ROMAN DE ドォォォォン!! 作:霧鈴
気がついたら無人島にいた。周りの状況から見るに難破してしまい流れ着いたようだった。
人間まだチャンスがある時ってのは焦るもんだけど、なんかもう詰んでる状況だと意外と冷静になれるってわかった。それがわかるのは詰んでからなんだけどね。
このままだと餓死一直線とかシャレになってない。マジどうしよう?
船の残骸に何か食べ物とか救命ボートとか無線とか残ってないかと探してみたが何もない…
無人島に持っていくものアンケートとかで趣味の道具とか時間つぶしの本とかふざけた事を言ってるやつに言いたい。
無人島には帰りの手段を持っていけ!!
もしくは遭難しても繋がる連絡手段だ!!
ここが無人島だって言い切れるのは、小さな森があるくらいであとは何もないのが見渡せるくらいの小さな島だったからだ。
小さいながらも森があるんだし、木の実とか野草とか何かしら食べるものはあるだろう。
少なくとも俺にはサバイバルの知識なんてないし、キノコを見分ける慧眼も持ってないから木の実とかを探して飢えを凌ぐしかない。
ちなみに冷静に言うことじゃないけど、なぜか俺は子供の姿になってる。頭脳は大人、身体は子供ってやつだ。
もう状況がピンチすぎてこれからどうやって生きていけばいいのかを考えるのに必死なので理由まではわからんが、現状子供の姿になってる事と遭難して1人無人島にいる事だけわかっている状況だ。
とりあえず木の実を探して森を探検するしか生き延びる方法が見つからんので森の中へと入ってみた。
木の実あるけど木が高いよ!登ろうにも子供だから無理だよ!
必死の努力も虚しく食べ物にありつけないまま、その日は遭難した残骸を集めて風よけにして泥のように眠った。
次の日浜辺に変な物体が流れ着いてた。
メロンみたいだけど模様がオカシイ…が、食わなきゃ生きられないと思い一気に齧り付いた。
クッソ不味いけど、栄養のためだと無理やり全部口に入れて飲み込んだ。
あれだ。不味いものほど栄養があるとかそういう都市伝説みたいなもんだ。
不味い後味そのままに、木の実がダメなら釣りはどうかと思い、木の枝と糸と曲がった釘で即席の釣り竿を作ってみた。
ところが膝あたりまで海に入ったところで突然力が抜けて座り込んでしまったんだ。
一応意識して力を入れれば動けるんだが、ちょっとでも足の付かないところに行ったら間違いなく溺れ死ぬってくらい脱力感がある。
マジで意味がわからない。いくら子供の身体だからといって泳げなくなるなんて考えられない。
その前に泳ぐほどの深さにも行ってないし。
あれか?この身体が元々海に弱いとかなのか?それとも俺って海に嫌われてるのか?
…うん?
…え?
クッソ不味いメロン+海に入ると力が出ない=ということは…
やばい…冷や汗が止まらない。
これはアレか?モブに人権はないっていうビックリ人間たちが跋扈する世界なのか?
ダッシュで船の残骸のある場所に移動し何か情報がないのかと漁ってみたところ、ずぶ濡れの新聞を発見した。
なになに?百獣海賊団とゲッコー海賊団が争って百獣海賊団が勝利。はい確定。
やっぱり間違いないということは、俺も何かしらの能力を有しているというか、さっき食ったヤツがそれだったってことだよな…
ひとまず浜辺で自分の身体に変化がないかを確認してみるが、今のところ何も変わったところは見当たらない。
力を入れて光とか氷とか砂とか霧とか煙とか思い当たるものに変化させられないかと期待したが、まったく変わっている感じもしなかったし変わっていなかった。
つまり自然系ではないということだ。
誰もが欲しがる最強種なだけに、俺が食ったのがロギア系であってほしいと思ったが、やはり
なら後はなんだっけ?ちゃんと覚えてないけど動物系と人系とかそんなんだったな。
でも全身に力を入れてみて変わらなかったんだから動物系でもなさそうだ。
てことは残るのは人系か…
ルフィとかバギーとかが人系なんだったか。あとチョッパーもだっけな。
これでチョッパーが食ったヒトヒトの実とかだったらマジで泣くぞ。
人間がヒトヒトの実食ったら何になるんだろうな?真人間とかか?
