Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O-   作:きゃぷてん

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故あって改訂版投稿したよ


2019:襲撃者〈レイダー〉②

 バタンと、本が閉じる音がした。

 

「おいニンゲン、本を読み終えたのよ。望み通りあの姉妹のことを話してやるのかし……ら……」

 

ZZZZZ……

 

「起きろなのよ!」

 

「うえっ!?寝てない寝てない!」

 

「見え見えの嘘はつくなかしら!」

 

居眠りしていたソウゴを大声で怒鳴って起こすベアトリス。起きたソウゴは慌てて否定するが、がっつり寝ていたところを見られたので無意味である。

 

「まったく……お前までベティーをイライラさせるような真似をするのはやめてほしいのよ」

 

「ごめんごめん。それで、レムのこと教えてくれるんだよね?」

 

「切り替えの早い奴かしら…………はぁ、一度しか話してやらないからよーく聞いておくのよ」

 

ベアトリスは話す態勢に入り、ソウゴも聞く態勢に入る。

 

「まず、あの少女はーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の、夜。

 

「そぉーれで、スバルくんの様子はどーぉだい?」

 

空には月がある。上弦の月で、欠けた月で、綺麗な月。その月の下で、密やかに報告が行われていた。

 そこは広い部屋。中央には来客を迎える応接用の椅子とテーブルが置かれ、奥には執務用の椅子と机が。

 ロズワール邸本練の最上階、主のロズワールの執務室である。

 

「3日目だけど、現在の評価は?」

 

「そうですね、全然ダメです」

 

彼に問いかけられた人物は、彼の膝の上に座り、桃色の髪を撫でられた。それは、ラムだ。

 

「はは、そーぉかい、全然ダメかい」

 

「バルスは本当に何も出来ません。料理もダメ、掃除も下手くそ、洗濯を任せようとすると鼻息が荒い。裁縫は達者ですが、それ以外はどれも任せられません。しかも、今日庭園で魔法を思いっきり失敗していました。大きな黒雲が突然上がったから、何なのかと」

 

「確か、シャマクの魔法だったねーぇ」

 

 今日、スバルは庭園で魔法の体験をした。パックにスバルの魔法の属性を調べてもらい、それが陰だと判明した。

 そして、パックの手伝いもあり、陰魔法のシャマクを発動したーーーーはいいが、訳あって魔法が暴走し、大きな黒雲が庭園の一角を覆ったのだという。

 ちなみにシャマクの魔法とは、目眩しの魔法である。

 

「それで、彼が間者の可能性は?」

 

「否定は出来ませんが、その可能性はかなり低いと思います。良くも悪くも、バルスは目立ちすぎているので」

 

「あはーぁ、そーぉかい。じゃ、次に行こう。ソウゴくんはどーぉだい?」

 

 ロズワールが次に聞くのは、ソウゴのこと。

 

「トワキは、特に変わった動きは見せていません。至って普通です。間者の可能性も低いかと」

 

「…………そーぉかい」

 

ロズワールが返事をするまで少し間が空いたことに、ラムが疑問の表情を浮かべる。

 

「何か、彼に気になることでも?」

 

「…………そうだねぇ。気になるところがあるとすれば…………彼の力、だろうか」

 

「力?」

 

「彼はあの腸狩りを一度追い詰めた、と聞いた。つまり、彼はそれほどの実力があるということだ。が、彼はそんな実力者には見えない。ただの平凡な少年に見える。見かけによらないのか、それとも違うのか…………気になる所、だね」

 

「…………珍しいですね、ロズワール様が一個人に興味を持つなんて」

 

「私だってぇ、人に興味くらいは持つよ?それじゃあ、引き続き彼の監視を宜しくねーぇ。そして、くれぐれもレムが先走らないように姉の君が注意しておくようにねぇ。今が、大事な時期だから」

 

「…………はい、注意しておきます」

 

 この密談に参加していないラムの妹、レム。彼女は、時にこちらの意図を汲んだ上で独断に走る傾向がある。故に、その独断が良くない結果を招く可能性がある。そして今回も、少々先走った行いをしてしまった。

 それを思い出しながら、ラムは厳かに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………くん。

 

 

…………こえ……ますか…………

 

 

あ……たの……すぐ近くに…………

 

 

求めてる…………力が……あり………す……

 

 

そして……気を……けて…………

 

 

危機も……すぐ傍に…………

 

 

…………の人を……守って…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

 目を見開く。

 窓からは日が差し、鳥のさえずりが聞こえる。

 

「………………」

 

 少年は身を起こす。

 

