ROMAN DE ドォォォォン!! 作:霧鈴
「ロビン、七武海の説明と顔合わせのためにちょっと海軍本部まで行くことになったよ」
「ハンマったら、七武海になれたんだからもっと喜ぶのかと思っていたのに。どうしてそんな複雑そうな表情をしているのかしら?」
「いやぁ…てっきり民間人だし七武海に入れないだろうと思って、別のプランを計画してテンション上がってたもんだから肩透かしというかなんというか…」
「ふふ、ハンマったらいつまで経っても変わらないわね。そうやっていろいろ考えて、最後には暴れまわるのがハンマだもの」
え?俺ってそんなキャラだったの!?頭脳派とは口が裂けても言えないけど、これでも結構インテリ脳筋キャラだと思ってたんだけど…
いや、ロビンの言う通りいろいろ考えて最後に暴れてるわ。どっかの暴君くまじゃないけど、的を射ているとはこの事だな。
まぁ海軍本部には行くんだけどアラバスタの時と違って、知らない町でロビンだけ残していくなんて俺はしない。かといってロビンを海軍本部に連れていくなんて事もしないが。
こんな事ならルフィたちに一時ロビンを預かってもらえばよかったかな?それはいくらなんでも子供扱いしすぎか。
適当にログの示すまま進んでいっても海軍本部の近くまでは行くんだし、どこか歴史の古い島とかのんびりできる島があったらそこで待っててもらおうかな。
たどり着いた島で電伝虫を貸してくれた海軍の駐在さんにお礼を言って、島を出てからログの示すまま海を進んでいく。
そういえば空島で観光とかしてて忘れてたけど、新しくやってみたいことができたんだよな。
あの自称神様は雷だから素で相手の攻撃を避けて「どこを攻撃している?」とか「残像だ」みたいな事ができるんだろうけど、俺はパワー全振りだからスピードはまるっきしダメだ。
そこで俺が思いついたのが攻撃に当たり「やったか!?」と期待を持っている相手に対する「…いま何かしたのか?」である。これは相手に絶望を与える名シーンだ。あとカッコイイ。
つまり武装色の覇気を全身に纏わせて防御力を上げるわけだが、ただ覇気を纏うだけなら今でもできている。だがそれでは俺の求めるものには足りない。
なんせこれから先は覇気が標準装備みたいな戦いが続いていく可能性が高いわけだし、七武海に入った以上四皇とかの抑止に使われる事だって考えられる。
なんか見聞色の覇気は極めれば未来が見えるとかなんとかだった気がするけど、武装色の覇気は極めたら何が起きるんだろ?
いや、何が起きるかは自分で確かめればいいんだ。まずは覇気の練度と密度を上げて常に纏えるようにするところからだな。
かのサイヤ人たちだってそうやって強くなっていったんだ。参考になる知識は頭の中に山程ある。
まずはパワーを上げるには怒りが一番だ。よし、アラバスタでロビンが刺されたのを思い出して…だんだんムカついてきたぞ。よくも、よくもロビンを…!!
「ハンマ、ご飯できたわよ」
「…おっけー今行く」
まぁぼちぼち修行もしていくとしよう。もう戦争は起こらないんだし、ロマンと冒険をいい具合に堪能してかないとな。
ロビンの作ってくれたご飯を堪能しながら他愛のない話をしつつ、ぼんやりとそんなことを考えていたんだが…この味はなんか最近食べたような?
「あ、これって空島の食材?」
「ええ、せっかくだから買っておいたの。あまり量はないけれど、傷む前に食べないともったいないでしょう?」
「食べたくなったらまた行けばいいじゃん。そうか…俺が空島に届くくらい巨大化できるようになればいいのか。これはいい目標ができたな」
「…あなた世界でも滅ぼすつもりなの?空島に届く巨人って、それってもうレッドラインすら軽く跨いで通れるわよ?もし躓いたらレッドラインのほうが崩壊しちゃうかも」
それはなんか俺のイメージするロマンと違うから目指さなくていいや。やっぱり覇気と能力を鍛えていくほうが良さげな感じだな。
でもレッドラインすらも跨いで通るってのはちょっと惹かれるものがある。俺にドジっ子属性はないので「今何か踏んじゃった?」とか言って聖地を粉砕するなんて事はやらないと思うが。
ロビンは相変わらず呆れ半分理解不能半分みたいな目で見てくるけど、ロビンの能力でもやってもらいたい事たくさんあるんだよ?
