神次元ゲイムネプテューヌV〜審判を超えし者〜 作:namco
二十五話どうぞ
「俺の勝ちだ。兄さん。」
「ああ。そして俺の敗北だ。」
ユリウスの秘奥義を真っ向から打ち破ったルドガーは、倒れたユリウスの首もとに剣を添えながら自身の勝利を宣言した。
「本当に、強くなったな・・・。」
「兄さん・・・。」
ユリウスは負けたことにたいして悔しい素振りを見せず、嬉しさを顔に出し、体についた汚れを払いながら起き上がる。
そしてルドガーはユリウスに誉められたことに嬉しい気持ちが溢れ、思わず頬が緩む。
「そっちも終わったんだね。」
感慨に浸(ひた)っていると、変身を解いたネプテューヌがこちらに向かって歩いてくる。
「まあな。そっちは?」
「ええと、終わったには終わったんだけど・・・。」
「何かあったのか?」
「見ればわかると思う。」
「?」
ネプテューヌに促され、先程まで女神達が戦っていた戦場をルドガーは見る。そこには奇妙な光景が広がっていた。
「納得いきませんわ納得いきませんわ納得いきませんわ!もういっかいやるんですのー!」
地面に腰を下ろして大泣きしながら変身の解けた金髪の女性が子供のように駄々を捏ねていた。
「何あれ?」
「わたし達が勝った途端、負けたのが気に食わなかったのかあんな風に泣き出しちゃってね。」
ネプテューヌが大泣きしているベールを指差しながら呆れ顔で話す。
「わたくしが勝たなきゃ嫌なんですのー!!とにかくもう一回やるんですのー!!」
「・・・向こうのベールも負けず嫌いだったんだよね~。ここまで極端じゃなかったけど。」
「いい年した大人がみっともないわね。」
離れた位置にいたミラがルドガーの近くに来ながら呟く。
「あー!もー!ぴーぴーうるせー!喚いたってかわいくねーんだよ!」
「そしてこの言われよう・・・あんまりですわー!」
「ベールさん・・・違う人だって言うのはわかってるけど、何だか違和感が・・・。」
「ネプギア、元居た世界とこう言う違いが出てくるから慣れるしかないよ。」
元居た世界と現在居る世界のベールの姿に戸惑うネプギアにネプテューヌがフォローする。
「ま、何はともあれ、勝負は俺達の勝ちだ。女神メモリーを渡してくれ。」
「ぐす・・・仕方ありません・・・。」
ベールは一旦泣き止むと同時に立ち上がり、流れていた涙を拭った。
「一度わたくしの教会に来てください。今手持ちにありませんのでそこでお渡ししますわ。」
「手持ちにねーのかよ。」
「当たり前でしょう。そんな貴重品普段から持ち歩くようなものではありませんわ。鴨が葱背負って歩くようなものですわよ。」
「まあ、確かにそうね。」
ブランの質問に返答したベールにノワールは頷く。
「なら早く行こーよ。こっちは戦闘で疲れたし、なによりお腹減ったー。」
「あたしもつかれた~。お昼寝したい~。」
ネプテューヌといつの間にか変身を解いたプルルートが頭を揺らしながら言う。
「あなた達仮にも敵対してる国のど真ん中に居るって言うのに緊張感無さすぎよ。」
ミラが二人の紫の女神に対して呆れ顔で言う。
「ええと、お姉ちゃんはどこへ行ってもマイペースなので言っても無駄かと・・・。」
フォローになっていないフォローをネプギアは言うが、言葉が見つからないためか言い淀(よど)む。
「・・・これ以上ぐだぐだになる前に町に戻るぞ。」
ルドガーがそう強引に締め括った。
―――リーンボックス 教会
「ではどうぞ。これが、あなた方が要求していた女神メモリーです。」
リーンボックスの教会内に帰ってきた後、女神メモリーの受け渡しが行われた。女神メモリーは無事手に入り、これでネプギアも女神に変身できるはずだ。
「やった!これでわたしもお姉ちゃんと一緒に・・・!」
こっちの世界でも女神になれることに喜びを全面に押し出すネプギア。
「早速使ってみてよネプギア。」
「うん!」
女神メモリーを掲げ、力を解放すると同時にメモリーが輝き、辺りがまばゆい光に包まれる。光が晴れると、そこには、白のレオタードのようなボディスーツを身に纏ったネプギアが立っていた。
「やった!なれた!!」
「やったねネプギア!おめでとう!」
「おお~なれたね~。おめでと~。」
「ネプテューヌの妹だからある程度は予想はしてたけど、やっぱりなれたわね。」
「・・・予想はできてた。とりあえずおめでとう。」
「えへへ・・・ありがとうございます!」
ネプギアが女神になったことによる反応は様々だ。が、その中でベールだけが怪しげな笑みを浮かべていた。
「おめでとうございます。これで晴れて女神となりましたわね。」
「ベールさんも・・・ありがとうございます。」
「それと同時に、あなたはわたくしの・・・妹となったのですから!」
ベールの発言と同時に、部屋の中の空気が一瞬凍りついた。
「・・・へ?妹?どゆこと?」
ネプテューヌが目を点にしながら聞き返す。
「ですから、ネプギアちゃんは、わたくしの妹となったのです。」
「いや、そうじゃなくて!なにがどーいった経緯でネプギアがベールの妹になるのさ!」
