虹色DREAMER!   作:UkiA

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2ヶ月ぶりの更新気持ち良すぎだろ!(大変遅れて申し訳ございません。謹んでお詫び申し上げます。)
 
 


#18「未知なる道、満ち満ちる。」

 

 

 

翌日の土曜日。予定通り、トレーニングの一環であるランニングのため、俺は歩夢、侑と一緒に集合場所のレインボー公園方面行きのバスを待っていた。

 

「ふぁ...」

「ハルくんまた欠伸してる。昨日眠れなかったの?」

 

何度目かの欠伸が漏れ出てしまい、歩夢に咎められる。別に夜更かししたわけじゃない。単純に昨日の疲れがまだ少し残ってるせいか、寝足りないって感じだった。

 

「いや、そういうわけじゃないんだけどな...」

「今に始まったことじゃないでしょ。ハルはもともと朝弱いんだし」

「そういうお前だって歩夢に起こしてもらってんだろ...」

「ハルよりはちゃんと起きれてる方だしっ!......たぶん」

「不安になってんじゃねえか」

 

とはいえ俺らが朝弱いのは事実で、歩夢にしょっちゅう...いや、ほぼ毎朝モーニングコールしてもらってるのもまた事実なわけで...ホントに良い幼馴染を持ったもんだと常々思う。

 

「今更だけど悪りぃな。歩夢には迷惑かけてるよ...」

「迷惑とかそんなこと思ってないよ...!むしろ、朝からハルくんの声が聴けて嬉しいし...

「あ、わり...最後の方がよく聴こえなかった」

「ななななんでもないよっ!私は本当に大丈夫だから!気にしないで!」

「お、おう...?」

 

なぜか急にわたわたと取り乱し始める歩夢...大丈夫か?

 

「なんか顔赤いぞ...?お前もしかして熱あんじゃないのか?」

「ひゃっ...!」

 

もしそうだとしたら無理させるわけにはいかないんで、歩夢のおでこに手を当ててみる。

 

「やっぱちょっと熱っぽい気が...」

「あぅ......」

 

だんだん体温が上がってるような気が...これ、休んだ方がいいんじゃないか...?

 

そう思った矢先に、

 

「ていっ」

「いでっ」

 

背後から侑に手刀をぺしっと叩き込まれた。

 

「な、なにすんだよ」

「そんなことしたら熱上がっちゃうに決まってるでしょ?」

「え?」

「まったく...本当に女心っていうのをわかってないんだから...」

「は、はぁ......?」

 

この状況と女心がどう結びつくのかよくわからないんだが...

 

「歩夢もいちいち動揺しない。ハルはああいうこと平気でやってくるんだから」

「う、うん...そう、だね...」

 

......あれ、もしかして俺ディスられてね?

 

 

 

 

と、そんなことがありつつ、やって来たバスに乗り込んだ俺たち。目的地に着くまでの間に、俺は前に座る2人の背中をボーッと見つめながら昨日のことを思い返していた。

 

...そういえば。

 

「なぁ、歩夢」

「ん、なあに?」

 

頭に浮かんだその疑問を解消すべく、俺は歩夢に声をかけた。

 

「お前はどう思う?ソロ活動のこと」

「え?」

「その...不安とかあるだろ?大丈夫なのか?」

「うーん......」

 

その問いかけに難しい顔をして唸る歩夢。

そして幾分か考え込んだ後、

 

「確かに不安だよ。ただでさえ、スクールアイドルなんて初めてなのに......」

「だ、だよな...」

 

普通に考えればわかることだった。誰だって初めてのことに不安を持たないはずがない。俺が歩夢の立場だったら同じように思ってるだろうに。

そんなわざわざ不安を煽るような、野暮な質問をしてしまったことを反省する俺に、歩夢はでも、と話を続ける。

 

「でも、挑戦してみたいって気持ちも確かにある。せっかく自分のやりたいことに踏み出したんだもん。始まってもないのに諦めちゃうなんてもったいないよね!」

 

その言葉を聞いて、俺はハッとして顔を上げ、歩夢を見た。その表情にはなんの迷いも憂いもない。ただ自分の目標に向けて歩もうとする、直向きで真っ直ぐな瞳だった。

歩夢に続いて、話を聞いていた侑もその口を開く。

 

「心配しなくても、歩夢ならきっと大丈夫だよ。それはハルだってわかってるでしょ?」

 

.........そうだったな。

 

やると決めたら最後までやり通す、それが歩夢じゃないか。その意志の強さは歩夢の目を見てすぐにわかる。

 

「...そうだな。余計なこと言って悪かった」

「ううん。心配して言ってくれたんでしょ?ありがとう♪」

「まったく、ハルの心配性は相変わらずだよねぇ」

 

やれやれといった様子で侑は肩を竦める。

 

心配性か...なんだか昨日も同じこと言われたな。

 

「侑とは違って俺は慎重なんだよ。侑とは違って」

「もぉー!そういうところも相変わらずなんだから!」

「ほら2人とも、バスの中だからあんまり騒がないの...!」

 

あれ...さっきまで真面目な話をしてたはずなのに、普段と変わんねえやりとりになっちまったな...

