旅の扉の間にはいつもと変わらない空気が流れていた周りは頑丈な壁で覆われ窓などはついていない、そんな空間に今日は複数の人影があった。
旅の扉の前にはそこを守るように槍を持った衛兵が、さらにその前にはテトラとグマ、ユーグリットが立っている。
「ではこの扉を潜ればこことは違う別の世界に着く…気をつけるんじゃぞ」
家でしたような説明をグマが繰り返す。
「テトラこれを持っていきなさい」
そう言ってテトラの手にユーグリットが何かを渡してくる、それは三角形を象ったような形に幾何学模様が並び中心には白銀の丸みを帯びた石がハマっている、どうやら実用性はない、お守りのようだ。
「お守りじゃよ、こんなジジイに貰ってもと思うかもしれんが気休め程度に持っていくといい。」
「そんなことないです、大事にします!」
「ホッホッホッいい孫を持ったのユーグリットよ」
そう言ってグマが茶化す。
「やかましいはその顎髭を引く抜くぞ、ほれ旅の扉は目の前じゃ行くんじゃテトラ。」
「別に会えなくなるんじゃなし、気をつけて行ってくるとええ、旅先で孫に会ったらよろしくな」
「はい、ユーグリットさんもグマさんもお体にお気をつけて。…それじゃ行こうか、ロビン。」
自分の近くに控えるパートナーに声をかける。
「イキマショウ、テトラ。」
「うん!」
その言葉を聞いたあと旅の扉に足を踏み入れる、その瞬間僅かな衝撃とともに淡い光が辺りを包み………光が収まった後にはそこにはテトラの姿はなかった。
ー▼【旅立ちの扉】▼ー
「……ラ……………トラ………テトラ…テトラ!」
「う、…う~ん……………あれ、倒れてた?」
「エェ…ホンノ数秒デスガネ。」
「そっか…。」
そう言って立ち上がり辺りに目を回す、自分の背後には通ってきたと思われる旅の扉が変わらぬ光を放っている、その周りは石造りの室内で、石のひやりとした冷気が地面から伝わってくる。
部屋の中には旅の扉の他にもうひとつ無骨な作りの扉が建っていた。どうやらその扉が外との唯一の出入口のようだ。
「外に出てみようかロビン。」
そう相棒に問いかける。
「ソウデスネ、ココニイテモシカタナイデスシネ。」
ロビンの返答を聞き、目の前の扉に手をかける、力を加えると僅かな抵抗のあと扉はすぐに開いた。
扉を開いた瞬間、隙間から零れる光に目を閉じる、光に目が慣れた頃、目の前には広大な世界が広がっていた。
どこまでも広がる蒼天の空が勢いのついた風を運び、草原を駆け抜けテトラの頬を撫でる、辺り一面に生い茂った草が風に吹かれて静かに揺れる、所々に幹の細い木が生え、魔物がその枝にぶら下がっている。遠くには見たことない魔物が群れをなし飛んでいく。テトラは改めて自分が別の世界に来たことを自覚した。
「すごい………。」
口をついて出た何気ない感想がテトラの今の現状を物語っている。
「エェ、絶景デスネ。」
ロビンも同じことを思ったようだ。
我に帰ったテトラは自分の後ろを振り返る、そこには石造りの建物のが建っていた。
「誰が建てたんだろう…。」
純粋な疑問が口から出る。
「コノ旅ノ扉ヲ作ッタ人ガ建テタノデショウカ。」
「分からないけど、多分そう…なのかな……でも今考えてもわかんないか………よし!まずは今日泊まるところを探そう!」
いつまで考えても答えの出ない思考を切り捨てこれからの事を考え始める。
「ソウデスネ、近クニ街カ村デモアルトイイノデスカ。」
「とりあえず探してみようか。」
そう言ってテトラはおもむろに歩き始める、これからの冒険に胸を高鳴らせて。
舗装されていない獣道をテトラ達は歩いていく、周りを当たりを警戒してかロビンはテトラより少し前を慎重に歩く。
その時、道脇の草むらが揺れ、目の前に何かが飛び出してきた。
テトラ達の前に躍り出るようにして現れたそれは横長の雫を半液体状にした軟体動物のようなモンスターであった。
スライム(×2)が現れた!
「「ピギィーーー!」」
「っ!野生のスライム!ロビン!」
「オマカセヲ」
ロビンがスライムに向かい合うようにして立つ。
スライム達は終始威嚇しており、和解の色はみてとれない。
「初めての戦闘だね!ロビン行くよ!」
「ソウデスネ、テトラ!指示ヲ!」
しかしテトラが指示を出すよりも早くスライムの片割れがロビンに体当たりで突っ込んでくる。
スライムの攻撃!
軽い音を立ててロビンが少し後ずさる、そこまでダメージはないようだ。
「ピ、ピギィーーー!?」
それよりも体当たりした方のスライムが涙目であたりを転げ回っている。その姿を見たもう片方のスライムが驚いている。どうやら思った以上にロビンの装甲は硬かったようだ。
その隙を逃さずテトラがロビンに指示を出す。
「ロ、ロビン、回転斬り!」
キラーマシン(ロビン)の回転斬り!
ロビンの関節部が一回転し、テトラの指示を受けたロビンの回転斬りは遠心力を伴って寸分違わずスライム達にヒットする。
「「ピギィーーーー!」」
悲鳴をあげたスライム達はその一撃で煙となって消えていった。
「や、やったね、ロビン!」
無事勝利できたことに安堵したテトラはロビンに声をかける。
「エエ、コノ調子デ行キマショウ。」
「うん!」
そうして戦闘を終えたテトラ達はまた道を進んでいく。
プロローグが少し長かっただけで投稿するとしたらこのくらいの長さかもっと短くなるかもしれません。