ROMAN DE ドォォォォン!!   作:霧鈴

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31.ボアさんに挨拶だドン!

 

 

 

「空が青いな…」

 

修行しに海軍本部まで行ったのになんで俺は海の上にいるんだろうな…

良くも悪くも元凶は自分自身ってことはわかってるんだが。

 

 

 

 

 

レイリーに「ちょっと行ってくるからロビンをよろしくね!」って言って俺だけ海軍本部に行ったわけだが、ほんとに大将は3人ともいなかった。

仕方ないから訓練してた海兵に協力してもらい、俺の武装色防御を高めるために攻撃してもらってたんだよな。

そしたら通りがかったガープ中将に「それならわしが鍛えてやるわい!」って言われて、そこからはひたすら砲弾の雨に耐える時間が始まったんだ。

 

海兵たちならばすぐに気絶してしまうんだろうが、残念ながら俺はそんなにヤワじゃない。

ただ耐えるだけだったら続かなかったかもしれない。だが俺にはハッキリと見えたんだ。

 

薄れそうになる意識の中で、俺の後ろにロビンがいる光景が!そうだ、俺がやらなきゃ誰がやるっていうんだ!

 

気分はサイヤ人が襲来して攻撃される悟飯を庇うピッコロさんだ。あれはそのままやられたけど…

 

「ほう、わしの攻撃(砲弾)を受け続けても耐えきるか。なかなかやるのぅ」

 

「真に守るものがある時、人は強くなれるという…つまり今の俺は守護者(ガーディアン)だ!」

 

「小僧が吠えよるわ…ならばこれも耐えてみせぃ!」

 

なんか砲弾とか投げ捨ててゲンコツで攻撃してきやがった!ならば俺はそれを全部受けきってみせてやるわ!

 

少々危なかった気もするが、ガープ中将の攻撃が終わり土埃が晴れていく…ここだ!言ってみたかったセリフ第1弾いくぜ!

 

「…今、何かしたのか?」

 

「なんじゃと!?ならばもう手加減は無用じゃな!これでも食らえぃ!!」

 

いやああああああ!温めてたカッコいい強キャラムーブを実行したらガープ爺ちゃんに火が着いちゃった!

腕に武装色の覇気を纏わせて殴りかかってくるガープ中将。ぐぬぬ、さすがにこれはマズイか…?

迫りくるガープ中将の黒い拳がやけにハッキリと見える。周りの海兵たちの声もやけにハッキリと聞こえるな。

 

これがアレか…死ぬ前になると動きがスローモーションになると世間でもっぱら噂のやつか…

 

ってなんで特訓で死ぬんだよ!フザケンナ!拳が当たるだろう頭に力を込めて武装色の覇気を集中させる。…あれ?思ったほど痛くないぞ?

 

「ぶわっはっはっはっは!わしのゲンコツを受けて無事でおるとは…お前なかなかやるのォ」

 

「なかなかやるのォ…じゃねーよ!なんか全部スローモーションになったぞ!危うく死ぬところだったわ!」

 

「うん?今までそんな話は聞いたことがないぞ。まぁせんべいでも食って落ち着け」

 

バリバリとせんべいを噛み砕きながら今の一撃の事を思い返してみるが、死ぬ間際になるやつじゃないのか?

試しに訓練してる海兵に巨大ハンマーを振りかぶり、叩きつける手前で寸止めして「今さ、ハンマーの動きがスローに見えた?」って聞いたんだが「そんなわけないだろ!」って怒られた。

つまり俺はなったけど海兵ではならなかったというわけだ。スローに見える…か。どこかで聞いたな。

 

…ピーンときた。これはもしかしてスタンド発現じゃないのか!?

 

何のスタンドかわからんが、命の危機に瀕して眠れるスタンド使いの力が目覚めたのかもしれん!

それなら俺だけが見えたのも納得がいく。俺が見聞色の覇気が使えないのはスタンド使いだったからってことだ。

だが肝心のスタンドさんが見えないな。後ろを見てもいないしどうなってるんだ?

 

キョロキョロしてたらガープ中将から「何やっとんじゃ」って聞かれたから「たぶん新しい力に目覚めたからその証拠を探してるんだよね」って正直に答えたのに呆れたような目で見られた気がする。

その後「もしかして悪魔の実の能力じゃないのか?」って言われたけど、俺の能力は大きくするだけのはずだ。スローモーションに見えるのに大きくなってるものなんてあるのか?