「あの時の声だ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよー」

 

ソウゴは食堂の扉を開き、朝の挨拶をする。

 食堂に既に揃ってるスバルとエミリア、ロズワールは、同じく「おはよう」と、朝の挨拶で返した。ベアトリスは居ない。

 ふとソウゴは、ロズワールの後ろに立っているレムをじーっと見る。レムはその視線に気付いた。

 

「どうかしましたか?」

 

「……ううん、何でもないよ」

 

 誤魔化すように、微笑んで返す。

ソウゴはそのまま椅子まで歩き、着席する。

 揃った一同は、祈りの言葉を捧げ、いつも通りに食事を始めた。

ロズワールの傍に立ちながら、食事の様子を見ているレムとラム。時に雑談を交わしながら、食事の手を進める。特に変わらない風景。

 しばらくして、

 

「ご馳走様。今日も美味しかったよぉ、レム」

 

ロズワールが食事を終えた。朝食の感想を伝えられたレムは、目を閉じて会釈。

 

「外出の用があるから、私は少し支度をしてくる。お先に失礼すーぅるよ」

 

 席から立ち上がり、食堂の扉まで歩く。そして、扉を開き「そーぉれじゃ」と言って出て行った。その間に、姉妹二人はロズワールに向かってお辞儀していた。

 

「…………私がいない間、何か一波乱ありそうだーぁね」

 

 彼は、自身の従者であるメイドーーーーレムが、ソウゴに視線を向けていることに気付いていた。……が、その視線は、決していい物だとは、言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 禁書庫にて

 

「やっほ、ベアトリス」

 

「……オマエ、随分と匂いが濃くなってるのかしら」

 

開口一番から不満を飛ばすベアトリス。鼻をつまんで手を振って悪臭を遠ざける素振りをする。

 

「匂いって、昨日言ってた?」

 

「そうなのよ、双子としばらく会わない方が賢明なのかしら」

 

「一緒に屋敷にいるし、会わない方が難しいと思うな」

 

忠告を飛ばされるがそれを断る発言をするソウゴ。

 

「そういえば、その匂いが濃くなる原因とかあるの?」

 

「そんなの、ベティーは知らないかしら」

 

ソウゴの質問に少し苛ついた様子で返すベアトリス。

 

「…………ねぇ、今日俺さ」

 

 ソウゴは何かを話そうとした。が、何故か途中で話すのをやめる。

 

「?どうかしたかしら」

 

「…………いや、何でもない」

 

「そう……それで、ベティーに何の用があってオマエは来たのかしら」

 

「俺の匂いがどうなってるか聞きにきたんだけど…………もうさっき聞いたからいいかな。それじゃ」

 

 ベアトリスに手を振って帰ろうとするソウゴ。が、その時

 

「ちょっと待てかしら」

 

扉に手をかけようとした時に引き止められて振り返るソウゴ。

 

「何?」

 

「来るかしら」

 

 手で来るように促され、ベアトリスの方に行くソウゴ。次に「しゃがめ」と言われてベアトリスの視線に合うくらいにしゃがむ。そして、ベアトリスは脚立から降りて、その手をソウゴの胸に当てた。

 

「………………」

 

 しばらく、目を閉じるベアトリス。

 

「……!?」

 

瞬間、彼女は目を見開いた。

 

『私は生まれながらの王である』

 

『最高、最善の魔王になってみせる!』『祝え!その名も仮面ライダージオウ!』『善も悪も、光も闇も、全て受け入れる! その力で俺は、未来を切り拓く!』『こいつは誰より優しく! 誰より頼りになる男だ! そして……俺の友達だ……!』『お前達の平成って、醜くないか?』『まるでデコボコで、石ころだらけの道だ』『デコボコの道で、何が悪い!?』『瞬間瞬間を必死に生きてるんだ!』

 

 土石流。

 

「…………ああっ!?」

 

ベアトリスは急いでソウゴの胸から手を離し、思わず後退る。そして下を向いて胸を押さえながら、はぁはぁと、息を荒げる。いつの間にか、床に雫が落ちていく。

 

「ちょっ、ベアトリス!?大丈夫!?」

 

 ソウゴはベアトリスの異常な様子に焦った表情をしながら彼女に近づき触れようと手を伸ばすが

 

「…………出て行け」

 

「……え?」

 

「今すぐ出て行くのかしら!」

 

「うわっ!?」

 

 ベアトリスがソウゴに向かって手を突き出したかと思えば、ソウゴの体は思いっきり扉の外へ吹っ飛ばされ、廊下に転がる。その後、扉は勢いよく閉まった。

 

