神次元ゲイムネプテューヌV〜審判を超えし者〜 作:namco
「ここがレツゴウアイランドか・・・。」
プラネテューヌを出発して南の海岸方面へと向かっていくと、正にリゾート地と言わんばかりの施設が立ち並んでいた。道も迷路状となっていてそこに立っているだけでもワクワクな気分を味わえそうな雰囲気の場所だった。
吹き渡る潮風、白い海岸、波打つ青い海、そして、どこまでも続いていそうな海の上に作られたアトラクション施設――――――の、はずだった土地が、酷い有様だった。所々にモンスターが存在しており、施設だった建物らしきものにそれぞれの住処を作っていた。
「うわぁ・・・見た目は弱っちそうに見えても何となく強そうな雰囲気を放ってるよ・・・。」
「ここを進むの~?」
「進むしかないわ。ミラって人を治す薬草がこの奥にあるらしいから。」
そうだ。ミラを目覚めさせるために必要な薬草がこの奥にあるんだ。進んでいくしかない。
「ここから先は本当に命懸けだぞ?本当に行くのか?」
「そういうのは今更だよ、ルドガー。」
「そうだよ~。いつもルドガーにはお世話になってるし、このくらいはさせてよ~。」
「あなた達から受けた恩は必ず返す。そのためならいくらでも力になるわ。」
「みんな・・・。」
わかった。もう何も言わないよ。だから・・・。
「力を貸してくれ。」
「「「うん!」」」
そう言って俺達は、レツゴウアイランドの最深部へと足を進めた。
「そういえばノワールはどうしたんだ?」
「ノワールちゃんなら~こないだからお仕事忙しそうだったから声かけなかった~。」
「やっぱりノワールは友達が居てもボッチになっちゃうんだね・・・。」
「・・・。」
・・・あとでお土産買ってお茶会開くか。
「はあ・・・はあ・・・。何とか辿り着いた・・・。」
ネプテューヌが肩で息をしながら言う。
実際ネプテューヌの言う通りだ。足を踏み入れた瞬間、一斉にモンスター達が襲い掛かってきたし、数が多かった上に一体一体の強さが尋常じゃなかった。特に、メガタートルとか言うモンスターはブランの本気の一撃を背中の甲羅で余裕で耐えるくらいだし、距離としてはそれ程長くは感じなかったが、辿り着くまで時間が掛かった。もう夕方になってる。
「あたし~もう動けない~。」
「でも、ここが最深部ってことは、目的のものがあるはずよ。もう少し頑張りましょう。」
「ああ。あと少しだ。」
そう言って俺達は最深部のエリアの調査を開始する。イストワールが集めてくれた情報が正しければこのエリアのどこかにあるはずだ。隈なく捜せばきっと見つかるはずだ。そう思いながら、俺達は調査を開始する・・・。
「あれ~?」
「どうした、プルルート?」
「あそこに生えてるのってレツゴウシーリーフじゃない~?」
プルルートが指を指した方向を見ると、エリアの壁際辺りに確かに何かが生えていた。地面から伸びる水色の茎。茎から伸びる水色の葉。茎の先に咲いている白い花。その花の中にある黄色の実の様な物。
「ちょっと待ってくれ。今検索する。」
俺はGHSを取り出し、ネット検索でこの植物がレツゴウシーリーフなのかどうか調べる。この世界でも使えるようにイストワールに頼んで知り合いの技師に改造してもらっておいてよかった。それはともかく、俺はネットから資料を探していると、ひとつの項目からある画像を見つける。それは――――――。
「間違いない・・・これがレツゴウシーリーフだ!」
「おおー!見つかったーーー!ばんざーーい!!」
「よかったわね・・・。」
「やった~~!」
見つかってよかった。これでミラの目を覚まさせることが出来る。見つけたのなら長居は無用だ。早く摘んでこれを病院に・・・!
