お待たせしましたニジドリ第22話!!!
「「「イエーーーイ‼︎」」」
またもや約1ヶ月ぶりの更新ですがいかがお過ごしでしょうかみなさーん!
「お過ごしでしょうかじゃねえよぶっとばすぞ」
「永遠にすやぴしたいのかな〜?」
「やる気が微塵も感じられない。璃奈ちゃんボード『お前を○す』」
何この人たちテンションの落差激しすぎるだろ!
「大丈夫よ、アタシが来たからには無問題ラ!」
あなたの出番はまだないんで自分の国に戻っててくれませんかね⁉︎
「ごろにゃ〜......♪」
今日も今日とて同好会活動に精が出る............とまではいかないのんびりとした雰囲気の中、ヴェルデ先輩の膝枕の上で、近江先輩が気持ちよさそうに声を上げていた。
まあ、まだメンバーも全員出揃ってないし、今は部室で雑談でもしながら集まるのを待ってるって感じだった。
「こうして撫でてると、ネーヴェちゃんを思い出すなぁ〜」
「ネーヴェさん......というのは、スイスのお友達ですか?」
ヴェルデ先輩の口から発せられた聞き慣れない名前に、予想をつけながら桜坂が尋ねる。
だが、先輩からは思いもしない答えが返ってきた。
「ううん、うちで飼ってる仔ヤギの名前だよ♪」
「へぇ〜! エマっちの家、ヤギ飼ってるんだ〜!」
「うん! 小さい頃はヤギたちに歌を聴いてもらってたりしてたなぁ〜」
うおぉ、すごいアルプスの人っぽいな............いやアルプスの人だったわ。
「エマさんはお家から離れて、ホームシックになったりしないんですか?」
「大丈夫だよ! みんなといると、まるでスイスの妹たちといるみたいなんだもん。いつも賑やかで楽しい♪」
「そう言ってくれると私も嬉しい......」
歩夢の質問に対し、にこやかにそう答えるヴェルデ先輩。そしてそれに天王寺も嬉しそうな声色で返した。
「ま、このメンバーならホームシックなんて感じる暇もないだろうな」
「そうそう! ホームシックなんて、愛さんのダジャレで吹き飛ばしてあげよー!」
「愛ちゃんのダジャレは面白いから、私も元気になっちゃうよー!」
「さっすがゆうゆ! わかってるぅ〜♪」
「......こういうところとかな」
この2人は基本的にムードメーカーなんだけど、(こいつらだけで)収拾がつかなくなるのが玉に瑕だ。
まあ......そんな2人もいるし、他のみんなも家族のように接しているようで、どこか実家のような安心感をヴェルデ先輩は感じているんだろう。
「ふふっ、そうだね! でも、晴陽くんのことも弟だと思ってるよ♪」
「お、俺もですか......」
「うんっ。私弟はいないから、なんだか新鮮な感じだよ〜」
「はは......それはなにより......」
......素直に喜んでいいのかこれ? 俺の方が年下だしそういう扱いをされてもしょうがないけど......
まあ、先輩の寂しさを少しでも紛らわせてると考えれば、それはそれでいいことなのかもしれない。
ただ、その一方で......
「でも、家族は私が日本でちゃんとやってるか心配みたいで......」
家族を不安がらせているということにヴェルデ先輩の表情に少し曇りがかかる。
そりゃあ、娘が海飛び越えて1人で生活するってなったら心配だろうな......
先輩が憂いを嘆いたそんな時、部室のドアが開かれ、遅れていた優木と中須が姿を現す。
「みなさん、お揃いですか?」
「うん。2人とも遅かったね。何かあったの?」
スクールアイドル活動に特に熱心な2人が遅れてきたことが珍しいからか、侑が気になって声をかける。
すると、
「ふっふっふ......!」
「か、かすみちゃん?」
中須が不敵な笑い声を上げ始め、困惑の表情を浮かべる歩夢。
今度は一体何企んでんだこいつは......
「みなさんに見てもらいたいものがあるんです!」
そう言って中須は備え付けのデスクトップPCに向かい、ある画面を表示する。
「歩夢の動画だ!」
「ど、どうしてこれを......⁉︎」
中須が見せたのは以前撮影して、動画サイトに投稿した歩夢の自己紹介動画。
自分の動画が出てきたことに、歩夢は少し恥ずかしそうにしながらその意図を問う。
「実は歩夢先輩の動画、最近すごく伸びてるんですよ!」
その再生回数は2095回。確かに、新人の動画にしちゃ結構いい数字なんじゃないか?
「ホントだ......!」
「コメントもたくさんきてる」
コメントも数件きているようで少し覗いてみる。
『この子は伸びる!』
『可愛い』
『女 神 降 臨』
『ラーメン美味しいにゃー!』
最後のヤツだけ何しに来たんだよ!
