神次元ゲイムネプテューヌV〜審判を超えし者〜 作:namco
「まったく、ピー子のバカ!」
プラネテューヌの教会にて、自室のベッドにて怒りを剥き出し不貞寝している少女がいた。名をネプテューヌ。怒っている理由はただ一つ。ピーシェと喧嘩したからだ。
ことの発端は、ネプテューヌが仕事終わりに食べようとしていた限定プレミアムプリンをピーシェが食べてしまい、そのせいでネプテューヌが怒り喧嘩して、ピーシェは出て行ってしまったのだ。
そのやり取りの内容を聞いたルドガーは外に出て行ってしまったピーシェを探すために追いかけて行ったのだ。
「ねぷちゃん、まだ怒ってる〜。」
「まったく、たかがプリン食べられたからってムキになりすぎよ。」
ノワールがそう言った瞬間、ネプテューヌの首がグリン!と180度回転した。
「たかが!?今たかがって言った!?」
「うわっ!?怖!?」
その後勢いよく飛び上がり、首を戻しながらノワールに詰め寄った。
「さっきも言ったけど、アレは予約した人にしか買えない超限定のやつで三ヶ月前から楽しみにしていていざ食べようとしたときに誰かに食べられていたっていうプリン大好きなわたしからしたらとてもとてもショックなことだったんだよ?しかも食べた犯人であるピー子は悪びれもなく美味しかったって言ったときには頭にきたものだよ。楽しみにしていたものが一気に壊された気持ちって途轍もないものなんだよ?ノワールだってコスプレ衣装を完成間近で壊されたりしたら大きなショックを受けたりするでしょ?それと同じだよ。だいたいノワールはね・・・。」
「ああもう!わかったから、わかったから!落ち着いて!?それとアタシがコスプレ趣味って何処から聞いたのよそれ!?」
「とにかく!謝ったって当分は許さないから!」
そう言ってネプテューヌは再びそっぽを向いてしまった。
「これは・・・重症ですね。」
「あんなに怒ったお姉ちゃん、初めて見るかも・・・。」
ノワールに詰め寄っていた様子を見ていたイストワールとネプギアは普段は見ないネプテューヌの様子に戸惑う。
―――ガチャッ。
突如としての玄関から扉が開く音が聞こえた。
「あら、帰ってきたのかしら?」
反応したのはミラであり、帰ってきたであろうルドガーを迎えるべく玄関へと向かっていく。
「おかえりなさ・・・え?どちら様?」
玄関へと向かった先で待っていたのは、仮面を着けた黒尽くめの男だった。
「突然押しかけてすまない。コイツを帰しに来たのと、重要な話を持ってきた。」
男は自身の肩に担いでいた人物を指を指す。
「っ!?ルドガー!?一体どうしたの!?」
「今は話している時間はない。ルドガーが起きたら伝えて欲しい。」
「何を?」
「奴らはルウィーの南東にある地下施設、「メロトイドシェルター」にアジトを構えている。そこにピーシェと誘拐事件の真相がある、とな。」
「え?」
「それではな。俺にはまだやることがある。また後で会おう。」
「あ、ちょっと!」
そう言って男はルドガーを置いた後にすぐさま教会から出ていった。
「・・・ということがあったのよ。」
先程のやり取りを部屋にいる全員に伝えると、部屋内部が重苦しい空気に包まれる。
その中で一番気を重くしているのはネプテューヌであった。
「ピー子・・・。」
あの時喧嘩しなければ、あの時追いかけていればと後悔の念が胸を支配する。
そんなネプテューヌを見かねたのか、ミラは言う。
「後悔してるなら、今自分がすべき事をするのよ。」
「え?」
「ピーシェと喧嘩した結果、この事態に繋がったって思ってるなら、ピーシェを取り返す事を考えなさい。そして謝りなさい。貴方も、あの態度が大人気なかった事をよく理解しているはずよ。後悔してるなら取り戻して、そして謝りなさい。」
「ミラ・・・うん。」