ハナハナの能力はどこかに自分を咲かせることなんだから、うまくやればこの世界のどこにでも自分を咲かせることができるかもしれない。
そして咲かせた自分と入れ替わることができれば瞬間移動だって分身だって夢じゃないんだ。
まぁそれはさておいて、ロビンと2人でゆっくりご飯食べるのは当たり前だったのに久しぶりな気がする。
騒がしいのがいないってのは静かで良いなと思う部分と、なんかちょっと物足りないと思う部分があるから不思議だな。
食事も終わり、ログを辿りながら船を進めていく。もちろん途中で出会った船を沈めて行くのを忘れずに。
もし民間船だったら怒られるかもしれないけど、こんな海賊船がそこら中にいる偉大なる航路で民間船がチョロチョロしてる事もないだろう。
「ハンマ、島が見えてきたわよ。あとついでに海賊船らしき大きな船も見えるわね」
「わかった。あの島がログの示す島なんだったら海賊船叩き潰してからログが溜まるまで休憩かな」
ちょうどご飯ができちゃったから中途半端で終わってる特訓の再開だ。
しっかりとイメージして…おのれクロコダイルめ!よくもロビンを…
「よくもロビンをぉぉぉ!!!」
巨大なハンマーが怒りと共に海賊船に振り下ろされる。
かなり大きな海賊船だから相当な人数が乗っているんだろうが、まさか上から攻撃がくるとは思うまい。
一撃で海賊船を粉砕することはできたんだが何か違うな。これじゃ特訓にもなってないただ海賊を叩き潰すといういつもの行動だ。
怒りによって多少は攻撃力が上がっているのかもしれないが、俺が求めているイメージとはだいぶ違うような気がするな。
「ねぇハンマ。あなたの中で私はどうなっているのかしら?」
「どういうこと?」
「私はあの海賊たちに何かをされた覚えはないのだけれど…」
あぁ、そういうことか。そりゃ突然「よくもロビンをぉぉ!!」って海賊を攻撃しだしたら意味わからんよね。別にロビンが間違ってるわけじゃないよ。
ちょっと怒りでパワーを上げようとしただけだということと、その怒りのためのイメージとしてロビンが刺された時の事を思い出しただけだって説明しておいた。なんか複雑な顔してたけど。
まぁ俺自身の成果はあまり得られなかったが、海賊はちゃんと叩き潰しておいたから島の人は安心だろうから良しとしよう。
そう思ったら島が見渡す限りただの草原だった。もしかして無人島だったのかな?
しかもそれなりの人数が島に上陸していたようで、何やら出店みたいなのとかいろいろと置いてあった形跡がある。
全部俺が海賊船を叩き潰した余波で波にさらわれたりしてるけど…
もしかしてお祭りとか宴会が好きな海賊たちだったのだろうか?「島が見えたぞー!野郎ども祭りだーー!!出店を出せーー!!」とか?
だとしたら悪いことをしたかな?いや海賊だし別にいいか。ここは偉大なる航路だし、これも気候の一種だということにしておこう。ほんと怖いな偉大なる航路って海は。
「海賊船は潰したけど海賊どもはそこそこ残ってるな。もう一発お見舞いしてやろうかな?」
「ちょっと待って。もしかしてあれって麦わらくんたちじゃないかしら?」
「うん?どこだ…………あーいたいた。確かにルフィたちじゃん。何やってんだあいつら」
「ハンマが船を潰した海賊たちと一緒にいるみたいね。ここから見た感じだと、たまたま出会って仲良くなって宴会でもやろうとしてたとか?」
うげ…もしそうなら俺悪者じゃん。いやまぁ別に悪者でもいいんだけどさ。もう開き直って七武海らしく海賊を殲滅してやるか。よしそうしよう!
