青き航路と夢の守人   作:ダンちゃん1号

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怒りの狼、蒼海に立つ

母港に新たな仮面ライダーが生まれた。

その変身者は瑞鶴である。

 

そんな情報が母港に駆け巡った。

といっても或斗と違ってある程度の戦闘能力を持ったKAN-SENがライダーとなったのだ。

或斗が戦うときは全力で止めようとするKAN-SEN達も今回ばかりはなにも言わなかった。

ただ、焦りを感じ始めるKAN-SENが居るのは確かだ。瑞鶴と共に或斗の姉を名乗るエンタープライズはそんなKAN-SEN達の筆頭であると言えるだろう。

瑞鶴が仮面ライダーの力を手に入れてからというもの瑞鶴と或斗がバディとして行動することが増えた。

瑞鶴の実力は心配していないがかといってあんなにべったりくっつかれると妬けるというか。

 

なんか瑞鶴にマウントを取られている気しかしないのだ。

もちろん瑞鶴にそんな意図は無いのだが。

なんかこう、悔しい。

このまま或斗が取られるんじゃないかと不安になってしまう。

ただでさえこの母港にはケッコン的な意味で或斗を狙う者が多い。

そうすれば専属艦になるとはいえそれ以上に"仮面ライダーゼロワン"という戦力が得られるのだ。

あり得ないことだが、もしこの"アズールレーン"という陣営の中で戦争が起きたりすれば或斗を得た陣営が有利になる。多分ダンケルクや姉―――ヨークタウン、それに五航戦辺りは恐らく戦場に出さないための"保護"の意味を持つケッコンだろうが。

 

「はあ…。」

 

そんな事を考えても仕方ないのは分かっている。

彼が誰を選ぶかなんてそんなの分からないし。少なくとももう10年は向こうの話だ。

だが、なんなのだろうか。

この胸に蟠る感情は。

 

「むぅ…。」

 

今は考え込んでも仕方が無い。

そんな時、ふと視界にゼロツープログライズキーを見つけた。

 

(何故こんなところに…?)

 

考えても仕方ないと感じたエンタープライズはゼロツーキーに触れる。

その瞬間世界が白く染まり―――。

 

 

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785:ヘルライジング転生指揮官

あかん。

 

786:超次元蹴球指揮官

何があったのさ

 

787:ヘルライジング転生指揮官

なんか蒼龍さんっぽいKAN-SENが大暴走かましてるんですけど。

 

[辺り一面に艦載機やら斬撃やらが飛び交う地獄絵図]

 

788:名無しの転生指揮官

うわぁ…。しかもこれ蒼龍さんのMETAじゃん。

…ライダー二人っきりで勝てるかこれ…。

 

789:名無しの転生指揮官

しかも片っぽはライダーとしての交戦経験が少ない瑞鶴…もとい仮面ライダー迅。

も片っぽは戦術もクソもあったもんじゃないゼロワン。

 

…じゃあな!イッチは良い奴だったよ!

 

790:決闘蟹転生指揮官

というかなんでこんなことになってしまったんだ…?

 

791:名無しの転生指揮官

今北産業

 

792:ヘルライジング転生指揮官

謎の鏡面海域が発生したから調査に向かう

一緒にきたニュージャージャーさん達と別れて別個に調査

そしたらなんか出てきた

 

793:名無しの転生指揮官

なんかってwww

流石にライダーの装甲でもきついのか…?

 

794:ヘルライジング転生指揮官

うん。さすがに単発なら安いけどあそこまでド派手に暴走してると、ねぇ。

 

795:名無しの転生指揮官

そーか…。

詰んでんじゃん。

 

796:名無しの転生指揮官

そうだなー。イベントみたいにヘレナ(META)が力貸してくれりゃいいけど…。

 

797:依存転生指揮官

無理だな。

少なくともこの世界のヘレナ(META)とイッチは面識ないからな。

 

798:名無しの転生指揮官

あー。

 

799:名無しの転生指揮官

じゃあ、もうこれダメじゃん。

 

800:名無しの転生指揮官

一応こんな時にバルカンが居ればなぁ…

 

801:依存転生指揮官

バーニングレインで届かねぇの?

 

802:ヘルライジング転生指揮官

届くには届くけど全く効いてない。

 

距離が遠すぎてどうにもならんわ。

 

803:名無しの転生指揮官

ふぁーwww

 

804:名無しの転生指揮官

これはガチで笑うしかないやつ…

 

805:名無しの転生指揮官

バーニングレインって距離で威力が減衰するんすね。

 

終わりじゃん

 

806:ヘルライジング転生指揮官

人生がフィニッシュしそうです。

 

807:名無しの転生指揮官

っていうか他のアタッシュウェポンは無いのか…?

