※EP1でのブラ=サガリはオビワンが自力で発動したもの
※その後オビワンはブラ=サガリ専用の師匠から特訓を受けていたという設定です。
※気が向けば続きを書くかもしれませんが、基本的には一発ネタでございます。

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※EP1でのブラ=サガリはオビワンが自力で発動したもの
※その後オビワンはブラ=サガリ専用の師匠から特訓を受けていたという設定です。
※気が向けば続きを書くかもしれませんが、基本的には一発ネタでございます。


ブラ=サガリを理論化してみた

 

 ジェダイ。

 それは遠い昔、はるか彼方の銀河系に存在したエネルギー「フォース」と、光刃を形成する剣「ライトセーバー」を用いて戦う、自由と正義の守護者である。

 この組織は基本的にはそのフォースと呼ばれる摩訶不思議な力を銀河をより良くするために使い、そして反対に自らの私利私欲の為にその力を使う「シス」と呼ばれる暗黒騎士と敵対していた。

 

 

 ――その一人、オビ=ワン・ケノービは先日、師匠であるクワイ=ガン・ジンを失った。

 千年もの間鳴りを潜めていた筈のシスの刺客と交戦し、その凄まじい戦闘力の前に敗れ去ったのだ。

 だが彼に失意に暮れる暇はなく、師の最期の頼みを引き受ける為にタトゥイーンという惑星で見つけた少年、アナキン・スカイウォーカーを弟子に取ったのだった……が。

 

 

 「しかしオビチャンよ。そなたのフォースには揺らぎが生じておるな。

 さしずめ自分に師を務めるだけの実力があるのか、自信を失っているのだろう」

 

 「そのオビチャンという呼び方はどうにかならないものでしょうか」

 

 

 という訳で、師を失い、自らが師になる事の責任の重さに若きジェダイナイト、オビチャンが悩んでいたその時、全てのジェダイの頂点的存在として尊敬を集めるグランドマスター、ヨーダから助言を授かったのだ。

 

 

 『マスター・クワイ=ガンに頼まれたのじゃ。自分にもしもの事があれば、弟子であるそなたにこのホロクロンを渡す様にとな』

 

 

 そしてそのホロクロンに記された座標……ジェダイの拠点であるジェダイ聖堂が存在する惑星コルサントの暗黒街、通称アンダーワールドのとある居住区を訪れていたのだが。

 

 

 「……もう一度確認させて頂きます。

 本当にあなたが我が師、クワイ=ガンの旧友にして、元ジェダイオーダーのヤリ=ヤ殿ですか」

 

 「うむ、クワイは私のジェダイ・イニシエイト時代の同期で間違いない。

 私こそフォースの光明面の極意、ブラ=サガリの使い手、ヤリ=ヤ・ガッターだ」

 

 「マスターをクワイって呼ぶ人と初めて出会いました。信じざるを得ません」

 

 

 

 ……因みに、普通はマスター・クワイ=ガンあるいはジンと呼ぶらしい。

 そう、そこでオビワンは、師のかつての友を自称する一人の男と出会ったのだった。

 

 

 「……ですが、あなたの名前は、ジェダイオーダー内部にて一度も聞いたことがありません。本当にジェダイナイトの一員だったのですか?」

 

 「あ、いやイニシエイト時代にクビ切られて以来タブー扱いされてたからだと思うよ」

 

 「何をどうしたらそういう扱いになるんですか」

 

 

 因みにジェダイ・イニシエイトというのは、ジェダイ見習い、通称パダワンになる前の、修行中の子供たちの事である。

 つまりは一人前のジェダイになる前に追放処分になったらしいその男、ヤリ=ヤは語った。

 

 

 「待つが良い。話せばわかる。

 いやね? ギャザリングってあるじゃん、あの自分のライトセーバー作るやつ。

 あれやったらライトセーバーの色が赤くなったのよ

 

 「それは一発アウトですね」

 

 

 ライトセーバー。筒状の武器で、先端からプラズマ光刃を伸ばすジェダイの武器である。

 その神秘の武器を自らの手で作る過程もジェダイの試練とされ、それをギャザリングと呼ぶ。

 またその光刃の元となる結晶、カイバークリスタルはその使い手のフォースに反応して青や緑に輝き、同色の光刃を発生させるという。

 

 

 「そうして産み出されたクリスタルのフォースとの同調を暗黒面の力で無理矢理捻じ曲げる事によって、結晶が『出血』を起こす事で、赤いライトセーバーは出来上がるんですよ。

 それがどうして、ギャザリングの時点で、初めから赤くなるんですか」

 

 「私にも分からない。同期で同じ班だったジェシーをどうやってナンパするか考えながら作ったのは覚えているが

 

