Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O-   作:きゃぷてん

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2019:討・伐・戦・線

「レムもスバルもどっちも助けるよ、必ず」

 

 常磐ソウゴの決意の呟き。

 

「俺も行かせてくれ」

 

 申し出たのはナツキ・スバルだった。

 

「……バルスも行くの?」

 

「ジッとしてられるかよ。それに……あん時、レムは魔獣から俺を助けようとしてくれてた。なら、俺もやんなきゃだろ」

 

 昨晩、スバルは魔獣に噛まれて気絶する前、レムが自分を呼んでいる声を聞いた。それで助けに来ようとしていたことを察したのだ。

 

「俺は自分を助けたい。でも、レムも助けてぇ。だから、良いよな? ソウゴ」

 

「……うん、良いよ。それがスバルのやりたいことならね」

 

 ソウゴは軽く頷きそう答える。

 

「じゃ、スバルとラムは準備して森の入り口で待ってて。俺はエミリアに色々言ってくるから」

 

「エミリアに言うのか? あの子のことだし、一緒に来るかも……」

 

「大丈夫、その辺上手くやるから。信じて待っといて」

 

 手をひらひらと振りながら扉から出ていく。その場には、スバルとラムとベアトリス、そして寝ているレムが残された。

 

「……バルス、準備することがあるならさっさとしなさい。ラムは先に行っておくわ」

 

「……うっす」

 

 ラムからの言葉に息を吐き答える。

 

「オマエも、随分と命知らずな真似に出ようとするかしら」

 

 ベアトリスが目を細めてスバルに問いただす。

 

「別に命知らずってわけじゃねぇよ。男が廃るようなことが出来ねえってだけだ」

 

「心配しなくても、廃れるほどの男はバルスにはないわ。むしろ安心しなさい」

 

「安心できないし酷くねえ?」

 

 スバルからのツッコミに「はっ」と嘲笑を漏らすラム。いつも通りの調子になってる彼女を見て、肩の力が抜けるような感じがした。

 

「……ま、勝手にするかしら。またベティーやにーちゃ達の世話にならないよう、精々足掻けばいいのよ」

 

「それ、応援してくれてるって受け取って良い感じか?」

 

 悪ぶったようなベアトリスの発言に、隠れた善性を見いだせずにはいられなかった。

 

 

「……そう言うわけだから、俺たちはもう一度森の方に行くつもりだよ」

 

 と、一連の事情をエミリアへ説明するソウゴ。

 

「そんな……スバルも行くの? なら私も……」

 

「いや、エミリアにはここで待っててもらいたいんだよね」

 

「え? どうして? 私も行った方が……」

 

「レムに万が一のことがあった時のために、エミリアが見張りとしていてくれたほうが良いと思うんだ。それに、村へ奇襲がくる可能性だってある。だからエミリアにはここで待ってて欲しい」

 

 語った通り、ソウゴはスバルとは別の理由でエミリアに村にいてほしいと考えていたのだ。

 

「でも……」

 

 それがしっかりとした理由であることは理解しつつも、やはり自身も力になりたいのか渋るエミリア。

 

「俺たちの力になろうとしてくれる気持ちは嬉しい。でも、この役割はエミリアに任せたいんだ」

 

 真剣な表情、かつ真っ直ぐとエミリアを見て告げるソウゴ。そして自分に任せたいという言葉。

 

 それを受けたエミリアも口をきゅっと結んだ後

 

「…………分かったわ。レムと村のことは任せて。敵が来たらパックと一緒にどうにかするわ」

 

「ありがとう。頼んだよ、エミリア」

 

「うん!」

 

 ソウゴから託された役割を担うエミリア。彼女の返事を聞いたソウゴは現在地のとある家の扉から出て行こうとする。

 

「あ、待って、ソウゴ」

 

「ん?」

 

 呼び止められて振り返る。エミリアの手がソウゴの胸に触れた。

 

「あなた達に、精霊の祝福がありますように」

 

「おまじない?」

 

「お見送りの言葉よ。無事に帰ってきてねって、そういう意味」

 

「最後までありがとね。じゃ、行ってくる」

 

「いってらっしゃい」

 

 それから、ソウゴは扉から出ていった。

 

 

 それから、ソウゴ達は森への進軍を始めた。

 

 アナザーライダーの下へ進んでいる最中だが、スバルの呪いを解くためにも遭遇したウルガルムは全員狩っておく。

 

「そういえばガキンチョ共は何を入れていったのかな……ってうっわ虫入れてやがる!」

 

 お菓子、綺麗な石、羽虫。森に行く時に村の子供達がスバルのポケットに入れていたものだ。虫は逃げていった。

 

 後はスバルの手には村一番の業物、という触れ込みの剣が握られていた。多分ソウゴが持ってるやつの方が何十倍も良いんだろうなとちょっと思ったのは内緒だ。

 

「あんのガキンチョ共……どさくさに紛れてやりやがった……」

 

「慕われている証拠でしょ。どこが良いのか分からないけど」

 

「子供の目には俺という男の本質がキラメいて見えるもんなんだろ」

 

