転生。リンカーコアSSSの元病弱アルビノ少女   作:ちーと

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邂逅()少女

「...ア゛。ア゛ア゛‼‼¿?¿ギィ――――‼ギギィ゛‼‼‼ア゛ア゛ッ‼‼ア゛ア゛ーーーッ‼‼‼」

 

今度は歯軋りしながら激怒していた。何に対してかは分からないけど。

端正な顔は醜く歪められ、地面を転がる内に体液で生成された泥もへばりついて。その姿は最早人間とも思えない。

せっかく心配そうにしてた女の子達もこの醜態を見て次々に逃げて行った。

 

「佐神くん?どうしたのさ」

「あ、あんた!なにしてんのよ!」

「ギィ――――‼ギギィ゛‼‼‼ア゛ア゛ーーーッ‼‼‼」

 

ただひとり、アリサのみを残して。

 

「え、何って目を見ただけだけど...何かやっちゃった?」

「勇人がおかしくなってるじゃない!」

「ア゛ア゛ーーーッ‼‼‼ア゛ア゛‼」

 

おかしくなってるとはこれまた端的かつシンプルな表現だなぁ。

ホントその通りだ。おかしいと言う他無い。

 

て言うか何気に今、佐神くんの下の名前聞けたね。

 

「そうなんだけど...心当たりなくてさ」

「直しなさい!佐神に何かあったらただじゃ済まないんだからね!」

 

これまた変な事情でもあるのだろうか、アリサちゃんは必死に佐神くんを抑えている。

怪我を増やさないように気を付けているんだろう。

 

「ギギィ゛‼‼‼ア゛ア゛ーーーッ‼‼‼」

「お願いだから!このままじゃ家に迷惑がかかっちゃう...っ!」

 

うわっ...

家に迷惑て何、お偉いさんの息子だったりするの?

それが呻く芋虫になったら幾ら子供のやった事とはいえ許されないだろうね。

私は今のところ天涯孤独だから関係ないけど。多分戸籍もないし。

 

「あんたも何かしなさいよ!」

 

でもこう、泣かれると、その、何とかしないとって気分になるなぁ。

 

「そう言われても...?」

 

...いや待て。

この状況...『ちーと』のチャンスじゃないか?

他の人は居ないし、一段階めの鎮静効果で佐神くんを取り敢えず落ち着かせられるから違和感も少ない。

アリサにもやれば二段階までの二重がけだし、ワンチャン最終契約まで行けるかも。

佐神くんは言わずもがな。現状に満足するような子じゃなかったし、精神も驚くほど脆く見えた。

複数同時にやるのは初めてだけど、成功の目はある。

 

「良い事思いついたよ、アリサちゃん。そのまま佐神くん抑えてて」

「何かあるの?」

「ある、暫く静かにね」

「わ、分かったわ!早くして!」

 

揉みくちゃになってる二人を解き、両手で頭を撫でる。

 

「『落ち着いて、アリサ、勇人』」

「...ア゛、あ...」「ま...た...?」

 

一段階めは問題なく終了。佐神くんがおとなしくなってくれたのが功を奏したのだろう、アリサの警戒心が安心という感情でコーティングされていくのが見て取れる。

 

「あ...佐、神...」

「『事情があるんだよね、二人とも』」

「ア、れ...ぼレ...?」

 

二段階めも滞りなく進んだ。

今や私の腕の中には、意識朦朧の佐神くんと精神疲労でぐったりのアリサが無防備に曝け出されている。

ふへへ、まな板の上のタイってやつだねぇ。おいしく捌いてやろう。

 

「『もう大丈夫だ』」

「おお...おぇ...ぁ...ま、...」「あ..ぁ.」

 

すごいなぁ、さっきまでの様子が嘘だったみたいに二人とも私を好意的に見つめている。

アリサの疑似コア生成と調律も終え、ここまでは順調だ。

しかし佐神くんの疑似コア生成で問題発生。読み取り先の魂的なものが何故か二つ。

大きい方は金ピカで、もう片方は青色。割合で言えば9:1。

 

「コア候補が二色...?」

 

