神次元ゲイムネプテューヌV〜審判を超えし者〜 作:namco
前編と後編に別れています。
2023/6/23 文章を一部修正しました。神次元側にバーチャフォレストは存在しませんでした。
「最近モンスターの動きが活発になっている?」
プラネテューヌの会議室にてルドガー、そして何故かミラも居る状態でイストワールからモンスターの動きが活発化しているという議題について会議を行っていた。
「はい。オオトリイ大森林にてモンスターの動きに異常が見られるとの報告があり、数日前から諜報員に見張らせていました。ですが、通常であればモンスターは自分達の縄張りから出ることはないのですが、まるで居場所を追われたかのようにモンスターが活動範囲内から出て行っているのです。このままではオオトリイ大森林の生態系に異常が起こってしまう恐れがあるので、皆さんには調査及び可能であれば討伐してきて欲しいのです。」
イストワールからの説明に納得するが、その中で一人だけ頭に疑問符を浮かべているのがいた。
「事情はわかったわ。けど、何であたしまで呼ばれたわけ?」
疑問符を浮かべていたのはミラだった。
確かに、このように国が関わるような仕事はミラも巻き込む必要はないはずだ。
現在は教会に住み込みでルドガーの手伝いという形で暮らしているとはいえ、一般人であるミラはこの場に呼ばれる必要はない。
「確かにそうだ。ミラはこの件に関わる必要がないのになぜだ?」
「ルドガーさんの言う通り、あなたを・・・ミラさんを国が関わるような大きな仕事に巻き込む必要性がありません。ですが、一つ気掛かりなことがありまして、その確認を取るためにミラさんも呼んだのです。」
「気掛かり?」
ミラが聞き返す。
「諜報員に同行していた調査班の調べによると、オオトリイ大森林でミラさんの扱う精霊術と似たような反応が検知されたのです。」
「精霊術の?」
「はい。そこで、何か関連性があるかもしれないということなので、この調査にミラさんも同行して欲しいのです。」
「なるほどな。ミラは精霊術の扱いに長けているから何かわかるかもしれないということか?」
「はい。餅は餅屋ということです。」
「そういうことなら納得ね。わかったわ。あたしも協力するわ。」
「よろしくお願いします。」
会議はそこで終了し、イストワールは会議室から出ていった。
「・・・どう思う?今回の事。」
二人きりになった会議室にてルドガーが話しかける。
「ええ。どうにもきな臭いわね。」
「精霊術は、俺達の元居た世界のリーゼ・マクシア人や精霊が行使する術だ。それが何故この世界で精霊術の反応があったんだ?」
「あたしも少しだけこの世界のこと勉強したけど、精霊術とこの世界の魔法とは全く違うわ。それに、今のところ骸殻を使うあなた達兄弟とあたしを除けば精霊術を扱える人なんていないはずよ。」
「だが、その精霊術の反応があった。何故だ?」
「それをこれから調べに行くんでしょう?」
「そうだな。ここで予測をいくら立てても仕方ないな。反応があった場所に直接行ってみればわかることだな。」
「なら行きましょう。場所はオオトリイ大森林だったわね。準備が出来次第、街の入り口に集合しましょう。」
「ああ。」
そう言って二人も会議室から出ていった。
「一つ聞きたいんだけど、ネプテューヌ達はどうしたの?」
「溜まった書類の片付け。イストワールの監視付きで仕事してる。今まで遊びまくってたツケだな。」
「一国の主が何やってんのよ・・・。」
会議室を出ていく直前にこんな会話が交わされた。
―――オオトリイ大森林 深部
プラネテューヌからそれほど離れていない森の中。その森の深部にて一つの影が現れる。
「グルルルル・・・!」
獣のような唸り声で目を血のように紅く光らせながら歩いてきた。
森の木々の隙間から照らされる陽の光でボンヤリと姿を露わにする。
4足で歩く獣のような下半身に、人型の上半身。大まかに見えるその姿は現存する生物の中でも異質だった。
「■■■■ーーーー!!!!」
謎の生物は口を開いた瞬間、耳を抑えていても響いてきそうな爆音波とも言える巨大な咆哮を挙げると、辺り一帯の森林地帯を吹き飛ばしてしまう。