「ちょっと待って。入り口から何か来るわ。」
「え?」
薬草を摘み終えた途端、ブランが俺に向かって言う。何か来る?その言葉に従って入り口方面を見る。
「何だあれ?」
俺が。
「紙飛行機みたいなものに・・・。」
ブランが。
「棒人間みたいなのが。」
ネプテューヌが。
「乗ってる~?」
プルルートが順番に言った。
「・・・・・・。」
棒人間?が何も言わずこちらを見つめる(目があるのかどうかわからないが)。しばらく見つめ合ってると、俺のGHSに電話が入る。
「もしもし?」
『よかった繋がりました!ルドガーさん達は今何処に?』
なにやら慌てた様子でこちらに電話してきたイストワール。一体なんだ?
「今最深部に居て薬草を摘み終えたところだが?」
『そこで、何か奇妙な姿をしたモンスターを見かけたりしませんでしたか?』
「見かけるも何も・・・。」
イストワールと電話しながら目線をずらすと、ネプテューヌとプルルートが棒人間の周りをぐるぐると回りながらはしゃいでいた。
「なにこれー!?このアイランドのマスコットとかー?」
「きっとそうだよ~。一緒に遊んでくれないかな~?」
「・・・棒人間みたいな奴がいるんだがそいつがどうかしたのか?」
『!?』
電話の向こうでイストワールが息を呑むのが聞こえた。どうしたんだ?
「(あれ?そういえばここに来る前にイストワールが・・・。)」
―――その最深部に危険種に指定されているほどのモンスターが存在していて、まるで番人のように薬草を守っているのです。
「っ!?おい、イストワール!まさかと思うが・・・!」
『ルドガーさん!!今すぐそこから全員連れて逃げてください!!』
気が付くと俺は入り口付近で戯れるネプテューヌ達に向かって走っていった。
「あ、ルドガー。この子メッチャ面白ーい!お持ち帰りしちゃいけないかな?」
「ネプテューヌ!プルルート!今すぐそいつから離れろ!!」
「?どうしたのルドガー?そんな怖い声だして~?」
あいつらは近くにいるやつがどんなものなのかわかってない。急いで引き剥がさなければ・・・!
「そいつは・・・そいつは・・・!」
「?そいつが何~?」
言わなければ・・・言わなければ・・・そいつは・・・!
「・・・・・・。」
棒人間が両手?になにやらエネルギーみたいなのを集めだした。それに二人は気付いていない。まずい!?
「そいつは・・・!」
『そこにいるモンスターは・・・!』
充填が終わったらしい。それを大きく振りかぶって地面に叩きつけようとしている。ダメだ!間に合わない!!
「『接触禁止指定モンスターです』だ!!」
その瞬間辺り一体が吹き飛んだ。
「いたた・・・みんな大丈夫・・・?」
「む~む~・・・!」
「何とか大丈夫よ・・・!」
「ぐうう・・・!」
棒人間の衝撃波によってぶっ飛ばされた俺達は、瓦礫から身を起こす。迂闊だった・・・まさかあんな見た目で接触禁止指定にされているモンスターだとは思わなかった。
「~~~♪」
棒人間は紙飛行機に乗りながらのりのりで踊っていた。何だかむかつく・・・。
「ルドガー。」
そんな中、吹き飛ばされた衝撃によってぼろぼろになったブランが声をかける。
「あのふたりに何か言ってたわよね。何なの?あのモンスターは。」
「ああ、あれは・・・。」
『そこから先は私が説明します。』
ブランと話しているとき通話状態だったGHSからイストワールの声が入る。
「イストワールか。」
『連絡するのが遅れて申し訳ありません。あなた方が遭遇したモンスターについてお話しなければと思いまして。』
「出来れば手短に頼む。」
『あれは現在確認されている接触禁止種の中でも未だ不明な点が多い「こいつなんだ?」種です。』
「へ?」