 

808:ヘルライジング転生指揮官

アタッシュアロ―:エイム力0

アタッシュショットガン:ワイ、ゴリラやない。

無理

 

809:名無しの転生指揮官

あーあ、終わった。

 

810:名無しの転生指揮官

瑞鶴がMETAればまだしも…。

 

811:プリズム★アトラ転生指揮官

あれこれ終わってない…?

 

812:カードゲーマー転生指揮官

そうだよ…

 

813:名無しの転生指揮官

ありがとういいスレだったよイッチ…

 

814:名無しの転生指揮官

イッチェ…

 

815:名無しの転生指揮官

さらば。

 

816:名無しの転生指揮官

また次の転生先で会えたら会おう。

 

817:名無しの転生指揮官

これは完全に敗北ムード

 

818:ヘルライジング転生指揮官

…んぁ?

 

 

オーロラカーテン?

え、士さん?ここに千早姉とか連れてくるつもり?

ちょっとー?ダメですよ!千早姉や春香さん連れてきたら!

いや、割とガチで!

 

819:名無しの転生指揮官

げぇ…さすがにKAN-SENの力を得ているとはいえ…なぁ。

 

820:名無しの転生指揮官

頼むぞ…士!

 

821:名無しの転生指揮官

登場したのは誰だ!?

 

822:名無しの転生指揮官

…ショットライザー持ってる。

 

823:名無しの転生指揮官

右手にはシューティングウルフ!

 

仮面ライダーバルカンだ!勝ったッ!

…で、え?まさかバルカンの変身者って…!?

 

824:名無しの転生指揮官

―――エンター姉!?ちょっ…ええ!?

 

 

 

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蒼龍と思われるKAN-SENの暴走に巻き込まれていったいどれほどの時間がたったのだろうか。

1日くらいたった気もするし全く持って時間だ立ってない気もする。

ただ一つだけ言えることは或斗と瑞鶴―――二人の仮面ライダーにはこの状況を打破する手段が何一つないという事だけだった。

 

「ああもう!あんなにド派手に暴走するんならシャイニングホッパー持ってくりゃ良かった!」

「もう!ごちゃごちゃ言っても始まんないよ!なんとかして暴走する蒼龍らしきKAN-SENを止めないと…。」

「でも攻撃届かないじゃん!?」

 

そう。そうなのだ。

別に艦載機の機銃が多少当たった程度では仮面ライダーの装甲が削れることはない。

ないのだが。

どうあってもこちらの攻撃が届かない。

それに―――

 

「流石にあの量はきついっしょ…。」

「あー…確かに。」

 

いくら堅牢な仮面ライダーの装甲といえども機銃掃射をまともに受けてしまえば大ダメージは避けられない。当たり方によってはそのまま蜂の巣にされてしまうだろう。

故に近づくことが出来なかった。

ならばと、瑞鶴がKAN-SENの力を試してみても圧倒的な波状攻撃の前に全艦載機が撃墜された。

 

つまりは、どうしようもない。

そんな時にオーロラカーテンが現れれば流石に焦る。

さすがにこんな状況で千早や春香が来てもどうにもならない。

が、オーロラカーテンから現れたのは予想外のアイテムを持った予想外の相手だった。

 

「待たせたな、二人とも!」

 

そう、その人物はエイムズショットライザーとシューティングウルフプログライズキーを持ったエンタープライズだったのだ。

二人が近距離戦が最も得意な戦闘スタイルを執る。

なるほど、確かにこの状況は切り抜けにくい。

ならばこれは自分の出番だろう。

 

「ふぐっ…おおぉぉおおぉぉぉおおぉぉおおおぉ!」

 

そしてエンタープライズは()()()()()()()プログライズキーをこじ開け始めた。

プログライズキーからは火花が散り、流石の瑞鶴も焦り始める。

 

「あれって大丈夫なの!?」

「さあ…。」

 

少なくとも少女がやっていい変身方法ではないのは確かだが。

その膂力でプログライズキーをこじ開けたエンタープライズは流れるようにショットライザーにキーをセット。

そして腰のバックルからショットライザーを引き抜いた。

 

『KAMEN…RIDER…KAMEN…RIDER…』

 

エンタープライズはしっかり前を向いてショットライザーを構える。

 

「変身ッ!」

『ショットライズ!』

 

そして引き鉄を引いた。

弾丸を打ち出した反動で少しばかり後ろに下がったが何一つ問題は無い。

大きく曲がって、エンタープライズの下に戻った弾丸をそのまま殴る。

そして、その弾丸―――SRダンガーからアーマーが装着される。

 

