伊吹澪のお兄さん。   作:凪姫

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第2話

入学式は特に目立ったこともなく終わり、初日ということもあってすぐに解散となった。

 

「兄さん、帰ろ」

「おう。あ、寮に行く前に色々必要なものとか買って帰ろうか」

 

ということで学校を出て帰ることにした。……ちなみに例の3人は連絡先を交換した後、それぞれ他のクラスメイトと遊びに行くと言っていた。俺も声をかけられたが、日用品を買っておきたいということで断らせてもらった。それに……いや、今はやめておこう。落ち着いてから考えたいし。

ということで、澪と一緒にコンビニへと寄ったのだが……。

 

「1年だからって舐めてんじゃねぇ、あぁ!?」

「2年の俺たちに対して随分な口の聞き様だなぁオイ」

 

……目の前にて絶賛騒動が起こっています。というより今の話から、一人で座っている赤髪の奴が1年生、3人組で対峙しているのが2年生のようだ。周りにカップ麺のゴミが散らかってるけど、この様子だと赤髪の方がぶちまけたみたいだな。

 

「流石に今入る勇気はないかなぁ……。澪、先に他のお店行く?」

「いいよ別に。終わるのを待ってれば良くない?……てか、うちのクラス以外にも不良みたいな奴はいることに驚いてる」

「それは多分偶然だと思うけど。ま、そう言うなら少し待ってみるか」

 

ということで外でまだ待って見ることになった。……今更だけど、入学初日なんだよね。なんでこんなことになってるんだろう。

 

「おー怖い。お前クラスは何だよ、なんてな。当ててやろうか?───Dクラスだろ?」

「だったら何だってんだ!」

 

瞬間、上級生3人は笑い出す。……なんで急に笑い出したんだ?

 

「聞いたかお前ら? Dクラスだってよ。やっぱりな!お里が知れるってもんだよなぁ」

「あ?どういう意味だよオイ」

 

赤髪が聞くが、3人はニヤニヤしたまま一歩下がる。

 

「可哀想なお前ら『不良品』に、今日はここを譲ってやるよ。行こうぜ」

「逃げんのかオラ!」

「吠えてろ吠えてろ。どうせお前ら地獄を見るんだから」

 

そう言って2年生は去っていった。

お前ら?と思って見ると、すぐそばにもう1人、いかにも無気力そうな男子が立っていった。なるほど、あいつを含めて言ってたんだな。

その後、赤髪は去っていき、もう1人が後片付けを始めた。それを横目に俺たちはコンビニに入った。

 

「どういう意味なんだ、アレ」

「同感。Dクラスだと何かあるって事?」

「ん〜……まぁ寮に戻ってからかんがえようか」

 

そう話を切り、コンビニでの買い物を済ませることにした。

 

 

 

 

 

現在夜8時半。今は2人揃って夕飯を食べているところだ。ちなみに今日の夕飯は澪が作ってくれた。

今まで何をしていたのかというと───コンビニから戻った後一度部屋を見ておこうということになり、寮に戻ったのが正午過ぎ。その際に寮に関するマニュアルを受け取り、部屋で昼食を取ってからまた買い物へ、といった感じだ。

マニュアルにはゴミ出しの時間や騒音、節水節電についてが多く書いてあった。今のところ押さえておくべきなのは『夜8時以降、男子は女子部屋エリアに行ってはならない』というものくらいか。

ただ、これに関しては男子部屋の門限がないことを逆手にとって、澪が俺の部屋に来れば問題にはならないだろう。ちょうど今みたいな感じで。

 

「ごちそうさま。ありがとな、全部任せきりにして」

「別に。明日の夕飯を兄さんが作ってくれれば問題ないし」

「はいはい、そこら辺は当番制にしよっか。……さて、そろそろ気になってたことについて考えるか」

 

そういうと、澪も真剣になって聞いてくる。

 

「気になってるのって、今日のコンビニでの事?」

「それも含めて、俺が気になってるのは主に3つ。先生の説明について。コンビニでのあの騒動について。そして大雑把に全体についてだね」

「……待って、コンビニのことは分かるけどそれ以外の2つも何かあるの?」

 

おそらく頭の中がごちゃごちゃになっているだろう妹に、1つずつ説明していくことにした。

 

 

「それじゃあまず先生の説明についてだけど。澪はその時素直にどう思ったの?」

「私は……まず、10万ポイントも貰えるって所に驚いた。買えないものはない、って言ってたところもね。そのぐらいか……いや、その後の『実力で生徒を測る』っていう意味が分からなかった。そんぐらい」

「ほほぉ……なるほどね」

 

