ROMAN DE ドォォォォン!! 作:霧鈴
シャッキーの店へとロビンと一緒に入り、両方を知ってる俺がそれぞれを紹介していった。
といっても「この可愛い子がロビンだよ!」「海賊王の右腕だったレイリーだよ!」「このお店でぼったくってるシャッキーだよ!」って感じの紹介ではあったが…
後はレイリーがロビンの望む空白の100年を知っているかもしれないから連れてきた事と、レイリーにもちょっとお願いしたいことがあるから探してた事を伝えておいた。
ロビンのほうは突然ロジャー海賊団の副船長が現れて驚いていたようだが、更にレイリーの「我々は歴史の真実を知った」という言葉に驚きを隠せずにいるようだ。
ここで歴史の真実を聞いたからといってロビンの旅が終わるわけじゃないし、教えてもらえるならば聞くだけ聞いておいたら役に立つかもしれない。
「そうね……それならレイリーさんには、私が歴史を紐解いた後にその考察を手伝ってもらおうかしら」
「どゆこと?」
「レイリーさんが知っているのは『レイリーさんたちが知った情報による真実』となるわ。私がこれから旅をしながら知っていく歴史の真実とまったく同じになるとは限らない。ロジャー海賊団が世界中にある全てのポーネグリフを見て、レイリーさんはその全ての情報を知っているというなら話は別だけどね。それなら今ここでレイリーさんの知る真実を教えてもらって先入観を持つよりも、私は私でポーネグリフを見ていって集めた情報と合わせて考えたほうが、より精度の高い真実になると思わない?」
言われてみれば確かにそうだ。ロジャーたちが重要かどうかは関係なく全部のポーネグリフを見ているって誰にも…それこそ本人たちだって言えないよな。俺たちだってこれから見ていくポーネグリフが全部を網羅できてるなんて事はありえないだろうし。昔の人がポーネグリフマップみたいなものを残してない限りいくつ残ってるのかなんて誰にもわからないわけだ。
それならレイリーがロジャーと共に旅をしたときに知った歴史の真実と、俺たちがこれから旅をして知ることになる歴史の真実をお互いに言い合って「ここはこういう記載があったから、こことここの出来事の間にはこれが入るんじゃないか」とか話し合うってのは大事な気がする。今ここで聞かないのは、先に聞いてしまったことで「ここはああ言ってたからこうなるはず」とか自己解釈してしまわないようにするためか。
そしてお互いに情報を出して欠けている部分を補うことができれば更に深い真実となるわけだ。
「ハンマ、ごめんなさい。あなたの厚意を断るような形になっちゃって…」
「ううん、気にしなくていいよ。こんな話ができたってことが大きなことなんだからさ。後はレイリーが死ぬ前に歴史の真実を知って戻ってこないといけないね」
「おいおい、縁起でもない話を本人の前でしないでくれないかね。これでも隠居してのんびり老後を過ごしているつもりなんだよ」
ロビンのほうは歴史の真実を知るということはしなかったけど、この出会いは後々有意義なものになるだろう。
それにロビンのためだけにレイリーを探したわけじゃない。俺には俺の目的があってレイリーを探してたから、歴史とかとは全然関係ないけど次は俺の用件だ。
「レイリー。次は俺のお願いなんだけどさ。ロビンに見聞色教えて!」
「ふむ…彼女に見聞色だけということは、きみは一通り使えるのかね?」
「ううん、俺は武装色だけだね。できれば俺はこっちを先に極めたいと思ってるんだ。今はこんな感じなんだけど……レイリーから見てどんなもん?」
「ほう。流桜まで使いこなすか…うむ、思っていたよりもできているな。練度もなかなかのものだ。かなり使いこなしているようだね」
おお!レイリーからお褒めの言葉をもらえた。武装色の覇気だけは20年近く使いまくってきてるだけに熟練度はなかなかのところにきてるみたいだ。
俺も見聞色の覇気を使えたほうがいいに決まってるんだが、今まで武装色のみで戦ってきてるのに今更拙い見聞色を取り入れたところで強くなれるとは思えない。なんせ動きの先読みができないから逃げ場ごと叩き潰す戦法を取ってるんだから…
それなら武装色の覇気を極めに極めて、それから学ぶようにしても遅くはないだろう。
それにロビンなら見聞色の覇気を使えるようになるのに時間かからないと思うんだよな。
たまに何も言ってないのに俺の考えてることを当ててくるし、もはや潜在的に使っていると言われても不思議じゃないと思っている。
そんな事を伝えてみたら、3人から呆れたような目で見られた。しかもシャッキーなんて「鉄槌ちゃんの考えてることなら私でもわかる気がするわ」とまで言われてしまった。
いやいや!むしろ俺の考えてることわかんなかったじゃん。レイリーを探したときだって「あんな探し方があるなんて…」みたいな感じだったじゃん。
え?あれは誰にもわからない?それがわかるのが見聞色の覇気なんじゃないの?