 「すべてを理解しました」

 

 

 ――そして、直後にジェダイのトップに君臨する評議会にて諮問が行われた際、ヤリ=ヤはこう答えたという。

 「俺じゃねぇ。フォースが俺に嫉妬した」と。

 

 

 「……それであなたはジェダイを追われ、今はこのコルサントの暗黒街でひっそりと暮らしていると」

 

 「想像する程みじめな生活でもなかったよ。クワイとはそれ以降も度々会っていたし、よくフォースに関する議論を重ねたものだ」

 

 

 グレイジェダイ、という言葉がある。

 つまりはジェダイオーダーで定められたフォースの光明面に囚われず、自分の思う正しいフォースの在り方を信じて行動するジェダイの事だ。その思想は時には暗黒面に近しいとも考えられている為、白と黒の狭間、灰色のジェダイと名打たれている。

 クワイ=ガンはまさにそのグレイジェダイと呼ばれた一人であったが、この男にも似たものを感じる。オビワンは思った。

 

 

 「さて。それでクワイ亡き今、その友人である私を頼ってここに来たと、そういう事でいいのかね、オビー」

 

 「オビーって……いや、もういいでしょう、何でもありません。

 その通りです。私が一人の師として、相応しい実力を得るための鍵をあなたが握っている……そう、マスターは考えたに違いありません。

 どうか、私をお導き下さい」

 

 

 ……正直、この人に教えを乞うのはどう考えても間違っているような気がするのだが。

 だが他ならないマスターの紹介である。ジェダイの中では極めて異端な存在とされたクワイ=ガンの、しかし確かな実力やフォースに対する真摯な姿勢は誰よりも自分が良く知っている。

 

 

 「……クワイの遺志ならば、これもフォースの定めという事か。

 良かろう、ヒゲノービよ。私が見出したフォースの奥義……『ブラ=サガリ』を伝授しようではないか」

 

 「いい加減にしてくれませんか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「まずビワワンよ。フォースとはなんだ。

 まさかただの念力や、魔法の類だと思っている訳ではあるまいな」

 

 「もちろんです。

 フォースとは、銀河のあらゆる場所に満ち、そこに生きる生命を繋ぐ存在の事を指しています」

 

 「……教科書的な答えだが、まあ良しとしよう。

 その通り。フォースとは、単なる力場ではない。この銀河の全ての命とを司り、また過去や未来の因果をも内包した、いわば世界の筋書きの様なものだ。『運命』と言ってもいい」

 

 

 かくして、ここに新たな師弟関係が成立した。

 とは言ってもあれだ、片方がジェダイリストラされてるので、正式なマスターと弟子とかではないのだが。

 

 

 「それでは次のレッスンだ。フォースの光明面と暗黒面とは何だね、ワンケノ」

 

 「そろそろ名前のネタが尽きるんじゃないですか。

 フォースの光明面……つまりライトサイドとは、生命が送るべき生涯を過ごし死の定めに殉じる、その自然の摂理に誠実であり、またそれ以上の独占的な欲を求めないフォースとの向き合い方の事だと考えています。

 一方で、フォースの暗黒面とは、そうした自然の在り方を捻じ曲げ、私利私欲の為にフォースを支配するものではないでしょうか。

 だからこそ、シスの力は強大です。だからこそマスターは……」

 

 

 意外と真面目な教義に、オビワンも真剣に考えた上で数日前の戦いを思い出してしまう。

 敵のシス卿はダブルブレード=ライトセーバーの使い手であり、その技のキレは現ジェダイ・マスターの誰と比較しても遜色のない、強力なものであり……クワイ=ガンが斃れた後はオビワンも苦戦を強いられ、足場を失って何とかそばの突起物にぶら下がるところまで追い詰められたのだ。

 

 

 「……何? 既にブラ=サガったのか? それで、その後どうなった?」

 

 「マスターのライトセーバーを使って、敵の背後まで飛び超えた後に斬りつけました」

 

 「――ほう」

 

 

 それをオビワンが打ち明けると、ヤリヤは驚いたようにその若きジェダイナイトを見やると。

 

 

 「なるほど、きっかけは既に掴んでいる様だ。

 話を戻そう。確かに暗黒面は強力だ。我々ライトサイド側の人間は、所詮自然の理を崩さない程度にしか力を出す事は許されない。だからこそ、破壊衝動に任せて好きなだけフォースの力を引き出す暗黒面の使い手は、脅威そのものだ。

 ――しかし。ライトサイドの使い手でも、対抗手段は存在する」

 

 「……それは、一体」

 

 

