叛逆の牙in ZEXAL(?)   作:リ・コントラクト・ユニバース

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遊戯王ZEXALはアニメも漫画も面白いのでおすすめです


No.1 夢の扉

 

 

 

「ど、どこなんだここは……」

 

目が覚めた。知らない路地裏。記憶喪失。

よくあることだ。

本当にそうか?

 

なんとなく覚えているのは、カードゲームの新パックを箱ごと買って帰る途中だった筈ということだ。

遊戯王デュエルモンスターズ、原作もアニメも大人気で、今なお世界中でカードゲーマー達が鎬を削るカードゲームだ。

 

俺は特にARC-Vに登場する、とあるドラゴンが大好きで———というのはどうでもよかった。

その大好きなドラゴンが入った俺のデッキが寝ていた俺の側に転がっていて、俺が今まで集めてきたカード達も一つの箱に収まって置いてある。

 

極め付けはこれだ。

【No.108 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】。

しかもOCGでは持っていないはずの、ナンバーズ以外との戦闘では破壊されない効果まで持っている。

 

「なんだこれは……」

 

既に頭が限界だというのに、もっと痛くなってきた。

No.108なんてカードはあのカードゲームには存在すらしていない。

No.カードは1から100までで、例外的に101〜107のオーバーハンドレッドやFNo.0、CINo.1000だのなんだのがあるだけだ。

ZEXALを視聴してないのでよくわからないが、【RUM-七皇の剣】の効果を鑑みても108なんて存在していいはずがない。そもそもダーク・リベリオンはARC-Vに登場するカードなのだ、 No.には全く関連していない。

 

もしかしてここは遊戯王ZEXALの世界なのか?

頭の痛みと現実から逃避するようにデッキを弄りまくる。

リンクやペンデュラムが使えないとなれば色々デッキを変えなければならない。それにペンデュラム以前のデュエルともなればルールも色々と異なるのだ、それに対応するデッキにしなければならない。

 

意味のわからん状況に翻弄されて、意味のわからんことをしてしまう。

知らない場所で目覚めたというのに、まずすることはデッキの調整。全くもってバカバカしい。でもこの時の俺にそこまでの判断能力は無かった。

エクシーズ主体、ランク2から4までを呼び出すのが基本戦術の、闇属性主体のデッキ。……はっきり言って強くはないだろうが今作れる中では結構いい方だろう。

 

よし!とかなんとか言ってデッキをデュエルディスクにセット。

デュエルディスク?どうして持っているのか。左腕に最初から付けられていただけだ、俺は知らない。

左目にはDゲイザー。これは確かARデュエルに対応する機械だった筈だ。

本当にZEXALの世界に来てしまったのか?自分で言って自分で笑ってしまう。

 

「夢に決まってるだろ、こんなの……」

 

そう、夢だ。

生活のほとんどをカードゲームに費やして現実逃避し続けてきたバカな俺の見ている夢だ、これは。

夢だったらいくらでも好きなことができる。

モンスターを呼び出して触れ合ってもいい、ZEXALの主人公とか登場人物を探してデュエルしてみてもいい、夢の中なら俺は自由だ。

このアホくさい、でも面白そうな夢が醒めてしまわないうちに、好き放題やらかしまくってみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は路地裏を歩き出した。

若干不気味だがなんとなく興味が湧いてきた。

遊戯王世界の治安は最悪だ、だがそのほとんどはデュエルを介している。

デュエルなら負ける気がしない。俺の組んだデッキならアニメのデュエリストぐらい簡単に倒せるのではないか、いや、アニメキャラのインチキドロー力で負けるのかもしれないが。

これは俺の夢だし、環境カードを積み込んで先攻でクェーサー3体立ててくる不動遊星とか黄泉天輪ホルアクティしてくる武藤遊戯とかもいるのかもしれない。それはそれで面白い。

 

とにかくだ、一度ぐらいデュエルしておかないともったいない気がする。ここがZEXALの世界なら、ブラコンで有名なカイトやマジックコンボで有名なシャークさんこと凌牙とかがいいか……それとも合体してカードをその場で作るゼアルとか。

……見てないのにネタだけ知ってるのって良くないよな。

せっかくNo.108を持ってるんだからバリアン七皇とかもいいかもしれないな。ミザエルの銀河眼と戦ったら見栄えが良さそうだ。

 

