神次元ゲイムネプテューヌV〜審判を超えし者〜 作:namco
さて、教会を飛び出したものの、何処から手を付ければいいのかわからない。三カ国同時に事件が発生している訳だし、俺とミラが二手に別れてもどれか一つが厳かになる。
どれを優先し、どれを後回しにするかかなり悩む。かと言って、長く悩む時間がないのも確かだ。どうしたものか・・・。
そう悩んでいると、後ろから声が聞こえてきた。
「ミラさーん!ルドガーさーん!」
「ネプギア?どうしたんだ?」
「いーすんさんからお願いされて、ルドガーさん達の補佐に回って欲しいと言われたんです。それなら3つの国をそれぞれに別れて行ったとしてもちょうど足りるでしょうって。」
「ネプテューヌ達はどうしたんだ?」
「お姉ちゃん達は、「子供達のことならあたし達にまかせて!」と言って私を後押ししてくれました。」
「そうか。ならそれぞれの国に一人ずつ救助に行こう。それなら事件解決するのに時間短縮できるかもしれない。」
「そうね。なら誰がどこに行くのか決めないとね。」
「そうだな・・・。」
「それなら私は、ラステイションに行きたいです。ここからだと距離も近いですし。それに、ハッキングを受けてるなら機械に詳しいわたしの出番です!」
「なら、ネプギアはラステイションに行ってくれ。俺はリーンボックスには俺が行くが・・・ミラはどうする?」
「あたしはルウィーに行くわ。あの子には助けられた借りがるから。」
「分かった。ネプギア、ミラ、終わったら互いに連絡しよう。」
「はい!」
そう言って俺達は三手に分かれてそれぞれの国の救援に向かった。
リーンボックス行きの船に乗り、港に降りたルドガーは到着したことをユリウスに連絡する。イストワールからあらかじめ連絡を受けていたこともあってスムーズに話をすることができたので、現状を確認と情報の共有をするためにリーンボックスの教会で合流しようという流れになった。
―――リーンボックス 教会
「わざわざ来てくれてありがとな、ルドガー。」
リーンボックスの教会の扉を開けたら出迎えてくれたのはユリウスだった。
「気にしないでくれ兄さん。」
兄に歓迎されながらも謁見室に案内され、用意された席に座る。
用意された席にルドガーが座ると、先に座っていたベールが切り出す。
「緊急事態ゆえに挨拶は抜きにして本題に入りますわ。例のモンスターのことです。現在、街の中で暴れていたモンスター達は大体は鎮圧できましたが、何体かは外に逃げました。ですが、ただ逃がしただけではありません。逃げたモンスターは共通して一定の方向に逃げていくのが確認できたので、どのモンスターを放った首謀者のもとへと案内してもらうためです。どのような目的で我が国にモンスターを放って混乱を撒き散らしたのかを聞き出し、その落とし前を付けてもらいますわ。」
「そういうわけだ。ルドガー、来て早々で悪いが、協力してくれるか?」
ユリウスが聞くと、ルドガーは頷く。
「大丈夫だ。さっさと終わらせて子供達と遊ぶさ。」
「頼もしいな。それとすっかり子煩悩だな。」
そんな会話を繰り広げていると、謁見室に一人の兵士が入ってくる。
「会議中失礼します!モンスター達の逃げた先がわかりました!ゼーガ森林へと逃げました!」
「わかった。全部隊に伝えろ。俺達がそいつ等を追う。お前達は街の防衛に当たれ。」
「了解しました!」
ユリウスからの命令を受けた兵士は謁見室から出ていった。
「聞いたな二人共。場所がわかった。早速向かうぞ。」
「ああ!」
「ええ!」
この時、ルドガーは思った。
ネプテューヌ(ボケ役)がいないとこんなにもスムーズなんだと。
―――ゼーガ森林 入口
「情報だとこの辺りのはずだ。」
森の入口に立ったユリウスが呟く。
兵士からの情報を頼りに、街を襲ったモンスターはこの森の何処かにいるとのいるとのことだ。
「なあ兄さん。兄さん達が追っているモンスターってどんな姿をしてるんだ?」
