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音楽室で歩夢と合流した後、当初の予定通り、活動場所の公園へと俺たちは向かった。
今日から同好会のPR動画撮影と並行して、体力作りのためのトレーニングも始まり、今は公園内の走り込みを終えて休憩を挟もうとしていたところだ。
「3人ともお疲れさま〜。はい、お水」
「あ、ありがとう侑ちゃん...」
「はぁ...はぁ...も、もう足が動きませ〜ん...!」
歩夢と中須は息を切らしながら、侑から水の入ったペットボトルを受け取ってベンチに腰掛ける。
「おいおい...こんなんでバテてたんじゃ、ライブやったところで体力持たねえぞ?」
歩夢はともかく、中須も運動はあまり得意じゃないって聞いたから、そこそこ軽いメニューにしてみたんだけど...ここまでとは。これじゃ1曲フルで歌って踊るのも厳しいんじゃないか。
「い、言われなくてもわかってますよ、それくらい...」
中須もそのことは自覚しているようだが、指摘されたのが悔しいのか少しむくれた表情になる。
「ま、こういうのは習慣づけて地道にやっていくしかねえな」
「そうだね...私、これからもっと頑張るっ」
「お、気合十分だな歩夢。その意気だ」
「えへへ...」
グッと拳を握り、やる気に満ち溢れる歩夢。その頭を撫でてやると、歩夢は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「か、かすみんだって頑張れますけどねっ」
「大丈夫だよ。かすみちゃんはいつでも頑張ってるってわかってるから」
「さっすが〜!侑先輩ですぅ♪」
こっちはこっちで戯れあってるけど......これはもはや飼い主と犬だな。
すると、不意に中須のポケットから可愛らしい音楽が流れ出す。
「あれ、しず子から電話だ...もしもし?」
中須がポケットからスマホを取り出して確認すると、電話がかかってきていたようですぐさま応答した。
「え?今潮風公園にいるけど......え、うん。わかった」
1分もかからないような短い通話が終わったが、鳩が豆鉄砲を食ったような中須の表情に、俺たち3人は不思議そうに目を見合わせる。
「かすみちゃん?何かあったの?」
心配した侑が聞いてみる。
「えっと...それが───」
******
中須が電話で受けた内容は、どうやら同好会に入ってた人たちから話があるらしく、こちらへ向かうということだった。
それから待つこと十数分。俺たちのもとへやってきたのは4人の女子だった。
「お待たせしました、かすみさん」
「かすみちゃ〜ん、やっほ〜」
「数日会ってないだけなのに、みんなで集まるのってなんだか久しぶりな感じするね〜」
「活動休止からそれなりに日が経ってますからね。しず子は学科が違うし、彼方先輩とエマ先輩は学年が違いますから、用事がないとなかなか出会わないですよね」
中須と仲睦まじく会話を交わすのは、大きなリボンが特徴的な1年生。そして羊の毛のようなふわふわとした茶髪と、煌びやかな赤毛のお下げが目を引く3年生2人だ。
「ところでかすみさん、そちらの方たちは...?」
リボンの子が俺たちを見て疑問の表情を浮かべると、中須は待ってましたと言わんばかりの得意顔になる。
「ふっふ〜ん♪こちらは同好会に新しく入ることになった、侑先輩、歩夢先輩、晴陽先輩です!」
「おぉ、新入りさんかぁ〜。これはお手柄だぜ〜かすみちゃん」
「彼方せんぱ〜い!もっと褒めてくれてもいいんですよぉ〜!」
茶髪の先輩に褒められ、渾身のドヤ顔を見せつける中須。完全に調子に乗り始めたな...
