家畜の主 作:ビトレス・メンデス
迷宮都市として、世界で最も繁栄していると名高い【オラリオ】。
今でこそ全てが上手くいっていると思える、そんな都市だ。
二年も前の話である。
とある組織がウイルスをばらまいた。
【始祖花】という花から取れる【始祖ウイルス】それを更に研究されて作られたのが【T-ウィルス】だ。
【死の七日間】と呼ばれた日々はラクーンシティにも劣らない悲劇であったと聞き及んでいる。
【プラーガ】は使用されなかったらしい。
とある冒険者によってとある組織は壊滅したという。
確かに都市内の組織は壊滅したといっていいだろう。
しかし、残党は存在している。
【プラーガ】の研究、新型の生物兵器の研究。
Tを超えたウイルスも研究されていることだろう。
さすがにまだCには至っていないだろうが、つぶしておいた方がいいのは明らかだ。
それに、もう一つ懸念点もある。
【T-ウィルス】が存在するのは認識できた。
そこから発展された研究もなされているのもまた、確認できた。
となれば、だ。
【タイラント】ももう、作られてしまっているのではないか。
それに今は関係ないであろうことも。
死体が重なっている。
白衣を着ている、あからさまに研究員といった風貌だ。
便所の土と共に一つ、役に立たせてやることにした。
死体処理場であったので他のところには燃え移らない。
実験レポートや研究員の日誌、それらをかき集めて調べあげてもそこにはリサの名前はなかった。
○○研究所でとある実験体が、そんなレポートはあったもののリサの名前はない。
ここでの一番の収穫は銃のカスタムができたのと、弾が結構手に入ったことである。
この世界でここまで技術が発展しているとはと驚いたものだ。
サムライエッジがあった。
最高の品だと心が躍った。
次に。
ここでの成果として特記すべきものは、ほかの研究所の場所である。
リサ・トレヴァーという名前はなかったにしろ、ほかの研究所での成果は記されていた。
中世のような世界観のこの世界に合わないような研究成果がそこに並んでいる。
魔術と寄生体の融合やウイルスへの魔力の反応。
魔法が存在する世界なのだと理解が進んだので、あまり違和感はない。
文明自体はあまり進んでいないように思える。
寄生体やその宿主への【
【菌】の記述はなく、ただあるのはウイルスやプラーガの記述のみであった。
この世界にあの菌根はないのだろうと仮定する。
「‥‥‥ラッキ」
【
やがて、神の下に入る時は来るかもしれない。
肉体が複雑で異常であるからこそ、知りたかったのだ。
【支配種】は完全に全権を宿主に託しているとはいえ、脳はある。
一つの命には違いないし、寄生している先が脊髄であるため身体を丸ごと強化する恩恵によってどんな影響がもたらされるかどうか分からないのだ。
強制的に変異するかもしれない、巨大化して身体を食い破るかもしれない、不安要素は山ほどにある。
だからこそ、その研究レポートが手に入るのは僥倖であった。
【従属種】の場合。
死体であるからか刻めはしたものの、背中に神聖文字が現れることなし。
恐らく脊髄のプラーガに刻まれたものだと思われる。
ガナードを殺し、内部のプラーガを引きずり出した時死んだとは認識しなかった。
プラーガを殺すと死んだと認識した。
内部のプラーガは巨大化、攻撃性の上昇が確認され、宿主の見た目も醜悪に変化。
常に背中が蠢き、顔にも異常を確認。
光という弱点は失ってはいなかった。
【支配種】の場合。
宿主が生きているため、順当に成功。
経過観察後、特に異常はなかったが【スキル】が発現していた。
変異の完全制御、それに体内のプラーガの巨大化も確認された。
服を着ていれば違和感はないが、巨大化につれて体の表面に異常を確認。
巨大化の影響で体表からプラーガのの生命活動が分かりやすくなっていただけであった。