「そうだな・・・色はオレンジで、爬虫類のような体に、ムカデのような大量の足で、なんとも言えない気持ち悪さを感じさせる奇妙な奴だ。」
ユリウスの言葉を頼りにどんな姿かを想像するが、頭の中で上手く纏めることができない。
「何だそりゃ。想像しにくいな。どういうモンスターなんだ。」
「少なくとも、ゲイムギョウ界(この世界)ではあんなモンスターは見たことがない。新種なのか、希少種なのか、今のところ不明だ。」
「わたくしとユリウス、そして我が国の軍も討伐しようと動いていますが、なかなかタフネスかつすばしっこくてで仕留め切れていないのですわ。」
「街で暴れているとは言っても、大きな被害は出ていないから幸いと言ったら幸いだな。」
「ですが、このままの状況が続くとあのモンスターがどのような行動を取るのかわからないので、元凶を叩くことにしましたの。」
「なるほどな。それで、元凶を叩いたあとそのモンスターはどうするんだ?」
「無論、討伐を大まかな目標として入るが、何体かは生け捕りにして研究所に送って生態の追求だろうな。何しろ今まで見たことのない奴だったからな。」
「そうか・・・。ん?」
「どうしたルドガー。」
「しっ。二人共アレを。」
ルドガーが指を指した先に、ユリウス達が話していた例のモンスターが居た。
見た目はユリウスの言っていたオレンジの体にムカデのような多数の足、背中は鶏のトサカのような背びれが生えており、顔と思わしき部分はなんとも言えないブサイクな表情をしている。
体の大きさは野生のスライヌくらいであり、それほど大きくはなかった。
モンスターの姿を見たベールはまさにアレだと、3人だけが聞こえる声量で話す。
「まさにアレですわ。街で暴れていたモンスターというのは。」
「全部で3体か・・・。歩く方向から見て深部の方へ向かってるのか?」
ユリウスが言う。どうやら奴らは深部を目指しているらしい。何かあるのだろうかとルドガーは思う。
「きっとあのモンスターを放った首謀者のもとへと向かっているに違いありませんわ。このまま追跡しましょう。」
ベールの言葉に兄弟は頷き、一定の距離を保ちながら追跡していった。
「何か話し声が聞こえるな。」
しばらく進んでいると、ルトガーが何かしらの異変に気付き、話し声が聞こえてきた。
「・・・うか、そ・・・か。・・・神ど・・・に。か・・・そうに。」
距離故に声がかすれて聞こえてくるが、ルドガーはこの声に聞き覚えがあった。
「この声、何処かで・・・。」
正体を確かめようと、見つからないように木の陰に隠れながら近付き、会話を聞き取ろうとする。
「ほら、妹達も心配しているぞ。だから泣き止むんじゃ。な?」
「きゅい〜。」
「きゅい、きゅいい!」
「アイツは・・・!」
近付いたことによってその正体をはっきりと確認することができた。黒いスーツ姿に眼鏡をかけた白髪の太ったおっさん。その名は―――。
「アクダイジーン!」
「なるほどな。この事件は七賢人が裏で糸を引いていたってことか。」
ルドガーの呟きにユリウスが反応し、合点がいったと言わんばかりに納得する。
「ようやく見つけましたわ。そこのあなた!」
「ぬう、女神!?それとエージェントか!」
ベールが飛び出し、それを見たアクダイジーンが驚愕する。
「よくもやってくれましたわね。わたくしの国でこのような・・・!」
アクダイジーンの悪行を糾弾しようとベールは近付くが―――。
「貴様等、よくもやってくれおったな!」
「・・・はい?」
何故か逆に怒られた。
「何故わたくしが怒られてますの?」
「知らないうちに何かやったんじゃないのか?」
ユリウスが言う。
「い、いえ、わたくしは何も身に覚えがありませんわ!」
「しらを切るつもりか!?わしの娘を泣かせておいて!」
ここで驚愕の事実が発覚。七賢人であるアクダイジーンに娘がいた。
「え?あんた、娘がいたの?」
驚いて口にするルドガー。
「知りませんわ!とんだ濡れ衣ですわ!」
「ええい、まだしらばっくれるか!現に今ここで泣いておるではないか!」
「え?ど、どこですの?」
