ROMAN DE ドォォォォン!! 作:霧鈴
「…悪いがその誘いには乗れないな。俺にも予定ってものがある」
「えーー!?いいじゃねぇか。一緒に冒険しようぜ!」
てっきりそのまま出ていくもんだと思ったら、なぜか俺が勧誘されてた。
別に勧誘すること自体は自由だから構わないけど、俺にはロビンが立てた「クロコダイルを倒して七武海になろう」計画がある。
確か黒ひげがエース倒して七武海に加入してたんだから、クロコダイル倒した俺はアラバスタ国王の推薦までもらってるんだから加入できる可能性は高いだろう。
そして海賊じゃないほうがいいって言って国王に推薦してもらうんだから、ここで俺が海賊になるなんてなったら問題だ。
空島のポーネグリフなんて、ルフィがゴロゴロのヤツを倒した後にゆっくり見に行けばいいだけなんだから急ぐ必要もない。
「俺たちにもいろいろと都合と事情があってな。お前たちが海賊じゃなく冒険家とかとして海を渡るなら考えないでもないが…」
「それはいやだ!おれたちは海賊なんだ!」
「つまりそういうことだ。お前たちが海賊である以上、今の俺たちにとっては都合が悪いのさ」
「ねぇ、もしかしてあなた海賊が嫌いなの?」
ルフィに都合が悪いってちゃんと説明してるんだが、これ通じてるのか?てか、ルフィたちは別に海賊じゃなくても問題ないと思うんだが、そのあたりはこだわりか何かなんだろう。
そう思ってたらナミから嫌いなのかと聞かれたが、別に嫌いなわけではないんだ。
ナミならばわかってくれるだろうと思い、国王に海賊ではない七武海としての推薦をしてもらうために海賊にならない事を説明し理解してもらう。
あと大事な事なのでロビンを守るためにも必要な事だということもちゃんと付け足しておく。
ロビンは現在8900万ベリーもの賞金を懸けられているわけだから、ルーキー海賊の船にいるのと七武海の庇護下にいるのとでは安全度が全然違う。
「そういうわけだ。たぶん腹いっぱい飲み食いできるとか食料的な意味で俺が欲しいんだろうが、俺は海賊になる気はないぞ」
「あなたの言う事ももっともね。確かに海賊じゃない七武海になって守るっていうのなら、海賊の仲間になれるわけないわよね」
「そんなのおれたちが守ればいいだけだろ?仲間は多いほうがいいじゃねぇか」
「…じゃあこうしよう。俺と模擬戦をしてそれだけの力があると見せてくれ。悪いが今の俺の中では、お前たちは俺よりも弱いと認識している。つまり俺はロビンだけじゃなくお前たちまでも守らなきゃいけないって事になってしまうからな」
煽るつもりはないが、少なくとも今は俺のほうが強いということを伝えておく。
こちとら幼少期から具体的な敵をイメージしながら修行してきたんだ。今はまだ偉大なる航路前半のため聞いたことすらないだろう覇気だって習得している。武装色だけだけどな。
この言葉にはルフィだけでなく、ゾロやサンジも反応していた。まぁブチギレ巨人化状態だったとはいえ、一方的にやられたからな。遺恨はなくても悔しい気持ちはあるんだろう。
「「「「……………………」」」」
勝負はあっけなく終わった。結果?もちろん俺の勝ちだ。
ゴムの身体というのは応用力も高いんだろうが、今のルフィじゃ伸ばして攻撃する程度だ。
俺は応用も何も巨大化させて武装色の覇気でぶっ叩くくらいしかできないが、道半ばとはいえすでに20年以上もこれ1本で戦ってきた。
「これでわかったろ?誘ってくれるのは嬉しいが、今はそれぞれの冒険をしようぜ」
ルフィとの模擬戦も金槌を巨大化させて武装色の覇気を纏って叩きつけただけだ。
覇気を纏っていなければただの打撃だから効果はないんだろうけど、こっちはこの世界を認識してからハンマーのロマン的な戦い方を含め模索し続けてきている。
「おーい、ルフィ。生きてるか?」
「……くそっ!やっぱハンマはつえーな」
「そりゃこれでも海賊やらマフィアやらを叩き潰しまくってきたからな。強くなるための特訓はいろいろやってるんだぜ」
まぁこれは決闘とか意地のぶつかり合いとかじゃなくあくまでも模擬戦だし、力試し的な感じだから終わってしまえばこんなもんだ。
それに覇気でダメージがあるとはいえ、ゴムだからそこまで重症にはならんだろうし。
「…なぁハンマ。偉大なる航路にはあのワニとかお前よりも強いヤツがたくさんいるのか?」
「そりゃいるだろ。ここは偉大なる航路でも入ってすぐのほうだ。強いヤツらってのは後半の海とか海軍本部とかにたくさんいるんじゃないか?もちろん俺みたいに海賊でもなくうろついてるヤツだって他にもいるかもしれないしな。こう言っちゃなんだが、もっと強くならないとこの先苦労するかもしれないぞ?」
お互いにな、とは思っていても口には出さないでおく。
あー、マジで白ひげとの戦争どうしよう…七武海に入ることが確定したら、本気で旅なんてせずに修行しまくらないといけないかもしれないなぁ。
あの戦争には巨人族もいたのにまるで引き立て役みたいな扱いだったし、今回みたいに自分を巨大化させてもダメだろう。
もしそれをやるなら白ひげの船を片手で握りつぶせるくらい、つまり…数百mのデカさにならないといけないはずだ。たぶん。
…もう戦争の招集だけ拒否したりできないかな?
