ROMAN DE ドォォォォン!!   作:霧鈴

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20.ロビンは偉大なる航路を進むドン!

 

 

「なぁロビン、この水水肉っていうのおいしいぞ!」

 

「ふふ、そうね。でもあまり食べすぎるとコックさんのご飯が入らなくなっちゃうわよ?」

 

あれから麦わらくんたちと一緒にログを辿っていき、今は造船の島ウォーターセブンへとやってきている。

ハンマがどれくらいで戻ってくるのか、先に進んでいてもいいのかわからなかったのでしばらくこの島で逗留して待ってみることになった。

どうやらハンマから直接私のことをお願いされた航海士さんの「ロビンを1人にはさせてはいけない」という言葉のおかげでどこかに行く時は常に誰かと一緒に出かけたりしている。

今日は船医さんが私と一緒に町を散策することになった。

 

賞金首とはいえ元々そこまで行く先行く先で狙われるわけじゃないし、そんなに神経質になる必要はないと思うのだけど…

 

今は船医さんと一緒に本屋へと行きお互いに見たい本を見て買ってから、屋台で少しこの島の特産品を食べたりして過ごしている。

他のみんなはそれぞれ買い出しだったり観光だったり、後は空島の黄金を換金して船を修理するとか言っていた。

私とハンマが乗っている船は小さいけれどしっかりしているので大掛かりな修理は必要ない。

それに愛着は多少あれども、あんまり傷んでいるようであれば「それじゃ乗り換えようか」となるから彼らの気持ちはそこまで共感できないのよね。今までもそうだったし。

 

ハンマもまだ戻ってこないし、王下七武海って説明とか研修とかあるものなのかしら?

 

元々私がアラバスタでクロコダイルから協力を持ちかけられた際に考えたハンマの七武海加入計画だけど、ここまではうまくいっていると思う。

海賊を見たら「とりあえず叩いてみる」がモットーみたいなハンマだから丁度いいと思ったのだけど、正直なところここまでトントン拍子に進むとは思わなかったのよね。

というのも、クロコダイルがロギア系な以上なんとかアラバスタから追い出すことはできても、確実に勝てるとは思わなかったから。

 

結果的にハンマがクロコダイルを倒してくれたから良かったものの、援護するつもりだった私が真っ先にやられちゃったのには思うところがある。

小さい頃からずっと守ってくれているし、せめて足手まといにならないくらいには戦えているつもりだったけれど…それではまだ足りていないことを実感させられた。

 

ハンマがどうやってロギアであるクロコダイルを倒したのかわからないけれど、戻ってきたら詳しく聞いてみようかしら?麦わらくんたちも知りたがってたみたいだし。

でも麦わらくんたちはあくまで海賊だものね。そう考えるとハンマが聞かれて答えるのかは私にもわからないわね。

 

それにしても私にはハンマの基準がわからないわ。麦わらくんたちを信用しているのかと思ったら普通に攻撃したりするし、かと思ったら「ロビンをよろしく!」とか言って勝手に預けて海軍本部に行っちゃうし。

20年も一緒にいたら多少なりとも考えって似たりするものなのかと思ったらまったくなのよね。

 

「船医さん、そろそろ戻りましょうか。もうみんな船に戻ってきてる頃よ」

 

「わかった!ロビンも一緒にご飯食べるんだろ?」

 

「ええそうね。ハンマが戻ってくるまでは大人しくお世話になるつもりよ」

 

「うぇっ…なぁ、ロビンはハンマが怖くないのか?」

 

あら?ハンマってこの船医さんの事は可愛がってる気がしてたけど、まさか反対は怖がられてるとは思わなかったわ。

まぁたまに特訓とか言ってハンマー振り回して追いかけ回してたみたいだから、苦手意識を持たれるのもハンマの自業自得なのかしら。

一応怖くないって事は説明しておいたけれど、こればっかりは慣れなのかもしれないわ。

 

 