「それはそちらの世界での話でしょう?こちらの世界では、女神メモリーを使った者同士は姉妹となるんですのよ!」
「ええ!?ちょっと待ってください!わたしのお姉ちゃんはお姉ちゃんしか・・・!」
「・・・そもそもそんな伝承、聞いたこと無い。」
「適当なこと言ってんじゃないわよ!あなた自分の立場わかってるの!?」
「ほえ~あたしとねぷちゃん、姉妹だったんだ~。」
「あなたもあなたで簡単に信じないで!」
ベールの発言に部屋の中は混沌の空気に包まれる。この状況を見ていたルドガー達は、発生源であるベールを呆れた顔と白い目で見ながら溜め息をつく。
「コイツらのテンションには着いていけない・・・。」
「安心しろルドガー。俺も色々とベールに対して苦労してる。」
「あんた達、普段から苦労してるのね・・・。」
その時、ルドガーはあることをふと思い出す。
「あ、そうだ兄さん。これ、返す。」
「これは・・・俺の時計?」
「持ってること忘れててさ。で、思い出したんで兄さんに返そうと思ってな。壊れてた部分は知り合いの技師に頼んで直してもらった。」
「そっか。なら受け取るさ。」
ユリウスはルドガーから時計を受け取り、蓋を開けて動いているのを確認すると懐に仕舞う。
時計を仕舞うと同時に、ベールの部屋の入り口の扉が開き、一人の人物が入ってくる。
「失礼します!グリーンハート様!緊急事態です!」
入ってきたのはどうやらリーンボックスの兵士のようだ。かなり焦っているようだ。
「何事ですの?大したことのない用事で、わたくし達姉妹の睦言をジャマしたら許しませんわよ?」
「だからわたしの妹だってばー!」
「それで、用件はなんですの?」
「はっ!七賢人を名乗る者が、リーンボックスの街を壊して回っているのです!」
「なんですって!?」
兵士からの報告にベールは驚きの声を上げる。
「七賢人がこんなところにまで!?」
ベールに続いてノワールも驚く。
「あいつら・・・ゴキブリみてーにしぶてーな・・・!」
ブランは顔に怒りを浮かべながら罵倒する。
「警備の者達は何をしているの!?」
「それが、応戦してはいるのですが、我々では歯が立たなくて・・・。」
警備兵は声を淀ませながら話す。
「無理よ。一般人にあいつらの相手はキツいと思うわ。」
そこへノワールが助け船を出し、兵士のフォローをする。
「くっ・・・こうしてはいられませんわ!早く向かわなくては・・・あうっ!?」
七賢人が暴れている現場へ駆け付けようと走り出そうとするが、突如として腰を押さえながら地面へと倒れる。
「こ、腰が・・・!それだけでなく、身体中が・・・!」
どうやら先程の戦闘の影響でベールの体に負担が残っているようだ。
「ぷっははは!ベール、お婆ちゃんみたいー!」
「誰がお婆ちゃんですか・・・!」
「その体じゃさすがに無理だ。お前は今回は休んでろ、ベール。」
ユリウスがベールを担ぎ上げて部屋に置いてあるソファへと運ぶ。
「ですが、自分の国で起こった事件は自分でなんとかしないと・・・!」
「少しは俺のことも信じろ。それに・・・。」
「それに?なんですの?」
「この世界に来てから右も左も分からなかった俺を拾ってくれた恩を返させてくれ。」
「え・・・?」
「そう言うわけだからルドガー、それに他国の女神様方。俺からの依頼ということで、どうか協力して欲しい。七賢人をどうか一緒に撃退して欲しい。頼む!」
そう言ってユリウスは頭を下げる。ルドガーはユリウスのその態度に驚くが、ルドガーはユリウスに向かって答える。
「顔を上げてくれ兄さん。その依頼、引き受けるさ。」
「!ありがとう!」
「みんなもいいか?」
ルドガーは振り返り、女神達の答えを聞く。
「はあ、しょうがないわね。今回だけよ。」
「いいのですか?」
ノワールの返答にベールは思わず聞き返す。
「か、勘違いしないでよね!この騒動を解決すれば、私の信者が増えるかもしれないからで・・・とにかくそういうことよ!」
「長いツンデレお疲れ様ー。」
「こら、おちょくらないの!」
ノワールの素直じゃない理由にネプテューヌが茶化し、そして突っ込む。
「ノワールちゃんが行くなら、あたしも~。」
「・・・七賢人には個人的な恨みもあるし。」
ノワールに続いてプルルート、ブランも七賢人の討伐に意を示す。
「あたしも行くわ。この鈍りきった体を慣らしておきたいし。」
「あ、私も行きます!」
ミラ、ネプギアも参加の意を示し、ベールを除いた全員が参加することとなった。
「みなさん・・・。」
「そう言うわけだから行ってくる。大将はそこでどっしりと構えてればいいんだ。いい知らせを待ちながらな。」
ユリウスがそう締め括って、リーンボックスの兵士と向き合う。
「七賢人が暴れている場所を教えてくれ。一気に叩く!」
「は、はい!ご案内します!」
ユリウスは兵士に案内されて教会から出ていった。ルドガー達も後から続き、七賢人を撃退するために事件が起こっている現場へと駆け付けるのであった。