少しは謙虚さを持ち合わせていれば、ただの愛くるしい後輩なんだけどな。
まぁ、今となってはこの図々しさも一つの愛嬌な気がする......気がするだけだ。
「先輩方にも、同好会のみなさんを紹介しますね!まずは私と同じ1年生の、しず子です!」
「かすみさんってばもう...いきなりしず子なんて言ったってわからないでしょ?」
中須の杜撰な紹介に呆れつつ、リボンの子は俺たちの方に向き直る。
「初めまして、桜坂しずくといいます」
リボンの子は桜坂と名乗り、丁寧な所作でお辞儀をした。
その清楚で落ち着いた佇まい。同じ1年生の中須と比べてもこうも大人っぽさに差があるというか......いや、中須が子供っぽすぎるだけか。
そんなことを考えながら中須に目を向けていたら、ジトーっとした目つきで睨み返された。
「晴陽先輩、なんか失礼なこと考えてませんかぁ?」
「.........そんなわけないだろ」
「いや最初の間はなんなんですか!もぉ〜!」
「かすみさん、どうどう」
ぷんぷんと擬音がつくような感じで憤る中須。それを桜坂が軽く宥めるという構図がより中須の子供っぽさを強調していた。
「コホン......気を取り直して。こちらは近江彼方先輩ですっ」
「3人とも、スクールアイドル同好会へようこそ〜。歓迎するよ〜」
ふわふわ茶髪の近江先輩。例に漏れずこの人も美人だけど...のんびりとした口調と寝ぼけ眼のような目を見ると、それ以上に『眠そうな人』という印象を受けた。
「あの、気になってるんですけど...なんで枕を?」
と、侑が一つ疑問をぶつける。確かに...近江先輩の手にはスクールバッグと、なぜか枕が。
「あはは...彼方さんは寝てしまうことが多いので...」
「この枕があると気持ちよーくすやぴできるんだよねぇ...」
...見たまんまの人だった。
「そして最後にエマ・ヴェルデ先輩っ。エマ先輩はスイスから来た留学生なんです!」
「よろしくね〜」
海外からの留学生だという赤毛の先輩...ヴェルデ先輩だが、その日本語は流暢なもので何年も日本に住んでいるかのようだ。
透き通るような白い肌に、翠玉のような優しい瞳。顔にはよく見るとそばかすがあるけど、さして気になるほどじゃない。むしろチャームポイントのようにも思える。
そして何よりも特筆すべきは───
「や、山だ...山が見える...」
「えっ?山?」
ほぼ無意識的に漏れ出た俺の言葉に、何のことかと困惑し始めるヴェルデ先輩。
海外の人はデカい人が多いと噂では聞くけど......こんなにデカいものなのか。何がとは言わないけど。
「こら、どこ見て言ってんの」
「あだっ」
あまりにも主張が激しいヴェルデ先輩の双峰に目を奪われていると、横から侑に脇腹を小突かれた。しかもなんか不満そうに目をギラつかせている。
「いや、これはそのだな...」
「しょうがないよ侑ちゃん、ハルくんだって男の子だもん」
そう言って優しい笑みを浮かべる歩夢。歩夢...お前は俺をわかって───
「いでぇっ!?」
くれなかった!割とマジな力で思いっきりつねられたんですけど!さっきまでの優しい笑顔もなんだか怖いんだが......
「先輩のスケベ...」
そして中須までもが非難の声を上げる。
まったく、揃いも揃ってわかってねえなぁ...。男ってのは昔から大きいモノを見ると心が躍る生き物なんだよ。何がとは言わないけど。
「そ、そんなことより。もう1人紹介してない人がいるだろ?」
中須はヴェルデ先輩で最後と言っていたが、ここにやって来たのは4人だ。まだ1人、3年生の人が残っている。
ウルフカットの青髪、キリッとした凛々しい目つき、スラリと伸びた長い手足と思わず見惚れてしまう抜群のスタイル。一言で言い表すなら、クールビューティーという言葉がふさわしいだろう。
ここにいる女子はみな間違いなく美少女なんだけど、この人はなんというか...レベルが違う。この中でも一際美のオーラを放っていた。
「それが...かすみんには面識がない人なんですけど...」
「え?そうなのか...?」
中須とは面識がない、つまり同好会にいた人ではないってことだけど...一体誰なんだ?