とかなんとか考えながら歩いていたら……ようやっと路地裏を抜け出すことができた。

薄暗い路地裏ではわかりにくかったが、時間は夕暮れ時らしい。

沈む夕陽があたりをオレンジ色に染め上げている。アニメみたいに綺麗な光景に、少しだけ感動してしまった。

 

お掃除ロボットが忙しそうに駆け回ったり、やけにスカートが短い女子学生だったり、デュエルをしている男子生徒だったり、海老のような頭をした少年と、全裸の真っ白い人型生物がいたりした。

……いや、あれ九十九遊馬とアストラルじゃね?

 

険しい顔で何かを探すようにあたりを見回して、走り回っていたのか息を切らしている。横には緑髪の少女、小鳥もいる。

主人公なんだし、何かイベントの最中なのかもしれない。今デュエルを挑んだらキレられかねないので近寄らないことにしておこう。

そういえばカイトはナンバーズカードを集めて暗躍しているし、凌牙は不良だしであんまり近寄らない方がいいのかもしれないな……。カイトに負けたら魂ごとナンバーズを引き摺り出されて管轄外って言われるらしいしな。怖い。

 

やっぱ狙い目は遊馬か……でも今は無理そうだ。

どうせ悪党でも探して回ってるんだろう、いくら俺の夢の中でも邪魔するのは気が引けるな。

ならどうするか……思ったより長い夢だし、まだ保つかな?

 

走り去っていく遊馬と小鳥に背を向けてなんとなく街の中を歩く。

近未来的な街の姿に、小汚い俺の服装は合わない。何度かお掃除ロボに身体を掃除されそうになったぐらいだ。

カードは汚れていなかったのが幸いだったが、スリーブがついていないのに全く汚れていないし傷もつかないのは不自然もいいところだった。まあアニメの世界なら手にカードが突き刺さったりもするからあり得るか……。

 

なんてことを考えていると、あっという間に日が沈んでしまった。

俺がここにきてから約1時間経ってしまったわけだが、何のイベントも起こらずに夢は覚めてしまうのか。いや、まだ終わる様子はない。

まだいけるさ。

 

 

 

 

 

不審者のように街中を練り歩く。

未だに夢が覚める様子はなく、人もお掃除ロボットも寝静まった時間になっても俺は1人で街を彷徨っていた。

ハートランドというらしい。

【No.53偽骸神Heart-eartH】や【No.92偽骸神龍Heart-eartH-Dragon】と関わりのある街らしい。

確かナンバーズの力でアストラル世界を滅ぼすとかなんとか、そういうことがあった筈だ。

 

不審者といえばダーク・リベリオンの使い手も不審者呼ばわりされていた時代があったな。俺とユートは似ても似つかないけど。

 

しかし本当につまらない。

夢の中ですらやることがないとは。

現実ならリモートデュエルだの、最悪デュエルリンクスでもやってればいい。だがせっかく遊戯王の世界にいるのにデュエルの一つもできないのはおかしくないか?

これもバカな俺に対する罰なのか?生殺しはやめてくれ。

 

『そんなにデュエルがしたけりゃ、このオレがさせてやろうか?』

 

何か聞こえた気がした。

あたりには誰もいない。

ただ真っ暗闇に街灯の光がポツンとあるだけだ。

 

『なんだ、気づいてなかったのか?ここだよここ』

 

無意識にデッキに手を伸ばしていた。

よく聞くと、声はデッキから聞こえてきていた。

カードの精霊?あり得ない話でもない。もしかしたら俺のカードが俺の愛に応えて出てきたのかも———とか馬鹿馬鹿しいことを考えて、1枚のカードを無意識に抜き取った。

 

【No.96ブラック・ミスト】。

レベル2のモンスター3体を素材としてエクシーズ召喚するカードで、もっぱら他のランク2を出した方が強いと言われるカードだ。

 

『よう。オレは【ブラック・ミスト】。ナンバーズカードってやつでね。訳あってお前の身体を隠れ蓑にさせてもらってる』

 

黒いアストラル、としか言えない見た目。

アストラルより遥かに邪悪で凶悪な表情を浮かべているが、どうにも敵意は感じられない。どっからどう見ても悪者です、って感じの見た目なのに。俺は今からこいつとデュエルして肉体を乗っ取られでもするのだろうか。それは嫌だな。

