Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O-   作:きゃぷてん

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今、この小説を見たな?
こ れ で お 前 と も 縁 が 出 来 た!


2019:渦巻く!疑惑!精霊戦慄!

 ロズワール邸の玄関で、エミリアは歩く。

 

 右へ歩いたかと思えば、次は左へ、かと思えば、右へ。その名も繰り返し。

 

 不安を、焦燥を、下を向くその顔に宿して。何処かへ行った彼の身を案じて。

 

「ただいまぁ〜」

 

開いた扉から声がした。

 立ち止まって扉に視線を移せば、茶髪の髪に、ストライプの服の上にピンクのカーディガンを着た青年が。

 

「ソウゴ!」

 

 入ってきたのは少々疲労した様子の常磐ソウゴ。その背には誰かがおぶられている。エミリアはソウゴの元に駆け寄る。

 

「ああ、エミリア? ごめん、ちょっと疲れてきたからさ、スバルを部屋に運ぶの、手伝ってくんない?」

 

 ソウゴは背中に背負っていたナツキ・スバルを一旦降ろし、彼の左腕を肩に掛ける。

 

「す、スバル? ど、どうして寝ちゃってるの?」

 

「ちょっと、色々あっちゃってさ」

 

 苦笑いで濁すソウゴ。

 エミリアが怪訝そうな顔で彼を見るが、扉からもう一人誰かが入ってくるのに気づいた。

 

「ラム! 何で貴方まで」

 

「少々、事情がありまして。説明は致しますゆえ、今はレムを部屋に」

 

 そう言って彼女は現在眠っている自身の妹を運ぶ為に部屋へと足を進ませる。

 

 エミリアは困惑を含んだ目で彼女の背中を見つめた。と言っても、その背中は背負われているレムによって見えないが。

 

「エミリア、俺達も」

 

「えっ? あぁ、そうね……」

 

しばらくラムを見つめていたので、ふとソウゴから声を掛けられて素っ頓狂な声を上げる。

 

 エミリアはスバルのもう片方の手を自身の肩に掛けて、ソウゴと協力して部屋へと運び始める。

 

 ふと、ソウゴの横顔をエミリアはちらっ、と見た。その顔には傷があり、そこから微量の血が滲み出ている。

 

 何故か4人とも外に出ていて、内2人は睡眠中。そしてソウゴの顔の傷。彼らの間に何があったのか。

 

 エミリア、少しもやもやとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここからしばらく台本形式に入ります。ご了承ください。

 

 

エミリア「おめでとう!」

 

パック「おめでとう!」

 

レム「おめでとうございます」

 

ラム「おめでとう」

 

ロズワール「めでたいねーぇ」

 

ベアトリス「おめでとうなのよ」

 

ラインハルト「おめでとう!」

 

フェルト「おめっとさん!」

 

エルザ「おめでとう」

 

ソウゴ「おめでとう」

 

スバル「…………ありがとう」

 

 

 エミリアたんに、ありがとう

 

 文無しの異世界生活に、さようなら

 

 そして、なんかよくわかんないけど、

 

 おめでとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここから通常にお戻り致します。おふざけに付き合っていただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナツキ・スバルはゆっくりと目を開けて、起床する。

 

「…………何でエヴァ最終回のパロディなの?」

 

 スバルが呟いたその時、扉が開かれた。

 

「スバル? 起きてたの?」

 

どうやら扉を開いたはエミリアらしい。

 

「ああ、エミリアたん」

 

「良かった、大丈夫そうね」

 

「まぁ、この通り元気だよ。それで、部屋に運んでくれたのはエミリアたん?」

 

「うん、昨日の夜に、ソウゴが寝てるスバルをおんぶして帰ってきたから、一緒に運んだの」

 

「そうだったのか、ありがとう…………そういえば、レムとラムは?」

 

「2人も昨日、ラムが寝てるレムを背負って帰ってきたけど…………」

 

 レムが寝ていたというエミリアの話を聞くに、ソウゴがレムをどうにかしたのだろうと察するスバル。

 

「………………スバル、実はね、昨日何があったか、もうソウゴとラムから聞いてるの」

 

「………………ッ」

 

 スバルは苦虫を噛んだような顔で、思わずエミリアから目を背ける。

 

「…………スバル、レムのことは、ごめんなさい」

 

「え…………あ、いや、何でエミリアたんが謝るんだよ? エミリアたんは何も…………」

 

「ううん、これは私にも責任はあるわ。レムは私の使用人でもあるから。私がもっとちゃんとレムのことを見てあげれば、ソウゴとスバルが傷つけられることもなかった」

 

「…………っても、エミリアたんは王様の勉強があるし、レムのことを見れないのも、しょうがないだろ? それに、俺は今こうして無事なんだから、そこまで気負わなくていいって」

 

 スバルは手を広げてエミリアに体を見せるようにし、無事であることをアピールする。

 

「でも…………」

 

エミリアは納得いかない、という顔をした時、扉が開く音がした。二人は音がした方向に振り向く。

 

「ソウゴ…………」

 

「スバル、起きたんだ」

 

