Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O-   作:きゃぷてん

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(良いタイトルが思いつか)ないやん!どうしてくれんのこれ?

〜思考中〜

あっ、そうだ(唐突) ①と②に分けてさ、終わりでいいんじゃない?(棒読み)

という訳で、前回のタイトルの最後に①を追記したゾ


2019:ウンメイのであい②

「それ以上の狼藉は、見過ごせないわ」

 

路地裏の入り口にいた少女は、凛とした声でそう言った。

美しい、可憐な少女であり、腰まで届く銀色の髪に、理知的な紫紺の瞳。

白を基調としたその服装はシンプルなデザインだが、彼女の羽織っている白いコートには、鷹に似ている鳥を象った刺繍が施されていた。

 

「君、は……」

 

「誰?」

 

踏み付けにされていた青年がその少女の存在に目を見開いて呟く。

一方のソウゴは、少女の存在に呆然としている4人とは反対に、いつも通りの様子で少女に聞いた。

 

「今なら許してあげる。私の不注意もあったもの。だから、潔く盗った物を返して」

 

「…………は?盗った物?」

 

「お願い、あれは大切な物なの。あれ以外なら諦めもつくけど、あれだけは絶対駄目なの。良い子だから大人しく返して」

 

どうやら、懇願の気配を漂わせている様子の少女。

だが、不良達はどうやら困惑していた。

 

「あー、これも既視感ある」

 

 足蹴にされてる青年が呟く。

 

「ちょっ、ちょっと待て!話が食い違ってると思うんだが!?」

 

「何のこと?」

 

男達は足蹴にしている青年とソウゴを交互に指差し

 

「こ、こいつらを助けに来た……って訳じゃ?」

 

「……変な格好の人達ね。仲間割れの途中?私と関係あるのか聞かれたら、無関係って答えるしかないわ」

 

「待ってくれ! 目的がこいつらじゃないなら、俺らは別口だ! さっきのガキだろ!」

 

「盗まれたって言ってたろ! 壁だ! 壁蹴って屋根伝いに逃げてった!」

 

「奥だ奥!その向こう!あの勢いなら通りをもう3つは抜けてる!」

 

途端に不良達は続け様の言葉に、少女の視線は足蹴にされている青年の元へ向かう。視線を向けられた青年は頷き、今度はソウゴに視線が向けられる。その視線は「そうなの?」と、真偽を問うような物だった。

 

「うん、向こう行ってたけど……」

 

「ふぅん……じゃあ盗った子は路地の向こう?急がなきゃ」

 

少女は踵を返し、その足は路地の外へ向かう。男達は露骨な安堵を浮かべたが、それは次の瞬間にすぐ崩れた。

 

「それはそれとして、見過ごせる状況じゃないの」

 

少女は振り返り、掌をこちらに向ける。

その掌から水色の輝きが流星のように飛んだ。

直後に、肉を打つような重い音が響き、不良達が苦鳴を上げて吹っ飛ばされた。

そして、甲高い音を立てながら、地面に拳大の氷塊が落ちた。

その氷塊はやがてすぐに霧散する。

 

「おお、すっげぇ!今の魔法?」

 

ソウゴが目を輝かせながら少女に聞く。

少女は「そうよ」と、質素な返答だった。

 

「やり……やがったなぁっ」

 

氷塊の一撃を受けた不良の1人が立ち上がり、もう1人の男も立ち上がった。最後の1人は、打ちどころが悪かったのか、立ち上がってこない。

 

「もう収まりがつかねぇ!こうなりゃぶっ殺す!」

 

「ふぅん」

 

不良は怒り心頭と言った様子だが、少女は特に変わらぬ様子であった。

 

「そういえば、さっきあなた、私のこと誰って聞いてきたわよね?」

 

少女は、ソウゴに視線を向けてそう言った。

ソウゴは「うん?」と言った様子で少女を見る。

 

「私は……ただの、通りすがりの精霊術師よ」

 

