青き航路と夢の守人   作:ダンちゃん1号

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思いは、テクノロジーを越える

「っつぅ~!」

 

瑞鶴は辛うじて生きていた。

ただ、壁を壊された衝撃だけでこんな大怪我を負うとは思っていなかったが。

 

「…あの声…。オブザーバーのものだった…!」

 

あの怪物は一体なんだ。

どうやって或斗の場所を知った。

 

「…或斗君…!」

 

瑞鶴は痛む体に鞭をうち、無理矢理立ち上がる。

それは、意地だ。

もう二度と大切な弟分を喪うまいとする想いだ。

 

「今…行く…!」

 

そう言うとぐっと足に力を込めて立ち上がる。

その手には使わせたくない二つのアイテムを持って。

 

「…ごめん、これしか方法思い浮かばなかった…!」

 

瑞鶴は奇跡的にヘルライズプログライズキーと飛電ゼロワンドライバーが保管されている研究室に居た。

このまま手をこまねいていても或斗は連れ去られ、まだモルモットに逆戻りだ。

だから、これに賭ける。

勿論、賭けるのは自分の命もだ。

 

「…本当に、ごめん…!」

 

瑞鶴は彼を傷つける事でしか、彼を救えない自分に腹が立っていた。

最早、憤怒していたといってに過言ではないだろう。

彼女もまた、災厄の方舟の燃料となっていることに気づかなかった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…或斗君!」

「瑞鶴姉!?大丈夫なの!?」

「…なんとかね!それよりも!」

 

瑞鶴は或斗に二つのアイテムを投げ渡す。

それは、今、この状況を打開できる唯一の希望だった。

 

「ヘルライジングプログライズキー…!」

「うん。グレイゴースト―――エンタープライズには私から話しておくから。思いっきりやっちゃって!」

「りょーかい!」

『ゼロワンドライバー!』

『ヘルライズ…!』

 

或斗は飛電ゼロワンドライバーを装着。

そして、ヘルライズプログライズキーのライズスターターを押し込み、キーを起動。

奇妙なカウントダウン音とともに黒い火花が或斗の体を駆け巡った。

そして、キーをベルトに叩きこんだ。

 

「っつぅ…!やっぱりまだ慣れないなぁ…!」

 

『オーソライズ』

 

ヘルライズキーの負荷にぼやきながらもセロワンドライバー前面にあるオーソライザーにヘルライズキーを認証。

そして、ロックが解除されたヘルライズキーを展開。

そして、キーコネクタを上部へとむける。

瞬間、天上を突き破り紅い光がキーに降り注いだ。

そして、空に光のゲートが作られる。

或斗はヘルライズキーを持つ手を捻り、光のゲートを解錠。

ゲートからは赤黒いバッタが飛び出した。

 

『プログライズ!』

『Hells energy as destroy the wolrd HELL RISING HOPPER!!』

HEAVEN or HELL it doesn't matter(天国も地獄も関係ない)

 

そして、アンダースーツが形成されバッタが吸い込まれるように装甲が形成される。

 

全身の骨が砕ける感覚が一気に襲い掛かる。

強烈な破壊衝動が全身に駆け巡る。

しかし、そのすべてを強靭な意思の力でねじ伏せる。

 

「セイレーン…!お前を止められるのはただ一人…!俺だ!!」

 

そして、震える声でそう宣言した。

 

「へぇ…面白いこと言ってくれるじゃない。」

「余裕こいていられるのも…今のうちだ!」

 

確かに勝ち目は薄いかもしれない。

それでも、ゼロワンはゼロツーに対して立ち向かわなければならない。

そう。

ゼロツーを止められるのは、ただ一人。

自分だけだからだ。

 

「ふふっ…。まさか湧き上がる破壊衝動を意志の力だけで抑え込むなんて…。やはり、あなたは"特別製"ね。」

「…何を言って…。」

「まだ知る時ではないわ。」

「そうか。…ゼロツーは返してもらう…。」

 

或斗はゼロツーに飛び掛かった。

フォームも何もあったもんじゃないただの乱雑なパンチ。

 

「…流石に戦闘技能は発展途上ね…」

 

難なくその一撃はゼロツーに抑え込まれてしまう。

蹴りも、拳も全てが初動ではたき落されてしまう。ゼロツーに攻撃を届かせることができない。だが、それでいい。

攻撃が届かないということは"油断"するという事でもある。

その油断を積み重ねて、一瞬の勝機を作りだす。

 