 

『……なんだオマエ。驚かないのか?』

「……驚いてるよ、充分ね」

『そうは見えないが……精神干渉にも失敗したし、記憶も断片的にしか読めない。なんなんだ?オマエは……』

 

精神干渉?記憶?物騒なこと言うなよ、怖いだろ。

夢にしてはあんまりにも俺に優しくない。

 

「隠れ蓑ってなんだ?そもそもお前は何者だ?あと本当にデュエルさせてくれるのか?」

『言っただろ。ナンバーズだよ。アストラルのヤツのことはお前も知ってるみたいだが……どういうわけだ?あとデュエルのことは……ああ、ちょうど来たみたいだぜ』

「え?」

 

ブラック・ミストが目を向けた先に振り向くと、時間が止まった。

比喩とか詩的表現とかではなく、本当に時間が止まった。

暗いし誰もいないから分かりづらいのだが、これが真昼の公園だとか雨降りとかだったら物凄い光景になってたんだろう。

しかし何故か俺は動ける。

つまりこれは俺を狙った誰かの攻撃?なんだか少しワクワクしてきた。

 

『オマエ、意外と精神図太いな……』

 

うるさいよ。

とは言わなかったが、取り敢えず身構えてみる。

何者であろうと、この世界ではデュエルが絶対。こんな超絶技能を持っていたとしてもデュエルで勝てば問題ない……筈だ。

現れたのはフードを被った……女?少しはみ出た長髪で判断した。

 

『ナンバーズハンターか……最悪のタイミングで現れやがって』

「ナンバーズハンター?それってカイトのことか?」

『カイトだぁ?ナンバーズハンターを知っててあの女を知らないなんてことがあり得るかよ』

「ええ?」

 

わからない。

ナンバーズ・ハンターなんてカードが作られてて、その見た目がカイトに似せられてたしカイトのことじゃあないのか?

そんなことを考えていると、その女は訳もなくフードを取り払った。

ピンク色の髪、後ろには思ったよりよほど長い黒髪が垂らされていて、なんとなく高貴?とか神聖?みたいな雰囲気を醸し出している。

顔も美人だし身体も女性的で魅力に溢れている。はっきり言ってタイプ。

 

『オイ、見惚れてる場合じゃねえぞ。あの女の凶悪さはハンパじゃねえ』

「凶悪?」

「アナタ、ナンバーズカードを持っているでしょう?無駄だとは思うけど……無抵抗で渡してくれはしないかしら」

 

ナンバーズカード……まあこれは十中八九ブラック・ミストの事だろう。108の事は誰も知らない筈だからな、まあ見てもわからないだろうし。

ブラック・ミストは依然警戒した様子でその女性を睨みつけている。

まあ無抵抗で渡されてくれなさそうな雰囲気だ。

 

『チッ、せっかく逃げ出してきたってのに初っ端からあの女に出会っちまうとはなぁ』

「……!そこにいるのはNo.96ね?遊馬とアストラルが封印したと聞いたけれど……また何か企んでいるのかしら?」

『……オマエには関係のない話だ』

「そうはいかないわ。アナタを野放しにしておくことはできない」

『やってみろ!人間風情が!』

 

オイオイオイ、俺を置いて口喧嘩するなよ。

ていうかこれって、俺がデュエルする流れ?

なんか雰囲気的にブラック・ミストの方が悪者なんだけど、俺も悪者?冗談じゃないぞ。

デュエルするのは望むところだけどさ。

なんて言ってると、ナンバーズハンターの右腕から赤い光が伸びて、俺の左腕———デュエルディスクに巻きついた。

これってデュエル終わるまで逃げられないとかそういうやつ?

 

「そうやって人の心を操って……アナタに暴れさせるわけにはいかない!」

『フン!オイ宿主様よ、デュエルがしたいんだろ?ならあの女を倒して見せろ、全力でな』

 

デュエルするのはいいんだが、状況が掴めない……。

まあともかくだ、どうせ夢なら全力でデュエルしてやるぜ!相手が美人な事だし、やる気出していこう!

 

瑠那:LP4000 手札:5

??:LP4000 手札:5

 

「「デュエル!!」」

 




漫画版から出張、ナンバーズハンターの瑠那さん。
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