 そんなやり取りがスバルとラムの間で交わされる。

 

「今更だけど、ラムって結構戦えるタイプなのか?」

 

「戦うことはできるけれど、レムと同等の戦力は期待しないでほしいわ。ラムはツノナシだから」

 

「そのツノナシってのは?」

 

「鬼のくせに角を持たないものへの蔑称、ね。……故郷が滅亡した時に切られたのよ」

 

「……すまん、悪いこと聞いた」

 

「別に。気にしないわ。角を失くしたことで得たものや拾えたものもある。……レムはそう思ってないでしょうけれど」

 

 切なげに響く声。それを聞いたソウゴも目を細めた。

 

「着いたよ」

 

 ソウゴが立ち止まる。彼の視線上には、アナザーウィザードとアナザー響鬼が。

 

 両者もソウゴ達の存在に気づき、構える。側には魔獣……ウルガルムの軍勢もいる。

 

ソウゴは無言でジクウドライバーを装着。

 

『ジ・オウ!』『ウィザード!』

 

「変身」

 

ウォッチをドライバーに装填し、ジオウ・ウィザードアーマーに変身。ファインディングポーズを取り、構える。

 

 両者とも、互いを睨む。傍ではスバルが唾を飲み込んだ。

 

 見合い、見合い、地面を踏み込み駆け出した。

 

 

 緑電、迸る。火炎、噴く。

 

 爆炎が起き、煙の中から飛んできた火球がアナザーウィザード目掛けて飛ぶ。

 

 水の障壁を展開し防ぐ中、氷が地面を走った。

 

『フィニッシュタイム!』

 

『ウィザード!』

 

『ギリギリスラッシュ!』

 

 足が氷で固められている間、風が周りのウルガルム達を全て物言わぬ肉塊にしていく。

 

 ウルガルム達を切り終えたジオウのインジケーションアイが紛い物達を捉える。

 

 炎で氷を溶かした両者へジオウは接近。そこからは徒手空拳。シンプルな殴り合いが始まる。

 

 ジオウはアナザーライダー2人を同時に相手取る。

 

 しばらく格闘が続くが、依然ジオウが有利だった。

 

 と、その時。アナザーウィザードがアナザー響鬼にアイコンタクトをする。

 

 アナザー響鬼は戦線離脱を行うと、側にいたスバルとラム目掛けて走り出した。

 

「ちっ! 俺達がターゲットってか! 逃げんぞラム!」

 

 スバルとラムはアナザー響鬼から逃走。

 

「まあこんなことになるだろうとは思ってたけどさ……」

 

 そう呟くと、ジオウの分身体が出現し、アナザー響鬼を追い出す。

 

「2人きりになったんだ。ショーを楽しんで行こうよ」

 

 ジオウはそう言った。

 

 疾く、駆ける、森林。

 

 森の荒れた悪路を飛び飛びで駆け続けるスバルとラム。

 

「あっ、やべっ! あっぶっ! ねえっ!」

 

 あやうくこけそうになるが、どうにか立て直すスバル。

 

「フーラッ!」

 

 ラムが風の斬撃を飛ばす。しかしアナザー響鬼はそれを金棒で弾き飛ばした。舌打ちしながら駆けるラム。

 

 道中、二体のウルガルムが襲いかかる。スバルはどうにか剣で身体を突き刺し、ラムは風の斬撃で身体を真っ二つに。

 

 アナザー響鬼が金棒の先端に火を灯す。それが火球となって2人の足元へ投げられた。

 

「うわあっ!?」

 

「ッ!」

 

爆発が起こり、巻き込まれた2人は身体が前のめりになって地面を転がる。

 

 そのままアナザー響鬼は飛びかかって2人に金棒を振るおうとするが、

 

「!」

 

 背中に衝撃が走り、自身も同じように前のめりになって地面へ吹っ飛んでいった。

 

 立ち上がり振り返って見ると、そこにはジオウの分身体。複数の土の塊をこちらに飛ばしてきた。

 

 防御の体勢を取り、どうにか耐え凌ぐ。耐え凌いだ後、ジオウがエキサイトの能力で強化した腕が迫る。アナザー響鬼もその腕を振るい、拳がぶつかり合い軽く衝撃波が起こった。

 

 もう一方のジオウは右腕にドリル状の水を纏わせる。その後、ウォーターカッターの如く高速で発射。

 

 それに対応しきれず、アナザーウィザードは避けることができないので手で受け止めることに。

 

 その受け止めている手からブリザードの魔法を発動。発射されてる水を先端から凍らせる。

 

 それに気づいたジオウは一度発射を止め、高く飛び立つ。それからもう一度腕に水を纏い発射。

 

 今度はそれを直接動いて避けるアナザーウィザード。それを追いかけるように水のレーザーも追跡する。

 

 避け、追いかけ、避け、追いかけ。その行為が繰り返されて少々経った後だろうか。

 

 ジオウは発射を止めると、腕を掲げて拳を握る。

 