それに勿論タダでとは言わないよ!なんなら五老星とか海軍元帥とかに「レイリーは安らかに眠ったよ」とか言っておいてあげるよ!そしたら安心してギャンブルでも女遊びでもできるよやったね!信じなかったらプルトン持ってって「信じるよね?」って言ってあげるよ!
なんでプルトン持ってるのかって?世界征服を目論む小悪党から設計図奪ったんだよ。現物?持ってるわけないじゃん。大丈夫!小型サイズのプルトン作れば俺が巨大化させて原寸大プルトンの完成だよ!その後元のサイズに戻して叩き壊しておけば大丈夫でしょ?世界広しといえども使い捨てプルトンなんて持ってるの俺だけなんだよすごいでしょ?え…ロビンさん、その手はなに?いひゃいいひゃいもう言いまぜんごべんなざい…
「あなたも大変ね…鉄槌ちゃんの面倒を見るのって、私ならお断りするわ」
「ええ、でも良いところもあるのよ?目が離せないのは間違いないんだけど…」
「いや…こんなハンマくんだからこそ古代兵器の設計図を持ちながら使うことをせず、ポーネグリフを読めるきみの隣にいながら世界政府にも話を通すことができるんだろう。彼はなかなか稀有な存在だと思うよ」
シャッキーが貶し、ロビンがふわっとしたフォローをして、レイリーが褒めてくれる。ロビンとレイリーの立場逆じゃね?
てか話の流れがおかしいだろ。見聞色の覇気教えてもらう話をしてたのになんでこうなったんだ…とにかく一旦落ち着こう。
「シャッキー、ミルクちょうだい」
「はいはい、さっきも思ったけどバーに来てお酒を飲まないなんて珍しいわよね」
「お酒はロビンから止められてるんだよ。俺も別に飲みたいわけじゃないからいいんだけどさ」
「あなた酒癖悪いんですもの。しかも記憶がないから余計に質が悪いのよ」
そうなんだよな。だいぶ前に1度ロビンとお酒を飲んだことがあったんだけど、何があったのかまったく記憶にないんだ。
しかもロビンは何があったのか教えてくれないから知ることもできない。
別に怒ってなかったし何かやらかしたわけじゃないと思うんだが、次の日にロビンから「あなたお酒禁止ね」って言われたんだ。それ以来まったく飲んでない。
何があったのか聞いたこともあったんだけど「言いたくないわ」ってそっぽ向かれちゃうからそれ以来聞くこともお酒を飲むこともしないようになったんだ。
まぁお酒の失敗なんてよくあることだし、それ以来飲んでないから置いとこう。
大事なのはレイリーに見聞色の覇気を教えてもらうことだ。
俺の方は武装色の覇気をもっと極めたいし、今まで独力での修行だったからレイリーに教えを請う事で効率は段違いに良くなるはずだ。
レイリーが「ふむ…」なんて考えてるが、何かもうひと押しできる材料はないかな…
ついでに俺も「ふむ…」って説得する材料を考えていると、お店の扉が開き誰かが入ってきた。
「ニュ~、シャッキー。レイリーいるか?あとお店の看板にこんなものが貼ってあったんだけぎゃあああ!」
「この店に来たってことは賞金首だな。シャッキー、こいつで支払いするね」
「鉄槌ちゃん、残念だけど彼は賞金首じゃないわよ。あとついでに私たちの知り合いよ」
あれ?せっかく賞金首払いしようとしたのに知り合いだったのか。紛らわしいやつだな。
しかもデカいたんこぶ作って寝てるそいつを見てみればなんだかタコっぽいな。なんだこいつ?
「はっちゃーーーん!!!!コンニャロ、いきなり攻撃してくるなんて…ってハンマ?」
遅れて店の中に入ってきたのはルフィたちだった。なんかよく会うな。って考えてみたら大体みんなこの島に集まるんだっけ?
ちょうどいいからシャッキーに「こいつ賞金首のはずだから支払いはコレでよろしく」ってルフィを突き出したのに「もうさっきの賞金首で足りてるからいいわよ」って断られた。
良心的なぼったくりバーってなんか新しいな。
ぼったくりって掲げながら実はお値打ち価格で酒を提供する隠れた名店でも目指してるのか?
それとも格式高い店をなんて表現していいかわからずに「ぼったくり」としか言葉が出てこなかったとかか?