「っ!ベアトリス!」

 

廊下に倒れていたソウゴは身を起こし、扉を開けて部屋の中を見る。が、

 

「あ……」

 

そこはただの、客室になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 もはや立ってるのもままならず、少しでも楽になろうと床に身を預けるベアトリス。

 

「あれは……なんだったの、かしら……」

 

あの男からは何かしらの力を感じた。

 その力の正体を知ろうと、体の中のオドに干渉しようとした、が。干渉をした途端、何か大きな力に蝕まれるような、そんな感じがした。

 それと同時に、脳内にも一気に様々な情報が入ってきた。と言っても、状況が状況だった為、どんな内容だったか碌に覚えていない。

 

「オマエは一体、何者なの、よ…………」

 

頭痛と吐き気と倦怠感によって意識が朦朧になるなか、ベアトリスはこの部屋にはもう居ない男の名を呟いた。

 

「トキワ……ソウゴ……」

 

彼女の意識は闇に呑まれ落ちた。

 

 

 

 

 

 

「何だったんだろ……」

 

 廊下を歩いているソウゴは呟く。

 

「ベアトリス、大丈夫かな」

 

 異常な様子だったベアトリスのことを心配するソウゴ。ソウゴはあれから色んな扉を開けたが、ベアトリスの部屋に中々入れない。

 

「……悩んでてもしょうがないか。また会えた時に大丈夫か聞こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

『バルス、この洗剤ではこう洗うのよ』

 

『トワキ、見てるなら手伝ってちょうだい』

 

『バルス、買い出しに行くわよ』

 

『レム、今日は私がトワキの元に行くわ』

 

『バルス、また手を切ってるの?』

 

『トワキ、茶を届けに来てあげたわよ』

 

 

姉様、どうしてですか姉様。

 

何故その者達と親しくするのですか姉様。

 

貴方にあんな目に遭わせた者達に何故優しくするのですか。

 

ああ、姉様。

 

姉様。

 

姉様。

 

姉様。

 

姉様。

 

姉様。

 

姉様。

 

お姉ちゃん。

 

姉様。貴方が優しいのは理解しています。

 

でもそんな貴方が奴らに付け入れられると思うと耐えられません。

 

奴らが   と姉様の大事な居場所に居られると思うと耐えられません。

 

だからーーーー  は奴らを■します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜空に満月が輝く時間となった。

 

 人々はもう寝る時間である。

 

「ふぅ……危ない危ない。俺の腸内でサードインパクトが起こるとこだったぜ」

 

スバルは安堵の表情でトイレから出てきた。

 

そして、部屋に戻る為に廊下を歩き初める。

 

 窓からは光が差し掛かっている。

 

 暗闇と静寂に包まれた廊下では、その光さえも、不気味に感じる。

 

 そして人間は、そんな不気味な空間の中では音に敏感になるだろう。だからこそ、

 

「……ん?」

 

 スバルがその音に気づいたのも、必然なのかもしれない。

 

「…………鎖の音?」

 

音がした方を振り向いた時には、

 

「っ!!」

 

 その凶器は、スバルの下へ飛んで来たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 常磐ソウゴは部屋に戻り就寝する為、廊下を歩いていた。

 結局、あれからソウゴはベアトリスと会うことは出来なかった。色んな扉を開けたが、ベアトリスの部屋に繋がることはなく。日が暮れてからも、彼女と会うことは無かった。

 

「…………ベアトリス、大丈夫かな」

 

ベアトリスへの不安を募らせるソウゴ。

 

「明日になったら、元気にだったらいいんだけどな」

 

 と、前向きに希望を見出す。

 

 そんな時

 

「!?」

 

 突如、ソウゴの脳内にある光景が見えた。それはーーーーーー

 

「スバル……?」

 

スバルが見えた。そして、見てみればなんと、彼を襲う謎の鉄球も見えた。

 

「……よく分かんないけど、嫌な予感がする」

 

 不吉な予感を覚えたのか、ソウゴは、脳内に見えた光景の現地へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「うおおお!」

 

 体を大きくのけ反らせ自分を襲う鉄球を避けるスバル。

 スバルに当たり損ねた鉄球は、暗闇の中へ戻る。

 

「な、何なんだよ一体!?」

 

困惑の声を上げるスバル。だが、そんなスバルはお構いなしとばかりに、次の攻撃は来た。

 

「なっ……!?」

 

 今度は複数の氷柱が飛んで来た。

 

(やべぇ、これはっ……!)

