転生系文芸部部長が涼宮ハルヒの憂鬱で自由に過ごすお話。   作:知らない後輩

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4話

 

 この世界でSOS団が問題なく発足されてから数日、私は何事も問題がなかったかのように部室に入り浸っていた。

 理由としては、ハルヒに部室を明け渡ししてからも一応ここは文芸部の看板が立っていた場所。だから間違えて文芸部宛の用事が来るという不測の事態に対応するには誰か文芸部員が駐在していなければならない、とか何とか言ったら了承を貰ったのだ。

 ならば、長門を駐在員にすれば良いという声が聞こえそうだが、ここでは長門をSOS団員とカウントしてしまえばいい。それに部長の私が前に出ていれば面倒な話は長門にはかかって来ない。

 身を張った人柱的考え。そう思ってくれて構わないよ。

 

 「コンピュータも欲しいところね」

 持ち込まれた調理器具やガラクタが置かれ、ちょっと賑やかになった部室。何処からか持ってきた勉強机の上で団長様がそんな事を言い始めた。

 

 「この情報化時代にパソコンの一つもないなんて、許し難いことだわ」

 ハルヒの突然の発言、パソコンが部室に無い。それは我々文芸部にも少しばかり考えさせられる所があった。

 それは、何故こんな現代で文芸部は手書きで小説を作っていたのか、だ。

 話は変わるが、PCを用いて作品を執筆するというのは現代に生きる小説家にとっての常識である。その筈なのに北高の文芸部の先輩達は明治、大正時代の文豪達が頭を掻きながら原稿用紙に項垂れているイメージがあったのかどうか知らないが、何食わぬ顔で原稿用紙に小説を作成していた。

 私がまだ一年生だった時に聞いたペンを走らせる音の大合唱は未だに忘れられ無い。

 

 「と言うわけで、調達に行くわよ」

 「調達って、パソコンを?どこでだよ。電気屋でも襲うつもりか」

 「まさか。もっと手近なところよ」

 「ついてきなさい」

 

 ハルヒはそう言うと、キョンとみくるを引き連れ何処かへ行ってしまった。十中八九あそこだろうけど。

 ドアの開く音の後、暫くすると聞こえてきた聞き覚えのある男性と女性の声。その後に響いた男性の大声は段々と弱々しくなっていき、遂には聞こえなくなった。

 その後、ハルヒと共に現れたパソコンを持った数人の男達が部室に入ってくると、その中の一人が私に駆け寄った。

 

 「おい!これはどう言う事だ?」

 「何の事かな?」

 「とぼけないでくれ、急に君の後輩達が我々のパソコンを奪ってきたんだ!後SOS団って何なんだ!此処は文芸部じゃ無かったのか?」

 「悪いな我が友よ。此処はもう文芸部の部室では無いし、刺客は私の後輩では無い。それに此処はSOS団の部室であって、私は何も関与はしていないよ」

 「そんな、バカな事があってたまるか」

 「ほらあんた、無駄話していないでちゃっちゃと仕事をしなさい!もしもやらないって言ったら、写真を町内中にばら撒いてあんたの社会的地位をガタ落ちさせてやるんだからね」

 「そ、それだけはやめてくれ...」

 

 ハルヒによる催促と脅しに翻弄され、急いで作業し始めるコンピ研部長。正直こんな友の姿は見たくない。

 介抱され部室の隅でシクシク言いながらうずくまるみくると顔色を悪くしながら必死にパソコンの初期設定をしているコンピ研部長。それに対してやり遂げた顔をしたハルヒ、この状況を言葉として纏めるなら地獄絵図や混沌と言っても過言では無いと感じた。

 

 次の日の話だ。

 昨日あのような暴挙に続く暴挙で多くの人間に多大なるダメージを与えて行ったハルヒは罪悪感も何も感じていないどころか、忘れていそうに、「やっほー」と気さくに部室にエントリーした。

 

