ROMAN DE ドォォォォン!! 作:霧鈴
ロビンと2人で航海してから既に数年が経ち、情報収集を欠かさなかった俺たちだが、世間ではいろんな大事件と言われるものが起こっては紙面を飾っていた。
フィッシャー・タイガーが聖地マリージョアを襲撃したり、王下七武海に海賊女帝が加入したり、更にはついに海列車全線開通!なんて記事もあったりと話題が尽きない。
もちろんこれらは同時に起こったわけではないが、新聞には毎度の事のようにどこかの海賊が何かをやらかした等の記事が載っていた。
俺からすれば「そんな事もあったっけな」という認識ではあるが、何も知らない人々からすれば大事件であることは間違いない。
だが初耳のはずのロビンなんて「そうなんだ」といった淡白な反応なので、俺たちは特に騒ぐ事もなく相変わらずいろんな島へ行ったり海賊を叩き潰したりマフィアを叩き潰したりして過ごしていた。
ちなみに先程のニュースは世界中の、というか偉大なる航路での出来事ばかりであり、ウエストブルーでのニュースというと大体海賊かマフィアの事がほとんどだ。
この海はどうやらマフィアが幅を利かせているらしく、5つか6つくらい大きなマフィアが日夜抗争を繰り返し縄張りを広げたり取られたりしているらしい。
もちろん海賊もちゃんと存在しており、ただの一般人には少々住みにくい部分もある海だったようだ。
まぁ俺にとっては格好の獲物ばかりが集まってるので、とても充実した日々を過ごせる海だったりする。
なにせ子供だった俺も今では青年になり相変わらず脳筋戦法に磨きをかけている。
体力や筋力はもちろんだが、能力や覇気も子供の頃とは段違いに成長してきていると思う。
まだ武装色の覇気をハンマーに纏わせるのに苦労している部分もあるが、概ね強くなっていると言ってもいいだろう。
1度、海の上で海賊船に出くわした時に、最大まで巨大化させたハンマーがどこまでの威力になっているのかを試そうとしてみたんだが、海賊船よりもデカくなっており文字通り一撃で船ごと粉砕することができた。
その後の衝撃と荒れた海のせいで自分たちの船まで沈みそうになり、ロビンからものすごく怒られたが…
あれは本当に危なかった。慌てて船を巨大化させて乗り切ったが、そのままの大きさだったら間違いなく転覆してただろうな。
俺もロビンも泳げないんだから怒るのも仕方ない。しかも俺の攻撃の余波が原因で自分たちの船が沈むとかシャレにならん。
まぁ、怒られたことは別として徐々に俺の目指すロマンに近づいてきていると思う。
まだまだ浪漫である島1つ覆うくらいの巨大ハンマーはできそうにないが、海の上で海賊と遭遇しても一方的に粉砕できるってのは安全だし悪い事ではないだろう。
ちなみにロビンのほうも基礎体力だけでなくハナハナの実の能力をしっかりと鍛えている。
原作通り関節技もあるが、相手が多数の場合は首を絞めたり口や鼻を塞いだり目潰ししたりと応用しまくってる。
これは確かに暗殺にも向いてる能力だと思うわ。しかも相手が部屋に閉じこもって鍵を締めたとしても、反対側に手を咲かせて開ければいいんだもん。
単独で強大な力を持ってる相手には分が悪いところもあるが、まだ偉大なる航路に入ったわけではないので敵無しと言ってもいいだろう。
そんな能力もだが、身体も子供の頃からすっかりと女性として成長してきている。
もうあの頃の可愛いロリンちゃんが見れないのは少々寂しいものがあるが、成長していくところを愛でることができたし今も十分に可愛いのでそれはそれだ。
てか今のロビンはよく笑顔を見せてくれるので、きっと俺は間違っていなかったはずだ。
それが例え海賊やマフィアを叩き潰したりしてるところを誰かに見られていて、ロビンの懸賞金だけが上がっていたとしても、俺は間違ってないと言い切ってやる。
おかしいな?俺の記憶では確か初頭手配から、麦わらの一味に加入するまでずっと7900万のままだったはずなんだが…
てかなんで俺は賞金首になってないんだろ?海賊とかマフィアとかばっかり叩き潰してるからか?
ロビンも同じはずなんだが、元々が賞金首だから海賊を潰したことで危険度が上がったとかなのかな?