「ああぁぁあぁぁぁああ!」

 

一撃一撃全てを乗せた打撃を放つ。

勿論堅牢なゼロツーのアーマーを貫通するには至らない。むしろ殴り合えば不利になっていくのは自分の方だ。

それを理解していながらもゼロワンはゼロツーに立ち向かっていく。

その一瞬をつくるために。

その一瞬を逃がさないために。

或斗は絶叫する。

全てを守るという意思が、圧倒的な破壊衝動に呑まれない様に塗りつぶされぬよう、叫ぶ。

 

「…或斗君…。」

 

瑞鶴はその背中を誇らしげに見つめていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

エンタープライズが戦場に着いたとき、或斗は既に変身し終わっていた。

なんで、と思う。

それでも、エンタープライズは或斗の決断を尊重していた。

勿論納得なんてしていない。この変身に関しては後できっちりと問い詰める。

ただ、それはそれだ。

ここで勝てなければそもそも次がないのだから。

 

「…がんばれ…!」

 

今の自分では或斗が対峙している相手を斃すなんて到底無理だ。

だから、或斗に賭ける。

出来る事なら今すぐに助けに入りたい。

ただ、それは、五航戦(瑞鶴)も同じだ。

それでも彼女が静観を決めている以上、ここで自分が乱入しても状況を悪化させるだけだろうからだ。

助けに行ける距離なのに、余りにも遠い。

手が届く距離なのに、掴める気がしない。

この二年間で彼はどれほど「先」へ進んだのだろう。

今、この場に居る自分は「ユニオンの英雄」などではない。

守られる側のただのか弱い一般人だ。

だからこそ誓う。

次は、必ず傍で支えると。

 

だから、今は或斗の勝利を信じることがエンタープライズに唯一できることだ。

 

「…行って来い。…帰ったら説教だからな。」

 

優しく、力強い声で、或斗に呼びかけた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「うああぁぁぁあぁああぁああ!」

 

叫ぶ。

声の限り叫ぶ。

自分を保つために叫ぶ。

或斗はただひたすらに耐えていた。

ヘルライジングの負荷で意識が飛ばないように、「その一瞬」を狙い続ける。

 

「無駄よ。ゼロツーの予測能力の前にはどんな攻撃も無力ということに気づかない?」

「…生憎、僕は諦めが悪いんでね…!」

 

一方のゼロツーはこの余りにも一方的な戦いに嫌気が差してきていた。

例え、人類がどんなに技術を結集させても、この「ゼロツー」を超える事があり得ないと分かってしまったからだ。

 

「…なら、必殺技でも試していいわよ?ゼロツーなら簡単に受け止められるでしょうしね。」

 

そして、ついにその瞬間は訪れた。

絶対に届かないという余裕と油断。

それが、ゼロツーの油断に繋がった。

 

「…じゃあ、お言葉に、甘えて…!」

 

『ヘルライズチャージ…!』

『ヘルライジングインパクト!』

 

或斗はヘルライズキーを再び押し込む。

そして、全てのエネルギーを集めて殴りにかかった。

 

爆発が起きる。

爆炎に二人が消える。

爆炎が晴れたとき、そこに居たのは、攻撃を難なく受け止めているゼロツーと微動だにしないゼロワンだった。

 

「…やっぱりこんなものなのね。もういいわ。ここで死になさい。」

 

ゼロツーは無慈悲にそう言い放つ。

そして、ゼロツープログライズキーを押し込もうとした。

しかし、押せない。

 

「…体を入れて…ッ!?」

 

しかし、或斗は体を寄せることでその体を以て、ゼロツーの必殺を封じた。

 

『ギガライズ!』

 

そして既に必殺のチャージは完了している。

起動しなかったライジングホッパープログライズキーでもオーソライザーへの読み取りによるチャージには対応していたのだ。

 

「…返してもらう…!父さんたちの、夢の、証をぉぉおおぉぉぉぉおおぉぉ!」

 

『ヘルライズチャージ…!』

『ヘルライジング!』

『ギガ!インパクト!』

 

その一撃は正に「不可避」。

ゼロツーの予測全てが告げる「回避不能」にさすがのセイレーンも悲鳴を上げた。

 