 

 避けれない。そう思った瞬間。

 

「スバル伏せて!」

 

 後ろから聞こえた声で咄嗟にスバルは伏せる。

 

『フィニッシュタイム!ジオウ、ギリギリスラッシュ!』

 

電子音声が鳴ったと同時にピンク色の斬撃が飛び、氷柱を全部破壊する。

 

「スバル、大丈夫!?」

 

 ジカンギレードを持ったソウゴがスバルに駆け寄り安否を確認する。

 

「あ、ああ。どうにか……」

 

 見たところスバルは無傷のようで、無事であった。

 

「まさか、貴方まで来たのですね」

 

暗闇の中から声がして、それと同時に、声の主も姿を見せる。

 

「ソウゴくん」

 

「…………レム?」

 

それはレムであった。

 ソウゴは目を見開き、スバルは呆然として名を呼ぶ。

 

「何も気づかないまま、終わってもらえるのがよかったのですが」

 

「…………レム、何でスバルを?」

 

「単純なことです。疑わしきは罰せよ。メイドとしての心得です。スバルくんを殺したら、次は貴方を殺すつもりでしたが。ここで纏めて殺します。抵抗しないでくれたら、楽に終わらせてあげますよ」

 

「……悪いけど、そういうわけにはいかない」

 

 ソウゴはジクウドライバーを腰に装着する。

 

「スバルは隠れてて」

 

『ジオウ!』

 

ソウゴはスバルにそう言いながら、ウォッチのベゼルを回しリューズを押して起動する。

 

「……相手は女の子だから、手加減してやれよ」

 

 そう言いながら、スバルは端にある柱に身を隠す。

 

 ソウゴはウォッチをD‘9スロットに装填。ライドオンリューザーを押してベルトのロックを解除する。

 

「変身!」

 

 ベルトを360度回転させる。

 

『ライダー、ターイム!仮面ライダー!ジ・オーウ!』

 

ソウゴは仮面ライダージオウへと変身完了する。

 

「!姿が変わった……」

 

「ふっ!」

 

 レムが驚いている間に、ジオウはジカンギレードを持ち駆け出す。レムもそれに対応してすぐさま戦闘態勢に。

 

「はあっ!」

 

「ぬんっ!」

 

 ジオウが剣を振り、レムは鉄球ーーーー改め、棘がついているモーニングスターでそれを受け止める。

 そしてそこから、2連、3連、4連と剣の攻撃をジオウは繰り出す。

 レムはそれを全部受け止め、一旦後ろに飛びモーニングスターをジオウにぶつけようとする。

 

「っ!あっぶね!」

 

 どうにかギリギリ避けるジオウ。

 そして、ジオウを当て損ねたモーニングスターはスバルが隠れてる柱とは別の柱へとぶつかった。モーニングスターはレムの元に戻り、柱には穴が空いていた。

 

「やばっ……」

 

 ジオウはその柱の穴を見て思わず呟く。

 

「……ここじゃ戦いづらいか」

 

 そう言った後、ジオウはある行動に出る。

 

「ふっ!」

 

 ジオウはレムの元へ真っ直ぐ駆け出す。

 真っ直ぐ来るなんて愚かな。そう思いながら、レムはそれに対応しようと、腕を振るいモーニングスターをぶつけようとするが、

 

「よしっ!」

 

「なっ!?」

 

 ジオウは鉄球を避けると鎖を掴み、そのままレムの元へ再び駆け寄る。

 どうにかしなければ。レムはそう思い、片方の空いている拳を握り、ジオウを殴ろうとする。

 

「くっ!」

 

 ジオウもそれを掴む。が、割と威力があったのか、受け止めた瞬間、苦痛の声を漏らす。そしてジオウは、片方に握っている鎖を捨て、その手でレムの肩を掴む。

 

「はああああっ!」

 

「!?」

 

 突如ジオウは窓の方へと走り、そのまま突っ込んでいく。そして、窓の割れる音が大きく響き、二人は外へと飛び出た。

 

「ソウゴ!」

 

 柱に隠れていたスバルは、二人が落ちていった窓へ駆け寄り、外を見る。下では、庭園で二人が戦いを繰り広げていた。

 

「うおおおおお!」

 

ジオウは走ってジカンギレード・ジュウモードで引き金を引いて、光弾を放つ。レムはそれを軽々と避けていく。

 

「はあああああああっ!」

 

「たあああああああっ!」

 

二人はお互い、右拳を握り、それを相手へ振り上げてゆくのであった…………。




Doubt is a source of conflict.

『疑いは争いの元である。』
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