暴れてる度合いと周囲の被害の度合いを考えたら、俺のほうが危険だと思われても仕方ないと思ってたが俺の場合はちょっと周囲の被害が大きいだけの賞金稼ぎ扱いとかなんだろうな。
まぁ周囲の被害って言ってもハンマーでスタンプ連打くらいしかしてないから、それこそロギア系とかに比べたら俺が齎す被害なんて可愛いもんか。
俺たちは別に海賊を名乗ってるわけでもないし、むしろ見かけたら積極的に潰してる側だから懸賞金かけるよりも野放しで様子見とかしてる感じか。
今のところ世界政府的にご法度の歴史を探求してる素振りも見えないから積極的にロビンを狙わずに静観してるんだろう。世界政府ならやりそうな事だな。勝手なイメージだけど。
「ねぇ、ハンマったら聞いてる?」
「…うん?どうかした?」
「あなた、何を考えてるのかわからないけど表情に出すぎよ?うんうん唸ってたと思ったらこっち見てニヤニヤしてるし、そこからまた何か思案してるような顔してたわよ」
「うそ!?なんかそのうちロビンには考えてる事全部バレそうで怖いな」
「あら、ハンマったらバレて怒られそうな事でも考えていたのかしら?」
「…いや、特にバレて困るような事は考えてなかったわ」
「なら問題ないわね。あとどうしてハンマはたまに私を微笑ましいって顔で見るのかしら。あなたと私って同い年くらいのはずよね?」
最近ロビンが見聞色の覇気でも会得したのかってくらい鋭い気がする。
これはあれか?女の勘ってやつなのか?見聞色の覇気って実は第六感だったりするんだろうか。
まぁ俺が考えてる事なんて原作どうだったかなーとか、そういえばこんなイベントあったなーとか、ロビン可愛くなったなーでもロリンちゃんも可愛かったなーくらいなもんだ。
原作知識については誰にも話すつもりはないし、ロビンを愛でてるのは別にバレても構わないから無問題だな。
微笑ましい顔で見るのは仕方ない。だって実際にそうなんだもん。累計年齢で結構年上だからつい愛でてしまうんだ。
ここで重要なのは精神年齢ではないことだな。俺はそこまで達観していない。
こんな感じでほのぼのとした船旅を楽しんでいるんだが、結構な頻度で海賊には遭遇する。
やっぱり大海賊時代ってのは伊達じゃないな。
その度に武装色の覇気を訓練しながら叩き潰しているので、俺としては遠慮なく潰せる相手がそこら中にいるってのはありがたい話ではあるんだが。
そのおかげでやっと武装色の覇気をハンマーに纏わせることができるようになった。
やっぱり実戦って大事だな。これで破壊力も上がるし、仮に強力な悪魔の実の能力者が現れても戦えるはずだ。
島に着いたら大体俺が買い出ししたりしてる間にロビンは酒場やらお店やらで情報を集めていたりする。
本当は賞金首になってしまっているロビンに不特定多数の人間がいるところは危ないって言ったんだけど「ハンマが情報収集してもきちんと情報を集められないじゃないの」とごもっともな指摘をされてしまい、以降はロビンに任せるということになっている。
そして世界政府はロビンがポーネグリフを探したりなんてしていないと思っているのかもしれないが、そのあたりの情報収集はある程度行っていたりする。ロビンがな。
俺としてはアラバスタにあるよ!とか空島にもあるよ!って言いたいところだけど、なんでそんな事を知ってるのかってなったら答えられないしな。
それに表立って歴史の調査なんて世界政府にケンカを売ってるのと同じだから、そこは慎重に行こうと2人で決めてある。
まぁ世界政府が禁忌としている歴史の情報がそこらへんに落ちてるはずもないから、手当り次第じゃなくてちゃんと相手とかを見極めてから情報を集めようっていうので意見は一致している。
おそらく遠くない将来偉大なる航路には入ることになるだろうし、そうなったらアラバスタ王国にあるって情報が入ってくる可能性も高そうだ。
てかロビンは実際アラバスタにあることを突き止めてたはずだもんな。
ただ問題は俺たち2人でどうやってアラバスタのポーネグリフを見せてもらうかだよな。
コブラ王何かの手違いでアラバスタ歴史博物館とか作らないかな?誰にも読めないから別にいいやって博物館の目玉に「大昔の石碑」みたいにしてポーネグリフを展示とかしないかな?
…さすがに無理か。あの王様って書かれてるのが古代兵器の事だって知ってるんだっけか。
確か王家の秘密とかなんとかだった気がするから博物館は無理があるな。
普通に「趣味で大昔の石版とか見て回ってるんですー」って言ったら見せてくれるかな?
研究とか解読とかそういう事を言わなければワンチャンいけるか?
あーくそ。子供の身体だったら何食わぬ顔していけたかもしれないが、今だと警戒される可能性があるな。
後考えられるのは…クロコダイルの乱に乗じてこそっと見るか。
別にロビンがいなくてもクロコダイルはアラバスタ乗っ取りを計画……するのか?
