ROMAN DE ドォォォォン!! 作:霧鈴
「…………え?」
それを言ったのは誰だったのか、その場に集まっていた全員が固まり、王女が倒れていく光景を目にしていた。
ここにいる全員が真実を知った…そう思った矢先の出来事だった。
「「「「「ビビ様!!」」」」」
そう。誰よりも国と民の事をを想い、心配する護衛隊長と共に敵対組織に飛び込んだ王女は今、その身体から真っ赤な血を流し倒れ伏している。
誰もが時間が止まったように動けなかった中で、銃口から煙を上がったままの銃を今もなお王女に向けていたのは反乱軍の1人だった。
「今更王族の人間が自分たちの罪を他人に被せる気か!?」
王女を撃った男はそう言いながら周りに取り押さえられていく。だが、一度引かれた引き金はもう戻る事はない。
そして王女を撃った男に同調する者、非難する者、王女を否定する者、肯定する者と様々な者たちの言い争いが始まり、一発の銃弾が鎮まったはずの戦いの空気を呼び起こしてしまった。
そして至る所で口論になり、どちらも退く事なく自分たちの主張や恨みを言葉という武器を使って切りつけていく。
止まらぬ口論は暴力へと発展し、最早泥沼の戦いへとその姿を変えていった…
「…おいおい、なんで止まったはずの戦いが始まってるんだよ?あとは王女に任せておけば良かったんじゃなかったのか?」
確か俺は巨大な剣を叩きつけて全員の目を引き、そこに現れた王女によって無駄な争いは回避したはずだ。そして後を王女に任せてクロコダイルの元へと向かおうと移動を始めようとしていたんだ。
だがそこに聞こえた銃声によって戻ってみると、なぜか両軍入り乱れての大乱闘になっていた。
何をやったらこんなことになるんだ!?王女は何かやらかしてしまったのか?
俺がやめろと叫んでも誰も振り返りもせず、黒幕はクロコダイルだと叫んでも誰も話を聞こうともしない。
…そうか。そんなに肉体言語が好きなら俺も
少し頭冷やさせてやんよ!さぁ…OHANASHIの時間だ!!
言葉が通じないならハンマーで語るまで!という事で俺はいつもよりも巨大化させたハンマーを振りかぶり、争ってるやつら目がけてスイングでぶっ飛ばしていく。
おー、木槌の頃よりも少ない力でも十分な威力になるな。
どうせこいつら全員俺の仲間じゃないんだから遠慮もいらんわな。
ちょうどいい準備運動だバカヤローどもめ!
空へと吹き飛ばし、叩きつけて地面に埋め、国王軍も反乱軍も男も女も関係なくハンマーの餌食にしていく。
1回のスイングで200人ぶっ飛ばし、叩きつけては300人を地面に埋める。
そこには戦いではなく、一方的なハンマーによる暴力の嵐だけがあった。
逃げようとするヤツらには望み通り
そうやってかなりの時間ハンマーを振り回し続け、気がつけば立っているのは俺1人となり、周囲には頭を冷やされた人間たちが大量に埋まっていた。全員白目を剥いていたが。
「「「「「……………………」」」」」
「頭は冷えたかバカヤローども!余計な時間使わせやがって!」
マジでかなりの時間を費やしてしまったじゃねーか。これじゃクロコダイルがどこにいるのかまったく見当がつかないぞ。
…ここからならお城のほうが近いな。まずはお城に行ってみて、クロコダイルがいなかったらカジノのほうへ向かうか。
と、思ったら誰か立ち上がってきやがった。仕方ない、もう1回頭冷やさせてやるぜ!
「待って!!」
1人なので少しだけ大きくしたハンマーを振りかぶって叩きつけてやろうとしたらそんな声が聞こえてきた。
しかし俺には止まる理由なんぞない!せーの…ドォン!っと。
「ねぇ待ってって言ってるでしょ!?」
うん?避けられてもう一度振りかぶろうとしたらまだ何か言ってる…ってよく見たら王女じゃん。
なんでこんなところにいるんだ?