 

まぁわからん時には聞くに限る。ということで知将のお力を借りることにしよう。

 

「センゴク元帥、ちょっと相談があるんだけど」

 

「うん?またガープあたりが何かやらかしたか?」

 

「いんや、ガープ中将には協力してもらって修行してたんだけどね…」

 

とりあえず事のあらましを説明し、何か思いつく事はないかと聞いてみたわけだが…

 

「それは悪魔の実の能力だろうな。詳しくはわからんが、恐らく『大きくする』というのが視力や聴力にも作用したんじゃないか?というかお前、確か五老星のところで内面も大きくできるとか言ってなかったか?」

 

そういうことか。嘘から出た真とでも言おうか、他人に作用できるのかはわからんが物理的なもの以外にも大きくすることができるようになったってことだ。

あと元帥よ。俺は確か「大きくできないと誰が言った?」って思わせぶりな感じで五老星に言ったはずだ。別にできると言った覚えはないぞ。できないとも言ってないし。

 

そういうことを伝えたら思いっきりため息吐かれた。今度何かお手伝いでもするかもしれないから元気出して。

 

だがこの慰めが良くなかったらしい。元帥は「ほう?それなら少々手伝ってもらおうか。なに、お前の目的にも合致していることだ」って悪い顔をしだしたと思ったら、あれよあれよという間に海軍の船に乗せられてしまっていた。

 

 

 

 

 

「空が青いな…」

 

 

元帥が「お前の目的にも合っているから行って来い」っていうから大人しく連れられて来てるが、乗ってるの俺と普通の海兵たちだけだぞ。

せめて俺の修行の相手になりそうなヤツ乗せとけよ…仕方ないから新たに使えるようになったのか、今まで俺が使える事に気づかずにいたのかわからん能力の確認でもしとこう。

 

 

 

たぶんスローモーションに見えたのは見る力が大きくなったってことでいいのかな?もしかしたら遠視もできるのかもしれないな。あ、海の向こうが良く見えるわ。

聞く力が大きくなったら遠くの声が聞こえるとかか。海兵たちの会話が聞こえてくるし、聞きたいほうに集中すればそこだけ聞けそうだな。

 

もう見聞色の覇気の代わりはこれでいいじゃん。

 

後はロビンのところに戻ってから相談しながら把握していくことにしよう。いろんな力を大きくできるのなら使い勝手は格段に上がるだろう。

確かに能力は使い方次第とはうまいこと言ったもんだ。レイリーたちにもアイデアを聞いて他に使い道がないかも確認しておこう。早くいろいろ試したいな。なんかもう帰りたくなってきた。

 

 

……

………

 

 

どうやら目的の島に到着したらしい…が、船を岸につけずにいる。何やってんだ?

海兵に聞いたところ、海軍からの書簡を届けに来たんだが、ここは女ヶ島という島だそうで男子禁制の島だからいつもこうやっているそうだ。

あと俺と同じく王下七武海の一角である海賊女帝が九蛇海賊団と共にいる島でもあるということも教えてくれた。

 

なるほど、元帥が俺を一緒に連れてきたのは「お前挨拶して回るんだろ?ついでに乗せて行ってやるから行って来い」ってことだったのか。それならお言葉に甘えよう。でもそれならそうと言ってほしかったわ。

 

「ねぇ海兵さん。男子禁制っつってもその書簡を投げ渡すわけにもいかないだろ?岸に船をつけて渡すだけでもダメなの?」

 

「ああ、女帝の許可がないとそれすらも許されないんだ。絶世の美女と聞くから一度お目にかかりたいんだがな」

 

「いやそういうのいいから。それに船をつけてくれないと俺が来た意味ないじゃん」

 

まさか遠くから「新しく七武海になったよよろしくねー!」って叫べとでも言うつもりか?

見張りみたいなやつが島にいるんだから話を通してもらえばいいのに…聴く力を大きくして見張りの会話を聞いてみれば「海軍め、忌々しいやつらだ」とか「どうせいつもの用だろう。放っておけ」とか塩対応にも程があるだろってくらい歓迎されてないみたいだ。

 

なるほど…同僚に会いにわざわざ来たのに、挨拶すらできないのならまずは来客を知らせるためにノックをすることにしよう。

きっと女ばかりな上に引きこもってるから常識ってもんを知らないんだろう。そんな箱入りお嬢さんたちの凝り固まった頭をほぐしてあげるのも俺の役目ってやつか。

 

甲板の上にいる海兵たちを危ないからと離れさせ、モックタウンを叩き潰した以上の大きさで超巨大ハンマーを女ヶ島に向かって振りかぶる。

 