 

ま、いっか。

 

 

 

 

 

待ち合わせのレインボー公園、その入り口へ到着すると、すでに何人かの面子が揃っていた。

 

「あと来てないのは...エマ先輩と愛先輩ですね」

「みんなー!」

「あ、ちょうど来たみたいだね〜」

 

中須が人数確認をしていたその時に、俺たちが来た方向とは反対側からやってきたヴェルデ先輩に、近江先輩が気がついて声を上げる。

これで残るは宮下だけなんだが、ヴェルデ先輩は何かを探しているかのように、キョロキョロと周りを見回していた。

 

「あれ...?愛ちゃんは?」

「いや、まだいないっぽいですけど...」

「おかしいなぁ...ここに来る途中に合流して、そのあと先に走って行っちゃったんだけど...」

「そうなんですか?どこに行ったんだ、宮下のヤツ...」

 

あいつに限ってドタキャン...なんてことはないだろう。

 

「...なんだか向こうの方が騒がしい」

 

宮下の行方がわからず困惑が走る中、天王寺は公園内の方から聞こえるざわめきに目を向けていた。

言われてみれば確かに、と俺もそっちを見てみれば、何かを中心にして囲むように人集りができている。

 

こんな朝っぱらからイベントでもやってるのか...?元気なもんだなぁ。

そんな呑気なことを考えていたら、

 

「あそこにいるの、愛さんじゃないですか?」

 

桜坂の言葉に一瞬耳を疑った。

あの中に宮下がいるらしい.........が、ダメだ、よく見えない。

 

「行ってみよう!」

 

先陣を切って侑が走り出し、その後を俺たちも追いかけていく。

 

そこで目にしたのは───。

 

「......!」

 

確かに桜坂の言う通り、宮下がいた......が。

その光景に俺は目を見開いた。

 

たくさんの人で賑わうその空間が、まるでひとつのライブのステージみたいで、その中心で宮下はノリノリで踊っていた。

軽快なステップと大胆なモーションは、それを見ていた周りの人たちを惹きつけて、笑顔にさせている。中には見よう見まねで、動きを真似る子どもたちもいた。

 

だけど、他の誰よりも、踊っている宮下自身が1番楽しそうに輝いていた。

 

宮下から広がる、『楽しい』という想いが人から人へと伝播していく。そしてその想いは俺たちのもとにも届いていた。

侑も。中須も。ヴェルデ先輩も。他のみんなも、宮下のパフォーマンスを楽しんでいる。

 

そうか...もしかしてこれが───。

 

 

 

 

 

「愛ちゃーん!」

「あ!みんなー!」

 

パフォーマンスを終えた宮下に侑が声をかけると、それに気がついた宮下は俺たちに向けて大きく手を振った。そこでふと、宮下と目が合う。

 

俺の顔を見るや否や、宮下は一直線に俺のもとへ駆け寄り、

 

「晴陽!愛さん、見つけたかも!」

「お、おう...?」

 

興奮気味に何かを報告し始める。つーか顔が近い。

 

「愛さんのなりたいスクールアイドル、だよ!」

「!」

 

宮下は雲一つないような、晴れ渡った表情で見出したその答えを口にする。

 

「愛さん、楽しいことが好きで、みんなに楽しんでもらうのが好き。そんな楽しいをみんなと分かち合えるような...そんなスクールアイドルになりたい!」

 

それを聞いて俺は、

 

「............ははっ」

 

思わず笑いが溢れた。

昨日まであんなに頭を悩ませていたのに。いや、確かに難しく考える必要ないって言ったけどさ?ここまで捻りのない答えが出るとは。

 

でも......宮下はそうでなくっちゃな。

 

楽しいを分かち合えるスクールアイドル......それを体現したのが、さっきのパフォーマンスなんだな。

 

「いいな、面白そうじゃん。すっげえお前らしいと思うぞ?」

「でしょ!えへへっ」

 

これから目指す理想のステージに、俺と宮下は期待を膨らませて、笑い合う。

 

「私、見てみたいな。みんなのステージ!」

 