アクダイジーンの娘らしき人物を探すが、それらしい姿や影も見当たらない。
「ここじゃ、ここ!」
痺れを切らしたのか、指を差してその存在を教える。
「きゅい・・・きゅいい・・・。」
「「「・・・へ?」」」
三人とも目が点になる。
「さあ謝れ!早く娘に謝らんか!」
「「「・・・。」」」
いきなりの急展開に頭がついて行かず、一瞬だけ思考放棄する3人。その中で意識を早く取り戻したルドガーがアクダイジーンに尋ねる。
「あの・・・娘って、もしかしなくても、そいつ等?」
「他に誰が居ると言うんじゃ?」
「え、ええと、つかぬことをお伺いしますけど、奥様は、その・・・人間ですの?」
今度はベールが尋ねた。
「わしはまだ独身じゃ!」
「あー、つまりアレか?そのモンスター達は自分の娘同然と言いたいのか?」
最後にユリウスが尋ねる。その言葉を聞きたかったと言わんばかりにアクダイジーンは言う。
「ああその通りじゃ。わしの言い方も悪かったかもしれんな。この子らはわしの実の娘ではないが、娘のように可愛がっておるという意味じゃ。この子らも、わしを父親のように慕ってくれておる。」
「きゅい〜。」
「きゅい、きゅい!」
「おー、よしよし。もう少し待っていておくれ。」
奇妙なモンスターと戯れているおっさんという誰得な状況を眺めているルドガー達は何とも言えない感情にさらされながら思考を半ば放棄しつつも気を取り直してアクダイジーンと向き合う。
「色々と突っ込みたいところはあるが、一先ずこれだけは言わせてもらうぞ。アンタの言う娘とやらは、一体何物なんだ?」
ユリウスがアクダイジーンに質問を投げかける。
「何物かじゃと?」
「少なくとも、俺達はソイツ等のような生物は今まで見たことがない。俺達は仕事柄、様々なモンスターや動植物の生態系を調査したり、危険であれば討伐したりもしている。だが、俺が今まで見てきた物の中でソイツ等のような生物は見たことがない。答えろ。ソイツ等は何だ?」
「フッフッフ・・・残念じゃが、今は答えられんな。」
「何だと?」
「むしろ敵とわかっている連中に情報を与えると思うか?」
「ごもっともな回答で。」
「それにな、わしの役目は十分に果たした。」
「役目?どういうことですの?」
怪訝(けげん)に思ったベールが聞き返す。
「貴様らがプラネテューヌによく集合していることがこちらの耳に入ってきているのでな。戦力の分散を目的に、各国でちょいと騒がせてもらっとるわい。」
「何だと!?」
衝撃の事実を聞いたルドガーは思わず聞き返す。
「そう、この騒動はいわば囮!貴様らをプラネテューヌから引離すためのな!」
「何の目的でそんなことを!?」
「素直に教えると思うか?」
「貴様・・・!」
その時、ルドガーのGHSの着信音が鳴り響く。
「もしもし?」
『ルドガーさん!大変、大変です!!』
「イストワールか、どうしたんだ!」
『子供達が誘拐されてしまいました!!』
「何だと!どういうことだ!?」
『お願いします!急いで帰ってきてください!!』
その言葉を最後にイストワールとの通話が途切れてしまった。
「おい!イストワール!?イストワール!!」
「どうやら上手く行ったようじゃの。」
「アンタ達、一体何をした!?」
「それを聞いてるヒマなぞあるのか?」
「貴様・・・!」
「落ち着けルドガー。」
「兄さん!?」
「ここで怒っても仕方がない。お前は急いでプラネテューヌに戻るんだ。」
「ここはわたくし達に任せて、子供達の捜索を!」
「わかった!頼む!」
ルドガーは踵を返して森を後にし、リーンボックスの港へと急ぐのだった。
「さて、聞きたいことも色々出来たな。ここまで事を大きくしてくれた以上、知っていることを全て聞かせてもらうぞ。」
「貴方がた七賢人の本当の目的もですわ。」
「月並な言葉じゃが、そう簡単に捕まってやるつもりはないぞ?」
「百も承知だ。さっさとアンタを倒すまでだ。」
「この問答も最早無意味ですわ。大人しく捕まりなさい!」
「やれるものならやってみるがいい!」