全く疑問を抱いていないわけではない、か。妹の成長に感心しつつ話を進める。

 

「まずその10万ポイントに関して。結論は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だ」

「え?でも毎月1日にポイントを振り込むって……」

「そこだよ。坂上先生は『1日に振り込む』と言っただけで『10万ポイント振り込む』とは言ってないんだよ。多分そこでさっき言った『実力を測る』って言葉に結びつくんじゃないかな。……個人単位かクラス単位かは断定できないけど、振り込まれるポイントが減ると思っておいた方がいいね」

「……なるほどね」

 

納得したように頷く澪。可愛い(シスコン)。

 

 

「次はポイントの使い道に関してかな。買えないものはないって部分」

「それなんだけど、何でも買えるっていう意味がいまいちよく分からない。どの程度まで許されるのかも知らないし」

「確かにね。……結論から言っちゃうけど、この学校内にあるものであればなんでもポイントで買えるんじゃないかな。それこそ人でもルールでもなんでも」

「……えっとつまり、ポイントを払えばなんでも出来るってこと?」

「流石に限界があるか超高額になるかは分かんないけど、大雑把に言えばそうなるね。例えばそうだな……先生はクラス替えがないって言ってたけどポイントを払えばクラス替えが出来るんじゃないかな?」

 

 

「んでそのクラス替えについてなんだけど」

「……その言い方をするってことは、クラス替えはあるってこと?」

「うん。学年ごとにクラス替えをしないだけで、何かの条件を元にクラス替えが行われるんだと思う。それこそさっき言ったみたいに、ポイントを使った時とか」

「ま、結局何もなければクラスは変わらないってことでいいんでしょ?」

「そういう事。んじゃ、先生の説明に関しては終わりだね。次、コンビニの件についてだけど───」

 

ひとまず先生の説明について話し終わったところで、次の話題に移った。

 

「まずはやっぱり2年生が言ってたDクラス云々が気になるかな。兄さんは分かる?」

「……断定は出来ないけど、一応思い浮かぶものはあるかな。また後で説明するよ。それより、コンビニの中にあったアレでしょ」

「あー、()()()()()()()()()()()()()の事?」

「それなんだけど、さっきも言ったポイントの減少が関係してると思うんだよね」

「ふーん。つまりポイントが少なくなってきた生徒はあれを利用するってこと?」

「だと思うよ。……推測だけど、学校の食堂にも似たようなものがあるんじゃないかな。帰りにあった自販機にも無料のミネラルウォーターが置いてあったし」

「またいつの間に……」

 

澪には呆れられてしまったが、色んなものを観察しておくのは必要だと思う。……俺の場合はそれ以外にも理由はあったが。

 

「じゃあ最後に全体についてだけど……澪は学校中に監視カメラがあったのに気づいた?」

「は?……いや、分かんなかった。コンビニに監視カメラがあったのは見たけど。それが何か関係あんの?」

「よく考えてみてよ。監視カメラってなんのためにあるの?」

「それはもちろん、変なことをしてないか確認するためとかじゃないの?」

 

そう、目的はそれしかないはず。そう考えると……

 

「お店ならともかく、学校中に監視カメラを置く理由なんてそうそう考えられない。さっきの考察が当たっていると仮定して考えるなら……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして()()()()()()()()()()()()()()()()、じゃないかな。今のところはそれくらいかな?」

「……なんとなくは理解したけど、そうだとしたら私らの振る舞いって何を指してるの?それとなんでクラスで優劣が決まってるって分かるの?」

 

説明が終わって澪の方を確認してみると、完全にではないものの自分の中で理解しようとし、その上で質問を重ねてくる。

……素直に答えてもいいけど、全部教えると澪のためにはならなそうだし。

 

「ん〜……じゃあ、それは宿題ってことにしておこうかな?俺も完全に答えがわかったわけではないし、澪自身の解答を考えてみてよ。期限は……そうだな、来月1日に聞こうか」

「説明する気はないってことね……。はぁ、考えればいいんでしょ?」

 

ひとまず気になっていたことは整理できたし、澪に対して注意も出来た。これに関してはひとまず置いておけばいいだろう。

 

「じゃ、俺はちょっと明日から色々動いてみようと思うからよろしく。夕飯は遅くなるけどいい?」

「じゃあ私がしばらく作るから───」

 

話も終わり、俺たちは今後の家事当番について議論するのだった。




ということで第2話でした。
湊くんがSシステムについての考察を澪ちゃんに伝える話でした。作者もルールを把握しきれていないので抜けている部分があるかもしれませんが。
次回からは宣言通り湊くんが動き始めます。何をするんでしょうね(すっとぼけ)
ではまた次回に。
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