麦わらくんたちの船に船医さんと一緒に戻ったところ、何やら口論のようなものが聞こえる。

珍しいわね。いつもは無駄に騒いではいるけどそういう感じではなかったのに。

 

「今戻ったわ。ところでこれは何の話し合いなのかしら?」

 

「おかえりロビンちゃん。この船を乗り換えるって話でルフィとウソップがちょっとエキサイトしちまってね」

 

「あら、思ったよりくだらない話だったのね」

 

戻ってコックさんから口論の原因を教えてもらったが、私にとって意味がわからない内容だった。

つい率直な感想が口からこぼれてしまい、狙撃手の長鼻くんが私を睨みつけてきた。

 

「おいロビン!お前にとっちゃくだらなくてもな!この船はおれたちの大事な仲間なんだ!」

 

「あら、ごめんなさい。つい思ったことが出ちゃったみたい。私のことは気にしないで」

 

「ふざけんじゃねぇ!この船はな!おれの島からずっと一緒に旅してきたんだぞ!ハンマしか仲間がいないお前にはこの気持ちがわかんねぇのかもしれねぇがよ!」

 

随分な言われようね。コックさんや航海士さんが止めてるけど、頭に血が上っているみたいだし今は何を言っても聞かないでしょうね。

でも本当に私の意見は変わらない。だからせめてその理由くらいはきちんと説明してあげるわ。

 

「ちゃんと私の意見を言っておくわね。聞くのも聞かないのもあなたたち次第よ。

私とハンマはお互い悪魔の実の能力者なのは知っているでしょう?つまり船が沈むってことは、そのまま2人とも死ぬということ。だからこそ私たちは船に愛着があろうとなかろうと危ないと思ったら迷わず乗り換えるわ。

これが穏やかな海で、能力者がいないなら、そしてちょっと近くの島まで出かけるくらいなら修理しつつ乗り続けるって選択肢もあるのかもしれないけれどね。

ただでさえ海賊が跋扈するこの時代に、何が起こるかわからない偉大なる航路で、船大工から船の危険を示唆されておきながら、仲間だからと感情論で死にに行くなんて有り得ないわ」

 

「…………」

 

「あなたがこの船を大事に思っているのは理解しているわ。だからといって今ここにいる仲間を道連れにしてもいいほど大事なのかしら?熱くなるのは勝手だけれど、そのあたりはちゃんと考えないと後悔することになるわよ」

 

これで少しは考えてくれればいいのだけど…ここにハンマがいなくて良かったわ。

たぶんだけど、ハンマがこれを聞いた場合「船を乗り換えるかでケンカしてる?じゃあその船を俺が沈めてやるよ!そうすればケンカの原因がなくなって解決だろ?」とか言ってとっくにこの船を叩き壊してるだろうし。

 

…いやだわ。さっきまで考えが似てないって思ってたのに、こんな事が簡単に想像できるくらいにはハンマと考えが似通ってきてるのかしら?それとも思考が毒されてる?

いけないわね。私までハンマと同じような力ずくの思考になっちゃったらいろいろとマズいわ。

 

どうやら彼らの口論は一旦時間を置くみたいだし、私もちゃんといつも通りにならないと。

 

 

 

「ロビンちゃん、さっきはありがとう。あと憎まれ役みたいな事させて悪かった。きみの言葉であいつらも少しは落ち着いて考えると思うよ」

 

「それなら良かったわ。と言っても私の意見をそのまま伝えただけなのだけれど」

 

「みんなロビンちゃんの意見は正しいと理解してる。ただ、ウソップのやつにとっては特に大事な船だからわかってても素直に受け入れられないだけさ」

 

今はクールダウンの休憩ということでコックさんにコーヒーを入れてもらいながら軽く雑談している。

見てられなくて少し口を出してしまったけれど、これは彼らが自分たちで答えを出さなくてはいけない事だもの。その結果、この船をそのまま乗り続けるというのならそれはそれで構わないわ。

 