ふむ、今ここで指摘したらシャッキーに恥をかかせてしまうかもしれないな。後でこっそりと教えてあげることにするか。俺は気遣いのできる男なんだ。
「ハチは何の紙を持ってきたんだ?なになに…『賞金首以外お断り』こんなもの看板に貼ってあったかな?」
「知らないわね。誰かのイタズラかしら?」
ギクッ…俺がお店に入る前に看板に貼っておいた紙をこのタコが持ってきてしまったようだ。
きっとこう書いておけば「ほう?賞金首しか入れない店か…なら俺は大丈夫だな」とか言って入ってくるヤツがいるだろうし、それを叩くことで俺が賞金首払いするためにわかりやすく書いておいたんだが…まさか貼り紙を持ってくるとは思わなかったな。
仕方ないので正直に金づるを呼び寄せるために俺が貼ったと言って謝っておいた。
しかもルフィの首で支払いしようとした事に一味揃って文句言ってきたが「わかったわかった。店の酒を全部飲みきれたらなんかしてやるよ」と飲み会にシフトすることに成功した。
クククッ、飲み干せるならばやってみるがいい!俺の能力は瓶1本で船よりデカい酒瓶となるんだぜ!巨大化させた酒瓶に船を入れたら原寸大ボトルシップの出来上がりだ!やらないけどね。
ちなみに俺は飲まない。こいつらに「あれ~?海賊なのにお酒飲めないの?」とか「あんな大海原を船で冒険するんだから、こんな酒の海くらい腹に収めて当然だな」とかとにかく煽って酔い潰す作戦だ。
もちろん1種類だけじゃなくちゃんぽんして悪酔いさせるために違う酒も一緒に巨大化させてどんどんグラスへ注いでいく。
念の為に潰れていったヤツから順番にトドメとして鼻つまんで口から酒流し込んだらナミとゾロは起きてやがった。酒吹き出して「「鬼かっ!」」って言ってたけど騙すほうが悪くね?
…
……
………
「きみはなかなか容赦のないことをするね」
「彼、モンキーちゃんでしょ?鉄槌ちゃん知り合いじゃなかったの?」
「え?むしろ一応知り合いだから捕まえもせず叩き潰しもせずにいるんだから優しくない?」
「みんなお酒で潰れてるけれどね」
自分でやっといて何だが、麦わらの一味は結局出された酒を全部飲みきれずに潰れて寝ている。
店の酒飲み干したらって言ってあったのに、ビン数本の酒でダウンするとか情けないヤツらだな。しかも開けた酒瓶ですらまだ残ってるし。
まぁちょこっとアクシデントというか、意図しない闖入者の登場でグダグダにはなってしまったが修行の面倒を見てくれることになった。
とはいえ付きっきりではなくある程度見聞色の覇気の基本を教えるだけという条件付きだが…そこからは自分で考えて応用しながら鍛えていけということらしい。
それなら俺は今まで通り自己鍛錬にして、ロビンを重点的に見てもらったほうがいいだろう。
海軍本部も近くにあるし、どうせだから俺はそっちに顔出して修行するのも悪くないな。
よし善は急げだ。レイリーたちに「ちょっと自分の修行用に海軍に連絡取ってくる」と伝えて店を出ていく。
こういう場合もセンゴク元帥に言ってもいいものかな?他に話ができそうな人いないし突撃してみるか。どこかに海兵さん歩いてないかな~?
「およ?黄猿大将?」
「やぁ~~っと見つけたよォ~~」
「こんなところで何やってるの?」
「きみねェ~暴れすぎだよォ~」
間延びしてる黄猿大将の言葉を短くすると「シャボンディ諸島でハンマー持って大暴れしてる
そんで、巨大なハンマー持って暴れてるってところで俺ってことがわかったから、光の速度で移動できる黄猿が元帥に頼まれて注意しに行くことになったんだとさ。
けど突然攻撃が止んでどこにいるかわからないから探していたところだったらしい。
「そんなわけでェ~もぅちょォ~~っと穏便に暴れてくれないかねェ~~」
「ここ無法地帯だから別によくね?ちゃんとそのへんにいた海賊も叩いてるよ?」
「あ~~そうそう、それもセンゴクさんから伝言があるよォ~」
まだあるのかよ!元帥からの伝言は「海賊を潰したらせめて海軍に報告するか、賞金首なら海兵に引き渡してほしい」ということだった。
そんなん知らんがな…大体どいつが賞金首かなんてわからんよ。まさか俺に毎回毎回海賊の「おれは○○海賊団で~○○万ベリーの賞金首なんだぞ」とかいう名乗りを聞けとでも言いたいのか?
「そんな手間かけて海賊潰すとか時間の無駄すぎね?なんか七武海やるのめんどくなってきたんだけど…」
「まァ~そう言わずにさァ~~。きみのことは海軍でも評価してるんだからぁねェ~~」
ふむ、ならば交換条件といこうじゃないか。
黄猿大将に「じゃあ俺も努力してみるからさ、その代わりちょっと修行手伝ってよ」と持ちかけてみた。
さすがに大将はみんな忙しいらしいんだけど、海軍本部での修行ならセンゴク元帥に話を通しておくということだけは約束してくれた。青キジとかほんとに忙しいのか?って疑いはあるが言わないでおこう。
もうこれ以上暴れないから大丈夫だって事を伝えて、飛んでいく大将を見送ってからシャッキーの店に戻って今あったやり取りをちゃんと伝えておく。
「なんでちょっと外に出たと思ったら、突然大将と出会ってそんな約束取り付けることができるの…」って言われたけど出会ったものは仕方ないよね。俺の運が良いとしか言えないわ。
あー、しまった。ついでにレイリー死亡説をお礼代わりに流しておけばよかったかもしれん。