クロコダイルってロビンに唆されてアラバスタ行ったんだっけ?やばいわからん。
もう頭が混乱してきた!もうこうなったらなるようになる!
いざとなったらクロコダイルごとアラバスタを叩き潰して勝手にポーネグリフ見ればいいや!
それならたぶん国を救った事とぶっ壊した事でプラマイゼロだろ!
まだ偉大なる航路に入ってもいないのに考えすぎてわけわからん。
こういう時は身体を動かしてスッキリするに限る!
ちょうど船の前方に海賊船が見えた。なんてタイミングのいいカモなんだ。
「ちょうどいいカモ発見。スカッとする一撃で海の藻屑にしてやんよ!」
「…ねぇハンマ。あなたそれやって
「い、いや!違うぞロビンさん!俺は船ごと叩き潰そうとなんてしてないんです!」
「ふーん?別にいいけどなんで敬語になってるのかしらね。あなた腹芸はできないんだから正直に言ってるほうがいいわよ?」
「ちょっとテンション上がって船ごと叩き潰そうとしてました」
なんでロビンは俺がやろうとしてる事がわかるんだろうな?
しかしこれができないと俺のロマンが…何かいい方法ないかな?
そうか!いいこと思いついた!
縦に叩き潰すから怒られるんだ!横に振り回せば波風立たないはずだ!海だけに!
やっぱ俺って天才なのかもしれない!脳筋だと思ってたけど実は頭脳派だったパターンかもしれない!
よし海賊ども!今からお前らを空飛ぶ海賊にしてやる!
俺は目の前に見える海賊船に向けて、巨大化させてその海賊船よりも大きくなったハンマーを振りかぶる。もちろん武装色の覇気を纏わせての全力全開フルスイングだ。
ククッ、海賊どもめ。本来なら自分たちが優位で略奪するつもりだったんだろうが、船よりデカイハンマーが振りかぶられてるのを見て、今から何が起こるか理解したようだな。
アタフタするのは勝手だが、しっかり掴まってないとどこかに飛ばされても知らないぞ?
ほらいくぞ海賊ども。この渾身の一振り、全力ホームランでお星さまになってこいや!
せーの…ドォォン!っと。
振り抜かれるハンマー。激突する海賊船。バラバラになって飛んでいく海賊船の破片と海賊たち。
あれ?思ってたのと違うな。予想では船がそのまま飛んでいくはずだったんだが…
そしてちょっと遅れてすごい風が巻き起こり、俺たちの船を揺らしていく。
「きゃっ!ちょっとハンマ。波はないけど風がすごいわよ!」
「…ごめん、なんか思ってたのと違った。とりあえず帆を畳んで風の影響を減らしておくね」
うーん、俺としては「バイバイキーーン!」って捨てゼリフ残して飛んでいくバイキンみたいになるイメージだったんだが、空中分解どころか叩き潰されてから飛んでいった感じになってしまった。
でもどっかの場面でルフィたちって空飛んで逃げてなかったっけ?
それとも俺の記憶違いだったのかな?
まぁ今回はロビンに怒られることも船が転覆しそうになることもなかったし、次に同じ事やる時は帆を畳んでからやれば問題はなさそうだ。
それに、もしかしたら武装色の覇気を纏わせなければ船はキレイに空を飛んだかもしれない。
うん、次の機会に試してみようっと。
俺としても超巨大ハンマーはロマンの塊なだけにちまちまと敵を叩くのは性に合わないし、今はまだいいが偉大なる航路に入れば超巨大な海賊船とかも出てくるはずだ。
確かゾンビ使いがそんなデカイ島を海賊船にしてたはず。海賊船が島なんだったか。
とにかくこれからも旅を続けていればそんな奴らとも戦う事になる可能性も低くはない。
だからこそ俺はそんな奴らを一撃粉砕するためにも、もっともっと強くデカくならなければいけないんだ。
「ちょっとハンマ?あなた人の話をちゃんと聞いているのかしら?」
「はい、ちゃんと聞いてますロビンさん」
「あなたの戦い方を私がとやかく言うつもりはないのよ?ただもう少し周りを見てって言ってるの。わかるかしら?」
「はい、ちゃんと自分たちの船が沈まないように努力しますです、はい」
…強くなるって大変だな。ロビンの言ってる事はとても当たり前の事すぎて言い返す言葉もない。
今回は怒られないと思ってたんだが、どうやら俺の勘違いだったようだ。
こんなお小言をもらったりはするが、基本ロビンは優しいしご飯も作ってくれたりと大変お世話になっている。
いろいろと教えてもらったりもしているし、出来の悪い息子扱い…いや弟扱いみたいな感じに思っているのかもしれないな。
…あれ?昔は俺がロビンを守ってたのに、なんかいつの間にか立場逆転してないか?