「…決めた!おれたちはしばらくここで修行して強くなることにするぞ!」
「うん?別にここじゃなくても冒険しながらでもいいんじゃないのか?」
「ここならハンマがいるだろ?それに負けっぱなしも悔しいからな!」
「ああ、そりゃ名案だ。ハンマは剣士じゃねぇがリベンジはしときたいしな」
「マリモと同じ意見ってのはアレだが、ここらで腰を据えて特訓しとくのも悪くねぇな」
「…俺は俺の予定を優先するからな?ずっとは付き合えないぞ?」
なんでだよ!?早く空島の平穏を取り戻してこいよ!あとウソップとナミとチョッパーの事も考えてやれよ!
…でも結局この3人も戦う必要が出てくるんだし、特訓しといて損はないな。南無…
そこからは食事の時間だけ料理を巨大化させたり配膳したりして、それ以外の時間は修行をしまくった。
とはいってもルフィたちの相手してる時はハンマー振り回して一方的にぶっ飛ばしてるほうが多かったんだが…
それでも極限状態ならば掴めるものもあるだろう。俺だって海王類と海の木片の上でバトって強くなれたんだ。
ナミたち?泣きながら逃げ回るのをハンマー振り回して追いかけてただけだ。さすがにホームランとかもぐら叩きは可哀想なのでやらなかった。
だからといって、俺と目が合うだけでビクッとするのやめてくれないかな…
そんな事をしてたら、政府のほうに伝えてもらった推薦が届いたようで一度こちらに来てくれということらしい。場所は海軍本部との事だ。
ロビンには危ないのでアラバスタにいてもらい、ルフィたちにその旨を伝えて1人で海軍本部へと出かけていった。
「君がクロコダイルに代わる新たな七武海として推薦されているハンマだね。私は海軍本部元帥のセンゴクという者だ」
「元帥がなんでまた?」
「ああ、君は海賊じゃないから楽にしてくれて構わないよ。アラバスタ王国では国を救うためにクロコダイルを倒したと聞いている。そして、七武海という海賊に対する抑止力には海賊じゃないほうが安全だという事もね。君の意見は至極もっともな事だ」
あれ?この意見はロビンじゃなくて俺が出した事になってるのか?まぁそのほうがロビンにも俺にも都合がいいからそうしたんだろうな。
センゴク元帥の話では俺が出した意見はもっともなんだが、名の知られていない一般人を七武海に任命しても抑止力としての効果が薄いだろうということだった。
まぁ俺がやってたことって、海賊やマフィアを一方的に叩き潰してただけだからなぁ。
相手なんて確認せずに巨大ハンマーで海の藻屑にしてきたから、俺の事を知ってるヤツのほうが少ないのかもしれない。
アラバスタに着いてからなんてバロックワークスとして活動してたから無名だろうし。
クロコダイルを倒したって言っても、それだけじゃインパクトに欠けると言われたらそれまでだ。
フフフ、クロコダイルがやられたか…所詮ヤツは七武海最弱の男…みたいな感じなんだろう。
でもそうなるとどうなるんだ?