一方で、弾ませた声でそう切り出した侑に全員の視線が集まる。

宮下のパフォーマンスを目の当たりしたからか、わくわくと興奮が抑えられない...そんな様子で侑は言葉を紡いでいく。

 

「1人だけど...いや、ひとりひとりだからこそ、いろんなことができそうかもって思うんだ!」

 

目先の不安なんかよりも、その先を侑は見てた。

この同好会...みんなだからこそ、成し得られるソロアイドルという形。ひとりひとりが輝くことができるその可能性に。

 

...やっぱ侑には敵わねえな。

 

「なんかすごいね、侑ちゃんも」

「人を引き摺り回すパワーはありますからね、こいつ」

「ちょっ、それはどういうイミ!?」

 

感銘を受ける近江先輩に俺は冗談混じりに話すと、侑は膨れっ面になりながらすぐさま抗議する。

 

「それを言うなら晴陽もすごいと思うけどなー!」

「え...俺?」

 

不意に宮下から思わぬ言葉が飛び出し、俺は首を傾げながら聞き返した。

 

「うん!ハルくんが背中を押してくれたから、私もスクールアイドルやろうって思えたんだし!」

「かすみんがかわいいかすみんでいられるのも、先輩のおかげって言ってもいいですよ?」

「私も同じです。私がこうして大好きなスクールアイドルを続けられるのも、晴陽さんの言葉あってのものですよ!」

「お、お前らな...」

 

揃いも揃ってそう言われると恥ずかしいんだが...

 

でも、俺もちゃんとみんなの力になれてんのかな...?

そうだといいんだけど。

 

「これは私たちも負けてられませんね!」

「うん。燃えてきた」

「ふふっ、これから頑張っていこうね!」

 

感化されたように、桜坂、天王寺、ヴェルデ先輩もやる気に満ちた表情を見せる。

 

ソロアイドル。

 

みんなにとってそれは未知なる道だけど、その先の輝きを目指して。

全員がその覚悟を決めて、顔を見合わせ頷いた。

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

「歩夢、サイ()()()かわいいね!高2だけにっ」

「あははははっ!!」

「走るのって()()()()するよね〜、RUN(ラン)だけにっ」

「ひぃー!」

「次は()()()何処(ど〜こ〜)行こうかいっ!」

「もう、無理っ...!」

 

宮下の怒涛のダジャレ連発に、侑の笑い声が部室に響く。

その楽しげな2人の様子を俺と歩夢以外、ぽかんとした顔で眺めていた。

 

「侑さん、すごくウケてますね...」

「あの子、昔から笑いのレベルが赤ちゃんだから...」

 

床に伏して悶絶する侑を見ながら、優木が呆気に取られる。

つーか歩夢のヤツ、さらっとひでえこと言ってたな...まあ実際その通りなんだが。じゃなきゃここまで笑えるわけがない。

 

「というか、なんでいきなりダジャレを...?」

「スクールアイドルの特訓だよ!」

 

中須のもっともな疑問に対し、宮下はそう答えた。

 

「そんなんで特訓になんのかよ...?」

「む!晴陽はダジャレの難しさを知らないから軽く言えるんだよ〜!」

「そーだそーだ!」

「笑いのレベル赤ちゃんは黙っててくれませんかね!」

 

俺の発言に2人からブーイングが巻き起こる。こんなところでめんどくさい団結するなよ。

 

「そんなに言うなら、晴陽が面白いダジャレ言ってみてよ〜」

「いや、そんなこと言われてもな...」

 

そもそもダジャレ自体、今時ウケるか微妙なジャンルだっつーのに。

 

とはいえ、この2人に言われっぱなしってのもなんかイヤだ。

 

「しょうがねぇな......」

 

頭をフルに回転させ、思いついた渾身のネタをひとつ、俺は披露してみせた。

 

「お、あそこにかわいい鹿がいるなぁ。ほら、こっちおいで〜、って()()トするなよ〜......鹿だけに」

 

ぴしっ、と場が凍りついた。

 

冷めたような目つき。軽く苦笑い。反応はさまざまだ。

そして、侑と宮下から憐れむような視線と言葉を浴びせられる。

 

「ハル......」

「さすがの愛さんでもそれはちょっとなぁ...」

「なんでだよ!お前のと大してレベル変わんねえだろうが!」

「あ〜!愛さんのダジャレを馬鹿()にしたな〜!?.........鹿だけに」

「俺のネタ引っ張んなくていいんだよ!」

「あははっ!()()かったでしょ、今の返()()た!馬と鹿だけに!」

「しつけえええええ!!!」

 

......やっぱ、宮下の相手をするのは疲れるわ。

 

 

 




 
 
 
スパスタ2期が来る...ッ⁉︎

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