「きれーだなー…」
ステージ上でアイドル達が歌い、踊る。
きらびやかな演出はそのパフォーマンスの価値をさらに高める。
飛電或斗は今、異世界のアイドルのライブを特等席で観賞していた。
前世でも何度かライブに行ったことはあった。
しかし、そのライブとはまた別物であると思うようになっている。
歌やダンスはさながら美しい宝石であり、演出はその価値を高めるメレーと言ったところか。
素晴らしいという言葉ではもう言い表せないのだ。
一言でいうならば「芸術」。
それがこのステージに対する純粋で単純な感想だった。しかもこの後に自分達がパフォーマンスするというのだから質が悪い。
もうなんというか自分と彼女たちのパフォーマンスは比べるべくもないのだ。
というか自分がいるせいで"ポラリス"のパフォーマンスの質が低下しているのではないかと思うほどに。
「はぁ…もう、本当に嫌になっちゃうなぁ…。」
或斗はここにおいて今、この場だけは自分が異物なんじゃないかと思うようになっていた。
だってそうだろう。
眉目秀麗な少女たちが今まで練り上げてきた全てをぶつけるのがステージなのだ。
たった一週間やそこらボイトレをしたところで圧倒的に格下なのは間違いない。
だからこそ、自分はあの場所に―――ステージに立つ資格がない。
それは、このステージの「格」を下げるという行動と同義なのだから。
「あぁ…お腹痛い…。」
ここまで圧倒的なステージを見せられてしまっては闘争心も何もかも文字通りの意味で萎んでしまう。
果たして今の或斗の輝きは彼女たちの輝きに勝てるのだろうか。
絶対あの二人が共謀した計画に千早姉達が乗ったに違いない。
「…僕は今、初めて千早姉や瑞鶴姉たちに殺意を覚えたんだけど。」
「お、なんだ?そいつはもしかして我がプロダクションへの犯行予告か?」
「なんでやねん」
もはや示し合わせたとしか思えないようなこの状況。
或斗には戦う事しか能がないというのにこの仕打ちである。
まぁ若干9歳の少年が戦うしか能がないという時点でおかしいということに少年はさっぱり気づかないのだが。
「うーん、心臓がバクバクしてるや…。助けて父さん…。」
そうして或斗は今頃はゼロツーのアジャストを行っているであろう自らの父―――飛電或人に助けを請うた。
だが、今の或人は人格こそ残っているが電子の世界に居るわけで。
もちろん或斗のSOSは或人に届くことなどなかったのである。
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776:ヘルライジング転生指揮官
千早姉達のライブがやっべぇぞwww
777:名無しの転生指揮官
この後にイッチやるんだよな…?
778:依存転生指揮官
もうイッチ帰ってOK!
779:ヘルライジング転生指揮官
俺も帰りたい
780:名無しの転生指揮官
初めて「帰りたい」なんてレスを見たww
781:名無しの転生指揮官
どんだけ嫌なんだよ?
782:ヘルライジング転生指揮官
え…?
シュールストレミングってあるじゃん?
あれを至近距離で開封しろって言われたときくらい。
783:決闘蟹転生指揮官
どういう…ことだ…
784:名無しの転生指揮官
まるで意味が分からんぞ!?
785:名無しの転生指揮官
そもそもおかしい。
786:プリズム★アトラ転生指揮官
でもやらなきゃいけないんでしょう?
787:ヘルライジング転生指揮官
結論:おのれディケイドォォォォ!
788:名無しの転生指揮官
確かにこれはディケイドのせいだな。
789:名無しの転生指揮官
ステージの破壊者ディケイド…か。
790:ヘルライジング転生指揮官
余りにも下手すぎて千早姉にも申し訳ないねん…。
791:名無しの転生指揮官
あー…。
792:名無しの転生指揮官
あー…。
793:カードゲーマー転生指揮官
でもやるしかなかろ?
794:名無しの転生指揮官
せや!
795:名無しの転生指揮官
せやなー。
796:名無しの転生指揮官
頑張れイッチー。
797:名無しの転生指揮官
ファイトだイッチー。
798:名無しの転生指揮官
負けるなイッチー。
799:ヘルライジング転生指揮官
…黙って聞いてりゃ他人事だからって好き勝手言いやがって…!
『ヘルライズチャージ…!』
800:名無しの転生指揮官
や め ろ 。
801:名無しの転生指揮官
ごめんなさい
802:名無しの転生指揮官
許して
803:ヘルライジング転生指揮官
ゆ゛ る゛ さ゛ ん゛ !
804:名無しの転生指揮官
あっ…あっ…
805:名無しの転生指揮官
リボルクラッシュは勘弁を…!
806:名無しの転生指揮官
すいませんした
807:名無しの転生指揮官
圧倒的掌ドリルww
イッチー。負けるなイッチー。頑張れイッチー。
808:ヘルライジング転生指揮官
>>807
一発で沈めてやるよ…!覚悟はできたかぁ…?
809:依存転生指揮官
その後…>>807を見たものは居なかった…。
810:名無しの転生指揮官
>>807?
ああ。良いやつだったよ…。
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「飛電或斗の緊張を感知。提案――「アンシン」を得られるように会話を試みます。」
「…ガスコーニュさん…。」
ガスコーニュは未だに目覚めぬ感情の中、飛電或斗の緊張をほぐすために会話を試みていた。
「今の貴方は完璧です。何を恐れてるのですか?」
「…あそこに自分が居るのが怖いというかなんというか…。」
「――理解。今の貴方に足りないものは"自信"です。」
「自信…か。」
ガスコーニュは情け容赦なく、或斗に足りないものを指摘した。
それは自分がここに居ても「格」を下げることがないという自信だ。
自分が信じられなければいつまでたっても自信なんてものはつかない。
仲間を、そして、自分を信じること。
それをポラリスの仲間から教わったのだ。
「…ガスコーニュさんは強いよね…。」
「否定。―――ガスコーニュは"強くなった"んです。」
「―――"強くなった"?」
「―――ガスコーニュはまだ、
そう言って、ガスコーニュは優しく微笑んだ。
その笑顔を見ているとなんか自分が悩んでいたのが馬鹿らしい事に思えてきた。
「―――大丈夫。ガスコーニュ達は、強い、から。」
「そう、ですね。」
一瞬、感情を見せたガスコーニュは慌てて感情を隠す。
「…さて、そろそろ時間ですわ。―――或斗、準備はできているのかしら?」
「もちろん。赤城姉。緊張はしてるけどね。」
そもそもの話、自分がポラリスに居ること自体おかしいのだが。
そんな事を言ったらもれなくシェフィールドから実弾が飛んできそうなので黙っておくことにする。
そして、飛電或斗とポラリスの一夜限りのステージが幕を開けた
登場人物紹介
・飛電或斗
ガッチガチに緊張していた。
・ガスコーニュ
或斗の緊張をほぐした
・765プロの面々
やばいまでのパフォーマンスをした。