『ラーメンにライスなんてイミワカンナイ!』
ここに書くことじゃねえだろ!
......とまあ、変なコメントが混じっていたものの、それ以外は好意的なもので自己紹介動画としてはなかなかの滑り出しだった。
「そこで提案なんですが、私たちもソロアイドルとして、プロモーションビデオを作りませんか?」
「プロモーションビデオ......ですか」
この流れに乗じて優木がそう提案すると、桜坂もそれに興味を示す。
「はい。自己紹介でも特技でも、なんでもいいんです! まずは自分をアピールをできるものを動画にしていこうと思いまして」
「PVね〜。面白そうじゃん! 愛さんもやってみたい!」
案の定というか、宮下は大賛成みたいだな。それに宮下だけじゃなく、みんなもPV作りにやる気の様子だ。
「エマさん! PVなら、家族に見せるのにちょうどいいんじゃないかな?」
「うん! でもどんなPVにしたらいいかなぁ......?」
タイミングよくPVの話が出たところで、侑は早速先輩に持ちかける。でも先輩は自分のPVのイメージが掴めないようで、首を傾げていた。
「あれ? かすみちゃん、この動画って......」
「ああ、これですか?」
一方、デスクトップの画面を見ていた近江先輩が、何やら気になる動画を見つけたらしく、中須がそのサムネイルをクリックする。
その動画とは......
「これ、あの時の......!」
真っ先に声を上げる侑。
動画に映っているのは、ここにいる全員が見覚えのある光景のもの......以前優木が屋上で行ったゲリラライブの映像だ。
でもこれ、誰が撮影したんだ......?
「こんなこともあろうかと、かすみんがバッチリ撮影しておきました!」
お前かよ。
要するに、あの時ちゃっかり隠し撮りしてたってわけか......
「抜け目がないなお前は......上げちゃっていいのか?」
「あはは......とりあえず、私がちゃんと許可したので大丈夫ですよ」
優木も撮られていたとは思っていなかったみたいだが、一応本人からの承諾は得ているようだ。
「やっぱりかっこいいね、せつ菜ちゃんは」
「もうこんなに再生されてるんだね!」
「はい、お陰様で......!」
投稿日からそれほど経っていない中、優木の動画はとてつもない伸びを見せていた。もともと注目されていたスクールアイドルってのもありそうだが、それ以上の要因がこの動画にはある。
というのもこのゲリラライブ、本当に突発的で当然機材すらも用意していない。つまり音源なしのアカペラだったんだが......だからこそ優木の歌唱力の高さが際立ったとも言える。
クセのない、情熱的でまっすぐに通る声。それでいて優木の立ち位置とギャラリーの距離までかなりあったはずなのに、その歌声はブレずに向こうまで届いていた。
基礎的なことのように見えて、其の実簡単じゃない。日頃から努力を重ねなきゃできないことだ。それはスクールアイドルが大好きで、その大好きを叫びたいって信念を持つ優木だからこそ為せる業なんだろう。
......やっぱり、優木の歌声はいいな。ありったけの想いを常に歌に乗せているようで、聴いているこっちまで血が滾ってくる。
初めて優木のライブを見た時も、こんな感じだったな......
「それにしてもこの歌......」
「どうかしましたか?」
「あぁいや......こっちの話だ。気にすんな」
歌を聴いていてふと、あることを思いついたけど......優木にはちょっと秘密にしておこう。
「かすみちゃんのは?」
「かもーん! かすみん!」
ヴェルデ先輩のその言葉を待っていたかのように、中須は自分の自己紹介動画を再生する。
そういえば中須も撮影してたけど、結局アレで投稿したんだな。
「うんうん。やっぱりかすみちゃんはかわいい、だね!」
「さっすが侑センパ〜イ! かすみんのこと、1番よくわかってますねぇ♪」
「中須のも結構伸びてんじゃん。意外だなぁ」
「意外ってなんですか! 超かわいいかすみんの、超超かわいい自己紹介なんですから、超超超当たり前ですっ」
「超超うるせえなモ○娘かお前は!」
でも実際、これをかわいいと思う人が少なからずいるんだから伸びてんだろうな......
「こうして知名度を上げて、たくさんの人に私たちのことを知ってもらうことが、ライブをするための第一歩だと思います!」
「なのでみなさんには、このかすみんみたいにアピール満載な動画をお願いしますね!」
ま、確かに自分をアピールするって意味なら、中須のはお手本のようなものかもしれないな。
「アピールかぁ......どんなところをアピールすればいいんだろう?」
「ん〜......歩夢と言ったら......」
「言ったら?」
ソワソワしながら歩夢は答えを待つ。
「にこにこ笑ったと思ったら、すぐに泣いたり、ほっぺた膨らませて怒ったりしてて、ずっと見てても飽きないところ......とか?」
「もう侑ちゃん! それ全然アイドルっぽくないよっ!」
「あははっ、それそれ〜」
ポカポカと殴りつける歩夢の拳を、両手で侑は受け止める。まさに言われていたその様を歩夢は体現していた。これに関しては俺も同意だな......
