強くて×ヒーローアカデミア   作:紫煙隊

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ワラッテハ×イケナイ8

 

級友を失い、タマも失ったB組

”もう、これ以上はなにも失いたくない”というのが

B組メンバーの正直な思いである

…だがそうは峰田が卸さない

 

峰「じゃあ、最後の勝負っスし

  大将対決といくっスかね!!」

 

━━大将対決

B組で言えば物間が出るだろう

だがA組は…

クラス委員長たる飯田が出るのか

軍師であり参謀の峰田が出るのか

あるいは現メンバーのリーダー格である心操が出るのか

予測がつかない

 

峰田はまず出ないだろう

軍師にしろ参謀にしろ前線に出る存在ではない

飯田ならまだ希望の目はあるだろうが

A組は予想外の強化をしていることは身に染みている

予想がつかないので危険牌である

最後に心操、今の彼を見て彼が普通科出身だと

誰が思うだろうか?

肉体、精神、[個性]、全てが上位者のソレとなっていた

 

“棄権”…それしかないとB組メンバーは判断し

物間もそれを了承した

負けるのは悔しい

負けるのは辛い

それも“棄権”という負け方は

自分で今までの自分の努力を否定するということである

 

だが勝ち負けよりも失いたくないものが物間にはあった

仲間である

誰も傷付いてほしくないのだ

治療の有無に関わらず仲間の傷付いた姿を見たくないのだ

だから“棄権”

辛酸を、苦渋を舐めても仲間を生かす道を選ぶ

それがB組のキズナである

 

 

峰「ああ、さすがに最後っスから

  A組はオイラが出るっスよ

  それに[個性]も使わないっスね」

 

物「ハハハ、君が相手だって?

  いくらなんでもB組を舐めすぎだろう!?

  いいだろう!僕が…」

デデーン『物間、アウトー!!』

物「よくも卑怯な手を…はう!!」

ボッ

 

B皆(やっぱり頭か心の病気じゃねぇかな?)

 

A皆(どんな精神してんだアイツ…?)

 

物間がボられてできた隙に拳藤が滑り込み

巨大化させた拳で物間をかっ拐った

 

拳「ちょっと待ってくださいねー

  物間!!どういうつもり!?」

 

物「大丈夫さ…相手は峰田だよ?

  多少、頭は切れるかもしれないけど

  純粋な身体能力なら僕の方が上さ!

  …それに、僕は責任を取らないといけない」

 

普段の煽ることしか考えてなさそうなキャラから一転し

古い表現かもしれないがいわゆる“男の顔”をしていた

そもそもなぜ物間はA組を煽るのか?

A組がそんなに嫌いなのか?

その理由は物間の原点にまで遡る

 

物間 寧人は物覚えのいい子供だった

1度見れば大体のことがこなせた

そして、出来ないことは人に見られない所で努力して

できるようになるまで努力が続けられる子供であった

だが、彼は6歳になっても[個性]が発現しなかった

ゆえに苛められた

それでも物間は努力を続けた

[個性]をもっている奴よりテストでいい点数を…

[個性]をもっている奴より体育で活躍を…

だから疎まれた

小さな子供は時に大人以上に残虐だ

語彙が少ないからか、思った事をそのまま言うからか

あるいは躊躇がないからなのか…

物間は苛烈なイジメを受けた

そして子供は大人以上に傷付きやすい

心が純粋だからか、周りの影響を受けやすいからか

あるいは逃げ口がないからか…

転機が訪れたのはある日、小学校の授業で

隣にいた児童と手を繋いだ時である

物間は自分にもやっと[個性]が出たのだと喜んだ

だが、数分もしない内にその[個性]は使えなくなり

その後も使えないままだった

僅かな希望は、掴んだと思った瞬間に消えたのである

物間へのイジメはより酷くなった

自分は[無個性]じゃない

前にちゃんと[個性]が使えたと物間が言っても

同級生達は誰も信じてくれなかった

『嘘つき物間』…そう呼ばれた

それでも両親にはイジメの事実を隠し続けた

グラウンドで転んでできたんだよ(10針以上縫う刃物傷)

階段で転んで落ちちゃったんだ(表皮が炭化するほどの火傷)

飛んできた砂が目に入ったんだ(眼底骨折及び網膜剥離)

両親が不審に思っても

『僕はクラスの人気者だからイジメなんてないよ(”嘘つき”じゃない人気者のハズなんだ)

そして、またある日のこと

物間はまた別の[個性]が使えた

何度も[個性]が使えることを確認してから

同級生の元へ駆け寄る

どうだ、ちゃんと使えるだろう?(僕を見てくれ、ちゃんとできるんだ)

そう言って同級生の前で[個性]を使おうとした

だが[個性]は使えなかった…

ますます酷くなるイジメ

私物は何度も無くなり、机は落書きだらけ

身体は包帯と湿布、ギプスが絶えなかった

そうして物間は自身の[個性]が

[コピー]であるとわかった年まで…

10歳までの数年間もの間を、

それまでの人生の約半分の期間をイジメを受け続けた

いつも1人ぼっちでいて

同級生に呼ばれる時はイジメられる時だけ

シャツを脱げばアザや生傷、火傷跡、縫合跡で変色した肌

…その頃の物間を今の物間と比べると別人だと思うだろう

人と話すこともままならず、常に人の視線を気にして

ストレスからくる不眠症と

泣き跡でできた赤黒い隈がある少年

それが物間 寧人

そして、友が居なかったゆえに、

過剰なまでに仲間を大切に思い、守ろうとする

ずっと見下されていたゆえに、

自分と仲間達より上の存在(僕を見ない奴ら)を許せずにいる

それが…物間 寧人の原点(オリジン)

 

 

物「大丈夫、きっと勝てるさ(例え僕が死んでもね)

  B組の誇り(僕の存在価値)は守らないといけないんだよ」

 

拳「物間、アンタ最初っから棄権しないで

  自分が出る気だったでしょ?」

 

物「……参ったね、拳藤には…

  ”煽ってばかりで口先だけの馬鹿な男”

  完璧に演じていた(コピーしていた)と思ったんだけどね」

拳「死ぬわよ?」

 

物「今なら死んでも生きかえれるみたいだしね

  それに、仲間の誇りを守れる(僕が僕でいられる)ならそれで満足さ

 

拳「え?アンタ、最後なんて言って」

 

物「さてとこんな時は…いってきます(後は任せたよ)…かな?」

 

拳「ほんとアンタってバカ……いってらっしゃい(帰ってきてね)

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