「あ、この子はね、朝香果林ちゃんっていうの!」
青髪の先輩の素性がわからなくて戸惑う俺たちを見兼ねて、ヴェルデ先輩が代わりに紹介してくれた。
「
近江先輩が補足の説明をしてくれたが...なんかイントネーションおかしかったな今。
それにしても読者モデルか...道理で他のみんなと比べて存在感が違うわけだ。
するとなぜだか、歩夢が俺の背後に隠れるようにスッと移動する。
「ん?歩夢、どうした?」
「あ...いや、ちょっとね...」
みんなが尊敬の眼差しで朝香先輩を見る中で、歩夢だけは気まずいといった雰囲気を醸し出していた。
「ふふっ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない。あの時のことはちゃんと秘密にしておいてあげるから」
そんな歩夢を見て朝香先輩は小さく微笑みながら言う。
どうやら俺たちの知らない間に、一度出会っていたような反応の歩夢と朝香先輩。それにあの時のことって一体なんなんだろうか。歩夢の様子を見た限り恥ずかしいところを見られたっぽいけど......深く詮索するのはやめておいたほうがよさそうだ。
「それより、紹介が済んだなら早く本題に入った方がいいんじゃない?」
朝香先輩の言葉で全員がハッとなる。そういや桜坂たちは話があるからここに来たんだよな。
「しず子、話したいことって?」
「実は───」
神妙な面持ちで桜坂は話し始めた。そして桜坂から告げられた内容とは......
「えぇぇぇぇぇッッッ!?あの意地悪生徒会長がせつ菜先輩ぃぃ!?」
あまりの衝撃的な事実に中須は目を見開いて驚愕した。
優木せつ菜の正体。それはあの中川会長だったらしい。
「本当なのか?それ...」
「はい。会長ご自身がそうだと認めていました」
俺も最初は半信半疑だったが、考えてみればそう思わせるような節があったことを思い出す。
部室棟で初めて会長と顔を合わせた時はどことなく既視感があったり、優木せつ菜のことになると変に暗くなったりやけに熱くなったりと、妙な違和感を覚えたり。それも会長が優木せつ菜だということを踏まえると合点がいく。
「って、ちょっと待ってくださいよ!そもそもなんでそんな大事な時にかすみんも呼んでくれなかったんですかぁ!部外者の先輩はいたのに!」
そう言いながら朝香先輩をビシッと指差す中須。いや...流石にほぼ初対面の3年生に向かって部外者呼ばわりはどうかと思うぞ。朝香先輩、なんか怖そうだし...
「ふぅん...?面白いことを言う子ねぇ...」
「ひぃっ!?」
言わんこっちゃない...。
獲物を狙う猛禽類のような鋭い眼差しを向ける朝香先輩に、中須は小さく悲鳴を上げて桜坂の後ろに身を隠した。
「ごごご、ごめんなさい!コッペパンあげるので許してください〜!」
...どんだけコッペパン持ち歩いてんだよ。
「あら、美味しそうね。ありがたくいただいておくわ」
朝香先輩は悪戯な笑みを浮かべて中須のコッペパンを受け取る。
「あと、言っておくけど完全に部外者ってわけじゃないわよ。私はエマの相談を受けたから一緒にいるの」
「それにかすみさんにも連絡入れたんだよ?なのに全然電話に出ないから...」
「えっ、ホント?」
慌ててスマホで確認する中須。
「わぁ!本当だ、全然気づかなかった...!」
「もう...」
どこまでもおっちょこちょいな中須に桜坂は呆れて果てていた。
とはいえこっちもこっちでドタバタしてたしな...気づかないのも無理はない。
「やっぱり菜々さんが...」
一方で、侑が独り言のようにそう呟く。たぶん侑も会長の違和感に気づいていたみたいだ。
「せつ菜ちゃん、本気でスクールアイドルやめるつもりみたい...」
「ちゃんと話そうとしたんだけど、取りつく島もなかったんだよね〜...」
そう言いながら肩を落とすヴェルデ先輩と近江先輩を見ると、なんとなくその状況が目に浮かんでくる。大方向こうが「スクールアイドルを辞める」の一点張りでまともに話もできなかったんだろうな...
