ROMAN DE ドォォォォン!! 作:霧鈴
「…………なにこの状況?」
海軍本部に行って面談してアラバスタに戻ってきたのはいいんだが、目の前にある光景に理解が追いつかない。
ルフィたちとロビンが戦ってるのは、まぁ俺とやってる模擬戦みたいなもんだろうからそれはいいんだ。
ただ、なぜかロビンが一方的にルフィやゾロを近づかせずに圧倒してるんだ…
「くそっ!ロビンもつえーな!」
「ふふ、直接戦えばあなたたちのほうが強いのかもしれないけれど、これでもハンマと一緒に小さい頃から過ごしてきたのよ」
「ちっ、確かにこいつはハンマみたいに力ずくじゃねぇ…だがその分こっちが力を出せないようにしてきやがるからやりにくくて仕方ねぇな」
ルフィやゾロが攻撃しようとしても、地面から生えた腕が足を掴んだり肩や頭から生えた手が目を塞いだりして攻撃させないようにしている。
サンジたちはそれを見ているので、何でこんなことになってるのか聞いてみた。
どうやら俺がいなくなってからも修行してたらしいんだが、そこにロビンが顔を出して「その程度じゃまだまだハンマには届かないわよ?」とか言われたらしい。
それを聞いて食って掛かって、1人ずつあしらわれてたんだけど「このままじゃ私の訓練にもならないし2人で来てくれないかしら?」とか言われて今の状況になったそうだ。
まぁロビンの能力は攻撃力とか上がるわけじゃないけど、その分応用力は桁外れだと思うしなぁ。
でもなんでわざわざ訓練なんてしてるんだろ?歴史の話とか聞き終わって時間ができたのかな?
「…そろそろ終わりにしましょうか。ハンマも戻ってきたみたいだし」
「ただいまロビン。結果はわからんけど元帥と面談してきたよ。ところで何でまたルフィたちと訓練なんてしてるの?」
「今回クロコダイルにやられた事で少し考えたのよ。せめてロギアが相手でも身を守れるくらいはできないとってね」
「あーなるほど。それなら納得だ」
ただそれなら見聞色の覇気を身につけるのが一番なんだけどなぁ。
俺が使えないから教えられないし、教えたところで理解できないって顔されるからどうしていいのかわからん。
でも多人数相手とかは俺もやってたしどこかで役に立つだろう。ルフィたちも搦め手を使う相手との戦いは良い経験になるはずだ。
ロビンのほうだって相手がロギアだからこそ不覚を取ったものの、本来の裏社会を渡り歩いてるロビンに比べてうちのロビンは強くなっているはずだ。
そのうち「分身の術」やら「身代わりの術」とかも考え出しそうな感じすらする。
…いつか千手パンチやってもらえたらいいな。
アラバスタ王国のほうも、アルバーナの再建の目処が立ってきたようだ。
大量の木材や石材が必要にはなるが、半壊の修復じゃなくて更地で1から作り直しな分いろいろと「あそこはああしよう」とか「せっかくだからここはこうしよう」とかワイワイ話し合っているらしい。
なんかもう大丈夫そうだし、俺もちょっと今後に備えて本格的に修行したくなってきたんだよな…
青キジと戦う可能性は低くなったと見ていいと思うんだが、七武海になれなかった場合にはロビンが狙われる可能性も出てくる。
少なくとも俺と一緒にいるってことはもう海軍に知られてるわけだし、万が一のためにも今よりもっともっと強くならないと…ちょうどいい修行の場所ないかな?
…あるじゃん!ロギアと戦えて、もし俺が負けても大丈夫な相手が!