「なっ――――!」

「おぉぉおおぉぉぉぉおおぉぉあああぁぁぁぁあぁぁぁぁっ!」

 

ゼロ距離で放たれたライダーパンチはゼロツーの装甲は砕くには至らない。

しかし。

ベルトを剥ぎ取るにはあまりにも十分な威力を持っていた。

 

「うあっ…!」

「…はぁ…はぁ…」

 

セイレーンは床を転がり、這いつくばる。

一方の或斗も辛うじて生きているという言葉がぴったりだった。

口からは血を吐き、全身が赤く染まっている。

それでも、或斗の手にはゼロツードライバーとゼロツーキーが握られていた。

 

「返しなさい!それは…!"人類の進化"に必要なモノよ!」

「違う!ゼロツーは…人と人工知能が、共に歩む証だ!決して人間を進化させるための舞台装置なんかじゃない!」

『ゼロツードライバー!』

 

そういうと、或斗はゼロツードライバーを装着。

 

「…もう、セイレーンを倒したんだ!変身する必要は―――!」

「ううん。まだ周辺海域の掃討がまだ終わってない。だから…後少し、やってくる。」

 

やはり、この少年はそこが窺い知れない。

だが、そもそもの話、9歳にしてあの自害用ともいえる形態に変身していたのだ。

その精神力は推して知るべしだろう。

或斗はゼロツーリベレーターを展開する。

 

『―――――Let's give you power !――――』

 

その瞬間究極の力を与えるとベルトが力強く宣言してくれる。

或斗はその事を心強く思う。

このドライバーを作った父親がすぐそばに居る気がするからだ。

 

『ZERO-TWO JUMP !』

 

ライズスターターを押し込めば自動でゼロツーキーが展開される。

そして、少年たちを守るように二匹のバッタが或斗達の周辺を飛び回る。

或斗がゆっくりと腕を回せばそれに呼応するようにかつて存在していた衛星ゼアを模したエネルギーが現れる。

 

「…行くよ、父さん。一緒に戦ってほしいんだ」

 

ゼロツーキーから「任せろ」とかつての父親の優しい声が聞こえた気がした。

 

「―――変身ッ!」

 

全ての思いを込めて叫ぶ。

そして、万感の思いを込めてゼロツーキーをゼロツードライバーに装填した。

 

『ZERO-TWO RISE!』

 

衛星ゼアのエネルギーが或斗を包む。

その瞬間或斗にアンダースーツが装着される。

 

『Road to glory has to!』

『Lead to grouwin' path to change! one to two!』

 

二匹のバッタが分割し、赤と黄色、そして銀の装甲を形成していく。

そこにあるのは確かについさっきまで、セイレーンの手に渡っていた戦士の姿だ。

 

『KAMEN RIDER ZERO-TWO…!』

『It's never over …!』

 

このゼロツーがある限り人類に、この世界に終わりなど無い。

そう思わせる姿だった。

 

「…一瞬で終わらせるよ。」

 

瞬間、ゼロツーが閃光となり、搔き消えた。

エンタープライズと瑞鶴が正気に戻った時には全てが終わっていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

990:ヘルライジング転生指揮官

終わったで。Vやねん!

 

991:名無しの転生指揮官

油断させてから最大級の必殺技かぁ…。相手がセイレーン以外だったら成り立たなかったな。

 

992:名無しの転生指揮官

まぁ勝ったんでいいでしょ。

 

993:名無しの転生指揮官

無事にゼロツー取り戻せたことだしな。

 

994:依存転生指揮官

よし!これで後は霊の二人のケアだな!

 

995:決闘蟹転生指揮官

そうだな。心のケアは大切だぞ。

 

996:名無しの転生指揮官

そうだな。特に依存ニキ。

 

997:名無しの転生指揮官

全く、依存ニキが言うと説得力が違うなぁ!

 

998:繧ュ≹「dhfh繧ォ

ありがとな、或―――イッチ。

 

999:名無しの転生指揮官

>>998

貴方ってやっぱり―――

 

1000:ヘルライジング転生指揮官

>>998

どういたしまして。―――父さん。

 

 




飛電或斗はゼロツーを手に入れた!

コテハン紹介

・繧ュ≹「dhfh繧ォ
この世界における「初代」のゼロワンで、飛電或人本人。既に故人。或斗の前世は分からないけれど、確かにどこかに魂は残っている。
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