私があまり出しゃばっても良くないし、自分の船に戻って今日買っておいた本でも読んでいようかしら。

入れてもらったコーヒーを飲み干し、自分の船に戻ろうと席を立とうとした時、航海士さんが焦った表情で飛び込んできた。

 

「ロビン、大変よ!世界政府の人間がロビンに用があるって外に来てるわ!」

 

「…どうしてこのタイミングで?ハンマが何かしたのかしら?」

 

「いないって言ってもここにいるのはわかってるって返されるし、用件を聞いても直接言うからって言って教えてもくれないわ。どうするの?」

 

「出るしかないでしょうね。あなたたちは船の中にいて。もし私が連れて行かれても大人しくしてて」

 

世界政府にとって私は邪魔でしょうから捕まえたいというのは理解できる。ただハンマが七武海となり、私から離れた時を狙ったかのようなタイミングで来ているのがわからない。

もしかしたら私を人質としてハンマを利用するため?それとも逆にハンマがいないこの時を狙って私を何かに利用するため?

 

頭の中で目まぐるしくいろんな考えが浮かぶけれど答えは出ない。

 

一番有り得ないのはハンマが何かやらかして、それを止めるために私を呼ぼうとしているっていうものね。

でも一番有り得ないはずなのに、一番納得できる理由なのはなぜかしら…

 

 

 

 

 

「お前がニコ・ロビンで間違いないな?」

 

「ええ、そうよ。一体私に何の用なのかしら?」

 

「世界政府からの言葉を伝える。よく聞け。

 

 ニコ・ロビンに懸けられた賞金は取り消しとする。

 

…以上だ」

 

「…………は?」

 

「用件は確かに伝えたぞ」

 

「待って!ちゃんと説明してくれないとわからないわ」

 

「我らもその伝言を伝えるよう指示を受けただけだ。詳しく知りたければ自分で聞け」

 

どういうことなの?どうしてハンマが七武海に加入したら私の懸賞金が消えるの?

まさか七武海に入る条件として私の懸賞金解除を求めたとか…ありえるわ。

ハンマなら「俺は賞金首じゃないから代わりにロビンの懸賞金をなしにしといてよ」とか言いそう、というか言うわね。

 

でも私に懸けた賞金を解除するなんてやはり考えられない。

私はあのオハラの生き残り…世界政府が私を危険視しない理由がない。

 

それとも何か別の条件でも出されたのか…七武海の説明のために海軍本部に行ってるはずなのに世界政府の役人がやってきた事だって辻褄が合わない。

 

いろいろと聞きたい事や知りたい事がありすぎてわけがわからないわ。

 

聞いた時は思考が停止し、その言葉の意味が理解できたら今度はいろんな可能性が頭を過ぎっていく。

 

「ねぇロビン、あの役人たちは何の用だったの?」

 

「え、ええ…なぜか私の懸賞金が解除されたって事を言いに来たみたいよ」

 

「うそ!?そんなことってできるものなの?」

 

「私にもさっぱりわからないわ。たぶんハンマが何かしたんだろうなって予想はできるんだけれど…」

 

航海士さんから用件を聞かれ、そのまま答えたけれど驚いて当然だと思う。私だって未だに信じられないくらいなのだから…

その日は麦わらくんたちは船の事を、私は私で突然出てきた懸賞金解除ということについて考えるためそれぞれの船で休むことになった。

 

 

 

 

 

翌日、まだ考えが纏まらないうちに今度は別のところから私に会いにくる人物がいた。

 

 

「失礼。少し聞きたいことがあるんだが、きみはこの手配書のニコ・ロビンで間違いないか?」

 

「…それは私の事ね。何の用かしら?」

 

「ンマー。おれはガレーラカンパニーのアイスバーグという者なんだが、少しきみと話したいことがあってな。あまり一緒にいるところを誰かに見られたくないんで別の場所に移動しても構わないか?」

 

ガレーラカンパニーといえばこの島にある造船会社ね。世界政府の役人が来たかと思えば次はこの島の有権者が1人で私に会いに来るなんて一体どうなっているの?

