その男は多数の少女たちに見守られてその場に立っていた。
その男の顔には特徴的なペイントが施されている。
本来ならそれは犯罪者の証だ。
だがその男のソレは英雄の証であった。
この世界の未来を守った英雄にしてこの世界の中核を
「皆揃ったな。改めて
その男の名は不動遊星。この世界において数少ない指揮官であり、初代WRGPの覇者でもある。
「今回の作戦目標はネオ童実野シティ近海に生まれた鏡面海域の調査、制圧だ。出撃するメンバーは――――」
遊星は手元にタブレットを持ち、プロジェクターを用いて少女たちに作戦の概要を説明していく。少女たちに意見が無いかを確認するもいつもの通り反論が上がらない。
これは自分への信頼の現れとしていいかは少々悩むところではあるのだが。
「今回は鏡面海域での任務のために現地に俺もついていく。従ってこの母港には代理の指揮官を立てることになるが―――」
遊星は扉の方をみやる。
そこには一組の男女が立っていた。
一人の男はかつて世界の強豪チーム相手に連勝を重ねたというクロウ・ホーガン。
もう一人は赤い髪が特徴的な、そして世界でも有数の腕を持つ医者として有名な十六夜アキその人であった。
「今回はこの二人だけだ。―――まぁ、二人の紹介はもう必要ないな?」
その言葉にうなずきで返答する少女達。
その様子を一通り確認すると遊星はアキとクロウの二人に目を向けた。
二人はその視線にうなずきで返すと、遊星は満足したように話を切り上げた。
「…ところで指揮官様。一つ質問しても?」
「どうしたフッド。任務に対する質問か?」
「いえ…。いつも十六夜様とクロウ様と一緒にいらっしゃるジャック様と鬼柳様の姿が見当たらないのですが。」
そういえば言ってなかったかと遊星は思い返した。
あの二人が行った場所は―――と資料を見て苦笑した。
「ジャックはこの作戦に参加しないKAN-SENを連れて
今は鬼柳京介が治めている町だ。
ジャックはこの世界が平和だった頃は名うての
今ではこの母港の委託組の引率として遊星を支えていた。
といっても、彼女たちがピンチになればすぐにDホイールで駆け付ける辺りはさすがジャックと言ったところだが。
「というわけだ。皆、準備はいいな?作戦の開始は本日15時。参加するメンバーは遅れないようにしてくれ。」
その号令を最後にこのブリーフィングは終了。
少女たちが揃って退出していく中、一人の少女が遊星に話しかける。
「
「何だって…?」
「飛蝗の少年」―――遊星はその言葉を心にとめて作戦へと向かう。
その脳内にはある少年の顔が浮かんでいた。
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『ここまできたら隠し事は無しだ。俺は今から突飛もないことを言うぞ。―――俺には
WRGP決勝戦の前日。
不動遊星は仲間たちにこの事を暴露した。
冗談というには余りに真剣な表情で話すその姿勢にジャックも、クロウも、自分も、メカニックのブルーノも真剣な面持ちで遊星の次の言葉を待った。
『前世ではな、俺達の物語が普通にテレビでやっていてな。俺はこの世界で何が起こるか、ある程度把握はしていた。―――だが、迂闊に行動すればこの世界を崩壊させかねなかった。もしかしたら鬼柳をダークシグナーにせずに済んだのかもしれない。なんならここに居る皆はもっと別の道を歩んでいたかもしれない。』
『何が言いたい?遊星。』
『もし、この話を聞いて俺に失望したり、このチーム5D'sを離脱したいと思ったのなら止めはしない。俺はそれだけ大きな事を隠していたわけだからな。』
この話をした遊星の顔は寂しげながらも、決然とした表情だった。
もし本当に離脱しても文句の一言もないだろう。
べつに自分は離脱するつもりはないが、ジャックやクロウが何というか。
案の定クロウとジャックは遊星に近づいていった。
もしかしたらこれは―――と思ったところだったが、二人の顔が笑っていたのを見て、制止するのをやめた。
『なーに言ってんだ、遊星。』
『そもそもお前が未来を知っていたとしてもオレ達が変わらなければ意味が無いだろう。それに、そんな話誰が信じる?お前は「不動遊星」。それでいいだろう!だから―――』
ジャックの一撃が遊星のボディに直撃する。
遊星は衝撃に蹲るが何も反撃も、反論もしない。
『これで手打ちだ。―――そんな眉唾物の話でオレ達をこの戦いから遠ざけようとしたお前に対してのな!』
『…すまなかったな。ジャック。』
なぜあの一撃を喰らってサムズアップが返せるのだろうか。
やはり自分に男同士の友情は理解できない。
十六夜アキは目の前の状況にただ一人ついていくことができずに呆然とするのみだった。
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「よし、皆準備できたな。行くぞ!」