私としてはどう見ても強そうな金色をこの体に授けてやりたい気分なのだが、青色の方も不思議と魅力的に映る。確か神様が、魂とリンカーコアはとても近しいモノだと言っていた。

ならば一つの身体に二つの魂、選ばれなかった方がどうなるかの想像は容易だ。

 

「...どうしようかな」

 

 

中空を見つめていると、明らかに様子の違う声色が青の魂から聞こえて来る。

念話と言えば良いのだろうか、音は酷くぼやけていて不明瞭。水が耳の中に深く入り込んだ時みたいな感じだった。

 

「....ボ、く...は....シ、に...たく...」

 

同時に金の魂からも声が響く。こちらは先程迄の佐神くんの声っぽい?

唯我独尊、大胆不敵。自信に溢れた強者って感じの声をしている。

 

「『黙れ』」

 

その時、コアが金色に染まり始めていることに気付いた。

コアだけじゃない、オッドアイは既に一色と化し、髪も根元からどんどん金色に変わっていく。

 

「『雑種。我を選べ』」

 

まるで、コアの侵食が容姿に影響を及ぼしているように。

魂は何とか拮抗を保っているものの、青の輝きは陰りを見せていた。

 

「た......す、け...て...」

 

正直に言おう、わけが分からないと。

何故魂が二つあるのか、何故片方が吸収されそうになっているのか。まるでわからん。

 

「『...悩む必要はない。アレを我の身体から消せ』」

「た......す、け...て...」

 

...ただ、上から目線で偉そうに命令してくる金ぴかと、死に物狂いで助けてくれと懇願する青。

神様の慈悲に救われている身としてどっちを助けたいかと言われれば、答えは決まっている。

 

 

 

「助けるよ。『だから、私の愛を受け入れてくれ』」

 

四段階めへ移行。

二人とも首を縦に振り、何とか私を抱きしめてくれて成功。

これで四段階めの副産物が使える。

 

「『共鳴(レゾナンス)』」

 

青の波長を読み取りコアの調律を開始。

 

「『...貴様!?、何を!』」

「黙って」

 

変えた傍からノイズが入り、金色に戻される。何度やっても抵抗されて、完全には変えられない。

リンカーコアの調律が思ったより難しい。明確に失敗はしないし、どうすれば良いのか何となく分かるものの上手くいかない。

ゴールがはっきり見えている分もどかしい...

 

「『止めろ!アレに何故肩入れする!』」

「ぬむむむむ...」

 

金も必死に波長を乱してはいる。が、変化速度は秒単位で早くなる。疑似コアの構造と魂の繋がりを完全に理解した。

強引に全パターン解析を終えて上書きしまくり、一瞬だけ青一色にすることに成功。

 

「『ふ、ざけるなああああぁぁぁぁ!!!貴様ッ!何をしているのか理解できないのか!!』」

「...!『無限の母性!(アンリミテッド・マターナルッ!)』」

 

調律で常に上書きし続けるという力業を使い、最終契約を断行した。

 

抵抗は気にしないのかって?問題ない。

魂の解析で、どうも抵抗には魔力的なものと霊的な物の二種類がある事が分かった。

青の魂はもう受け入れる気マンマンだったので、リンカーコアの波長を青に合わせてやればどれだけ金が抵抗しようが関係ないのだ。

 

「『おのれおのれおのれおのれおのれぇぇぇぇ!!』」

 

数秒ほどで『青のリンカーコア』との間に強固な繫がりが生まれ、金が急激に押し返され始める。

しかし金色はまだ消えず。

私の魔力を青に調律して渡してもイマイチ爆発力が足りなかった。

 

「『共鳴(レゾナンス)』ごめん、なのは」

 

なのはのリンカーコア(SSSの八割+元々本人が持ってたやつ分)の魔力を頂戴して、調律した端からどんどん注ぎ込んだ。結構手荒く行ったので少し痛いと思うけど、仕方ない。

さて、あとは魔力を注ぎつつ二人をしっかり抱きしめて五段階目が終わるのを待つだけだ。

 

 

 

 

三分後、アリサの方はぐっすりとおねむになっていて、無敵バリアが発動していた。

どうやら五段階めが始まった時にバリアは自動で発動するらしい。そりゃ姿勢を崩せないんだから邪魔されないようにするのは合理的ではある。

私にかかってるバリアだって無意味ではない。多分夜風を凌げてはいるんだ。感覚はそのままだけど。

 

十分後。青が安定してきたので、なのはからの魔力吸収を緩やかかつ無理のないものに切り替えた。

相変わらず繊細な作業であるのには変わりないけど、幾分かマシになってるといいなぁ。

 

二十分後。もうイヤな予感しかしない。

何故かって?