「ルフィ!ちょっとの間だけど一緒に冒険しようぜ!」
「お?やっぱりハンマも冒険したかったんだな!よし、すぐにいこう!」
そうだよ。次は空島じゃん。つまりルフィがいれば俺が負けても問題ない案件だ。
雷なんて食らったらどうなるのかわからないけど、今の俺がどこまで戦えるのか試すには絶好の機会だよ。
しかも相手は見聞色の覇気持ちだったはずだ。空島を海に叩き落とすくらいじゃないと勝機はないだろう。
ルフィを保険として利用するようで悪いが、ウダウダ悩むよりロマンを求めて突き進むのが俺だ。
それにポーネグリフがあるからロビンも幸せ、命がけではあるがロギア相手の修行ができて俺も幸せ、言うことなしだ。
そしてオマケに、俺が一緒にいればルフィたちも食材の残りとか気にせず存分に飲み食いできて、つまりはみんな幸せだ。
アラバスタのみんなには「俺たち修行しながら旅してくるからがんばれ!」とエールを送って、ロビンと一緒に乗ってきた船に乗り、ルフィたちのメリー号と一緒にアラバスタを出発した。
移動中は特に変わった事もなく、偉大なる航路らしい天候と海だった。空からガレオン船が降ってきた時は「そんな事もあったなぁ」とハンマーで叩き壊し、猿が来た時は「あーこんなのいたっけなぁ」と眺めていたりしてた。
ジャヤ島に着いてから思い出したんだが、ここって確か黒ひげいなかったっけ?
もし俺がここであいつを叩いておいたら、俺が七武海に入るのに余計な横やりを防げるんじゃないのか。
そしてその結果エースと黒ひげの激突がなければ、俺が七武海に加入してもあの戦争を回避できるかもしれない。
そうなれば俺が余計な未来を気にしてソワソワしたり焦ったりする必要もなく、ただただロマンを追い求めてハンマーを振るえるんじゃないだろうか。
やべぇ…名案すぎて自分の閃きが怖い。
「ハンマ。また変な事考えてたんでしょうけど、麦わらくんたちは町に空島の情報を集めに行ったわよ?」
「あれ?もう話は終わってたの?じゃあ俺もちょっとウォーミングアップしてくるから、ロビンはここで待っててよ」
「つまり暴れてくるってことよね。あまりやりすぎてお尋ね者になっても知らないわよ?」
大丈夫だロビン。確かここは無法地帯のはず。つまり、どれだけ暴れても災害みたいなもんで泣き寝入りするしかない町なんだ。
そして俺にとっても無法地帯は都合がいい。これから空島で戦う前に、今の俺の力でどれだけの威力を出せるかの実験にもってこいなんだ。
雨が降っても雷が落ちてもみんな運が悪かったって考える。ましてここは偉大なる航路だ。
ここに来るまでにガレオン船だって降ってきたわけだし、超巨大なハンマーが降ってくる天気だってあっても不思議じゃないはずだ。
「お、ルフィ、ゾロ、ナミ、空島の情報は何かわかったか?」
「ハンマ!あんたなんで一緒に来てくれなかったのよ!変なのに絡まれて大変だったんだから!」
「うん?何か問題でもあったのか?」
「いや、何も問題はねぇよ。ナミの言う通り変なのに絡まれただけだ」
ちょうど町に向かってるところで帰ってくるルフィたちと会った。なんかルフィとゾロだけ怪我してるな。
なんかあったっけな。ああ、空島なんて存在しないとかなんとかか。
…まぁ俺には関係ない事だ。何せ今から町のヤツらは
「ハンマも町に行くのか?」
「ああ、ちょっと町の天気が変わるんでな」
「?そっか、おれたち先におっさんのところに戻ってるぞ」
まぁ俺もすぐ戻るよ。この島の天気を「晴れ、
今の俺ならばこの町を覆うくらいのハンマーが軽く生み出せるかもしれない。
今まではハンマーだけを超巨大にしてたから気づかなかったのか、クロコダイルの時に今まで使わなかった巨人化をしたことによってなのかわからないが感覚が少し変わった気がする。
通常の俺のサイズでハンマーを超巨大化させても、巨人化した時にはそこまで大きく感じなかった。
だが巨人サイズになってから更に超巨大ハンマーを生み出した事で、その大きさの感覚を覚えることができたんだろう。
町から少し離れたところで止まり、金槌を手にして力を込めていく。まだまだ、もっともっとデカくだ…
いくぞ無法者ども!俺のこれからの安寧のための生贄になりやがれ!