少なくとも私には何かした心当たりはないし、ここにいないハンマの事でもないでしょうね。

 

一応麦わらくんたちに出かけてくる事を伝えておき、少し込み入った話になるかもしれないからと付き添いは断って1人でついていくことにした。

ガレーラカンパニーの社長室へと入り、一切誰も出入りしないようにと秘書に伝えて2人だけが部屋に残された。

 

「わざわざすまない。ただ、どうしても君に会って聞いておきたいことがあったんだ」

 

「別に構わないわ。私も連れと合流しないといけないし、考えないといけないことも増えたしね」

 

「ンマー。その、なんだ。単刀直入に聞こう。君が世界を滅ぼしかねない危険人物というのは事実なのか?」

 

「…え?それってハンマのことじゃなくて?」

 

「ハンマ?最近聞いたことがある名前だな…どこだったか」

 

この人、頭大丈夫なの?内密に話したいことがあるって来てみたら「君は危険人物か?」っていうのはあんまりじゃないかしら。

 

そういうのってハンマの担当でしょう?私は暴れたことなんて…偉大なる航路に入ってからは一度もないはずよ。

この人の中では私は一体どんな人間だと思っていたのか、少しだけ興味はあるけれど聞きたくはないわ。

 

少しばかり残念な頭のようだと哀れんで見ていたら、目の前のアイスバーグ社長はその理由を説明してくれた。

そしてそれを聞いてやっと納得できたわ。まさか古代兵器復活を目論んでいるとか思われてるなんて…

 

そんなものに興味なんてないということは伝えておいたけれど、そんな言葉で安心するほど能天気ではなさそうね。

確かにポーネグリフに刻まれていた、古代兵器であるプルトンとポセイドンの在り処は私の記憶に残っている。

だからといってこれは誰にも話していない。もちろんハンマにも言っていない。ハンマにはちゃんと誰にも言うつもりがない事を伝えてあるし、それについて理解してくれている。

 

私もハンマも世界をどうこうするつもりなんてないし、古代兵器なんてものが人の目に触れるところにあってはいけないっていうのが共通の認識ね。

 

というか、たまにハンマ自身が「空島に届くような巨大化ができればいいんだ」とか「天を切り裂く剣を作りたい」とか古代兵器を超える危険人物になろうとしているような言動があるから、どちらかと言うとハンマのほうが危険っていうのもあって古代兵器の事なんて忘れていたわ…

 

「ンマー。どうやら情報に誤りがあったようだ。手間をかけさせた」

 

「いいえ、構わないわ。行動の真意は別として危険視するのは間違っていないもの」

 

「いや、そういうつもりでは…あー、そういえば今日は海軍本部のほうでセレモニーがあるらしい。映像電伝虫で世界中に放送しているらしいな。少し見てみよう」

 

聞いていた情報が間違っていたというか、私に古代兵器をどうこうする気がないことがわかり、少々気まずくなったと思ったのかまったく違う話題を振ってきた。

海軍本部でセレモニー?海軍本部でそんなことをするような事があったのかしら?

 

確か聖地マリージョアで地震があって世界貴族たちが亡くなったってニュースは知ってるけれど、それとセレモニーとは結びつかない。

アイスバーグ社長が映像電伝虫を用意し、今まさに中継されている海軍本部の様子が映し出される。

 

そこには海軍本部の広場に集まる海兵たちが規則正しく並び、元帥や大将といった人物までもが揃っていた。

そして1人のよく見知った…いえ、私にとっては一緒にいないことのほうが少ないはずの人物が登壇し、海兵たちへと演説を行おうとしていた。

 

 

 

 

『親愛なる海兵戦友諸君!そしてこの中継を見ている世界中の諸君!私が新たに王下七武海を担うことになった鉄槌のハンマである!』

 

 

 

 

ハンマ…………あなた本当に何やってるの?

 

 

 

 

 

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