 「ちょっと手間取っちゃって、ごめんごめん」

 両手に大きな紙袋を提げながら上機嫌にやって来たハルヒ。彼女が荷物を持ち鍵を閉めたところから、また何かしでかすつもりだと予想できる。

 また、それを感じる事ができた者は私だけではなかったらしい

 「今度は何をする気なんだ、涼宮。言っとくが押し込み強盗のマネだけは勘弁な。あと脅迫も」

 「何言ってんのそんなことするわけないじゃないの」

 「では机に載っているパソコンは何だ」

 「平和裏に寄付してくれたものよ。そんなことより、ほら、これご覧なさい」

 

 そう言ってハルヒが全員に配ったものは手書きされたA4紙のコピーだった。

 「わがSOS団の名を知らしめようと思って作ったチラシ。印刷室に忍び込んで二百枚ほど刷ってきたわ」

 見ずにとも分かってしまったSOS団団結に伴う所信表明の紙。これを校門に配りに行くんだっけな。

 「はいはいそうですか」

 珍しく自主性を発揮しようしたキョンをハルヒは制し、

 「あんたは来なくていいわよ。来るのはみくるちゃん」

 疑問を持って小首を傾げるみくる。ハルヒは持ってきた第二の紙袋から衣装を取り出した。

 「じゃあああん」

 次々と取り出されるパーツの中に見覚えのある大きな付け耳や丸い尻尾を見つけ何の衣装かを理解する。

 

 「バニーガールの衣装とは、また趣味な物を持ってきたね」

 「まままさかあたしがそれを着るんじゃ……」

 「もちろん、みくるちゃんのぶんもあるわよ」

 「そ、そんなの着れませんっ!」

 「だいじょうぶ。サイズは合ってるはずだから」

 「そうじゃなくて、あの、ひょっとしてそれ着て校門でビラ配りを、」

 「決まってるじゃない」

 「いやですっ!」

 「うるさい」

 ハルヒは素早く素早くみくるを捕まえると手際良く脱がしていく。

 「いやあああぁぁぁ!」

 「おとなしくしなさい!」

 完全に追い剥ぎの現場と化した部室。嬌声が鳴り響く。

 そして静止させようと立ちあがろうとしたキョンに向けられたみくるの悲痛な叫びは我々男子陣の救助心を忘れさせ、私とキョンを廊下へと脱出させてしまった。

 その後も続く嬌声。このままだと長く続くと思われた着替えはみくるが完全に降伏した事で早く進み、ハルヒの合図が来たのはたった数分後だった。

 「入っていいわよー」

 ハルヒの合図で部室に戻った二人の前には堂々としたバニーガールと今にも泣きそうなバニーガールがそこに居た。

 「どう?」

 黒いバニー衣装を身に纏ったハルヒが意見を求める。

 「どうと言われても、俺はお前の頭を疑うくらいしか出来ねぇよ」

 キョン、それって褒めてるの?

 

 「行くわよ、みくるちゃん」

 ハルヒに先導されながらみくるは助けを求める目で此方を見ていたが、諦めろとしか言いようがない。

 

 ハルヒとみくるが部室を出てほんの30分程後生徒指導から帰ってきたハルヒが激怒しながら、

 「とにかく腹が立つ!今日はこれで終わり、終了!」

 と部活動を終了させ、今日は帰る事になった。

 

 さて、突然だが長らくは物語の軌道に乗らせる為だいぶ自重していたが、そろそろ私自身のターンに移らせて貰う。

 物語をそのままなぞっていく日々はそろそろ終わりにしたいのでね。

 

 まず、今日前後の原作では何があったか思い出して見よう。特に昼休みの出来事を中心に。

 彼は昼休みにSOS団ウェブサイトを立ち上げ、長門からある本を借りた。

 その本の中には丁寧に栞が挟まれているのだが、そこに書かれた文字を思い出して欲しい。

 

 『午後七時。光陽園駅前公園にて待つ』

 

 これは長門がキョンに対して自分の正体を暴露する時、キョンを呼び出すために書いていた手紙の内容でもある。

 それに気付いたキョンはアニメ版では次の日、小説版では古泉が入団した日の夜に公園へやって来た。

 故に、最低でもバニーガール事件の日の夜にはキョンは来ないという事になる。

 なので今日の夜七時に何とかしても長門と接触しなければならない。

 