急ぎたいのは山々だけど、王女なら戦う必要もないしと思い話をした結果、一緒にカルガモに乗ってお城へ向かうことになった…
どうやら撃たれて気絶したけれど、意識は少しして戻ったので一部始終見ていたらしい。
そこから「クロコダイルのところに行くなら私も連れて行って!」とか言い出し、遅くなるから嫌だと返事して行こうとしたら、横で一緒になって気絶してたカルガモを寝起きビンタで起こして着いていくと聞かなかった。
ちょうどいいからカルガモに一緒に乗せてもらいながらここまで来た経緯を聞いてみたところ、やはりロビンの計画通りに社員が集まってる島に着いてから、カバンにある見覚えのない書類の束を発見したみたいだ。
すぐにでも護衛隊長と一緒に戻ろうと思ったがお互い違うペアの相手もいるし、その島に来るときに乗っていた船は出てしまい、残っているのは小舟しかなく、それでもこっそり抜け出そして急いで戻ろうとしていたところに海賊がやってきてしまったと。
そこで王女は「小舟で移動するよりもあの海賊船を奪えば、ずっと早くアラバスタに戻ることができるはず」と思い、まずはバロックワークスの社員や島にいるエージェントと一緒に海賊を倒すことにしたらしい。
ところがどっこい、いつも通りに歓待して油断したところを捕獲するはずが、その海賊が強くて全員返り討ちになってしまってさぁ大変。
そこで護衛隊長が何を思ったのか、突然その海賊に「自分たちを乗せてアラバスタまで行ってほしい」と頼みだし、紆余曲折の末に王女と護衛隊長は一緒に海賊船に乗ることになったんだって。
一路アラバスタを目指して船を出したんだけど、どうやら賞金稼ぎの島とアラバスタの直線上を走っていたらたまたま島が見え、その海賊船の船長がどうしても行ってみたいということで食材などの補給を兼ねて少しだけ寄り道することになったみたいだ。
そこにいた巨人と仲良くなって見送ってもらい、船を進めていたら航海士が倒れて急いで別の島で医者を探すことになったと。
そしてその先にでトナカイの医者を仲間に入れて戻ってきたところ、国王軍と反乱軍が総戦力で対峙していると聞いて急いでここに来たらしい。
どうやら一緒に来た海賊たちは、反乱を止めるために協力してくれるらしく、今はクロコダイルがいるであろうレインベースとスパイダーズカフェ、そしてアルバーナ王宮と手分けして向かってくれているとの事だった。
詳しく聞いてみたが、やはりその海賊というのは麦わら帽子を被った船長と若い少数の船員だけの海賊団みたいだ。
そうか…偶然なのか必然なのかわからんけど、結局原作主人公はこのタイミングでここに来るのか。
なんか状況が思ったよりも混乱してきて、俺もクロコダイル倒す以外にどうしたらいいかわからなくなってきた。
最後は後で怒られる前提でロビンに丸投げすればいいと思う。てか、俺にはそれしか解決策が思い浮かばない。
お城も見えてきた頃、同時に砂嵐みたいなのが巻き起こっているのも見えてきた。
やっぱりクロコダイルはお城のほうに来たみたいだな。てことはロビンも一緒にいるのかな?