変異については要観察。
【従属種】はゾンビの強化系である【クリムゾンヘッド】のようなものかと結論づけた。
それに奇妙なことにプラーガにも恩恵は刻まれるらしい。
恐らくはどちらの種にも適用されることなのだろう。
蠢くのならば常に隠せるような服が望ましいか。
あとは頑丈さも求めたいところだが、それは後回しにする。
ともかく、恩恵は問題ないということは分かったので収穫だろう。
幹部連中に支配種が投与されていないか気になるところだ。
モンスターにプラーガを植え付け、支配種で操ることも可能であるからである。
東スラヴ共和国でのバイオテロで使用された【従属種】を投与されたリッカーがその例だ。
モンスターは核、心臓が魔石というだけでその他の臓器は他生物のものと変わりない、らしい。
どれだけ糞の様な組織でも、研究成果とその意欲だけは認めてもよいものだ。
書かれている文章も納得のいくものであるし。
情報とは力である。
知っているのと知らないのとでは違いすぎるのだ。
相手の手勢がわかるか分からないか、相手がどうやってつついてくるか。
それがわかっているだけでも戦いは違うものになるだろう。
不安要素を残らずつぶしてこそ、真に勝ったといえる。
戦とはそれまで何をしたかである、誰かがそう言っていたがその通りだ。
プラーガはほぼほぼ完ぺきな生物兵器といえるが唯一にして絶対的な欠点が一つだけある。
寄生体、卵の段階で投与しなければならないため定着に時間がかかってしまう点だ。
定着させてしまえば脊髄に寄生するため、取り除くことは不可能となる。
幼体ならば取り除くことは可能だが後遺症が高確率で残ること、運が悪ければ死亡の可能性すらあり、手遅れになってしまう場合が多い。
つまり、時間さえクリアしてしまえば完璧になる、ということである。
それで開発されたのが【プラーガタイプ2】だ。
すでに成長したプラーガを口にねじ込むことにより、時間という問題をクリアした。
絵面と効率は半端なく悪いが、そこは寄生体であるから仕方ない。
この世界でそこまで到達しているか、というと、していた。
タイプ2の記述は確かにあったのだ。
実用化はされているだろう。
限界を感じたのか、ウイルスの研究にシフトしたらしい。
もちろん、プラーガは高性能だ。
Cさえ生まれなければお役御免になることはない。
最大限に活用することだろう。
―――ウェスカーのようなチートがいないことを祈る。
「ここは、ここまでか」
長いこと滞在した。
火薬は作成完了、銃のカスタムや弾の作成も完了。
大まかな地図も作ることができた。
ある程度の奇想天外な仕掛けは勘でわかる、それに慣れた。
荷物は重いがじきに慣れる。
なにより、Cや菌がないことを祈って。
次なる研究所へ、と懐にある笛を鳴らす。
ガタガタと荒い足音とともに豪華な装飾の馬車が見えてきた。
御者の姿は見えず、馬車は私の前に止まる。
「トレヴァー様」
「デューク」
巨体、とてつもない肥満体型の男、デューク。
馬車の後ろから見える男の姿は醜悪に尽きる。
なんともよくわからない男だが、ほぼ私と同じ境遇である。
それに元々の印象もいいものであった。
「わかったことは何かありましたかな?」
「研究所の場所はな。予測だが地図も作った」
「おお、さすがはトレヴァー様」
「そっちの成果は?」
「それは、商品ですので」
「そうかい。なら、これでどうだ?」
デュークは笑みを絶やさず、私の差し出すものに注目する。
サムライエッジ、この世界で手に入れた、この世界の銃だ。
「一応ヴァリスもあるけど」
「この世界でこれほどのものが!ええ、ええ!よろしいでしょう」
あと、魚も取ってきたのだがやはりデュークの飯はうまかった。
デュークを出したかった。
後悔はしていない。
バイオ8、よかったですよね。
やりたいなぁ。