「おい鉄槌!そんなもん振りかぶって一体何をするつもりだ!?」

 

「お客さんが来たことを知らせるには、まずノック!これ常識!」

 

「「「「「どこの常識だァァ!!」」」」」

 

海兵たちもこの程度の常識を知らないとは…海軍本部に帰ったら元帥にちゃんと教育しておくように言っておかないといけないな。

まさかこいつらは人の家に入るときでもノックしないんだろうか。ああそうか、見聞色の覇気があるからそんなことする必要がないとかなのかな?でも本部の中ではやってたような…

 

まぁいい。島全域に向かって叩きつければどんな引きこもりだって来客が来たって気づくだろう。

 

そのまま振り下ろし、島全体がものすごい地響きと轟音で包まれる。

 

ハンマーを元に戻してから土埃が晴れるのを待っていれば、そこには人だかりが見えた。どうやら俺のノックのおかげで来客に気づいてくれたみたいだ。まぁ武装色の覇気も纏わせてないしな。

岸のほうまで来たやつらが何か言ってるが俺じゃなきゃ遠くて聞こえんな。なになに?「海軍め、まさか攻撃してくるなんて…」とか言ってる。攻撃するならちゃんとしてるっつーの。

 

「海兵さん、これで島に客が来たってわかっただろうから船つけてよ。ちょっと話をしてくるからさ」

 

「ぬぅ…どうなってもしらんぞ」

 

それじゃあノックもしたしご挨拶といこうかな。

 

 

 

……

………

 

 

 

「何をしにきおった?」

 

「初めましてお嬢さん。王下七武海が一角、鉄槌のハンマだ」

 

「そんなことは知っておる!わらわは貴様が何をしにきたのかと問うておる!」

 

なんで初対面なのにこんなに怒ってるんだ?お嬢さん扱いが気に入らないってことか?そんな事は言われなくてもわかってるって言われても、お嬢ちゃんって年じゃないだろう。お嬢様のほうが良かったってことかな。

大体何をしにって言われても俺は「今後ともよろしく」ってだけの用事だから、ちゃんとした用事は海兵に聞いてくれ。

 

「無礼な男どもめ。ならばわらわの魅力で石になるがいい…メロメロ甘風(メロウ)!」

 

「……?何がしたいのかよくわからんけど、そのポーズと技名って自分で考えてるの?」

 

「!?なぜわらわの攻撃が効かぬ!!わらわの魅力が通用せぬとでもいうのか!」

 

こいつは一体何を言っているんだ?と思ったら俺の後ろにいた海兵たちが石になってる。

今のは石化の技だったのか…しかし魅力か、残念だったな。俺は『女子前髪推進委員会』の中でもタカ派の急先鋒だった男だぞ!そして更にお前たちのような露出過多な格好ではなく、チラリと見える素肌にロマンを感じる『チラリズム至上(ロマン)主義』でもあるんだ!絶対領域をナメるな!

 

しかしいきなり攻撃してくるとは…やっぱり七武海だけあって、挨拶は力をある程度見せて「どうやら雑魚ではないらしいな。認めてやる、ようこそ王下七武海へ」みたいな感じなんだろうか。

それなら俺もちゃんとやらないとな。口より先に手を動かせとはよく言ったもんだ。それにノックだからと覇気を込めなかったのは間違いだった。この反省は次に活かそう。まずは自己紹介を兼ねて力を示すとしよう!

 

 

「貴様…どういうつもりじゃ」

 

「いや、確かにさっきのは失礼だったな。その失態をこれから取り戻すことにしよう」

 

「なっ!?みなのもの下がれ!」

 

またハンマーを巨大化させていき今度は武装色の覇気をハンマーに纏わせる。そして振り上げ、さっき攻撃してきた偉そうな言葉使いの女に振り下ろしていく。たぶん言動からして海賊女帝だろうから、これくらいでは倒れないはずだ。

相手が名乗りもしなかったのは、たぶんまだ俺が認められていないからだろう。巨人化はしないが、その分巨大化させたハンマーで辺り構わず叩いていく。

 

「くっ!島の者たちまで巻き添えにするとは…貴様!海軍に言われ、わらわを討ち取りに来たとでも言うつもりか!?」

 

「海軍の用事と俺の用事は別だ。しかし当たらんな…なんか動きを読まれてるような…」

 

「貴様の単調な攻撃なぞ当たるものか!しかしこれでは近づけんな…ならば、虜の矢(スレイブアロー)

 

もしかして見聞色の覇気で読まれてるってことか?それならばいつも通り逃げ場ごと纏めて攻撃すればいいだけだ。

なんか遠距離からよくわからん攻撃してきているが、ガープ中将の武装色ゲンコツでも耐えきった俺にそんなもん効くか!

