上鳴&芦戸ペア VS 校長(根津)
根津は知らなかった
というよりも知らされてなかったのだ
1年A組のメンバーが合コンという名の苦行をしてたことを
学校の長である校長という役職に就いてはいるが
生徒のプライベートまでは知りえない
[ハイスペック]とて限度があるのだ
根津は知っていた
というよりも直感的なものだろう
DNAに刻まれた野生の本能
その本能が警鐘を鳴らしていた
今までの生徒と同じだと思っていたらマズイと…
本来ならば勝ち筋を残しつつ、
生徒を追い込み、どう打開するかを確認する
知能的な戦法を掘とる予定であった
だが、根津は本能に従い
確実に“詰む”ように建築物を倒壊させていった
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━━上鳴 電気は成長していない
あの合コンにおいて上鳴 電気は成長していない
ボルト数も、アンペアも、蓄電量すらあがっていなかった
何故なら彼は、逃げ続けたからだ
「…!! 見つけた!!」
「ナイス!上鳴!!」
だが、考えて欲しい
上鳴 電気の[個性]は[帯電]
[電気]でも[発電]でもなく[帯電]
”電気を帯びる”[個性]である
故に、電気に対して敏感であった
━━生体電気
デンキナマズ等のソレを意味している言葉ではない
“生物”が生命活動に伴って発する電位である
ソレは人間は勿論のこと、動物、魚類、植物…
はては菌類や単細胞生物ですら持つ
上鳴 電気はソレを確認することができた
最大で半径50キロメートル
デクさんクラスの電位であれば見分けがつく
ならば高々半径10キロメートル内の
生物の位置、種類程度すぐにわかった
━━なぜ、2人は落ち着いて索敵ができたのか?
原因は芦戸にあった
芦戸 三奈の[個性]は[酸]
[酸]を霧状に散布し、周囲の電子機器を無力化
霧状故にスモークとして目隠しとしての機能もあり、
更に強酸をそこかしこにばら蒔き
酸特有の刺激臭で嗅覚を無効化、
溶解熱によるサーモグラフィー対策もしていた
この2人が合コンにて伸ばした
あるいは伸ばさざるをえなかったのが器用さである
デクさんを先に見つけ逃げ延びること
デクさんから見つからず逃げ延びること
ソレが2人の生存戦略であった
そして、その2人がチームを組むことで
ステルス索敵機となっていた
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見えざる敵、しかし此方は見られている
失われたハズの野生の本能が教えてくれる
ここにきて、根津もまた成長していた
本能からくる否科学的だが確かな直感と、
[個性]からくる推理と予測
人を超えた頭脳と動物の野生が合わさってゆく
既にゴールまでのルートは全て塞いだ
と、なると生徒が取れる残る手段は1つ
自分への直接攻撃と捕縛
生徒達の居場所は何ヵ所かに絞れているが
いやな予感が止まらない
まるで遥か上空から猛禽類に狙われているような…
根津の不安はなくなった
『上鳴、芦戸ペア 条件達成!!』
その放送に耳を疑う
ルートは全て塞いだハズ
ゴールまでのルートにあるカメラには何も映っていない
というかゴールには誰もいないではないか
無線で本部に確認を取ろうとした瞬間、
ゴールの真下の地面が崩れた
━━ああ、そうか
根津の[個性]は[ハイスペック]、
人間を超えた頭脳は全てを悟った
道がないなら造る
酸で地面を溶かして進んだのだと
地中にはカメラなど無いし、此方の攻撃も届かない
単純なことだった
本来、野生のネズミは穴を掘り、身を潜め生活する
その手段を相手に使われて敗北するとは
なんという皮肉だろうか
━━━上鳴&芦戸ペア 条件達成
━━━根津 野生の本能を取り戻し始める