まぁいい。とりあえず俺が食ったのは人系のやつで間違いなさそうだ。
とはいえほっぺた引っ張ってみたけど伸びないし、自分をバラバラにする勇気はないから確認は後回しにして、ひとまず海に入らないように釣りを再開しよう。
最悪は雑草を丸かじりするしかないけど、絶対にお腹壊す未来しか見えない。そこだけは見聞色の覇気がなくても未来視できるわ。
考えれば考えるほど悲しくなってきたので、ネガティブ思考を打ち切って釣り竿を引き摺って浅瀬へと移動しようとしたんだが、やけに釣り竿が重い…
振り返って見てみたら釣り竿がバカみたいにデカくなってた!あと俺の手も!
よくわからんがこれが俺の食った実の能力ってやつか!?
自分や触ってるものをデカくすることができるとかそういう感じなのか?
正式名称はわからないけど、たぶん「デカデカの実」とかそんな名前のやつかもしれないな。
さっき森で木の実を取れなかったが、デカくなれるのならば話は別だ。
もう一度森に戻ってデカくなった手を伸ばして木の実を取る事に成功した。
しかも嬉しい事に木の実をデカくすることもできた!これで食糧難の心配がなくなったぜ!
今のところ俺は身体の一部か触ってるものを巨大化させることしかできないようだ。
もっと能力を鍛えれば全身を巨大化させたりできるのかもしれないが…
ただ全身巨大化とかどう考えても最後に主人公にやられるフラグにしか思えんのだが…
あれか?俺にラスボスになれと誰かが囁いてるのか?
俺もロギア系でスタイリッシュなオサレムーブしたいんだが、モブの俺にはそれすらも許されないってやつなのかよ。
てか、巨大化して戦うとかラスボスどころかいいとこ中ボスじゃん。
いや今のままだと「序盤の」中ボスクラスがせいぜいってところか。
普通ならこの(自分も武器も)巨大化っていう能力で調子に乗るんだろうが、今の俺がそれをやったら確実に捕まるか殺されて人生終了だ。
……そうだよ。ものは考えようってやつだ。
なにせ俺は『覇気』の存在を知っている。習得の仕方はわからんけど…
そして覇気には3種類あり、『武装色の覇気』『見聞色の覇気』『覇王色の覇気』があることも理解している。
覇王色の覇気は才能だとか、生まれた時のランダム抽選だとか、血統や血筋だとか言われてたはずだ。
モブな俺がこの抽選に当たっているなんてあり得ない。つまり覇王色の覇気は使えないだろう。
次に見聞色の覇気。なんか気配を感じたり声が聞こえたり未来が視えたりするすごい力だったはずだ。
だが巨大化した俺が未来視で攻撃を避けようとしても、スピードタイプに翻弄されてボコボコにされるのが目に見えてる。
俺の能力的に見聞色の覇気は相性が悪い気がする。
最後に残ったのは武装色の覇気だ。なんか黒くなって悪魔の実の能力者にもダメージを与えることができるとかなんとか。
鍛えれば武器とかにも纏わせたりとかできたような気がする。
巨大化させた武器に武装色の覇気で強化して叩き潰す。
うん、これいけるかもしれない。てかこれが最善な気がしてきた。
俺が仮に2年修行したからといって、覇気を全部使いこなすようになれるなんてあり得ない。
まぁルフィの場合はレイリーに教えを請う事ができたからこそなのかもしれないけど…
今の俺は方向性を固めてそれだけを磨いたほうがいいだろうな。
あと武器も1つ決めたい。毎回毎回戦いの度に全身巨大化して戦うとか見た目が悪すぎる。
もう脳筋力押し戦法で行くって決まってるんだから、武器もロマンのある武器にしたいな。
巨大化させた剣で叩き斬る…うん、悪くないな。ただ避けられたらどうしようもない。
巨大化させた銃で撃つ…それやるくらいなら、誰だっけ?ルフィの爺ちゃんみたいに砲弾投げたほうが早いな。
いっその事素手で殴るか…完全に被るがルフィみたいに腕だけ巨大化させるってのもアリと言えばアリだな。だが武器でもないしロマンって感じでもないか。
ロマン溢れる武器って言ったら……やっぱりハンマーが思い浮かぶな。
巨大化させたハンマーで敵を叩き潰すってのはいいアイデアかもしれないな。
襲いかかってくる大勢の敵を巨大なハンマーで一撃粉砕!とかロマンじゃね?