「せ、精霊術師だと!?」

 

「そのとーり!」

 

少女の言葉に、青髪の男が反応し、次に何処からか声が聞こえてきた。

その声の主は、少女の掌の中にいた。

 

「やあやあ、皆さん初めまして!」

 

「こ、こいつ本当に……!」

 

少女の掌の中にいたのは、手のひらサイズの可愛らしい猫だった。

毛並みは灰色で垂れた耳。見た目としては、アメリカン・ショートヘアという猫に近い。

鼻の色はピンクで、尻尾は体長ほどあった。

少女の掌の猫を見て、青髪男の顔は焦ったような顔になる。

 

「僕も加勢させてもらおうか」

 

路地裏の入り口から再び声が聞こえる。その声も少女と同じく凛とした声であった。

そしてその声の主を見て、青髪の男は焦った顔から青ざめた顔へと変わった。

 

「も、燃えるような赤髪に空色の瞳……それに、鞘に龍爪の刻まれた騎士剣。まさか、剣聖のラインハルトか!?」

 

「自己紹介の必要はなさそうだ。……もっとも、その二つ名は僕にはまだ重すぎる」

 

「おー、ラインハルト。さっきぶりだね?」

 

声の主であったラインハルトを見て、ソウゴは軽く手を挙げて呼びかける。

 

「やあ、ソウゴ。奇遇だね」

 

「あら、ラインハルト、その子と知り合いなの?」

 

「ええ、休日で王都を散策していた時、先程、少しありましてね」

 

少女の意外そうな言葉に、ラインハルトはそう言って返す。

 

「精霊術師に剣聖だと!?ひ、卑怯だぞ!」

 

「3対1でその子を痛めつけておいてよく言うわ」

 

中年の男が吠えるが、少女は地面に倒れている青年にちらっと視線を向けて言った。

 

「逃げるならこの場は見逃そう。もしも強硬手段に出るというのなら、相手になろう。その場合は、三対二だ。数はこちらの方が多い。とはいえ、僕の微力がどれほどの助けになるかは分からない。だが、騎士として抗わせてもらう」

 

「ねぇねぇ、三対二じゃなくて、正しくは四対二だろう?僕の事を忘れないでほしいな」

 

「ああ、これは失敬」

 

ラインハルトの言葉に、少女の掌にいた猫がぷくーっと頬を膨らませて反論し、ラインハルトはそれを笑って返す。

 

「じょ、冗談じゃねぇ!おい、逃げるぞ!」

 

「てめぇ、このクソアマ!次この辺りで見たらただじゃおかないからな!?」

 

「この子に何かしたら末代まで祟るよ?その場合、君が末代なんだけど」

 

不良の精一杯の恫喝だが、猫の返事は軽々としていながら辛辣であった。

不良達はその返事で顔を青くし、倒れていた仲間を抱えて、無言で雑踏の方へと逃げ込んで行った。

不良達が逃げた後、ソウゴは足蹴にされていた青年の元へ駆け寄る。

 

「大丈夫?」

 

「あ、ああ……何とかな……」

 

ソウゴの言葉に、そう返して、青年は上体を起こそうとする。

が、その時。

 

「動かないで」

 

少女が、青年が体を起こそうとした時に待ったを掛けた。

 

「あの人達にやられたばかりでしょう?無理に起きない方がいいわ。今、治癒魔法を掛けてあげるから」

 

「お、おう、すまねぇな……」

 

少女は、青年の元まで行ってしゃがみ、手を出すと、淡緑の光が漏れ出て、青年の体を包み込み始める。青年も軽く謝罪の言葉を口にした。

 

「どうやら、大丈夫そうですね。それじゃあ、僕は行かせてもらいます。エミリア様」

 

「ええ、非番の日なのに巻き込んじゃって、悪かったわね」

 

「いえ、僕自ら選んだ事なので、何も問題はありません。それじゃあソウゴ、僕は行かせてもらうよ」

 

