ーーーーーー体育祭 当日 午前3時ーーーーーーーーーー
対[個性]最高警備特殊拘置所 通称タルタロスにて
とある目的の為、2名の囚人が移送されようとしていた
監獄長
原因は言わずもがな移送する囚人達である
前代未聞 一時的とはいえ囚人を外に出す愚行・・・
あげく目的を達成せずとも恩赦を与えると聞いた・・・
本来ならば、言語道断であるが
目的を説明され移送される2名を見てナニカを察した
白目を剥いて微動だにしない
すわ[個性]による攻撃を受けたのかと肩を叩いてやると
虚空をみて「大丈夫、さぁ逝こうか♠️」などと嘯き
また白目を剥いた
大丈夫の意味は変わったのかしらん?
行こうのニュアンスが何か違う気がすると思いつつも
護送車に放り込んだ
次の囚人は
正直な話、なぜ収監されているのかわからない女性だ
誰か1人をタルタロスから解放するとしたら
全会一致でこの女性が選ばれるであろうと思われる
犯罪歴は窃盗それも万引きが6回のみ
盗んだのもカリカリや銀のスプーンである
罪は罪だがタルタロスに収監する意味がわからない
[強個性]で身体能力も凶悪だが理想的な模範囚であり
ここだけの話、職員の中でも人気が高い
なんというか尽くすタイプの女性で天然っぽい美少女だ
個人的にはボクっ娘と猫耳は正義だと思う
そんな彼女が今、土下座?をしていた
正座をして頭を地面に擦りつけていた
上に向けた手の平は害意がないのことを示す精一杯の
所作であり黒縄はそれを知っていた
「頼む 待ってくれ・・・」
「何でも!!何でも言うことを聞くから!!」
「だから待ってくれ ボクは どうしてもこの場所を出てはいけないんだ!!」
━━━極限まで張りつめた空気のなかで
繰形が選択した答は 駄々をこねることであった
これから外で何が起きるのかは私にはわからないが
この少女が傷付くのは間違いないだろう
「お願いだ!!もうボられるのはイヤなんだ!!」
「そうだパフパフ!!肉球パフパフしてあげるから!!」
「耳掻き!!耳掻きもしよう!!」
「望むならば・・・耳舐めも!!」
「必ず・・・!!約束する」
私は血がでるほど手を握りしめ
部下に「連れていけ」とだけ伝えた
そして部下も歯を食い縛りながら命令に従った
私は逃げたのだ
部下に役目を押し付けた・・・!!
私は人生で一番に己の弱さを呪った
囚人に対して便宜を図ったり物を渡す行為は勿論
囚人から物を受け取ったりするのは職務に反するだろう
何も出来ない私は・・・
災禍に飲まれる運命を持つ少女を助けられない私は・・・
護送車に収容される彼女に駆け寄り
懐から出したチュールを手渡した
部下達も駆け寄りモンプチやらシーバやら渡していた
馬鹿者共が・・・
私も含めこの場の全員、始末書だ!!!
━━━その日、タルタロスは優しい世界だった