 長く薄暗い夜道を歩いて行く。自転車で向かって悟られては大変だから仕方ないが、流石にちょっと心細い。

 住宅街から商店が多い地区へ、そして駅前に。

 時間は午後七時数分。もう居なかったら帰り道に合流する気でいたが、追う必要が無くて安心した。

 

 ベンチに座った人影、街路灯に照らされた姿は北高の制服を着た一人の女子生徒。そして見覚えがあった。

 

 「こんな所で何をしているのかな?長門君?」

 突然自分に話しかけられた彼女は、顔色を変えずに此方に顔を向けた。

 「それは貴方も同じ」

 「フフ、何だと思う?」

 私もベンチに腰掛けて本格的に会話を進める。

 沈黙。冗談は通じないらしい。

 「……散歩だよ散歩。この時間帯は歩行者が少ないからね、顔見知りと会う事も無い。屋外で楽しめる一人だけの時間。中々に面白い」

 「で、君は?」

 先程よりも長い沈黙。普通だったら気まずくて帰る所だが、今日は下がらない。

 「待っている」

 「待っている...人を?」

 「そう」

 遂に答えてくれたか。彼女は私との会話を終わらした方が良いと判断したらしい。

 だけど私がしたいのは、ただの日常会話じゃない。もっと涼宮ハルヒに呼ばれた者同士としての会話がしたい。

 

 「君は、本当に何かを待つのが好きなようだね。三年間もの間待機していたというのに懲りずに次は人を待って、たまには自分から行動する事は出来ないのかな?命令を忠実にこなす事と目標を達成する為に努力する事は似ているようで違う。そうだろう?」

 「何故その事を貴方が」

 「さぁね、そんなに知りたいなら未来の自分と同期でもして私の正体でも何でも突き止めれば良い。君にはその力があるだろう?」

 やり過ぎた。もうちょっと友好的なアプローチをしたかったが、シリアス展開に片足を突っ込んでしまった。

 これ以上は危ない、このまま去らないと。

 

 「ちょっと喋り過ぎたかな。そろそろ帰らないと両親に心配させてしまう。じゃあ私は此処で帰らせてもらうよ」

 「だめ」

 ベンチから腰を上げようとすると腕をガシッと掴まれる。

 「そのような行動せずとも此処で話を聞けば問題は解決する」

 「そうなんだけど、何も対策せずに君とコンタクトしようとは私も考えていなくてね」

 刹那、私は掴まれた腕を振り解き一気に長門を突き飛ばし、一気に後ろへ下がった。

 突き飛ばされた長門はそのままの勢いで後ろへ下がり、こちらを見据えている。

 「良いのかい?こんな人目の付く場所で情報操作しようとして」

 「まぁ、いっか。される前に此方がやれば」

 

 話は逸れるが、こういう転生モノの小説では、無くては欠かせないものがある。

 転生特典。大体の転生二次創作の主人公はこの力で悪と戦ったり、スローライフを送ったりしている。

 もちろんのこと私もその力を持っているのだが、ここまで言えばもう分かるよね?

 

 「情報を検索」

 全ての並行世界及び、全ての作品の世界からこの状況を打破するアイテムの情報を検索し、選択

 

 「検索完了。抽出を開始」

 選択されたアイテムを周囲の原子を変化させ、制作を開始する。

 

 空気から急に光の粒子が現れ、左手に集まってゆく。

 収束された光は左腕外側で形状を作り上げそのまま装着。

 現れたのはレリーフにも見えない銀色の盾。

 

 「対象の情報操作及び武装を確認」

 目の前で行われた行為に警戒する長門。

 「じゃあオヤスミ。良い夜を」

 私はそう言って盾に装備された装置を作動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜の光陽園駅前公園。そこにいたのはたった一人の少女。

 「対象をロスト。戦闘態勢を解除」

 少女はたった一言呟きその場を離れて帰路について行った。

 

 




ちょっと自分の好きなようにやり過ぎた感がいっぱい...こっからどうしよっかな……
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