「飯田、職員室まで走って俺の机から
ニャン○先生特大ぬいぐるみをもってきてくれ」
「し、しかし」「早く[個性]使って走れ!!」
「わかりました!!」
「ニャンコ…ねこ ねこ 」
猫のぬいぐるみを抱いて震えている心操
追加のぬいぐるみを持ってこさせる相澤
「そうだぞー猫ちゃんだぞー」
「しんそー放課後に猫カフェ行こうなー」
1年A組の生徒達は驚いた
あの相澤先生があんなに優しい顔をすることに
あの爆豪がこんなに優しい声をかけることに
(((((この二人慣れてやがる!!)))))
(((((というか心操はマジでなにがあった!?)))))
ーーーーー心操 職場体験 回想ーーーーーーーーーー
ーーーーー山梨県 甲府市 某所にてーーーーーーーー
デクさんを前に動けない心操だが
この状況を打破するため頭を最大限に動かしていた
逃げることはできない
被害者らしき人を置いてはいけないし
逃げきれるだけの速度がない
[洗脳]を使うことはできない
体育祭と違って動きを止めるだけでは解決しない
自分が倒れたら次に繋げる人がいない
戦闘をすることはできない
下手に動いたら当てるよりさきにボられる
当てたとしても倒せる程の威力もない
━━━ゆえに心操が選んだのは対話だった
[洗脳]を使わずに、ゆっくり間をあけながら時間を稼いで
事態が好転することを祈りながら
あわよくばデクさんが止まることを祈りながら
これは心操が可能な行動の中で最も良い選択だった
暴力性が目立つデクさんだが
授業は普通に受けている(実技を除く)
ならば対話をするのが最大限の戦法
ゆっくり喋り、長たらしい表現を使い、
不自然にならぬよう会話の内容をかえながら
時間を稼ぐことに徹した
相対してから3分…5分…10分…20分…
デクさんが動こうとするたびに
「そういえば」、「実は」、「話はかわるけど」…と
会話を続けさせ動きを止めて
相対してから20分…25分…30分…
30分が過ぎた時、倒れていた老人が起き上がった
「やれやれ会話だけで30分耐えるとわな…」
「え?生きて!?」
「コレ切ってないソーセージにケチャップかけたヤツ
んでお前さんがデクさん(B)にどう対応するか
見させてもらってた」
それは倒れていた老人…グラントリノのテストであった
オールマイトより送られてきた情報で
心操の[個性]が戦闘向けでないことは知っていた
そしてデクさんを[洗脳]するとダメージを受けることも…
相性が極めて悪い相手と戦わざるを得ない時に
どのような対応をするのかをテストしていたのだ
「全部、演技ですか…」
「そうさな、だが謝らんぞ?騙されるほうが悪い!!
それもケチャップなんぞで騙されおってからに!」
口に出してしまうとなんとも情けない話である
ケチャップを血と間違えて怯えてしまい
必死になって対話で時間稼ぎをしていたのだから
━━━だが違和感があった
それに心操は気付いて、訊いた
「あのデクさんのほうのケチャップ、
妙に赤黒いと言いますか、凄く鉄臭いのですが?」
「ああ、デクさん(B)のは敵の返り血だからな」
「返り血!?」(というかBとは?)
心操の反応を面白がりながらグラントリノが続ける
「いや殺しちゃいねぇよ、怪我だ怪我」
「そう…ですか」
しかしオールマイトが怖れるグラントリノが
普通の訳がなかった
「まぁ腕の2、3本や足の4、5本、首の6、7本は
消し飛んでるだろうが」
(甲府市の敵はクラゲやムカデみたいに手足が多かったり
ヤマタノオロチやヒュドラみたいに首が多いのが
スタンダードなんだろうか?)
「さてと過ぎた事は置いといて
これからお前さんを鍛えるわけだが…
俊典から何か聞いてねえか?」
「俊典…?」
「八木だよ、八木 俊典!オールマイトの本名!!」
「マジか!?」
「チッまぁいい。おい!入って来てくれや!!」
(舌打ちした!?というか誰か来る…の…か?)
奥から出て来た人物達を見て心操は固まった
思考も身体も動きを止めてしまったのだ
硬直するのも仕方がない
なぜなら出て来た人物達は…
デクさんとデクさんとデクさんとデクさんデクさんと
デクさんとデクさんとデクさんとデクさんだったからだ