 すると、アナザーウィザードの立っている地面が大きく隆起する。先程のウォーターカッターで地面に当たっていた水を操ったのだ。

 

 突如として足場が隆起したことに驚いたのか、立ち止まってしまうアナザーウィザード。その隙を付き、ジオウはグラビティの魔法を使いアナザーウィザードを吹き飛ばした。

 

『フィニッシュタイム! ウィザード! スレスレシューティング!』

 

 その音が聞こえた時、アナザーウィザードの身体に業火が襲いかかった。

 

 その身を焼かれるだけでなく、業火の勢いに押し飛ばされるアナザーウィザード。木を巻き込みながら地面へ転がり、突っ伏した。

 

 ジオウが地面へ着地したと同時に、アナザーウィザードはよろつきながらも立ち上がる。

 

 その時、アナザーウィザードの身体が光り輝く。

 

 すると、身体の各所から何かが生えてきた。

 

 背中には翼を、腰には尻尾を。腕には爪を、胸には竜の頭を。

 

 アナザーウィザード・オールドラゴンの姿へと変化した。

 

 身体に風と雷を纏い、ジオウに急接近。そのまま爪が振るわれるが、それを避ける。

 

 爪によって周囲の木が斬られる。その木はグラビティの魔法によってジオウに向けて飛ばされていった。

 

『フィニッシュタイム!』

 

 ジオウは避ける様子を見せない。ジカンギレードにゴーストライドウォッチをセットした。

 

『ゴースト! ギリギリスラッシュ!』

 

 2本のジカンギレードを手に持ち、風を纏う。

 

 高速で駆け出し、飛んでくる木を次々と切り裂いていった。

 

 そのままアナザーウィザードを切ろうとするが、相手はそれを爪でガード。だがジオウはエキサイトの効果を付与した両足で思い切りアナザーウィザードの胴体を蹴った。

 

 しかしアナザーウィザードはそこまで後ずさってはいない。尻尾を振るうと、直線上に氷が放たれる。

 

 ジオウはそれを避け、周囲の木が凍っていった。次に斬撃が迫ってきたので、それを走って回避。追いかけるように追加の斬撃も迫るが、それも走って避けてゆく。

 

「!」

 

 避けた先でアナザーウィザードがジオウに突撃。咄嗟に腕を構え防御するが吹っ飛ばされて木を貫いていく。

 

 倒れた木にめり込みながらも、立ち上がるジオウ。

 

 だが、上から光が迫っていることに気づく。

 

 上空から見ていたアナザーウィザードは、大量の火球がジオウに命中したことを確認していた。

 

 空から降り立ち、辺り一面焼け野原になっている地面を歩く。歩いた先には、変身解除をして倒れ込んでいる常磐ソウゴが。

 

 アナザーウィザードはほくそ笑む。こんなにも呆気なく勝利するとは思っていなかったが、目的は果たされ————。

 

 ザシュンッ。

 

「!?」

 

背中にダメージ。

 

 振り返れば、そこにはジカンギレードを振り下ろしているジオウ。

 

 倒れていた常磐ソウゴがいる場所を見たが、既に消えていた。

 

 そして、大きな衝撃。

 

 ジオウがビッグの魔法で巨大化した腕でアナザーウィザードを殴り、大きく吹っ飛ばした。

 

 受け身を取れず地面を転がるものの、爪を使ってどうにか立て直す。

 

『フィニッシュタイム! ウィザード!』

 

 上から声が。

 

 そこにはドライバーを操作するジオウ。

 

『ストライク! ターァイムブレーェイク!』

 

 その身にドラゴクロー、ドラゴテイル、ドラゴウイング、ドラゴスカルを身につける。

 

 背後に出現した四つの魔法陣から四元素のドラゴンが現れ、ジオウに宿った。アナザーウィザードへと突撃していく。

 

 アナザーウィザードも出現させた魔法陣から四体のドラゴンを召喚し、己の身に宿しジオウに突撃。

 

 互いにキックの体勢を取り、ぶつかり合う。強い力で衝撃波が起こり、辺りの木の葉が揺れる。

 

 押すか、押されるか。更にドラゴンのエネルギーが迸る。

 

 そして、貫かれた。

 

 誰が?

 

「——————ッ!」

 

 月を背景に、大きな爆発が起こる。

 

 地面に立っていたのは、ジオウだった。

 

 空からおさげの青髪の少女が落ちてくる。お姫様抱っこでジオウはキャッチ。

 

「……ウォッチの力で暴走してた……ってことで良いのかな」

 

 瞳を閉じ、息をしている少女を見ながら呟く。

 

 なら、さっさと安全な場所に運んでスバルの下へ向かわなければ。

 

 ジオウは風を纏い、高速移動して安全地帯の村へと向かい始めた。




スバル「30歳まで童貞だったら魔法使いになり、40代まで童貞だったら妖精になるって言うけど、これって何が初出なんだろうな?」

次回 2005:集結の鬼

スバル「え、俺は童貞なのかってぇ? ば、バキバキ童貞ちゃうわ!」


じゅじゅよこく風です(適当)
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