「クハハハハ、ここはルーキーが粋がって来ていい海じゃねぇのさ。すでにこの国の人間同士の殺し合いは始まっている!こう誰にも止められねぇんだ」
「こんにゃろ!お前を倒せばまだ間に合う!ビビも向かってるんだ。あいつならきっとなんとかしてるはずだ!」
あ、丁度クロコダイルと麦わらのルフィが戦ってる。だがすまんクロコダイルよ。ご高説のところ悪いが殺し合わせる予定だった国民はみんなハンマーの餌食にしてしまった。
「ルフィさん!!」
「クハハハ!てめぇのような生意気なガキが海賊気取って早死にするのさ。そしてこの国の国民たちもな。どいつもこいつも国のためだと笑わせやがる」
どうやらお城に着いたのは麦わらだけだったようで、他の仲間はここには来ていないようだな。
麦わらの攻撃は結局どれもクロコダイルには通用せず、最後は身体から水分を奪い取られてやられてしまった。
ってあれ?なんでロビンが国王と一緒になって血を流して倒れてるんだ?
「…おいそこのクロコダイルさんよ。なんでそこでロビンが倒れてるんだ?」
「あぁ?誰だてめぇは。この女は俺の邪魔になるかもしれないからさ。国王は俺がこの国で求める物を隠そうとした。だから2人揃って仲良くこうなってるのさ」
なるほど、邪魔になるかもしれないからか…確かに邪魔をするつもりだったわけだが、そう言われると腹が立つな。
たぶんクロコダイルはプルトンがここに眠ってると思っているから、同じくプルトンを求めたんだと思っているロビンを今のうちに排除しておこうとしたってところか。
しかしこの場で戦おうにもロビンも国王も倒れてるんじゃ下手に暴れられないしどうするか…
「クロコダイル!!お前のせいで!!」
「おい王女!いいところに来た!お前はロビンと国王を連れてこの場から離れろ!」
倒れた麦わらのほうへ走っていった王女が戻ってきて、そのままクロコダイルに挑もうとしていたので倒れている2人を離れさせる。ナイス登場だ王女!
これでロビンが俺の攻撃の巻き添えになる心配はないだろう。
「クハハハ、次はてめぇの番か?命知らずなバカは長生きできねぇぜ?」
「ああそうかよ。俺はお前は許さん!これだけは使いたくなかったが俺を怒らせたお前が悪い!ロビンをやってくれた礼にお前にも絶望をくれてやるよ!」
これだけは本当に使いたくなかった。理由は…何よりも格好悪いと思うからだ!
いつもならば持っているハンマーに力を入れるように巨大化させているが、今回は自分の全身に力を入れて巨大化させていく。
だんだんと目線が上がっていき、人間が指先で摘めるほどの巨体となってクロコダイルを見下ろした。
巨人族がどれくらいのデカさなのか直接見た事がないからわからんが、今の俺は恐らく巨人族くらいかそれ以上の大きさはあるだろう。
これが俺のあんまり使いたくない最終手段。それは…俺自身が巨人になることだ…!
巨大化は敗北フラグだが…俺は今日そのフラグをへし折る!
手にしたハンマーも巨大化させているが、今の巨人サイズの俺にとっては本当に片手で持てる金槌の大きさだ。
それを釘を打つように振り下ろせば…破壊力は見たままとなるわけだな。
「くっ!それがてめぇの能力か!だが俺には当たらねぇぞ!」
「なら当たるまで振り下ろせばいいだけだろうが!」
クロコダイルが避け、俺はひたすらハンマーを振り下ろす。王宮に逃げようが関係ない。
武装色の覇気を纏い黒くなったハンマーでひたすら叩き続けていく。
ワニワニパニックなら出てきたところだけ叩くところだが、俺は隠れている王宮ごと叩くのでどれだけ身を隠そうが関係ないぞ。
王宮が壊れる音と地響きだけが繰り返し辺りに響き続けているが、まだクロコダイルに当たらないな。
「てめぇ…まさかその力まで使えるとは思わなかったぜ。だがそれだけじゃ俺には当たらねぇな!」
「そうかよ…ならもっとハンマーがでかければ問題ないな」
「なっ!てめぇはこの国がどうなってもいいってのか!」
「そんなもんお前に心配される筋合いはない!心配するくらいならさっさと叩き潰されろ!」
いくら巨人化したとはいえ、やはり片手ハンマーじゃ簡単に避けられてしまう。
やはり腐ってもロギアということか…ならばやはり城を一撃で粉砕できるハンマーで叩き潰すしかないな。
ハンマーに力を入れてもっともっとデカくし、クロコダイルに向かって叩きつける!