ここでは何か天変地異があって原因不明だけど海賊が全滅した。このプランでいくしかない。ルフィたち?巻き込まれるとは運がなかったとしか言いようがないな。
明らかに固唾を飲んでこちらを凝視する海賊たちの目の前に立ち、これからの自分たちの運命を告げてやる。
「初めまして、そしてさようなら海賊ども」
「ふふ、ハンマ。もう言動すべてが極悪人よ?」
ロビンさんちょっと静かにしててね。せっかくカッコよく登場してるんだから最後までキメさせてよ。それに民間人に対して言ってないから問題ないんですぅ。
じっとこちらを見ていた海賊たちに対して強キャラムーブっぽい挨拶してみたんだが、そんなに極悪人みたいな感じではないと思うんだよね。
俺の記憶が確かならば、鷹の目なんて海賊を襲った上に理由が「暇つぶし」とかだったはずだもん。
つまり俺も暇つぶしに海賊を潰しに来たとかのほうが良かったのかもしれん。
「…訂正だ海賊ども。俺の暇つぶしに海の藻屑となれ」
「それだとさっきよりも悪人っぽいわよ?」
「うーん、別に正義の味方なわけじゃないからなぁ…とりあえずこいつら潰してから何かカッコいい言い回しとか考えてみようかなぁ?」
「ちょっとハンマ!あんたなんでわたしたちまで巻き添えにしようとしてるのよ!やるならあいつらだけにしなさいよね!」
「え?海賊同士で交流してたんじゃないの?てかナミはなんでロビンの後ろにいるわけ?」
ロビンから極悪人みたいと言われたから言い方変えてみたらあんまり変わってなかったようだ。
毎回登場するたびに言うわけじゃないけど、こういう台詞回しとかってテンション上がったりもするからちょっと考えてみるのも悪くない。
ロビンとそんな事を海賊たちを目の前にして相談してたら、様子を見守っていた中からナミがやってきて自分を巻き添えにするなと言い出した。ロビンの後ろに隠れながら…理由はロビンの近くは安全だから、ということらしい。ナミのやつ賢いな。
だがなんでも何もここにいる俺とロビン以外はみんな海賊なわけだし、別に先制攻撃したところで何も問題ないだろうに。
大体空島から別れる時だってちゃんと言ってあったはずだぞ。そんなもん知らん?それは俺も知らんわ。
「大体なんでお前らここにいるのさ?てっきりもっと先に進んでると思ってたわ」
「ログを辿ってこの島に来たんだけど、こいつらが突然海賊のゲームとやらをふっかけてきたのよ。しかもルフィたちはそれに乗っちゃうし。断ったら誇りに傷が付いちゃうとかで受けるしかなかったのよ」
「海賊同士でゲームって…やっぱ普通に仲良く交流してるだけじゃねーか。あれか?ぶっ潰すのはゲーム終わってからにしてくれとかそういうことか?」
「なんでそうなるのよ!…それよりハンマ、ちょっと協力してくれない?たまにはゲームして気分転換するのも悪くないと思うのよ。ついでにチョッパー取り返してくれたらそれでいいわ」
なんかよくわからんがゲームなのに誇りに傷がつくのか?しかも俺たちにも参加してチョッパー取り返してこいとか、ナミはなかなかいい根性をしてるよな。
てかチョッパー取り返すって、花いちもんめでもやってたのかな?まぁ相手の気持ちは理解できる。俺でも最初にチョッパー狙うな。だってかわいいもん。
とはいえ、答えはNOだ。俺の場合、勝とうが負けようが最後にはどうせ叩き潰すんだからゲームをやる必要なんてない。
それに俺とナミとの会話を周りで聞いていた海賊たちも我に返ったのか戦闘態勢で向かってこようとしているようだしな。
「フェフェフェ。おいお前、よくもうちの船を潰してくれたな」
「ん?別に礼はいらねぇぞ」「そうね、海賊船を見たら叩くのはハンマの習性みたいなものだものね」
「大方俺の懸賞金目当てで戦力を削ぎたかったんだろうが残念だったな。俺のクルーたちはほとんど船を下りていた。ケンカを売ってきたんだから覚悟はできてるんだろうな?」
「お前が誰で懸賞金いくらかも知らんが叩き潰す覚悟ならできてるぞ」「ええ、相手を確認したことなんて今まで一度もなかったわね。懸賞金なんてもらいに行ったことのほうが少ないくらいじゃないかしら」
「…つまり相手も見ずにケンカ売ってきたわけか。ふぇっふぇっふぇ、なら教えてやる。俺たちはフォクシー海賊団!そして懸賞金2400万ベリーの船長、銀ギツネのフォクシーとは俺のことだ!」
「わざわざ教えてくれるのか。まぁ海軍本部に向かってるわけだし手土産にはいいかもしれないな」「でもきっとまとめて叩いてしまって、いちいち探すの面倒だからって放っておくんでしょうけれど」
「…あれ?ロビンって俺のこと嫌いだったっけ?」「いいえ、大好きよ?」「だよね」
おかしいな?ロビンからの合いの手というかツッコミが何か怒られてるような気がしてきたんだが。
もしかしてちゃんと賞金首は換金しなかった事を根に持ってたりするんだろうか?でも2人乗りの船で賞金首をいちいち海軍に届けてたら手間がかかって仕方ないと思うんだけど…
そんな前口上も終わりさぁ叩きのめすかと思っていたら、それを見ていたルフィたちから「待った」がかかった。
なんでも「俺たちが先に受けた勝負だし、チョッパーも取り返さないといけないから待て」ということらしい。
なんかもう面倒になってきたから放っておいて先に進もうかな。