 

女帝の攻撃を躱すことなく、当たりながらもそのまま更に巨大化させたハンマーは最初にノックした時と同じくらいの大きさになっていく。

そのまま勢いよく振り下ろし、2回3回と叩きつけていけば十分に俺が七武海に仲間入りするのに相応しいと納得してくれるだろう。

 

「そこまでだ鉄槌よ!!」

 

「うん?なんで海兵が俺を止めるんだ?」

 

「こいつらは海賊ではあるが、あくまでも七武海の1人。そして我々は書簡を届けることが今回の任務だ。これ以上暴れるというのであれば、元帥へ報告させてもらうぞ!」

 

「勝手に報告すればいいだろう。俺は俺の目的があって来ているし、その目的は元帥も知っていることだ」

 

「なんだと…?センゴク元帥は貴様が暴れることを許可したとでも言うのか…」

 

なんか石になってない海兵がいきなりストップかけてきた上に「やめないとセンゴク元帥に言っちゃうぞ?」とか言ってきやがった。

だが海兵よ。俺が挨拶のためにここに連れて来られてるのは元帥の指示だ。むしろ俺はどこに向かうのかも知らなかったんだ。

 

今やってるのは七武海として既存メンバーである女帝に認められるための自己紹介だぞ。

俺より先輩の女帝だってたぶんこれで「おぬしなかなかやるではないか。どうやら我らと名を連ねるに相応しいだけの力があるようじゃな。改めて歓迎しよう。ようこそ王下七武海へ」とか言ってくれるはずだ。俺の未来視がそう告げている!

 

 

「「姉さま!!しっかりして!!」」

 

 

なんか女帝が倒れていて、姉さまとか呼んでるおっきな子が2人で抱きかかえてる。俺の未来視あんまり精度良くないな。

とりあえず力は示せただろうから歓待の言葉だけ聞いとくか。

 

俺はただ「ようこそ七武海へ」って言って認めてくれればいいんだが、近づいただけで介抱していた1人がわけわからん事を言いだした。

 

「やめて!お願いだからこれ以上姉さまを傷つけないで!!」「ソニア!!」

 

「…うん?どういうことだ?」

 

なんか目の前で寸劇が始まったんだが…これは一体どうしたらいいんだ?女帝のライフポイントはゼロだとでも言いたいのか?それならそれで「HANASE!」って言うから俺を掴むなりしてくれ。

片方は「今のうちに姉さまを!」とか言ってるし、もう片方は「ソニアを置いていけない!」とか言ってる。後ろでは海兵が「鉄槌め…七武海であろうと海賊は潰すとでも言いたいのか…」とか呟いてる。お前それ聞こえてるからな。

 

 

 

 

一体どうなったらこんな事態になるんだ?女帝も目を覚ましたのか「ソニア…マリー…そなたたちは逃げよ…」とか言ってるし、俺も悪役ポジションで何か言ったほうがいいのか!?

 

待て待て状況を整理しよう。俺は女帝に七武海に足るだけの力を示せたはずだが…ここは確か女だけしかいない島、男子禁制、女の園…あーそういうことか。これは転生したであろう俺にしか気づけない事だ。

 

 

つまり、この世界にもTAKARADUKAの概念があるってことだ!!

 

 

そして女帝もたまには悲劇のヒロイン役をやってみたかったということか。

いつもは立場的にヒーロー的なポジションが多いんだろう。男役っていうのがあるのかはわからんが、なかなかやりたくても譲ったりして演じる機会のない役どころだったんだな。

だが俺が来たことでここぞとばかりにアドリブで演じてるのか。もしくはこのたぶん妹であろう2人が「「姉さまー!!」」って言い始めたから乗っただけなのかはわからんが。

 

これはもう七武海として認められたからこそ、俺にも「お前七武海なんだったらこれくらい対応できるよな?この程度を柔軟に対応できなければ時代の変化になんてついていけないぞ?」という挑戦なのかもしれない。

 

ならば俺もこの挑戦を受けないという選択肢はない。全力で悪役ムーブを演って盛り上げてやろうじゃないか!