「君の今までの功績は海軍でも少しは把握しているつもりだ。ウエストブルーでハンマーを使い海賊船やマフィアの船などを一方的に叩き潰していたと聞いているよ」
「あ、それ見られてたんだ。船ごと叩いてたし、賞金稼ぎみたいにいちいち捕まえたりしなかったから知られてないのかと思ってた」
「ああ。小さな船から巨大なハンマーが生えて、海賊船を叩き潰したりふっ飛ばしたりしているのを海軍の船が目撃していてね。悪魔の実の能力者のようだが、海賊行為をするわけでもないから意図がわからず静観していたんだよ。ただ、今回で少しわかったことがあってね。君が七武海に入りたい目的は…これだろう?」
そう言って出してきたのはロビンの手配書だ。さすが知将、そこまでわかっていたのか。
まぁ俺が海軍に見られてるって事はロビンも見られてるって事だし、大体ロビンだけ賞金額上がってたわけだから知ってて当然だよな。
でもそうだとするとセンゴクの目的が見えないな。ロビンだったらわかるんだろうか?
「そう警戒することはない。君や彼女に何かをしようというわけではないのだ。ただ、君は彼女が何をもって手配されているのか知っているのかい?」
「ああ、知ってるよ。オハラが
「…そうか。君はそれを知っていて七武海に加入、いや政府の下につくという事でいいのかな?」
「ここにいる事がその答えになっているだろう?俺はあんたらにいい印象は持っていないが、かといって海軍憎しで襲ったりもしていないはずだ」
うーん。これ七武海の面談っていうよりも、ロビンに手を出さない代わりに海賊狩れって言ってるって事なのか?
俺にはセンゴクが何を考えているのかがわからんから、どう答えれば正解なのかがまったくわからん。
結局この問答の意味がわからないまま終わり、結果は追って知らせる的な感じだった。
これ結果が出るまでアラバスタにいないといけないのか?それとも何か別の連絡手段でもあるのか?
部屋から出て帰ろうとしたら、今はまだ会いたくなかった人物が俺を待ってたよ。
「ちょっとだけ時間いいか?すぐに終わる」
「…なんでアイマスク?」
「これは…アレだ。あるとよく眠れるんだ」
もじゃもじゃ頭でアイマスクをつけたノッポさんだ。そう、大将青キジである。
そのまま青キジの部屋に連れられてソファに座れとの事だった。早く帰りたい…
「お前がクロコダイルに代わる七武海に推薦されてるんだってな。話は聞いてるぜ」
「…これってどういうシステムなの?もしかして順番に面談していくの?」
「いや、俺のは個人的な話だ。面談はセンゴクさんがやってるから俺は関係ないと思っておいてくれ。それでだ。お前を呼んだのは、お前が来たっていうんで少し話してみたかったってだけだ」
「海軍を恨んでないかとかそういう探り的なやつ?」
「…やっぱ聞いてたか。まぁ恨まれても仕方ないんだが本題はそこじゃねぇ。お前がどういうヤツなのか見ておきたくてな」
あぁ、そういう事か。つまり青キジは恨まれててもいいけど、自分が逃した子がちゃんとまっとうに生きていってるのか知りたかったとかかな?
後は騙されたり唆されたりして迂闊な行動を取らないかとか?
確か原作では「寄る辺なく彷徨っているならこの俺が引導を渡してやる」的な感じで凍らせたんだっけか。
心配するな青キジよ。ロビンはちゃんと可愛い女の子に育っているぞ。たまに小悪魔になるが…
「そこは無用な心配だな。ロビンはめちゃくちゃしっかり者で世話焼きだぞ。ずーっと一緒にいる俺が言うんだから間違いない。たまに怒ると怖いがな。あと俺の考えが筒抜けな時があるんだが、なんか考えが読まれないようないい方法とかないの?」
「そんな事俺が知るか…まさかノロケを聞かされるとは思わなかったぞ…面倒くせぇがこれなら大丈夫そうだな…時間取らせて悪かった。もう帰ってもいいぞ」
青キジが心配していたであろうロビンがちゃんと育ってるかについては、俺が思っている事は全部ではないが伝えた。これでたぶん青キジもロビンをわざわざ狙おうとは思わないはずだ。
今の俺ではまだ青キジたち大将には届かないだろうから、下手に襲ってこられては困るしな。
別に嘘を言ってるわけでもないし、ロビンの事が正確に伝わってくれているだろう。
でもロビンには青キジの事言ったほうがいいのかな…あんまりトラウマ刺激したくないし、ただの面談だったって言っとくか。