「何か問題でもあるの?あなたたちの一番の目的はそこじゃないと思うけど」
全員が意気消沈とした空気でただ1人、朝香先輩は淡々とした様子で口を開いた。
「部員は5人以上いるし、生徒会も認めるって言ってる。今すぐにでも同好会は始められるじゃない」
まあ...それは確かにそうだけど。
「本人がやめると決めたのなら、それを私たちがどうこうする必要もないでしょ」
朝香先輩はそう言うけどみんなは納得がいかない様子だった。しかし誰も何も言えないのは、その言い分に筋が通っているのをわかっているからだろう。
「本当にやめたいのかな...?スクールアイドル...」
それでも侑は食い下がる。
「なんでそう思うの?」
「えぇっと......じゃあ、みなさんはいいんですか?せつ菜ちゃんがやめちゃっても」
「それは嫌だよ!」「それはヤダ!」「それは嫌です!」
侑の問いかけにヴェルデ先輩、近江先輩、桜坂が口を揃えて答えた。
「せつ菜ちゃん、すごく素敵なスクールアイドルなのに...!それに、活動休止になったのは私たちの力不足のせいもあるから...」
「うん...彼方ちゃん、お姉さんなのにみんなを引っ張ってあげられなかった...」
「お披露目ライブのステージには、全員で立つことはできませんでしたが...それでもみんなで一緒のステージを目指して練習してきたんです!せつ菜さん抜きなんて考えられません!」
それぞれ思いの丈を吐露する3人。衝突はあれど同好会のみんなにとっては一緒に苦楽を共にしてきた仲間であることには違いない。
そこに、優木せつ菜に対する拒絶の色は微塵も感じすらしなかった。
「かすみんもそう思います!」
そして中須の想いも同じだ。
「確かに厳し過ぎたところもありましたけど...今ならちょっとだけ、その気持ちがわかる気がするんです」
これは...中須だからこそ言えるんだ。
中須は歩夢に対して、優木せつ菜と同じことをしてしまっていた。
中須の目指す"かわいい"が、必ずしも歩夢の目指すものではないと気づき、そしてそれを受け入れた。
今の中須なら、優木せつ菜とだって───
「このまま同じことの繰り返しになるのは嫌なんです。かすみんたちに合った別のやり方がきっとあるはず...それを見つけるためには、かすみんと全然違うせつ菜先輩がいないとダメなんです!」
そう言い切る中須の目からは一切の迷いが感じられず、強い決意だけがそこにはあった。
今度こそ、それぞれの"大好き"が一緒にいられる場所を作る。そのためには優木せつ菜が必要なんだと。
「大きくなったねぇ〜かすみちゃん〜!」
「うわぁっ」
飛びかかるようにして中須に抱きつく近江先輩。
「よしよし〜♪」
「ちょっ...バカにしてませんかぁ!?」
「褒めてるってば〜♪」
そんな2人のやりとりに、重苦しかったみんなの表情に笑みが溢れ始めた。
中須は子供扱いされたと不満そうに口を尖らせているが、誰もそんな風に思ってはいないだろう。失敗をバネに、中須は確かに成長している。
「せつ菜ちゃんは私たちに夢をくれた人だもんね!」
「うんっ」
歩夢と侑もお互いの意思を確かめ合うように頷く。
どうやら全員答えは同じみたいだ。
みんな思うところはいろいろあるだろうけど、優木せつ菜にスクールアイドルを辞めてほしくないって気持ちは一緒だった。そして俺も。
スクールアイドルへの気持ちが大好きでいっぱいだったあいつが、こんなところで終わっていいはずがない。
心が打ち震えるようなあのステージを何度だって俺は見てみたいと思ったんだ。
誰もが優木せつ菜の帰りを待ち望む中で、尚も朝香先輩は冷静に話を進める。
「あなたたちがあの子に戻ってきてほしいっていうのはよくわかったわ。でも...結局はあの子の気持ち次第よ」