そりゃなのはの二の舞と言う意味もあるし、それ以上に精神的な辛さも前より上だからだ。

常に『調律』をなのはと佐神くんとで二重発動しつつ、私のコアを経由する時さらに二つ処理を噛ませなくちゃいけない。その上ちょっとでもコントロール失ったらリンカーコアがぶっ壊れる。いわば精密機器を二台同時に別々のツールで弄り続けているようなもの。疲れないわけがないよね。

それでも集中してれば慣れてくる辺りは流石神の才能と言ったところ。

 

まだ金ぴかは残ってる。魂の方に流した魔力でなんとか3:7の状態にはなったけどさ。

凄いしぶとさだったんだね、青。

私となのはの全魔力で消しきれないモノと一体どうやって拮抗してたんだろうか、つくずく不思議でならない。

 

一時間後。

...うん。知ってたよ、まだ終わらないね。

金ぴかと青の勢力図は1:9、逆転した形にはなるんだけど...なーんだか最後の粘りが強い。

青の浸食速度が鈍くなった。

佐神くんの目は完全に青く、髪も綺麗な銀髪に揃った。ここから逆転なんてことにはならないだろう。

 

二時間が経過。公園の時計では午後三時を指している。

ちかれた。でも面倒だからって手を抜けないこの感じ。いわゆるですマーチってやつかなぁ。

佐神くんも流石に寝ちゃったよ。二人とも気楽でいいねぇ、すごくかわいい。手慰みに撫でてみると何だかミルクの良い匂いがする。髪はサラサラだし、気持ちいい。ずっと甘やかしたい。

 

四時間が経過した。いい加減にしてよ金ぴか。

ずっと二つ以上の事を同時にやってたからなのか、何か思考が分割して出来るようになった。

 

よし、これを『並列思考(マルチタスク)』と名付けよう。

めんどくさいとかぶつくさ言ってるメイン一番、なのはからの魔力吸収が二番、佐神君への魔力譲渡三番、なのはと私の調律四番、私と佐神くんの調律五番。その他文句勢は六から三十番!

 

...流石に前世が貧相だったとしても、思考を三十分割出来るのは異常だと分かる。神の才能だろう。

ありがとう神様...頂いた才能は絶対腐らせないよ...

 

 

六時間経過。時刻は午後の七時。

精神的な疲労は分割思考のお陰で随分楽になった。幾つかのタスクでルーティンを組んで休ませている。

その処理分総量は増えてるんだけど、休憩を挟んだら不思議と楽になった。

というか、今この瞬間にもタスクの数は増やしているので一桁番台は休みっぱなしだ。

なんなら交代のペースより増えるタスクの方が多くなりつつある。才能すごい。

 

八時間経過。

やばいな、いろいろと。もうすっかり日が落ちてしまった。

処理のほうはタスク増やしすぎてもう瞬きと同じくらい自然にできてるけどさ...無敵バリアのフィードバックがとにかくきつい。

自分と二人とで合計三倍だ、三倍。寒すぎる。

何故私には以前より厳しい苦難の道が示されるのだろうか。

後先考えないからだね、うん。

分かってるけど、自重してつまらなく生きるのはもっとゴメンだ。

私はこれからも無茶するぞー。

 

 

朝の六時。

タスク数、6472894682。コレ正確に数えられるのもすごいよねぇ...

わざと魔力処理ループをタスク数ギリギリまで小刻みにやったり、魔力を並列で注いだりして調律技術を鍛えてたらめっちゃ増えてた。

 

佐神くんは青、アリサは赤の疑似リンカーコアと順応し、五段階め終了。

 

長い...戦いだった...




英雄王の宝具プリーズ

魂と紐づけされてるから混ざった

乗っ取られ

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