エミリアが入ってきたソウゴを見て名を呼ぶ。ソウゴは起きているスバルを見て言った。

 

「調子はどう?」

 

「ああ、全然平気だぜ」

 

「そっか、それなら良いんだけど」

 

その時、また扉が開く音がした。

 

「どうやら起きたようね、バルス」

 

入ってきた人物は、ラムだった。

 

「ラム」

 

「起きがけで悪いけれど、バルスをエミリア様の恩人として先に言っておくわ。———— 今回は当家の使用人が貴方に多大なるご迷惑をお掛けしたことを、誠に深くお詫び申し上げます」

 

 そう言ってラムはスバルに向けて手を添え、約45度くらい腰を曲げてお辞儀をする。それにスバルも少々面食らった様子。

 そして、ラムは顔を上げた。

 

「次は同僚として言うわ。これから屋敷の仕事の際は、レムには常に監視としてラムがついておくことになったわ」

 

「え…………何でだ?」

 

「当然でしょう? まさかバルス、レムに命を狙われていたことをもう忘れたの? 最初はロズワール様が帰還するまでの謹慎処分を与える所だったけれど。でもレムが抜けると屋敷の管理がままならないわ。バルスは頼りにはならないし。ロズワール様が正式な判断を下すまでは、ひとまずそうするの」

 

「いや頼りないって、ひどくねぇ?」

 

「当然のことを言ったまでよ」

 

 スバルが突っ込むが、鋭く切り返すラム。

 

「…………………なぁ、聞いときたいんだけどよ」

 

 ふとスバルは、真面目な顔になる。

 

「レムは、何で俺達を襲ったんだ?」

 

「どうやら、バルスとトワキを魔女教だと判断したからだそうよ」

 

「魔女教………………? 何だそれ? 宗教か?」

 

「魔女教は、嫉妬の魔女を信仰してる宗教だよ。色んな所で、皆を傷つけるようなことをしてる。レムとラムの故郷も滅ぼしたんだ」

 

 スバルの疑問にソウゴは答えた。

 

「つまり、犯罪集団ってことか」

 

 ———— 成る程成る程、各地で人々を傷つけるなんて、ひでぇ奴らだ。おまけに、レムとラムの故郷まで滅ぼしただなんて。

 

……………………。

 

 ———— うん?

 

「いや、おいおいおいおいおい! ちょっと待て、さらっとヤバいこと言ったよね今!? レムとラムの故郷滅ぼしたって本当なのかよ?!」

 

「トワキの言ったことは事実よ。ラムはこの目であの光景を見たわ」

 

 驚く声を上げるスバルに対し、冷静に答えるラム。あの光景とは恐らく、故郷が滅んだ時のことだろう。

 

「…………何でレムは俺達をその魔女教だって思ったんだ? 疑われる程、何も怪しい動きをした覚えはないぞ?」

 

 レムが襲う気持ちはまあ分かる。自分達の故郷を滅ぼした仇敵の一味が、目の前にいるのだから。が、その仇敵だと判断した理由に関しての見当は全然つかない。

 

「魔女の匂いがするから、とレムは言っていたわ」

 

「魔女の匂い? 何じゃそりゃ?」

 

「俺とスバルから出てる匂いだよ。ベアトリスが言ってた。レムは、その匂いを嗅ぎ取れるらしいよ」

 

 スバルの疑問に答えたのはソウゴだ。

 

「へぇー…………何でそんなの臭うんだ?」

 

「魔女に見初められたか、目の敵にされたか、だって」

 

「顔も名前も知らない奴にそんな扱いって、ゾッとしねぇな」

 

スバルはふと、すんすんと自分の体を臭う。何も、臭わない。無臭。臭くもなければ、良い匂いもしない。

 

「つまり、その匂いだけで俺達を魔女教だって判断したのか? 言っちゃなんだけど、早とちりじゃないか、それ」

 

「しょうがないわ。実際、レムは早とちりして独断に走る所があるから。

 それとバルス、貴方に聞くわ。さっきも言った通り、レムにはラムがつくことになっているけれど、仕事は続行するの? レムに襲われた恐怖で、碌に仕事が出来ないのだったら、部屋にいてもいいけれど」

 

「……いや、仕事はやるよ。一人何もしてないのは、何か気が引けるしな」

 

「そう…………分かったわ」

 

 そう言って、ラムは扉まで歩いた後、振り返ってスバルに言う。

 

「ラムはレムの元へ行って朝食の準備をしてくるわ。バルスも準備が出来次第、厨房に来なさい」

 

「分かった」

 

 スバルの服装は白色の患者衣ガウン。仕事場には完全に不釣り合いな格好。

 ラムとスバルの二人は廊下に出た後、ラムはレムを迎えに自室へ、スバルは着替える為に衣装部屋へ。

 

「私たちは、食堂へ行きましょうか」

 

「そうだね」

 

 エミリアとソウゴの二人は、食堂へ行く為に、廊下に出て歩き始めた。

 

 

 

 

「………………」

 

スバルは執事服に着替えて厨房に居た。ラムは椅子に座って皮剥きをしており、レムはどうやら、鍋を煮込んでいる様子。

 

「来たようね、バルス」

 