 オビワンは驚いた。

 敵の実力は未知数だ。基本的にシスは一人の師匠と一人の弟子によって構成されており、彼が倒したあのシス卿が、そのどちらかは定かではない。

 もし師匠の方が生きているのなら、その力はより強大な筈なのだ。

 

 

 「教えてください。ライトサイドの極意、『ブラ=サガリ』とは何なのか……!」

 

 

 だからこそ、彼等に立ち向かえるだけの術を。そう思ったオビワンは。

 ……しかし、その数秒後に目を点にする事となった。

 

 

 

 

 「いいか。フォースの光明面はツンデレなのだ。

 徹底的に危機的状況である事を演出して、フォースにデれてもらう事で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()自身を強化する。

 これがブラ=サガリの極意である」

 

 

 「……何を言っているんです?」

 

 

 

 

 まずオビワン、ツンデレという言葉を知らない。真面目誠実、生真面目が服を着て歩いている様な人間なのだ。

 

 

 「いやだってまじライトサイドって当たりキツくね? ちょっと欲出しただけですぐ暗黒面堕ちるし。

 トイレ行ってトイレットペーパーなくて、便座から立ち上がりたくないからフォース使ったら暗黒面(コレ)だよ」

 

 「一時的にでも自分が暗黒面に堕ちたって自覚があるのは凄いですね」

 

 

 ヨーダ曰く、一度暗黒面に堕ちたジェダイは二度と光明面に戻れない筈なのだが。こういう所がグレイジェダイの特長なのだろうか。クソ真面目にオビワンは分析した。

 

 

 「だから、自分を強くしようと思ってフォースを使ったらその瞬間にアウトなのである。それではフォースそのものに暗黒面を使用したという認定をされてしまうのだ。

 暗黒面に堕ちないともう助からないよー的演出を醸しだして、堕ちられたら困るなぁ、しょうがないから力を貸してあげようって感じでフォースさんにデレてもらう。その上で、もちろん暗黒面に堕ちるつもりなんてハナから全くなかったし、自然なフォースを味方にしようなんてこれっぽっちも考えてなかったよー的なアピールをするのがブラ=サガリの極意ね」

 

 「……何だか凄く不誠実な極意ですね」

 

 

 意外と現金だったライトサイドの極意に、オビワンはゲンナリ状態である。それとは対照的に、恐らく他人に自らが見出した極意を伝えたのが初めてだったのだろうヤリヤはホクホク顔である。

 

 

 「よってブラ=サガリを修めんとするノビーに求められる能力とは、自身が危機的状況であると、如何に巧妙にフォースを誑かす事が出来るかである。

 ついては、これから君には演技に磨きをかけるべく、その苦境を実体験、つまりはあらゆる臨死体験をこなして貰う事としよう

 

 「……なんですって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―― ヤリ=ヤ・ガッターとオビ=ワン・ケノービの奇妙な師弟関係はその後、十年近く続くことになる。

 その中で初めは修行が意味不明かつ理不尽だと怒り心頭だったオビワンが、しかし実は師匠以上どころか歴代ジェダイ最強のブラ=サガリの使い手として、後にその究極奥義である「チノ=リ」を自らの手で産み出す事になるとは……この時はまだ、知るよしもなかったのである……。

 




 
ヤリ=ヤ・ガッター

地味に珍しいグンガン族の元ジェダイ・イニシエイト。
ライトセーバーのギャザリングを行ったらどういうわけかクリスタルと光刃が赤く染まってクビが飛んだ。
本人曰く同期の女友達をどうナンパしたものか考えていたらそうなったらしい。恐らくこの時の下心のせいで微妙に暗黒面に堕ちていたっぽい。ジェダイの禁欲主義って怖い。
それ以来コルサントの下層、暗黒街の片隅でひっそりニート生活を行なっていた。クワイ=ガン・ジンとは同期で仲も良く、ちょくちょく会っては駄弁ってたそう。
この二人に限らずここの同期生はヤベー奴が多かったとか何とか。二人含めた一部のジェダイはジェダイオーダー非公認の裏ジェダイ評議会とか勝手に名乗って騒いでたりしたらしい。普通にヤベー奴らである。
前述の通り、ライトセーバーは赤。もちろん見せびらかしたりした日には即しょっ引かれるので、余程のことがない限り封印しているらしい。
だがフォースへの感応能力はそこそこ高めで、リビングフォースの概念を掲げるクワイガンとの交流の中で、ライトサイドのジェダイでも一時的に力を引き出せる「ブラ=サガリ」の極意を理論化及び会得。後の「ブラ=サガリに選ばれし者」であるオビ=ワン・ケノービの登場までは第一人者となる。
後に彼の遺志を受け継いだオビワンが、ブラ=サガリの最終奥義である「チノ=リ」を会得する。

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