『シューティングウルフ!』

The elevation increases as the bullet is fired.(撃てば撃つほど猛りだす。)

 

そして、蒼海に新たなる仮面ライダーである仮面ライダーバルカンが復活した。

復讐するためではなく、夢を探すために、自ら悪に喰らい付く狼となった仮面ライダーが今、鏡面海域で復活の狼煙を上げる。

 

「…一撃で決める。」

 

『バレット!』

 

ここはショットライザーの基本性能を試したかったが今は、二人の安全が優先。

故に最大火力で一撃で葬ることとした。

故にバルカンは装填されているプログライズキーのライズスターターを押し込み必殺技シークエンスと入る。

そして再び引き金を引いた。

 

『シューティング!ブラスト!』

 

その一撃は艦載機を軒並み吹き飛ばしたうえで暴走するKAN-SENに多大なダメージを与えた。

 

「二人とも!今だッ!」

「了解ッ!」

 

そしてそれは暴走するKAN-SENにとっては余りにも致命的な隙で。

黄金の飛蝗と灼熱の鶴の手によって、その身は海へと還された―――。

 

 

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870:ヘルライジング転生指揮官

【悲報】ワイの姉、ゴリライズ習得【脳筋】

 

871:名無しの転生指揮官

不破さーん!

 

872:名無しの転生指揮官

ちょっwww

 

873:名無しの転生指揮官

あっちゃーwww

 

874:名無しの転生指揮官

どうしましょwww

 

875:名無しの転生指揮官

助かったんだしいーじゃねーかwww

 

876:名無しの転生指揮官

なんで…美少女が脳筋な方法でこじ開けるなんて…ッ

 

877:名無しの転生指揮官

不破さんさぁ…(歓喜)

 

878:名無しの転生指揮官

何はともあれこれでライダーが3人だな!

 

879:名無しの転生指揮官

ベルトの奪い合いでもするかい?

 

880:名無しの転生指揮官

www

 

881:名無しの転生指揮官

これは笑うってwww

 

882:名無しの転生指揮官

エンタープライズェ…

 

883:超次元蹴球指揮官

不破さん…

 

884:名無しの転生指揮官

あっちゃー…

 

 

 

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人工知能ゼアの中。

飛電或人は一人の男を正座させていた。

何を隠そうこの男、エンタープライズに脳筋な変身法を教えた張本人―――不破諫である。

 

「不破さん?相手は女の子なんだよ?」

「いいじゃねぇかよ、別に。」

 

飛電或人はあきれたように額に手を置いた。

不破も或人の人格データ内の記憶からこの電脳世界に復活させたのだが、如何せん脳筋が過ぎた。

せめて刃唯阿の変身方法を教えればいいものを、こともあろうかこの男はゴリラの如くその膂力で以て変身する方法を教えたのだ。

これには不破に絶大な信頼を置いている或人も流石にキレるというものである。

 

「別に男だろうと女だろうと関係ねぇ。仮面ライダーバルカンは邪魔するものはぶっ潰すのがモットーだからな。」

「うわぁ…不破さん。あの時イズがなんでゴリラって言ったか分かった気がしたよ…。」

「誰がゴリラだアァアァァアァ!?」

 

とうとう正座を解いて或人に詰め寄る不破。

別に殴るとかそういうわけではないが、なんかむかつく。

 

「だからゴリラって言われるんだよ、バルカン。」

「迅。お前喧嘩売ってんのか!?」

 

或人と不破の口論。

そこに迅までもが乱入してきてカオスな光景が繰り広げられる。

かつて世界の夢を守った戦士たちは今、仮初の平和を享受していた。

 




登場人物紹介

・飛電或斗/仮面ライダーゼロワン
いいとこなし

・瑞鶴/仮面ライダー迅
いいとこなし

・エンタープライズ/仮面ライダーバルカン
今回の主役にして今作のゴr―――もとい不破さん枠。
ゴリライズを習得してしまった。

・飛電或人
正座させた人。父親は強い。

・不破諫
今回の最大の戦犯にして功労者。
無事ゴリライズを受け継いだ。

・迅
なんやかんやで或人と仲のいいヒューマギア

今回は番外編は無し。
迅→瑞鶴と似たような流れですからね。
というわけで余りにも超次元と蟹が強すぎたので第三の選択肢を加えて決選投票します。
どしどし回答してくださいねー!

決戦:どれが見たい?

  • 決闘蟹
  • 超次元蹴球
  • どっちも

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