見聞色の覇気を使えないから、当たったかどうかもわからないのでとにかく叩き続けていく。
しばらく叩き続けていたが、クロコダイルが出てこない…なら最後に更に巨大化させたハンマーで念のためのトドメをさしておくか。
「クロコダイル、聞こえているか知らんが覚えておけ。お前は俺の大事なものを傷つけた…だから今から粉々に叩き潰してやんよ!」
「やめて!お願いだからもうこれ以上町を壊さないで!」
最後にどデカイのを一発くれてやろうとしたら、下のほうから王女が何故か止めろと叫んでいた。
だがここで止める理由など俺にはない!ロビンはもっと痛かったはずだ、たぶん。
「おい!もうやめろ!ゴムゴムの…ライフル!」
静止の声を聞かずに振りかぶった俺に麦わらが攻撃してきた。そんなもん痛くねぇよ。
お前の相手は後でしてやる。まずはクロコダイルを……
「コリエ…シュート!」「鬼…斬り!」「必殺…卵星!」
次から次へと…お前らの相手は後にしようと思ったが、先に相手してほしいなら叩き潰してやるぁ!
もぐら叩き再開だ。チョロチョロと飛び回るヤツらをひたすらハンマーを振り下ろし叩いていく。
ゴムだから打撃は効かない?こちとら武装色の覇気入りハンマーだ!こいつは痛いぞ!
刀で受け止める?誰かが言ってたが速さが重さじゃねぇ!質量こそが重さだ!受け止められるなら受け止めてみろや!
飛び回ろうが逃げ回ろうが関係ねぇ!逃げる範囲ごと叩けば当たるんだよ!
「…ハンマ、もうやめて。お願いだから止まって」
「ロビン!無事だったのか!?」
そんな巨人となって暴れまわっていた俺に聞こえてきたのは、とても聞き覚えのあるロビンの声だった。
ピタリと暴れるのを止め、そして同時に頭に血が上っていたのが一気に冷静になって逆に血の気が引いていくのがわかった。
これはやりすぎたかもしれん…
王宮は粉々になっており、町も瓦礫だらけになっている。
ひとまず巨人化を解除してロビンの元へ走り、怪我の様子を伺っておく。
どうやら刺されはしたが今は意識もあるし大丈夫そうだ。とはいってもフラフラなのは間違いない。
ここは全力で誤魔化そう!
「ロビン、大丈夫か!?とにかく治療しよう。いや何も言わなくていい。きっと立っているのも辛いはずだ。ここじゃ満足な治療はできそうにないな…よし、俺が連れてってやるから心配いらないぞ」
「ハンマ…そこに座りなさい」
「………ハイ」
「私も立ってるのが辛いから座るわね。ハンマ、あなたの事だから私が倒れてるの見てああなったんでしょうけど、ちょっとやりすぎにも程があるわよ?」
「違うんだロビン。聞いてくれ。あれはクロコダイルの仕業だったんだ。クロコダイルが王宮の土台を砂にして脆くしてたんだ」
やべぇ…ロビンが怒ってる気がする。ロビンの言う通り倒れてるところを見て頭に血が上っていたわけなんだけど、それだけだとマズい気がしたのでクロコダイルにも責任がある事にしてみた。
まぁそんな魂胆なんてロビンにはお見通しなわけで「嘘を言ってごまかすのはこの口かしら?」ってほっぺを引っ張られてしまった。いひゃい。
俺がやったことって、国民同士の争いを止めるために国王軍も反乱軍も叩き潰して、クロコダイルを倒すために王宮や町ごと叩き潰しただけだな…うん、怒られても仕方ないかもしれない。