遊星は己のDホイールに改造を施し陸海を走破できるモンスターマシンを完成させていた。
その名も遊星号
特に海上を走破するという面では非常に困難したのだがそこは指揮官。
科学部所属の少女達の協力もあって簡単に改造することができた。
遊星の先導に従って海上を走る少女達。
そのまま暫く海上を走行していると辺りに霧が漂い始める。
「電波途絶…。指揮官、鏡面海域に到達したようだ。」
「ああ。そうみたいだな…。」
この鏡面海域という海域は往々にして世界の敵であるセイレーンの痕跡が残っている場合が多い。
否、セイレーンの実験場と言った方が正しいか。
そんな中一人の少女が手を上げた。
「何か戦闘音が聞こえてくる気がしない?」
「…ホーネットの言う通りだな。この海域の何処かで戦闘が行われている―――そんな気配がする。」
遊星は正直に彼女の警告に耳を傾けていた。
今回の作戦では軍上層部が満足する結果を出さなくてはならない。
特に鏡面海域では何が起こるか分からないのだ。
「もしかしたら余燼が既に行動しているかもしれない。皆、気を引き締めてくれ!」
全員が頷くとともに速度を落とす。
そのままゆっくりと戦闘音のなる方へと向かって行った。
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「ハァッ!」
「そりゃ!」
「そこだ!」
三人のライダーは鏡面海域で戦闘を行っていた。
本来はここに門矢士と海東大樹を加えた五人で戦闘を行っているはずだった。しかし余りのセイレーンの多さに二人と分断されてしまい、或斗、瑞鶴、エンタープライズの三人のみで戦闘を行う羽目になってしまった。
全くもって不本意な戦いは三人に
「…この感じ…まさかとは思うけど…。」
最初に違和感に気づいたのは或斗。
シャイニングホッパーの
しかしながら起動状態のキーを読み込んでも中々ライジングホッパーはやってこなかった。
やってきたのはオーソライズ完了から数分後。空間を突き破ってやってきたのである。
「…おい、お届け物だ。」
「感謝したまえよ。」
ライジングホッパーが空間を破ると同時に二人のライダーが飛び出してくる。
マゼンタ色のディケイドとシアン色のディエンド。
どうやらその手にはシャインシステムで覆われたゼロツーキーとゼロツードライバーがあった。
「…異世界宅急便…?」
「…気づいていたのか…。」
「珍しいね。僕たち以外で世界の移動に気づけるなんて。」
だってほら―――と曖昧な言葉でごまかす或斗。
「―――バッタちゃん中々来なかったし?」
「…なるほど。そのままの世界なら鏡面海域であろうとすぐにライダモデルはやってくる。そこに目を付けたというわけか。なるほどな。こいつは一本取られた。」
結局は世界の移動を感知できた理由をゲロった訳だが。
「それにしても…この世界。俺達の異物感がすごいな。」
「そうだね。世界が僕たちを認めていないというか。」
「俺達は恐らくこの鏡面海域外には出れないだろう。…何が起こるか分からないからな。」
或斗はここで、はて、と疑問を抱く。
オーロラカーテンは自分たちの世界と千早達の世界以外には繋がらなくなったのではなかったのか、と。
「…そこに関しては"鏡面海域"というものが持つ特異性だな。」
「…特異性?」
「セイレーンの実験場みたいなだろ?おかげで次元の壁があやふやなんだ。だから空間が割れたりするし、何かの弾みで異世界に飛ばされることだってある。俺の場合はセイレーンの実験場の機能に無理矢理"指向性"を持たせた感じになっているな。」
「…なるほど。つまり二人は―――」
「ああ。この世界の異物。この世界は俺達の存在を否定する。ここから一歩でも外に出たらそれこそ「余燼」とやらに目を付けられて終わりなんじゃないか?この世界では色々と制限されるみたいだしな。…逆にお前たちはこの世界に"取り込まれた"から多分そう簡単には帰れないぞ。」
恐らくは暫くはこちらの世界で過ごすことになる。
それが門矢士の出した結論だった。
それと同時に士たちの実体がぶれ始める。
「どうやらお別れのようだな。―――ちゃんと生きろよ。」
士と海東の存在が、消えた。
それと同時に現れる無数の自我の薄い人型セイレーン達。
「皆、始めるよ!」
或斗―――仮面ライダーゼロワンはオーソライズバスターを。
瑞鶴―――仮面ライダー迅はスラッシュライザーを。
エンタープライズ―――仮面ライダーバルカンはショットライザーを構える。
「一人で100体位斃せばいけるか…?」
「上等!斬りまくってやるわよ!」
「ああ。何体でも行けるぞ!」
そして三人はそれぞれの得物を構えてセイレーンの群れへと突入した。
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不動遊星が率いる艦隊が戦場に着いたとき、そこはまさに地獄絵図であった。