『ふざけて言っているわけではありません。見た目とは裏腹にとてつもない戦闘力を秘めたモンスターであり、一流の戦士達が束になっても勝てるかどうかわからないほどの強さを持っているのです。』
「それが奴だと?」
『はい。最大の特徴は、戦っている相手の姿をコピーして戦法を真似するということです。』
「姿をコピーするだと?それってつまり?」
『強制的に自分対自分の状況を作り上げるということです。』
何て厄介な・・・戦法を真似されるのも厄介だが、それに奴自身の強さも加えられるんだろう?奴の強さは今身を持って体験した。相手にしたくないな・・・。
「どうするの?この状況、奴は逃がしてくれなさそうよ?」
ブランが奴を見ながら言う。
「~~~♪」
奴は未だに紙飛行機に乗って遊んでいる。しかも出口付近で。こうなったらもう戦うしかないな。
『幸いなことに、そこにいる「こいつなんだ?」は最近生まれた固体であるので相手の姿を真似ることが出来ないようです。落ち着いて対処すれば勝てるはずです。』
「落ち着いて対処と言ってもな・・・。」
どうやってこの場面を切り抜けるかどうか決めあぐねていたその時。
「何も深く考えることないと思うなーわたし。」
「へ?」
「ここはシンプルに考えられない?モンスターをやっつけてみんなで帰る!それでいいじゃん!」
「ネプテューヌ・・・。」
「目的のものも手に入ったんだし、後は倒して帰る!!それでよし!!」
そうだ。何を悩む必要がある。やることはたった一つだ。目の前にいる敵を倒して、薬草をミラの元へと届ける。なんだ。簡単に纏めて見たら簡単じゃないか。戦闘力が強いからって何だ。接触禁止種だからって何だ。目の前に敵が現れたのなら倒す。それでいいんだ。
「ネプテューヌ。」
「なに?ルドガー。」
「ありがとな。おかげで目が覚めた。」
「え?何々?今頃わたしの魅力に気付いたの?いやーこれもやっぱり主人公たるわたしの持つカリスマって言うか・・・。」
ネプテューヌがなにやらニヤケ顔で言い始めたが無視無視。
「おーいプルルート。いつまでも埋もれてないでとっとと起きろー。」
頭から埋もれているプルルートを瓦礫から引っ張り出して立たせる。その際、色気のないパンツが見えてるけど気にしなーい。
「う~、もうちょっと寝ていたかったのに~。」
「この状況で良く寝ていられるよな・・・。」
眠い目をこすりながら戦闘態勢を取るプルルート。これが終わったら後でゆっくり寝て良いから今は頑張ってくれ。
「うん~、がんばる~。」
「よし・・・全員準備は良いな?」
「バッチリ!」
「いつでもいけるわ。」
全員が戦闘態勢を取ると同時に、棒人間も戦闘態勢を取る。紙飛行機から降りて、大剣らしきものを両手のうちに作り出して構える。まるでその戦闘スタイルはネプテューヌのようだった。
「あいつ、あたしの真似してる!?」
「イストワールが言ってた。そういうモンスターだってな。」
「どう真似していようが関係ないわ・・・。倒すまでよ。」
「わ~、ねぷちゃんの真似してる~。」
戦う前だってのにマイペースだなお前ら。
『ここから応援することしか出来ませんが、どうか・・・無事に帰ってきてください。』
「心配するな。必ず全員で帰る。だから待っててくれ。」
『御武運を。』
その言葉を最後に、イストワールからの通話を終える。
「待たせたな棒人間。始めるとしようか。」
この戦いを生き残り、ミラを目覚めさせる。そのためにあいつを倒す。
「~~~♪」
奴がこちらをおちょくるような挑発を送る。やっぱりムカつく。
「・・・いくぞ!」
「「「おおーーーーーー!!」」」
俺の掛け声と共に俺達は走り出し、棒人間もこちらに向かって走り出す。
今ここに、互いの生死を賭けた戦いが、始まった。
次回
「目覚め。」