最大出力の覇気込みハンマー連打だ!ドォンドォンドォンドォンドォン!…っと。
町のヤツらからすれば、黒い鉄の塊が突如として町の外に出現して、そしてそれが考えられない早さで上下に反復運動を繰り返して町を粉砕していくんだ。
まぁ一撃で運良く意識を失えるといいな。やってる俺が言うのもなんだが。
そのまま町の至るところを念入りに叩き潰していく。隅っこにいて逃げられても困るからな。
もはや町があったという痕跡すら残さないほどにハンマーで叩き続け、すべてが更地になった結果見晴らしのいい景色だけが見えている。
酒場も、リゾートホテルも、人間も、動物もなにもない。わずかに海辺に漂う木片だけが、ここに何かあったんだろうという痕跡になっているくらいだ。
うむ!いい感じの威力になってるな。でもまだハンマーのサイズをもっと大きく、そしてもっと早く振り上げ振り下ろしできるようにならないとダメかな。
現時点の威力の確認や課題なんかを考えながら、ロビンたちが待つクリケットの元へと戻っていく。
これで黒ひげ一味が全滅したと思うんだが、俺の攻撃の難点は倒したのかどうかの確認ができないところだな。
視認する前に相手が逃げる場所のないくらい巨大なハンマーで攻撃する上に、念入りに連打してるから余計にわからない。
こういうとき見聞色の覇気があれば認識できたりするんだろうか?誰かコツとか教えてくれないかな…
「ハンマ。あなた暴れすぎよ?こっちまで地響きが届いてたんだから」
「マジで?まぁあんだけやれば響いても仕方ないよね」
「…何やってたのか詳しく聞かなくてもわかるわ。あなたのハンマーはここからでも見えてたもの」
「あー…そりゃあれだけのサイズなら見えててもおかしくないもんな。まぁ課題も見つかったからやってよかったよ。まだまだ修行が足らないな」
戻って早々ロビンに何やってきたのかバレてた。てか見られてた。
そりゃ町1つ覆うくらいのハンマーなんて遠くからでも見えて当然だよね。
でも今から攻撃しますっていうのが周りにも丸わかりなのはどうにもならないもんなぁ。
俺がモックタウンにハンマーを叩きつけていた時に、他のみんなは空島に行くために鳥を探しに森へ入っていたらしい。
なんとか捕まえることはできたんだが、その間ずっと地響きが続いていたので地震かと思っていたそうだ。
ロビンだけは聞き慣れたリズムの地響きだったもんですぐわかったみたいだし、少し遠くを見渡せば見慣れたハンマーが見えるしで俺が暴れてるように見えたんだろう。
一応言い訳をさせてもらえば、決して無駄に暴れてたわけじゃないんだ。未来のためなんだよ。
俺の全力の確認、黒ひげを全滅させることで戦争回避、無法者を町ごと殲滅することでクリケットは黄金取られない、良い事ずくめだ。
今の時点ではただの破壊行為でしかないけど、ちゃんと未来を見据えてやってることなのさ。
だからロビン、そんな「ハンマったらストレスでも溜まってるのかしら?」みたいな疑わしい目で見ないで。もし七武海になれなくて狙われても手を出せないように力の痕跡を残しておくのだって必要な事なんだから。
少々奇行に走ったみたいに見られたけど、その後は無事船を出して空まで打ち上げられることに成功した。
確かこのあたりで黒ひげが現れて1億の首だとか教えてくれるはずだけど、既に黒ひげさんは俺がハンマーの餌食にしてしまっているので誰も教えに来てくれる人はいない。
…ってクロコダイルを俺が倒してるからルフィは1億になってないんじゃね?
まぁいいか。懸賞金なんて少ないほうが狙われにくいし、ルフィたちだって冒険したいだけなんだからきっとこのほうがいいに決まってる。
「ここが空島かー。ロビン、ここにもポーネグリフあるといいな」
「そうね。そんなにすぐに見つかるものでもないけれど、せっかく空島なんて珍しいところに来たのだからいろいろ見るのも悪くないわね。でもさっきのアレは良かったのかしら?」
「別にいいんじゃない?空島には空島のルールがあるのかもしれないけど、ダメならそのときは謝るか開き直るかするよ」
ロビンはそんなすぐに見つかるわけがないだろうと思ってるのか、比較的観光気分で空島を見て回るつもりのようだな。
入り口みたいなところでお金を払う払わないについては何も言わず眺めているだけにしておいた。
どうせ最後は戦うんだし、お金がないわけじゃないけどルフィたちが払わずに俺たちだけ払うのもなぁ…って思ってたら船ごと運ばれてたよ。
まぁ今回は比較的気楽な旅だし、ロビンの言う通り空島を見て回ろうかな。