不死身の少女は未来を掴み取る   作:からからしき

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術式

「うわっ……とと」

 

呪霊が足元を狙い尻尾のような部位で薙ぎ払う。

避ける必要は無いが、痛いのも制服が傷むのも嫌なので跳んで避ける。

跳んだ瞬間に呪霊が魚のような口を開け、長くカエルのような舌を伸ばし私の足に絡める

 

「いや、ちょっと!?」

 

ばくん、と音を立てて呑み込まれる。

粘液にまみれ、息も苦しい程の悪臭に顔をしかめる。

 

「うっ……もう、やだったのに……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜胆!」

 

「大丈夫だ恵、ほっとけ」

 

「相手は準1級は下らない!現に食われて」

 

「恵!」

 

目の前で大刀を構える先輩の一喝に、体が固まる。

 

「こと生存に関して言えば、あいつは憂太よりも上だ。下手すりゃ、五条悟よりもな」

 

「は…?」

 

言っている意味が分からず困惑した瞬間、目の前の呪霊が苦しみ出す。

断末魔のような声を挙げる呪霊の皮膚が、沸騰するように泡立ち煙を発する。

 

「うあー、くっさ!」

 

身体を切り開いて竜胆が出てくる。

 

「真希さーん、助けてくれても良かったんじゃないですか?」

 

「甘えんな。お前の方が強いんだから」

 

「私真希さんと立ち合って殺されなかったことないんですけど」

 

「おう、いくらでも殺してやるよ」

 

「ちがう!私は真希さんに……」

 

目の前でとうぜん当然のように歩き、喋る竜胆の姿を、伏黒は信じられなかった。

既に塵一つ残さず消え去った呪霊の亡骸の傍らには、食いちぎられた竜胆の右足があった。

そして目の前の竜胆の右足は、ストッキングが膝下から無くなっており、素足だった。

 

「り、竜胆、お前の足……」

 

「ん?あぁ、ちぎれちゃってたのか。気づかなかった」

 

ストッキングを脱ぎ捨て、細く白い脚が露になる。

 

「靴擦れ痛いから、履かなくていっか。めぐみん、おんぶ」

 

「人を頭のおかしい奴みたいな渾名で呼ぶな。それに足、どういうことだ?」

 

「えー?足、生えたことない?」

 

「ねぇよ……てか説明めんどくさいだけだろ」

 

「だってさぁ、会う人会う人に説明めんどくさいよ?」

 

五条先生みたいだなこいつ、と思わざるを得なかった。

こいつは人の影響を受けやすいのか、先輩と同じように皆を下の名前で呼ぶし、五条先生のようにふざけた態度を取る。

 

「じゃああの呪霊を倒したのはなんだ?お前を呑み込んですぐに苦しみ出したし、異臭もした」

 

「蝕爛腐術と赤血操術の掛け合わせみたいなのだって、よくわかんないけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駆の術式?あー、はいはい。あの子は色々食べちゃってね。血が猛毒なのよ、自傷行為によって出た血だけなんだけどね。赤血操術の赤燐躍動に近いんだけど、自分じゃなくて人の身体の中で操って一瞬で毒が回って死ぬっていう術式」

 

それに加えて、未来視に不死身。呪いが存在するのだから妖怪の存在自体には疑問を抱かないが、それを食べて人の身のものとするという発想は、むしろ呪霊が呪物を食べてより呪力を得ようとするのと変わらないように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「特級呪物取りに仙台まで?行ってらっしゃい」

 

「軽いな」

 

「私は京都行ってくる。京都校の人達が追えない謎の呪力を持ったものの調査」

 

「聞いてねーよ。……京都?」

 

「うん、真希さんの妹さんにも会ってくる。めぐみんの親戚の人達は女性蔑視するらしいから会いに行かないけどね」

 

「先輩も先輩の妹も同じだろ」

 

「お土産は黒七味でいい?」

 

「五条先生が拗ねるから八ツ橋にしとけ」

 

「○尾の八ツ橋おいしーよね」

 

「食ったことねーよ」

 

「買ってくるね」

 

「ラムネ味とかじゃなくて普通のにしてくれ」

 

日に日にマイペースになる竜胆に振り回される伏黒だが、自分が任務帰りにお土産を買う事を許容していることを自覚していない。

そして自分が死にかけている間に五条が自分用のスイーツを買うことになることも知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「棘先輩、お茶飲みます?」

 

「しゃけ」

 

「私の飲みかけですけど」

 

「ぶっ!?」

 

新幹線の中で先輩を弄ぶ竜胆。語彙を絞っている狗巻棘を弄ぶ癖は、禪院真希や五条悟の影響ではない。

 

 

「近づくと絶対に逃げられて、無理に追おうとすると雑魚呪霊が目眩ししてくるって……呪霊操術なんですかね?そういえば先輩達は呪霊操術の呪詛師と戦ったんですよね?強かったですか?」

 

「しゃけ」

 

「勝ちました?」

 

「おかか」

 

「えー、なんで二人でいかなきゃいけないんでしょう」

 

 




次回予告します(その通りになるとは言っていない)
軽くウェーブのかかったショートヘア、白みの強い金髪に主張が激しい胸。まさに人形と形容すべき見目麗しい少女は、呪いに慕われ、呪いを使役する巫女だった。

「はぁ!?彼氏なんかいないし!男なんて取っかえ引っ変えだし!」

次回『おひいさま』

デュエルスタンバイ!
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