 入口で立っているスバルに、ラムは気付いた。レムはちらっと、後ろを見た。その時に思わず、スバルとレムの目は合った。

 

「お、おはよう、レム」

 

 右手を上げながら、とりあえず朝の挨拶をする。

 

「……おはようございます、スバルくん」

 

「…………うん」

 

………………。

 

 妙な間が流れ、どことなく、気まずい空気になる。

 

「バルス、野菜の皮剥きを」

 

「え、あ、おう」

 

 その空気を察したのか、察してないのか。ラムはスバルに傍にある野菜の皮剥きをするように促す。スバルはそれに応じ、傍にある椅子に座り、果物ナイフを手に取って皮剥きを始めた。

 

 スバルは以前のように手は切らず、さくさくと野菜の皮をナイフで切り、剥いていく。

 

 ふと、手を止めてレムの方を見た。レムは鍋をかき混ぜているようだ。

 

 まさか、毒でも入れてるんじゃないだろうか。

 何て、そんな考えが一瞬よぎるが、あの食事はエミリアも食べるし、それは無いだろう、と思う。

 

 いや、もしかしたら出されるお茶に————————? いや、でも、お茶を淹れる時にラムが見てるだろうし。

 

 ナツキ・スバルはレムを疑わずにいれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かしら、スバルとレム」

 

「きっと大丈夫だよ。ラムもいるし」

 

 廊下を歩いている最中に、ふと出てきた、エミリアとソウゴの会話。

 

「ん?」

 

 ふと、ソウゴは開いている扉があることに気づいた。その扉から、縦ロールの髪型の幼い少女が現れる。

 

「あっ、ベアトリス。元気になったんだ?」

 

「元気になった? ベアトリスに何かあったの?」

 

「うん、昨日ベアトリスが俺に触れたら、突然具合悪そうにしてさ。あれから昨日一日会えなかったんだよね」

 

「ソウゴに触れたら…………? ソウゴが何かしたわけじゃないのよね?」

 

「勿論」

 

「オマエ」

 

ソウゴがエミリアに返事した直後、ベアトリスはソウゴを指差して呼ぶ。

 

「話があるのよ、来るかしら」

 

「話? 分かった。エミリア、先に行ってて」

 

「うん、分かったわ。待ってる」

 

部屋の中に入るベアトリスにソウゴが付いて行き、扉が閉じる音が響いた。

 

「ベティーが、ね」

 

ふと、何処からか出現したパックがソウゴとベアトリスが入った扉を見た。

 

「ベアトリスのこと、やっぱり心配?」

 

「そりゃ勿論。ベティーが具合悪そうだなんて、相当だよ。通りで昨日、屋敷から気配が感じにくかった訳だ。……ソウゴに触れたら、か」

 

先程の会話を思い出して、パックは呟く。

 

(ベティーは恐らくソウゴに干渉した、けれど、彼の力に触れて気配が感じにくくなるほど一時的に弱まった…………。

 ソウゴ、君はホントに、何者なんだろうね…………。何せ、常人じゃ受け止めきれない力を体に宿してるのに…………心が狂わずに、正気を保って、平然としていられるんだから。……それとも、狂気が最早正気となったのか。それとも、人の形をした”ナニカ”、なのか。それとも……)

 

 疑念が渦巻くパック、彼は実の所、ソウゴに少し戦慄の感情を覚えていた。もしかしたら—————自分を超えるかもしれない力を、彼は持っているのだから。

 

「パック?」

 

エミリアに呼びかけられて、パックは現実に引き戻される。

 

「どうかした?」

 

「……いいや、何でもない。少し考え事をしてただけさ」

 

「そっか。じゃあ、行きましょう」

 

「そうだね〜」

 

先程の疑念を感じさせない、マイペースな口調で、エミリアへ付いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、ベアトリスが元気みたいで良かった」

 

「別に元気でも無いのよ。今も頭が痛むかしら」

 

「あぁ……そう、なんだ。それで……昨日は何であんなに具合悪そうにしてたの?」

 

「それを含めて、今から話すのかしら」

 

ベアトリスは脚立に腰掛ける。その時、少し咳き込んでいた。

 

「昨日、ベティーがあんな醜態を晒したのは、オマエの中にあるオドに干渉をしたからかしら」

 

「オド? 何それ?」

 

「オドとは、元来生命の体内に備わっている、文字通り魂の力かしら。……干渉したあの時のことは、思い出すだけで身震いするかしら」

 

 ベアトリスはソウゴのオドに干渉した時、体が蝕まれるような感覚を覚えた。それはまさしく————— 炎に、包まれたかのように。

 

「あれは—————— 炎。魂の、炎」

 

 炎。下手に触れれば、火傷する。

 

それから、ベアトリスは少し俯き、しばらく沈黙する。ソウゴは特に声を掛けることなく、沈黙するベアトリスを見つめる。

 

「本題に入るかしら」

 

ベアトリスは顔を上げ、ソウゴの目を見据えた。

 

「ベティーはオマエのオドに触れたその日———————— 夢を、見たかしら」

 

少女は語り始める。夢幻(むげん)の、世界を。

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