級友を失い、タマも失ったB組
”もう、これ以上はなにも失いたくない”というのが
B組メンバーの正直な思いである
…だがそうは峰田が卸さない
峰「じゃあ、最後の勝負っスし
大将対決といくっスかね!!」
━━大将対決
B組で言えば物間が出るだろう
だがA組は…
クラス委員長たる飯田が出るのか
軍師であり参謀の峰田が出るのか
あるいは現メンバーのリーダー格である心操が出るのか
予測がつかない
峰田はまず出ないだろう
軍師にしろ参謀にしろ前線に出る存在ではない
飯田ならまだ希望の目はあるだろうが
A組は予想外の強化をしていることは身に染みている
予想がつかないので危険牌である
最後に心操、今の彼を見て彼が普通科出身だと
誰が思うだろうか?
肉体、精神、[個性]、全てが上位者のソレとなっていた
“棄権”…それしかないとB組メンバーは判断し
物間もそれを了承した
負けるのは悔しい
負けるのは辛い
それも“棄権”という負け方は
自分で今までの自分の努力を否定するということである
だが勝ち負けよりも失いたくないものが物間にはあった
仲間である
誰も傷付いてほしくないのだ
治療の有無に関わらず仲間の傷付いた姿を見たくないのだ
だから“棄権”
辛酸を、苦渋を舐めても仲間を生かす道を選ぶ
それがB組のキズナである
峰「ああ、さすがに最後っスから
A組はオイラが出るっスよ
それに[個性]も使わないっスね」
物「ハハハ、君が相手だって?
いくらなんでもB組を舐めすぎだろう!?
いいだろう!僕が…」
デデーン『物間、アウトー!!』
物「よくも卑怯な手を…はう!!」
ボッ
B皆(やっぱり頭か心の病気じゃねぇかな?)
A皆(どんな精神してんだアイツ…?)
物間がボられてできた隙に拳藤が滑り込み
巨大化させた拳で物間をかっ拐った
拳「ちょっと待ってくださいねー
物間!!どういうつもり!?」
物「大丈夫さ…相手は峰田だよ?
多少、頭は切れるかもしれないけど
純粋な身体能力なら僕の方が上さ!
…それに、僕は責任を取らないといけない」
普段の煽ることしか考えてなさそうなキャラから一転し
古い表現かもしれないがいわゆる“男の顔”をしていた
そもそもなぜ物間はA組を煽るのか?
A組がそんなに嫌いなのか?
その理由は物間の原点にまで遡る
物間 寧人は物覚えのいい子供だった
1度見れば大体のことがこなせた
そして、出来ないことは人に見られない所で努力して
できるようになるまで努力が続けられる子供であった
だが、彼は6歳になっても[個性]が発現しなかった
ゆえに苛められた
それでも物間は努力を続けた
[個性]をもっている奴よりテストでいい点数を…
[個性]をもっている奴より体育で活躍を…
だから疎まれた
小さな子供は時に大人以上に残虐だ
語彙が少ないからか、思った事をそのまま言うからか
あるいは躊躇がないからなのか…
物間は苛烈なイジメを受けた
そして子供は大人以上に傷付きやすい
心が純粋だからか、周りの影響を受けやすいからか
あるいは逃げ口がないからか…
転機が訪れたのはある日、小学校の授業で
隣にいた児童と手を繋いだ時である
物間は自分にもやっと[個性]が出たのだと喜んだ
だが、数分もしない内にその[個性]は使えなくなり
その後も使えないままだった
僅かな希望は、掴んだと思った瞬間に消えたのである
物間へのイジメはより酷くなった
自分は[無個性]じゃない
前にちゃんと[個性]が使えたと物間が言っても
同級生達は誰も信じてくれなかった
『嘘つき物間』…そう呼ばれた
それでも両親にはイジメの事実を隠し続けた
両親が不審に思っても
『僕は
そして、またある日のこと
物間はまた別の[個性]が使えた
何度も[個性]が使えることを確認してから
同級生の元へ駆け寄る
『
そう言って同級生の前で[個性]を使おうとした
だが[個性]は使えなかった…
ますます酷くなるイジメ
私物は何度も無くなり、机は落書きだらけ
身体は包帯と湿布、ギプスが絶えなかった
そうして物間は自身の[個性]が
[コピー]であるとわかった年まで…
10歳までの数年間もの間を、
それまでの人生の約半分の期間をイジメを受け続けた
いつも1人ぼっちでいて
同級生に呼ばれる時はイジメられる時だけ
シャツを脱げばアザや生傷、火傷跡、縫合跡で変色した肌
…その頃の物間を今の物間と比べると別人だと思うだろう
人と話すこともままならず、常に人の視線を気にして
ストレスからくる不眠症と
泣き跡でできた赤黒い隈がある少年
それが物間 寧人
そして、友が居なかったゆえに、
過剰なまでに仲間を大切に思い、守ろうとする
ずっと見下されていたゆえに、
自分と仲間達より
それが…物間 寧人の
物「
拳「物間、アンタ最初っから棄権しないで
自分が出る気だったでしょ?」
物「……参ったね、拳藤には…
”煽ってばかりで口先だけの馬鹿な男”
完璧に
拳「死ぬわよ?」
物「今なら死んでも生きかえれるみたいだしね
それに、
拳「え?アンタ、最後なんて言って」
物「さてとこんな時は…
拳「ほんとアンタってバカ……