「腹を括(くく)ったわね。ならルドガーが起き次第、すぐ出発しましょう。」
「なら、すぐ行かないとな。」
「あら、もう起きたの?」
「ああ。心配かけたな。」
ルドガーはそう言ってソファから降りると体を解していく。
「俺が油断したせいで、ピーシェの誘拐を許してしまったからな。その責任は取らなきゃな。」
「いや、それを言うなら私がピー子と喧嘩したからこんなことに・・・。」
「途中から聞いていたが、悪いと思ってるならピーシェを取り戻すことに専念するんだ。謝るのはその後だ。」
「ルドガー・・・。」
「ミラ、奴らは何処に?」
「黒いやつの情報によると、ルウィー南東にアジトを構えてるらしいわ。どこまで本当かわからないけど、他に当てがないわ。」
「罠があっても纏めて叩くだけだ。七賢人に聞きたいことがあるからな。準備できたらプラネテューヌの入口で集合しよう。俺はそこで待ってる。」
そう言ってルドガーは教会から出ていった。
「私達も行きましょう。前みたいに七賢人がまた襲撃してくるかもしれないから、何人かはここに残したいんだけど、それでいいかしら?」
ミラが提案した案に部屋にいるメンバー全員が頷く。
「わたしは行くよ!ピー子を助けなきゃ!」
「あたしも〜。」
「・・・あたしも行くわ。ルウィーにアジトがあるなら無関係ではないわ。」
「あたし行くわ。あのオカマに一言文句言ってやるんだから!」
アジトに突入するメンバーは決まった。残るは防衛する者達だ。
「なら、わたくし達は残りますわ。ネプギアちゃんと一緒にここを守りますわ。」
「え!?べ、ベールさん、何故わたしと一緒に!?」
「だって、わたくし達は姉妹だからですわ。」
「それベールさんが勝手に言ってるだけですから!」
「なら俺も残るか。ミラ、ルドガーとピーシェを頼む。」
突入メンバーにルドガー、ミラ、ネプテューヌ、プルルート、ブラン、ノワールが入り、防衛組にベール、ネプギア、ユリウスが残ることとなった。
―――メロトイドシェルター 通路
「まったく!灯台もと暗しとはまさにこのことね!!子供達を誘拐していたのはまさか七賢人だったなんて!!」
七賢人のアジトであるメロトイドシェルターにて一人の少女が、足音を大きく立てながら研究室へと足を運んでいた。
名はアブネス。七賢人のメンバーであり、幼年幼女をこの世の悪意から守るという使命を掲げながら活動をしていたのだが、その守るべき幼年幼女の誘拐を行っていたのが七賢人だということがアブネスの耳に入ったために、他のメンバーを問い詰めようとしていたのだ。
その中でも一番情報を持っていそうである人物に話を聞き、内容次第ではとっちめてやろうと意気込んでいた。
「この世のすべての幼年幼女を守るために!徹底的に戦ってやるわ!!たとえそれが同志であっても!!」
そんな勢いのまま通路を進んで、目的の人物がいるであろう秘密の研究室へと到着した。そして勢いよく扉を開ける。
「アノネデス!!アンタに聞きたいことがあるのよ!!ちょっとそのツラ貸しなさい!!」
しかし、何も返事がない。あるのは何かの研究レポートらしき書類の束と、簡易的なベッドと来客用のソファと資料を仕舞う棚だけであった。
「アノネデス!?いないの!?」
いくら呼びかけても返事がない。どうやら不在のようだ。
「居ない・・・。事がバレてトンズラしたって訳じゃなさそうね。アイツの事だわ。きっと何処かに隠し通路みたいなのがあるはず。」
そう言って部屋を物色し始めた。怪しいと思った箇所を隈なく探したが、何も見つからなかった。ファイルも調べたが、専門用語ばかりでちっとも読めなかった。
「どこに行ったのよアイツは・・・。」
探すのに疲れて来客用のソファに座った瞬間。
―――カチッ。
スイッチを押した音が部屋に響く。