強大な衝撃によって木々は吹き飛び、森に住んでいた動物やモンスター達は、その巨大な音と衝撃によって吹き飛び、ショックによって絶命するかのどちらかになる。
「グルルル・・・!」
咆哮の後、唸り声を挙げながら再び辺りを彷徨い始めた。
「ホントにこの辺りで合ってるんでしょうね?」
「ああ。間違いない。GHSに組み込んだ地図アプリの情報とイストワールの情報と一致している。そろそろ目的地のはずだ。」
獣道とも言える不安定な道をルドガーとミラは歩いていく。
道中、モンスターとの戦闘もあったが、回数は少なく、それほど体力も消耗しなかったため予定より早く森の深部に辿り着いた。
「着いたな・・・これは!?」
「酷い有様ね・・・。」
深部に到着した二人が目にしたのは、リング状に荒れ果てた大地であった。
木は倒れ、地面は多少湿った土が剥き出しになっており、この状況が出来上がったのがつい最近だという様子が見られる。
「何がどうなったらこんな状況に・・・。ミラ、精霊術の反応とかわかるか?」
「もう精霊じゃないからそこまで強く感じ取れないけど、確かに精霊術のような力の感じはするわ。」
「じゃあ、やったのはそいつってことか?」
「断定は出来ないけど、その可能性は高いでしょうね。」
二人はこんな状況になった理由を推測する。が、確信となるものがないため殆どが憶測に過ぎない。
そんな中でルドガーはある異変に気付く。
「ん?」
「どうしたの?ルドガー。」
「いや、上から何かが・・・。」
ルドガーは頭上から何かが近付いて来るのを感じ取り、空を見上げる。
すると、澄み切った青空に一つの黒い点が存在し、段々と大きくなってくる。
「ねえ、あれって落ちてきてない!?」
「ヤバい!逃げるぞ!!」
二人は大きくなっている何かを認識した瞬間、それが落ちてきていると理解し、即座にその場から離れる。
離れると同時に落ちてきた未確認物体は地面に激突し、土埃を舞い上がらせる。
「何なんだいきなり!?」
土埃が晴れると同時にその姿が露わになる。
青い毛並みの四足歩行の獣の下半身に龍のような上半身。背中には巨大な鳥のような翼を持ち、両腕には亀の甲羅のような盾を装備している。
「グルルル・・・!」
「何だコイツは・・・!」
「色んなモンスターの身体をくっつけている・・・?」
ミラの言葉通り、その生物の姿は様々なモンスターの体をくっつけたかのような異質なものだった。
見覚えのある部分から言うならば、上半身はエンシェントドラゴン、下半身はフェンリスヴォルフ、翼はフェニックス、両腕はメガタートルといった危険種を中心に組み合わされており、誰がどう見てもその姿は異質だった。
「まるでキメラだな・・・。」
ルドガーの言う通り、まるでキメラのようだった。
異質なモンスター―――キメラはルドガー達を見据えると、口から爆音波を放ち威嚇する。
「■■■■ーーーー!!!」
「うっ!?」
「耳がっ!?」
二人は爆音波を真正面から浴びてしまい、強烈な音によって意識を一瞬だけ飛ばしてしまう。
その様子を見たキメラは、二人を仕留めようと巨体を活かした突進を行ってくる。
「っ!ヤバ!?」
「きゃっ!?」
朦朧とする意識の中でルドガーは必死に体を動かし、ミラに体当りするように移動し、キメラの突進を回避する。
二人が間一髪で回避した瞬間、二人の後ろにあった木が突進によって吹っ飛び、他の木を巻き込みながら倒れていく。
「なんて威力だ・・・!」
「あんなのをまともに受けたらひとたまりもないわね・・・!」
「グオオオーーー!!」
キメラは体の向きを二人に変えると、今度は逃さないと言うかのように咆哮を挙げる。
「精霊術の反応の調査も気になるが、まずはコイツを片付けてからだな。」
「そうね。どの道放って置くと危険だし、コイツが街に行くことになったら大変なことになるわ。」
二人は同時に剣を構えてキメラと向き合う。
「グルルル・・・!」
キメラも二人が戦闘態勢に入ったのを認識すると唸り声を挙げて身構える。
「行くぞ!」
「確実に仕留めるわ!」
後編に続きます。
なるべく早く投稿します。