転生系文芸部部長が涼宮ハルヒの憂鬱で自由に過ごすお話。 作:知らない後輩
その時、私の脳内を表すのなら想定外、異常事態、番狂せとかそんな言葉で埋まっていたと言える。
何故なら、このままで行くと再登場は年末までお預けだった人物が次の日には復活して、尚且つ私に急接近しているからだ。
昨日の介入の際のデメリットは長門から眼鏡が取れない程度だったと思っていたがその代わりと言わんばかりに朝倉が復活して来るなんて、誰が予想出来ただろう。
「どう?驚いた」
朝倉は自然に見える様な笑顔で私に言い寄る。
「ああ、君の復活は十分に私の心を揺さぶってるよ」
「そう、それは良かった。貴方の言う『原作』を超える為に私達も予定を急変更させた甲斐があったわ」
ほう、情報統合思念体の連中もなんやかんやで私の事を未知数のダークホースだと認識しているらしい。
あと、こんな大胆なアクションをしているのは私が奴らの存在を最初から認知している所から、隠しても無駄だろうと思っている節が有るからなのか。
「それにしても、何故君が私に接近しているのかな?君達の観察対象は涼宮ハルヒの筈だ。私には彼女の様な無から何かを創造する事は出来ない」
「貴方は自分を過剰否定しすぎよ。貴方の持っている別世界の技術をこの世界で使用する力は涼宮さんの力よりも劣るけど十分に魅力的だとは思わない?」
「それでもだ。君の後ろにいる急進派はキョン君を殺そうとするほどに、停滞している状況から変化を欲している派閥だ。こんな私のチマチマとした小さな情報で満足の出来る奴らだとは思えない」
「貴方、そこそこわたし達の事知っているのね。そうよ、急進派は涼宮ハルヒによる巨大な情報爆発を望んでいる、なるべく早くね。しかし主流派の連中から釘を打たれてしまったからには私達の行動も制限しなければならない。だから貴方に目を付けた。まぁ、言うなら貴方はわたし達の箸休め要員って所ね。それに涼宮さんみたいにいちいち正体を隠して様子を伺うよりも、ちょっとは扱い易いしね」
ちょっと、箸休めとか扱い易いとか随分人を甘く見過ぎじゃ無いのかな?
「はぁ...色々と物申したい事もあるけど言うのは止めよう。それで君はどうする気なんだい?勿論だがお願いされても私は君達の為に働かないよ」
「そんな事は予想出来てるわ。だからこうするのよ」
そう朝倉が言うと、私の腕を掴んでいる手を両手にしてもっと体を寄せて来た。というか寄せすぎて色々と当たっている。何とは言わないが。
「わたし、情報収集とする為に愛想とかルックスとかが良い様に設定されてるの」
「それは前から知っているよ」
急に何を言い出しているんだ、此奴は。
「明るい性格で、何でも出来る家庭的で、それでいて自分で言うのも何なんだけど顔も良くって良いカラダもしている。こんな優良物件中々に見つからないわ」
まぁ彼女の評価は谷口にAAランクプラスと言わせる程なのは私も知っている。
「そうだね、だから?」
「ここまで女の子に言わせるなんて酷い人ね。まぁ、良いわ。結論を言わせてもらうけど貴方、わたしのカレシになってくれない?」
いつから朝倉のキャラクター性はこんな酷い事になってしまったんだ?
「それに貴方の言う主人公さんと関わった事のあるキャラクターの一人と交際出来る何て夢みたいだとは思わない?」
「何故そんな発想になったのか分からないな。君達の得意分野であるヒューマノイドインターフェースを学校内から町中にばら撒くとかは出来ないのか?」
「出来るけどそんな大規模な事したら不思議好きな誰かさんに不審がられる可能性があるわ。そこまでして危険な橋を渡りたくはないもの」
「じゃあ何で君が私のカノジョ役なんだ?他の奴にも適役な個体がいただろうに」
「他の個体にはそれぞれの仕事を全うして貰っているから空きが無かったのよ。だから貴方の恋人役に私が選ばれた」
「それにコソコソ遠目で覗き見されるより身内に近い人に見られた方が悪い気にはならないしね」
ああ言えばこう言うキリが無い会話。やっていて自分の気力が削れて行く。
実を言うと朝倉が私の交際相手になる事。それは私にとって興味深い話でもあった。
実を言うと私はハルヒシリーズでも宇宙人組の三人が好きだ。
他の陣営よりキャクターの個性は弱い(妙に強いメイドや執事よりも)と思うがストーリーに関わって来る頻度は比較的多かったり、キャラソンが一人づつ作られていたり、二次創作でのはっちゃけ具合も良いと随分と魅力的だからだ。
だからこの話は彼女の口から発せられた時は色んな意味で衝撃だった。だけど
「悪いけどこの話は無かったことにしよう」
「あら、何で?」
「君に言い寄られるのは嬉しいし光栄に思う。だけどリスクがある。今の君はキョン君にとっての危険人物だ。たとえ危害をこれから加えないと言っても君には償えない過去が有る。彼は君の事を不快に思うだろう」
「それは彼に申し訳ないと思うわ。だけどわたしも任務だから簡単には下がれないのよ。それに、」
朝倉がふと私から視線を外す。私もつられて彼女が見ている横の通学路を見るとチラチラとこちらを見て来る通学路途中の生徒の目が。
「貴方と私が話している間、何人の生徒がこの光景を目撃しているのかしらねぇ?」
私と朝倉を見てある者は頬を赤らめ、ある者は親の仇の様に般若の形相で見てきたりと十人十色な表情をしている。
ああ、これはもう駄目だ。話に集中していて、話している場所を気にしていなかった自分を恨むしか無い。
「これで誰もが私と貴方が付き合っている事を認知せざるを得ないわね」
「あはは、今日は厄日だね。絶対にそうだ」