いっそ大勢の敵どころか町1つを叩き潰せる破壊力とか最高じゃね?
いやむしろ町1つどころか、島1つ丸々叩き潰せるハンマーとかできたら、それはもうロマンの塊じゃん!
なんか考えれば考えるほどに良いビジョンしか思い浮かばないぞ。
ゴムだから打撃は効かない?
剃とかの高速移動で逃げる?逃げた先も攻撃範囲内だとばかりに振り下ろされる超巨大ハンマーに逃げ場なんてあると思うなよ。
ロギアで実体をなくせば攻撃が当たらない?そんなの関係ないとばかりに武装色の覇気で強化されて振り下ろされる超巨大ハンマーで叩き潰してやるぜ。
夢が広がってきた!!
丁度残骸の中に船の修理用だったであろう木槌があったので、巨大化させてみたらアラ不思議!完璧なハンマーに早変わりだぜ!
これならばイケル!今のところ将来の予定は考えていないが、仮に海賊になろうが海軍になろうが関係なく戦えるはずだ。
当面の目標はできたので、まずは覇気の特訓と能力を鍛えるところからだな。
この島で特訓を始めてどれくらい時間が経ったのか、日付や時間を確認する手段がないからまったくわからないが、それらしく形にはなってきた。
最初なんて自分で巨大化させたハンマーが持てなくて、まずは自由自在に振り回すところからスタートだった。
おそらくこの世界で一番ハンマーを振り回してたはずだ。たぶん俺に勝てるのはアイスクライマーくらいだろう。
とにかく自分を追い込むためにひたすら苦行みたいな事を繰り返した結果、能力のほうはある程度把握して自在に使えるようになった。
当面の目標は俺が巨大化させたものを、俺が手を離しても戻らないってのが理想なんだが今のところはまだうまくいっていない。
覇気のほうは…たぶん覇気?みたいな感じだが使えるようになってきたと思う。ちなみにあくまでも武装色の覇気のみのため、見聞色の覇気は使える見込みすらない。
まずこの島に獰猛な動物とかいないから鍛えようもない。最初からそっちは覚える気もないんだけどさ。
なにせ覇気の使い方を教えてくれる人がいないせいで、特訓自体がこれで合ってるのか間違ってるのかすらわからないんだよ。
後は実戦で経験を積むのと、できれば誰か覇気を知ってる人にきちんと教わっておきたい。
贅沢を言えば、あといい加減肉を食いたい。いくら少量の食い物を大きくできて腹いっぱいに食べられると言っても果実とかだけじゃ物足りない気持ちもある。
そして、ここは無人島といっても離島のような感じのようで、かなり遠くではあるが島を見つけることができた。
丁度俺が残骸と一緒に島に流された場所と反対側だったから気づかなかったんだな…
俺は残骸から見つけておいたお椀とスプーンを持ってきて巨大化させる。これで船の完成だ。
完全に一寸法師だけど、俺には船を作ったり修理したりなんてできないし仕方ない。
手を離すと元に戻っちゃうからちょっと面倒だけど、その中に集めておいた果実や残骸に残っていたお金などをボロボロのリュックに入れて放り込み、スプーンをオール代わりにして無人島から人のいる島を目指すことにした。
俺がこの世界中に