「カチッ?」
次の瞬間、座っていたアブネスごとソファが独りでに動き、地下へと続く階段が現れる。
「こんなところに階段があるなんて・・・アイツらしいというか・・・。」
ソファから降りたアブネスは現れた階段をしばらくの間マジマジと見ていたが、自分のやるべきことを思い出し、階段を降りていった。
「ずいぶん深いわね。何処まで続いているのかしら?まさかループする無限階段とかで、お尻使ってワープして突破するようなものじゃないわよね?」
薄暗い階段を降り始めて約十分。未だに出口が見えないでいた。足元が見えるようにライトこそ灯っていたが、足音しか響かない狭い空間では不気味さが醸し出されていた。
「こうも暗いと、何だか不気味ね・・・ええい!この程度で怖がってどうするの!囚われの幼年幼女を救うために、今が頑張り時よ!」
不気味な雰囲気に負けないように自分を鼓舞するアブネス。その胸には何が何でも子供達を救わなければという使命感が溢れており、まさに子供を救う救世主のような雰囲気を纏っていた。
そんな気合を入れていた矢先に一筋の希望の光がアブネスの目に入り込む。
「アレは・・・もしかして出口?あの先に子供達が?」
出口が見えてきた事によって安堵の息が漏れると同時に子供達がいるかも知れないという期待が溢れる。
「待ってなさい!アノネデスの奴をとっちめて、子供達を開放してやるわ!!」
一つの決意をし、アブネスは階段を一気に駆け降りていくのであった。
―――メロトイドシェルター 秘密研究施設
「な、何よコレは・・・!」
階段を降りた先には驚くべき光景が広がっていた。
いくつもの柱状のカプセルに子供達が閉じ込められており、天井から伸びるたくさんのチューブに繋がれていた。
「この子達って、誘拐されてきた・・・。」
信じられない光景に息が震えるが、さらに驚愕の事実を目の当たりにする。
―――女神メモリー、インストール完了。No.13、解放します。
聞こえてきた機械音声と共にカプセルの扉が開き、中から何か出てくる。
「ゔゔ・・・ぁ゙ぁ゙・・・。」
カプセルから出てきたのは、緑色の体に通常の人間の倍の身長を持つ巨人とも言える体躯をした怪物であった。
その姿を見たアブネスはその不気味さに小さく悲鳴を上げる。
「ひっ・・・!?」
その小さな悲鳴が聞こえたのか緑の巨人は辺りをキョロキョロと見渡したあと、視界にアブネスの姿を捉えた。
「ゔゔ・・・ぁ゙・・・!」
視界に捉えた瞬間、アブネスを敵と認識したのか、丸太のような巨大な腕を振りかぶり、アブネス目掛けて振り下ろした。
「きゃああ!?」
振り下ろされた腕を後ろに下がることでギリギリ回避したが、足をもつれさせてしまい、そのせいで尻餅をついてしまう。
「あ、ああ・・・!」
「ゔゔ・・・ぁ゙ぁ゙・・・!」
怯えるアブネスをよそに緑の巨人は今度こそ外すまいとアブネスを狙って両腕を振り上げる。
アブネスは逃げようとするが目の前に迫る死の恐怖から体が硬直し、後退りも出来なくなってしまう。
「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ーーー!!」
「きゃあああーーー!!」
両腕が振り下ろされ、アブネスの命を刈り取ろうとしたその時―――。
「舞斑雪!」
黒い影が巨人の腕を切り落とした。
「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ーー!?」
両腕を切り落とされた痛みに悶え、地面に倒れる巨人。それを好機と見たのか、黒い影はアブネスを抱える。
「大丈夫か?」
「あ、あなたは誰!?」
「話は後だ。今は脱出するぞ。」
そう言って黒い影はアブネスを抱えてアブネスが入って来た入口へと戻って行った。