ただし、その地獄はセイレーンのものであったが。
閃光が駆け、炎の斬撃が飛び、銃弾が敵を喰らう。
その光景に思わず遊星は呟いてしまった。
「どういう…ことだ…?」
きっとこれは誰だって困惑するパターンのものだ。
流石の遊星も理解が何一つ追いつかない。
何故、斬撃が飛ぶのか、何故、銃口から狼が射出されるのか、何故、あんな瞬間移動じみた行動ができるのか。
きっとそれはこの場に誰が居ても変わらなかったものだろう。
それほどまでにこの状況は混沌としたものだった。
だが、一つだけ分かるのはリーダーと思わしき、斧を振るう者が遊星の方をちらりと見た事。
その後、少しづつ戦線を押し上げ、自分達に危険が舞いこまない様に振舞い始めた。
少なくとも味方。
その判断を下した遊星は加勢するべく少女たちに指示を出し始めた。
今自分は動くことはできない。
それは自分の攻撃は少なくともあそこにいる彼らを巻き込んでしまうから。
その事を知っている少女たちは何一つ疑うことなくその指示に従う。
あの苛烈な猛攻の中に自分の身を晒したくないというのが真実だろうが。
そして、ついにセイレーンの群れは駆逐された。
およそ一時間。
300体近くものセイレーンを屠るのにかかった時間である。
「ふう…。こんな状態ですみません…。すこしばかりこのままでいてもよろしいでしょうか?」
「ああ。ここは鏡面海域だ。何が起こるか分からない―――。だが、お前たちが何者なのか俺は知らない。だから、一旦俺に付いてきてもらいたいが…いいか?」
「ええ。今はゼロワンとでも。」
「ああ。分かった。これからゼロワンとともに母港へ帰還する!」
その後、鏡面海域で合流した者達と共に遊星は母港へ帰還した。
遊星の中に一つの疑問を残しながらも帰りには何も起きなかったのだった。
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「初めまして、飛電或斗です。セイレーンのせいで仮面ライダーゼロワンにならざるを得なくなった九歳児です。父の夢と、僕の夢を追い掛けるため、そしてセイレーンをぶっ潰すためにゼロワンの力は必要なので他の二人を責めないであげてください。」
母港につくや否や、ゼロワンは少年へと姿を変える。
その腰部にはゼロワンの時と同じベルトが付いており、彼がゼロワンの正体であると看破するのは余りにも簡単だった。
続けて、他の二人も変身解除するが、その姿は遊星もよく知っている存在だった。
「瑞鶴に…エンタープライズ、か。」
実の所、遊星は或斗が戦っているという事はそんなに驚かなかった。
見た目だけで言えば睦月や三日月といった或斗よりも幼い物も多いからだ。
「…三人とも、事情は後で聞く。今はゆっくり体を休めると良い。」
「…ああ。そうさせてもらおう。色々あって混乱しているから考えを纏める時間も欲しかったしな。」
そう言うと、二人は他の少女たちの後についていく。
軽い案内の後に、空いている部屋があてがわれることになるだろう。
そしてそれを見送った遊星は一人、残った或斗の方を見る。
「…貴方が"決闘蟹"さんでいいですかね…?」
「蟹呼びはやめてくれないか…?」
この発言で確信を持てた。
この少年は何が起こったかは分からないがひょんなことからこの世界に迷い込んだらしい。
「…ここで会ったのも何かの縁だ。まずは母港を案内しよう。或斗の世界とは色々違っているだろうしな。」
「お気遣い、感謝します。」
こうして、決闘者と仮面ライダーは交わった。
それは新たな混沌とした日々の幕開けの始まりに過ぎなかったのである。
登場人物紹介
・飛電或斗/仮面ライダーゼロワン
セイレーン+何かで並行世界へと転移した。
持っているキーはホッパー系統とバイティングシャーク
・瑞鶴/仮面ライダー迅
或斗と共に並行世界に転移
・エンタープライズ/仮面ライダーバルカン
或斗と共に並行世界へ転移
・不動遊星/決闘蟹転生指揮官
転生者であり、決闘者でもあり、指揮官。
一応遊戯王5D'sの戦いは乗り越えていて「オーバー・トップ・クリア・マインド」の境地に至っている。
というわけで並行世界【遊星】編始まりです。
あくまで主人公たちは出さないといけないので主要人物だけを転移させました。
転生者なので遊星君はほんの少し口が良かったり悪かったりしますが気にしないでください。
決戦:どれが見たい?
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決闘蟹
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超次元蹴球
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どっちも