「ハルはどんなところがいいと思う?」
「俺? 俺は......」
歩夢のいいところ、か。俺だったら......
「普通な女の子っぽいところが、俺はいいかな」
そう答えると、一瞬気まずい空気が流れる。あれ......なんか変なこと言ったか俺?
「それ、遠回しに何もないって言ってるのとおんなじじゃない......?」
「彼方ちゃんたちが、普通じゃないみたいにも聞こえたぞ〜?」
「いやっ、違う違う! そういう悪い意味じゃなくてな......!」
あらぬ誤解を生んでしまったようで、俺はすぐさまその言葉の意味を説明する。
「きっと歩夢みたいな人ってたくさんいると思うんだよ」
「私みたいな......?」
「ああ。憧れてるものがあるのに、自信を持てなくて踏み出せない人がさ」
そのまま、歩夢から感じたものを、諭すように言葉を紡ぐ。
「特別じゃない、普通の女の子のような歩夢がスクールアイドルとして輝くからこそ、その人たちにとって勇気づけられる存在になれるんじゃないか?」
「そう......なのかな?」
「俺はそう思ってるさ」
お世辞でも嘘偽りでもない本心を、歩夢の目を見据えながら俺は言った。
「それに普通なんて言ったけど、目標に向かって諦めずに頑張れるって、それだけでも誇れることだぞ?」
そうだ。諦めずに夢を追い続けるなんて、誰にでもできるわけじゃない。
だからもっと自分に自信を持つべきなんだよ、歩夢は。
「ふふっ。侑ちゃんも晴陽くんも、歩夢ちゃんのこと、よく見てるんだねぇ」
「え? まあ......それなりには」
近江先輩にそう言われてから、少しずつ気恥ずかしさを感じてしまい、ついそっぽを向いてしまった。
「あれれ〜? 晴陽先輩、この前かすみんには『伊達に何年も幼馴染やってない』って歩夢先輩のこと褒めてたのに、急に塩らしいですねぇ?」
「何言っちゃってくれてんだやめろバカ!」
確かにそんなこと言った気がするけど、今本人の前で話すことじゃないだろ......!
「『歩夢のことなら俺はなんでも知ってるからな』とも言ってたよねハル」
「言ってねえよしれっと話を盛るな!」
「は、ハルくん、そうなの......?」
「お前ちょっとは疑えや!」
「
「ああもういよいよめんどくせぇ!」
この流れはまずい、と俺はピシャリと断ち切る。
まったく......これ以上付き合っていたらキリがない。せっかくいい話ができてた感じだったってのに......
「まあハルのことは置いといて......」
お前が広げたんだろ、というツッコミを飲み込む。もう反応しねえぞ。
「私、本っ当にスクールアイドルにハマっちゃって......だから歩夢のことも、みんなのことも、もっともーっと応援したい!」
瞳を輝かせながら侑はそう言った。
侑のスクールアイドル熱......その勢いは留まることを知らず、話題のスクールアイドルやマイナーどころ、スクールアイドル関連のイベントなど逐一チェックしているらしい。本人にとっちゃ自分が好きなことやっているだけだろうけど、リサーチなんかは侑が適任かもしれない。
「ありがとね〜侑ちゃん。こんなに近くで応援してくれる人がいると、彼方ちゃんも張り切っちゃうよ〜!」
「彼方さんの言う通りですね。私ももっと大好きの気持ちを伝えられるように頑張りますっ!」
「せつ菜先輩はそれ以上頑張らなくてもいいんですよぉ!」
「いえ、私もまだまだですから!」
「えぇー⁉︎ 大丈夫ですってばぁ!」
なんだ......? やけに食い下がってくるけど、そんなに優木のことが心配なのか?
「それ以上頑張られると、かすみんの人気に影響しちゃうんですぅ!」
............だと思ったよ。でも、そんなやりとりにみんなが笑う。それもまた中須のご愛嬌、なんだろう。
とはいえ、ソロアイドルなんだし、ちょっとはライバル意識を持ってた方がいい気がするけど......いや、これぐらいがみんなにはちょうどいいんだろうな。
そんなことを考えながら、ふと、そばにいた歩夢に視線を戻す。
「......」
「歩夢? どうかしたか?」
「あっ......ううん、なんでもないよっ」
......? なんか浮かない顔をしてたように見えたけど、そのあとは普段と変わらない様子だったし、気のせいだったんだろうか。
あまり変な気を回すのも悪いかと思って、俺もそれ以上は追及することはしなかった。
最近運動を始めたのでどんどん執筆の時間が減っていってるんですが、頑張って更新していきますので、よろしければお気に入り登録、感想など頂けるとモチベが上がりますので是非。