━━━A組side(心操、蛙吹を除く)
「ハッ!?
「峰田…お前、病気だよ」
「絶対、名前のある病気だな」
「入院したら、もう退院できない奴だね」
A組のメンバーは初夏の里山を楽しんでいたのだが、
やたらと勘のいい峰田がナニカに気付いた
(~心操、蛙吹混浴中~)
それはさておき、メンバー達は困惑していたのだ
なにせ、平和すぎる
飛翔音に対して、すわ狙撃系の[個性]かと警戒すれば、
山中を流れる沢にカワセミが飛んでいただけで、
ガサガサとした物音に、すわ敵襲かと警戒すれば、
タヌキや野うさぎだったりするのだ
「警戒してても敵が来ないって
なんか、ストレス半端ないね」
芦戸が言った言葉は真理を突いていた
敵が、攻撃が来るのが当たり前だったのだ
…今までは
だが、今はそれがない
平和なのだが、それゆえ不安に駆られるのだ
敵が来れば倒せばいい
でも敵が来なかったら?
「私達…何をすればいいの…?」
「そりゃあ……あれ?日常って何だ?」
「ふっ、日常…それは戦いの日々…」ソワ…
「まさに修羅の如く…」ソワ…
常闇とマーシーは楽しめて?いるようだが
他のメンバーの顔色は暗い
「じゃあよ!高校入る前は夏休みって何してた!?」
ムードメーカーを買って出た上鳴のおかげで
会話が途切れることはなかった
「ウチは…楽器の練習したり、ライブに行ったり…」
「僕は夏休み中は勉強か鍛練ばかりだったが、
たまに兄が息抜きにと一緒に外出をして…」
「オイラは…エロ動画のフォルダ分けとか…
新しい動画を探したり…」
「楽しかったよな…あの頃は」
「…そうね」
「ヒーローを目指すとはこういう事だったのか…!!」
「オイラは…ただモテモテになりたかった…」
「なぁ、話のついでだけどさ…
林間合宿のA組の目標って知ってるか?」
「え?[個性]の強化でしょ?」
「俺…聞いちまったんだけどさ、
“優しさ”と“思いやり”を思い出させるのが
A組の課題だってよ…」
「はぁ!?ウチらには“優しさ”も“思いやり”も
ないってこと!?」
「俺も最初は耳を疑ったんだけどよ…
じゃあさ、改めて聞くけど」
「優しさって、なんだろう?」
「そんなの……え?」
「思いやりがあること…だったな」
「なら“思いやり”ってなんだ?」
「…………」
「……すまない、僕にはわからない」
「そう、そうなんだよ!!もう“優しさ”が
わからなくなっちまったんだよ俺達は!!」
「そんなのって…」
「例えばよ…ケガをして苦しんでいる人が
いたとして…どうする?」
「そんなのトドメを指して楽にしてあげるに、
決まっているじゃない!!」
「いや、生きているなら使い道があるんじゃないか?」
「オイラだったら生き餌として使うっスね」
「その考え方が異常らしいんだわ」
「そんな!?」
「まさか、ケガ人を戦線に立たせるのが正解なのか!?」
「もしや…非常食として…」
倫理観と常識が抜け落ちるという弊害である
もう、ヒーローを夢見て
瞳を輝かせた少年少女達はいない