「さ、さっきからなんなんですかぁ...水を刺すようなことばっかり...!」
「別に間違ったことを言ってるわけじゃないでしょ」
「ぐぬぬ〜...!!」
「落ち着いてかすみちゃん。果林ちゃんの言うことも正しいよ」
朝香先輩を睨みつける中須を諭すようにヴェルデ先輩が言った。事実、朝香先輩の言う通りでもある。優木せつ菜に戻ってきてほしいというのは、俺たちの単なる我儘に過ぎないのだから。あいつが本当はどうしたいかなんて、あいつにしかわからない。
だから、直接本人から聞き出すしかないんだろう。
「はい!私がせつ菜ちゃんと話してみてもいいですか?」
「侑先輩がですか?」
名乗りを上げ、その役を買って出る侑に中須は意外そうに言った。
「うん。実はここに来る前にせつ菜ちゃんと話してたんだ」
侑は一旦言葉を溜め、あの時の会話を思い出すように目を閉じた後、再び口を開いた。
「せつ菜ちゃん、言ってた。みんなの大好きを傷つけたから、自分にはスクールアイドルをやる資格がないって...」
そんな言葉が出てしまうほど、優木せつ菜にとって大好きという気持ちは大切で、誰かの大好きを傷つけてしまったことにあいつはこの上ないくらい責任と後悔を感じていた。
だけど、侑は首を振りはっきりとその言葉を否定する。
「でもそんなことない。だってせつ菜ちゃんがスクールアイドルでいてくれたから、私はスクールアイドルと出会えた!こうしてかすみちゃんたちとも出会えて、毎日ワクワクしっぱなしなんだ!」
俺たちとスクールアイドルを引き合わせてくれたのは間違いなく優木せつ菜だった。
もしあそこでスクールアイドルのライブがなかったら───いや、
「そんな素敵な出会いをくれたせつ菜ちゃんが、スクールアイドルをやる資格がないなんて......私は思わない!だから、そのことをせつ菜ちゃんにちゃんと伝えたいんだ!」
...あの時。音楽室での会話の最後に会長は、優木せつ菜に幻滅したか、と俺たちに聞いた。タイミング悪く答えられはしなかったが、侑はこの気持ちを伝えたかったんだろう。
「...俺は侑に任せようと思う」
「ハル...!」
侑は人をよく見ることができるヤツだ。こいつにとってはそれは無意識で、ただの直感でしかないのかもしれないけど。いや...そんな侑だからこそ、あいつに伝えられる何かがあるかもしれない。俺はそう予感していた。
そして何より...侑の真っ直ぐな気持ちを、優木せつ菜に届けさせてやりたい。
「うん!侑ちゃんならきっと伝えられるよ!」
「かすみんもそう思います!」
続いて激励を送る歩夢と中須。
「侑ちゃん、私たちからもお願いするよ!」
「本来なら私たちが解決するべき問題だとわかっていますが...侑さんにお任せします!」
「せつ菜ちゃんのこと、よろしく頼んだよ〜」
ヴェルデ先輩、桜坂、近江先輩も侑に想いを託す。
「ま、ここから先のことには口出しするつもりはないわ。あとはあなたたちで頑張りなさい」
朝香先輩もこれ以上口を挟むようなことはしなかった。その時見せた微笑みは俺たちに対する期待なのか、皮肉めいたものなのかはわからない。だけどこの人はきっと、意地悪な考えをする人じゃないと俺は思う。
「みんな...ありがとう』
全員の了承を得たところで、侑はぐるりとみんなの顔を見渡して礼を言った。
みんな、こんなにもあんたのことを待ってるんだ。
スクールアイドルをやる資格がないなんて決めつけるには、俺はまだ早いと思うぜ...会長。
「ではみなさん!早速明日の放課後決行ですよぉ!」
中須の掛け声でみんなの声が一丸となり、拳を高く振り上げた。
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