 

「クククッ、大人しく我の元へと降っていれば痛い目を見ずに済んだものを…だがこれで力の差というものがわかっただろう。無駄な抵抗はやめることだな」

 

「くっ…2人とも、早くここから離れるのじゃ…」

 

「「姉さまを置いてはいけないわ!!」」

 

「貴様らがどれだけ抵抗したところで我に敵わぬということがまだわからぬか…だがその威勢がどこまで持つかな!」

 

庇っている2人を突き飛ばし、女帝の服に手をかける。女帝も怯えたような表情でしっかりと悲劇のヒロインを演じてくれているようだ。

 

「やめよ…それだけは…!!」

 

心配しなくても無茶なことなしないさ。ちょっと服を破って()()()()()()程度だ。それくらいなら劇としてありえる範囲の演出だろう。

いくら悪役だったとしてもさすがに過度な演出は後から怒られる可能性があるからな。せっかくいい感じのシーンを演出できてるのにぶち壊しにするわけにはいかない。

 

「「姉さまに触れるな!!」」

 

「ほう?まだ抵抗する気力があるのか…ならば貴様らとの力の差をわかりやすく教えてやろう!」

 

「「「なっ!?」」」

 

突き飛ばされた2人が立ち上がり姉の危機に奮起しているな。うんうん、やっぱり王道っていうのは燃えるよね。俺もそっち側が良かったよ。

だが今の俺に求められているのは悪役なんだよな…もちろんやるからにはちゃんとやるけどさ。

 

あんまりこういう使い方はしたくなかったんだが、女帝の服を掴んだままだったので投げ飛ばし、巨人化して見下ろしながら出番のなかった巨大な剣に武装色の覇気を纏い頭上へと掲げて「いつでもお前たちを叩き斬れるぞ」とばかりに見せつける。

 

たぶんここから「「姉さまに手出しはさせない!2人でいくわよ!」」とか言って大逆転からの大団円に持っていく気なんだろう。女帝もきっとヒロインらしく勝利の祈りの舞とか踊るはずだ。

ほんと悪役としては俺の巨人化って見た目的にもバッチリすぎて困るわ。

 

「国が滅ぶ様を見てから絶望と共に我が物となるか、民のために自らを捧げ我が物となるか選ぶがいい!」

 

「わらわは…わらわたちはもう何にも縛られはせぬ!」

 

「フハハハハハ!ならば絶望の果てに地獄を見るがよいわ!!」

 

「……待って!」「「ソニア?」」

 

悪役ムーブをバッチリ決めて、なんか女帝のほうも自分を奮い立たせて妹たちを鼓舞して、ラストバトルからの歌と踊りだと思ったらたぶん妹から待ったがかかった。てかお前よく見たら舌出てるぞ?

別に心配しなくてもちゃんと負けてあげるよ?さすがにこのまま続編まで付き合えとか言われたら俺だって困るしね。

 

だが舌出てる妹は何を思ったのか「自分が身代わりになるから、これ以上姉さまに手を出さないで」ということらしい。

もしかしてこれってまだ続くのか?たぶん俺の巨人化を見てもっと使いたくなったとかだろうな…

同僚として認められたわけだし、もうちょっとくらいは付き合ってやるか。

 

てか女帝よ。舌の出てる妹にヒロインポジション取られてるぞ?もしかして俺が女帝のほうに「我が物となれ」をやっちゃったからか…申し訳ないことをしたな。

それじゃあ次回はちゃんと女帝をヒロインに据えるようにがんばるから、今日のところは妹にヒロイン演ってもらうとしよう。てかもう精神的に疲れた…

 

「良かろう。わざわざ地獄へ連れて行ってくれと言うその女の心意気に免じて、今日のところは退いてやろう。我が慈悲に感謝するがよいわ」

 

「どういうつもりじゃ……?」

 

「言葉通りの意味だ。大人しく救われた命に感謝しておくがいい」

 

そのまま海軍の船へと戻り、元のサイズに戻って船内へと入っていく。

 

まったく俺だからあんな無茶振りに対応できたが、他のヤツらも同じような感じの事をやってるのか?

まぁ挨拶はできたからもう当分ここに来ることはないだろ。てか即興でこんなことやらせるとか、あいつら頭おかしいんじゃないのか…

 

 

 

 

 

とりあえずこれで書簡も渡せるだろうし、海軍の仕事の手伝いもできて七武海の顔合わせもできたしまさに一石二鳥だな。

センゴク元帥もなかなか効率の良い仕事をするもんだ。知将の名に偽りなしということか。

 

 

 

 

 

 


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