの席の奴らとは自己紹介しとこうと思ってさ。いいか?」

「あぁ、それもそうだね。俺はいいよ」

「ありがとな。それで、お前らはどうだ?」

 

……自己紹介だけなんだが、結構喜んでくれてるみたいだな。

 

「構わない」

「私も~」

 

2人も問題はないようで、特に何も言わず自己紹介を受け入れた。

 

 

「っしゃ!んじゃ俺からな。俺の名前は高橋(たかはし)裕史(ひろし)だ。地元の友達とかは他にいなかったからここではお前らが最初の友達になるのかな?とにかくよろしく!」

 

そういって言い出しっぺの男子が最初に自己紹介をしてくれた。

 

「ん?地元はこの近くじゃないの?」

「あぁ、ここに通うために出てきたんだよ。……正直周りは怖ぇ奴らだったから不安だったけど、お前らがいてくれてほっとしてるよ」

「そうなんだ。よろしくね?」

「おう、よろしく!」

 

言い出しっぺだけあって、どうやらムードメーカーみたいな性格のようだけど……。

考えても仕方ないと思い、頭を切り替えて自己紹介の続きを聞くことにした。

 

 

「……じゃあ次は俺が。名前は富岡(とみおか)勇斗(ゆうと)だ。よろしく頼む」

 

俺の前の男子が名前を教えてくれたが……

 

「「「富岡……?」」」

「いや、当たり前だが想像してる富岡さんとは別人だからな」

「いや~、分かってるんだけど考えちまうぞ」

「よく言われる。……ちなみに中学では剣道をやっていた。高校でもやる予定だ」

「「「それ絶対寄せてってるよね??。」」」

 

明らかにあの人に似せている部分が多いんだが気のせいだろうか。いや、気のせいではない。

 

 

「それじゃあ次は私ね。私の名前は宮崎(みやざき)愛実(まなみ)です。よろしくね」

 

「おう、よろしくな~」

「あぁ。よろしく頼む」

「よろしくね、宮崎」

「なんで私だけ何のコメントもないのかなぁ?」

 

ごめん、ぶっちゃけ普通過ぎてなんも返せないんだ……。許してくれ。

 

 

 

「最後に俺だね。……あ、おかえり澪」

 

最後に自己紹介しようとした直前、お手洗いから澪が戻ってきたようだ。

呼ぶと嫌そうな顔をしながらも近づいてくる。

 

「誰?こいつら」

「澪、左から順に富岡、高橋、宮崎。んで、じゃあ改めまして……伊吹 (みなと)です。こっちが妹の澪です。ともどもよろしくお願いします」

 

「ん?妹?双子なのか?」

「そうだよ。ちょっとツンツンしてるけどぜひ仲良くしてやってほしい」

「ちょ、私は別に」

「そうか。分かった」

「えーっと……澪ちゃん、でいいかな?よろしくね」

「……おい、兄さん」

「別にいいだろ自己紹介くらいは。……ま、これからよろしくね」

 

 

 

 

 

その後もホームルームが始まるまで5人で話しているとチャイムが鳴り、先生が資料を持って入ってきた。

30代〜40代くらいの眼鏡をかけた男の先生だ。……偏見だけど、こういう先生って内心腹黒だったりするよなぁ。

 

「新入生の皆さん、おはようございます。私の名前は坂上数馬と言います。普段の授業では数学を教えています。これから卒業まで学年ごとのクラス替えはありませんので、最後まで私がこのクラスの担任として皆さんと学ぶことになります。よろしくお願いします」

 

担任の坂上先生が自己紹介を始めた。優しそうな雰囲気の先生だが、やっぱり内心腹黒そうなんだよな。

……待て、クラス替えがないということは……3年間澪と同じクラスということか!?

内心ガッツポーズをしているうちに、先生が学校について説明を始めた。

 

「入学案内とともに配布されているので目を通されてると思いますが、改めてこの学校の特殊なルールについて説明させてもらいます。プリントを後ろに回していってください」

 

そう言って、前の席の富岡からプリントが回ってきたので後ろに回していく。

大体は入学前に読んでいるが、主に外部との接触禁止などのルールについて書かれていた。

 

「それからもう一つ、Sシステムについて説明します。今から学生証カードを配ります。これを使うことで学校内にある施設の利用や売店での商品購入などが出来ますので、無くさないように気をつけてくださいね。ただしポイントが消費されるのでそこに注意してください。ちなみにですが、学校内においてこのポイントで買えないものはありません。敷地内にあるものなら何でも購入可能となります」

 

簡単に言えばクレジットカードのようなものか。

使い方は、機械に通すか提示することで利用可能らしい。

 

「ポイントは毎月1日に支給されます。今君達には平等に10万ポイントが振り込まれているます。1ポイントにつき1円の価値があると思ってください。この学校では実力で生徒を測ります。入学を果たした君達にそれだけ期待を込めているということです」

 

その言葉を聞いてクラスのほとんどがざわめいた。今俺たちに10万円のお小遣いを貰ったのと同じだから、無理はないんだけどね。

それ以外にも説明はあったが、簡単にまとめると『ポイントは卒業時に回収される』、『望むなら譲渡しても構わない』、『カツアゲなどで無理やり奪うことは禁止』だった。

……先生の説明の中には気になる部分が多くあったし、後で考えて先生に相談しに行くか。

 

「───さて、質問等はありますか?……無いようなので説明は以上となります。この後体育館で入学式をやりますので、遅れないように気をつけてくださいね。最後になりますが、入学おめでとうございます。良い学生生活を送ってください」

 

そう言って坂上先生は教室を出て行った。

 

「なぁ、みんなちょっといいか?これから3年間同じクラスだし、自己紹介をしておきたいんだ。どうだろう?」

 

早速高橋がクラス全体に自己紹介をしようと呼びかけていた。1人が言い出したことで他の生徒も賛成していき、クラス全員反対はなかった。……意外なのは、龍園も参加していることか。

 

「それじゃ、俺から。俺の名前は高橋裕史で───」

 

そうして自己紹介が始まっていく。次々に名前や得意なこと、性格なんかも簡潔に教えてくれた。

俺も自己紹介をしておき、入学式が始まるまでに他の生徒の名前と顔を覚えていった。




なんとか投稿できたぞ……!
主人公の名前が明らかになりました。単純に兄妹として違和感なさそうな名前というだけです。
それ以外にも名前付きのオリキャラが出てきました。これからは湊くんや澪ちゃんとよく話したり、動いてくれます。
正直モブにして名前なしでもよかったんですけど、後々何回も登場させるつもりなので名前をつけました。……富岡くんのモチーフは某水柱の人ですが、高橋くんと宮崎さんにもモチーフとなった方がいます。
ではまた次回に。
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