ーーーー瀬呂&峰田ペア VS ミッドナイトーーー
「こいやぁぁぁ!!」
ミッドナイトは困惑していた
自身の母校である雄英高校に教員として勤めて数年
こうしてテストや授業で生徒と模擬戦をするのも
初めてではない
[個性]を生かして行動する者がいた
[個性]に合わなくとも性格で行動する者もいた
だが、コレはなんだろう
[個性]を考えても性格を考えても
どう考えても正面から来るようなタイプではない
コレが戦闘向けの[個性]だったり
正々堂々とした性格だったらわかるのだが
ミッドナイトと相対しているのは峰田だった
━━峰田 実 [個性]、[もぎもぎ]
性格は煩悩にまみれており臆病である
開始の宣言と共に相方である瀬呂は[テープ]を使い、
高速かつ、立体的な移動で離れていった
ミッドナイトの[個性]である[眠り香]
見えないうえに音も出ず、
耐性なり催眠成分を吹き飛ばす方法がなければ即、詰み
無呼吸の状態で速攻を仕掛けるという手もあるが
ミッドナイトもプロヒーロー、近接戦の心得はある
合理的に考えれば瀬呂のように一旦、場を離れてから
奇襲するなり、ゴールを目指すべきだろう
2人の[個性]を知っているミッドナイトは
対策に対する対策として、どちらかを倒すまでは
ゴール前から動かないつもりでいた
時間制限があるテストだ
ゴール前さえ守れば必ず来る
その時にどのような対応をしてくるかで
テストしようと思っていたのだが……
開始時から正面に堂々と峰田がいた
このケースは考えていなかった
何か策があるのか?
だとしたらそれは何か?
考えがまとまらないうちに峰田が攻撃を仕掛けた
飛んでくる複数の[もぎもぎ]
当たってもダメージはないが接着性が強く
何かとくっついたら動くのは厳しいだろう
鞭も装備しているが叩き落とすことは出来ない
[もぎもぎ]が鞭に着いたら使えなくなるからだ
ゆえに、回避一択
幸いにも[もぎもぎ]はそこまで速度がない
簡単に回避ができる
回避しつつ[眠り香]を発動して
少しずつ距離を詰める
[眠り香]が届けば勝ちである
━━相対して数分
峰田は眠ってなどいなかった
[眠り香]の特性からしてありえないことだった
だがミッドナイトは困惑よりも…
「うひょひょ、訳がわからないって顔スね」
この峰田のドヤ顔に腹が立っていた
「わかんないスかねぇ…、こんなことも」
このブドウ、潰してジュースにしようかしら
なんて考えてはいない聖職者でヒーローだからだ
額に青筋を浮かべながらミッドナイトは聞いた
「そうねぇ、教えてくれるかしら?」
まぁ、煽る為か時間稼ぎだろうと思いながら
答を待つミッドナイト
「ひょひょひょ、ミッドナイト…
貴女は自身の[個性]をまるで理解していないんスよ」
やっぱり潰す、潰してミキサーに掛けたる
教師、それもプロヒーローに生徒が言う台詞ではない
ブチ切れそうになったミッドナイトだったが、
煽って怒らせ、視野を狭くさせる作戦だと察して堪えた
だが、峰田の次の一言で全てを察することになる
「ミッドナイトの[眠り香]…
つまり、ミッドナイトの…女の子の香り!!
そんなモン嗅いだら眠るどころか
オイラのリトルミネタが起きちゃうんスよォ!!」
そう、単に欲望に忠実で、煩悩の塊だった
悟ったミッドナイトの心から怒りは無くなり
代わりに『うわぁ』という思いでいっぱいになった
何事にも許容量がある
ミッドナイトからすれば今の峰田はアウトである
…峰田にも許容量があった
突然、倒れて寝息をたてる
ミッドナイトは思う
ある意味、敵以上に厄介だったと
そして、自己の能力を過信した峰田は不合格に、
あとは何処かに隠れている瀬呂を見つけるだけ…
━━果たして、
欲望に忠実で煩悩の塊であり
性欲の怪物、エロスの守護神である峰田が、
眠った程度で止まるだろうか?
風切り音に対して反射的に鞭を振るうミッドナイト
だが鞭が当たったのは[もぎもぎ]だった
これで鞭はもう使えない
「ふへへへ、ふへ」
ユラユラと幽鬼の如く立ち上がる峰田
その意識は既に無かった
雄英一の策士 峰田の策は常に多重化してある
第1の策、自分が囮となり瀬呂をフリーにする
これにより奇襲や直接ゴールを狙える
第2の策、自分の耐性を利用した直接戦闘
瀬呂の姿が見えない為、そちらにも
ミッドナイトは注意せねばならず勝機がある
第3の策、予想以上に戦闘が長引いた場合に
敢えて[眠り香]を受けて眠る
━━人は、身体能力の極一部しか利用できていない
理性がストッパーの役割をしているからだ
峰田は睡眠により理性を捨てた
そして、身体能力を数段上げたのだ
今の峰田は本能でしか動かないが
峰田の本能こそ煩悩である
近くに
襲い掛かるのに時間はいらなかった
━━ミッドナイト、敗北
全身[もぎもぎ]まみれになるも無傷
動けなくなった所を峰田に襲われそうになったが
皮肉にも[もぎもぎ]の反発により峰田は近付けず
そうこうしているうちに瀬呂がゴールして試験終了
後日、
ブドウを1粒1粒ハンマーで潰すミッドナイトが目撃された
━━瀬呂&峰田ペア、条件達成