「そっか。休日、満喫してきてね!」

 

ソウゴの笑顔の返答に、ラインハルトも微笑んで返す。

ラインハルトが路地裏から出て、雑踏へと紛れていったことによって、路地裏はソウゴと少女と青年の3人だけとなった。

 

 

 

 

「はい、これで傷は治ったわ。もうちゃんと立てそう?」

 

しばらくして、少女による青年の治療は終わった。傷も浅かった為、治療もすぐに終わった。そして少女は、青年に立てるかどうかの確認をする。

 

「あ、ああ、ありがとう。もう1人で立てる」

 

そう言いながら、青年は「よいしょっと」と言いながら、上体を起こして、立ち上がる。

 

「それで、早速で悪いけれどあなた達に聞きたいことがあるの」

 

「聞きたい事?」

 

少女の言動に、ソウゴは反応し聞き返す。

 

「私から徽章を盗んだ子の事、知ってるでしょ?」

 

「盗んだ子って……もしかして、金髪の子?」

 

「そう、その子よ」

 

「悪いけど、俺は知らないな」

 

「じゃあ、貴方は?」

 

ソウゴが否定の返答をすると、今度は青年の方に少女は視線を向ける。

 

「俺は……まあ、一応知ってるぜ」

 

「本当!?だったら早く教えて頂戴!」

 

青年のその言葉に少女はがっと食いつくように勢いよく迫った。

 

「お、おう。お、教えるけど、その前に」

 

迫ってくる少女に動揺した様子を見せながら、青年の視線はソウゴへと向けられる。

 

「ちょーっち、この人と話したいことがあるからさ、少し待っててくんね?」

 

「別に良いけれど……本当に、少しにしてね。私も急いでるんだから」

 

「おう、合点承知!じゃあアンタ!こっち来てくれ!」

 

「えっ、おわっ、ちょっと!」

 

少女の返答を聞いた途端、青年はソウゴの腕を引っ張って路地裏の入り口の方へと駆け込む。ソウゴはその突然の行動に、思わず足を躓かせながら青年へ続く。

 

 

 

 

「いやー、さっきは助かったぜ、アンタ!」

 

「いや、助けたのはあの子だから、礼はあの子に言ってよ」

 

青年のソウゴに対する礼の言葉に、ソウゴはそれを少女に言うように勧める。

 

「でもって、あんた。もしかしなくても……日本人、だよな?」

 

「うん、そうだけど」

 

「やっぱりか!いやはや、一目見た時から同胞の気配がしたからなぁ!」

 

笑いながらそう言う青年。

 

「何か、安心したぜ。異世界人が俺だけってのは、何か心細いしな」

 

安堵したように、そう言う青年。そして、何かに気がついたように「おっと」と、言い

 

「自己紹介が遅れたな!俺の名前は菜月昴(ナツキ・スバル)!無知蒙昧にして天下不滅の無一文!」

 

「それって、胸張って言えることかな」

 

スバルのその自己紹介に、ソウゴは思わずツッコミを入れるも、まあいいやと、すぐに一蹴し

 

「俺は常磐ソウゴ。スバル風に言うなら、王になった男、かな」

 

「えっ、何それは……何?オンラインゲームとかでそんな名前使ってんの?」

 

「別に、ゲームとかで使ってるわけじゃないけど?」

 

「えぇ……」

 

こいつ、実は電波系か、すごいイタイ人なんじゃね?と、心の中で呟く。可哀想な物を見る目でソウゴを見るが、本人は変わらない様子で、自分を見るスバルに首を傾げる。

 

「どうしたの?」

 

「え!?いやぁ、何もねぇよ。何もない」

 

ソウゴが問いかけられて慌てた様子で答えるスバル。そして、気を取り直したように咳払いをし

 

「助けられた上で図々しいかもしれねえんだけど……アンタ、少し頼まれてくれないか?」

 

「何?」

 

「……さっきの子なんだけどよ。実はあの子、探し物してるんだ」

 

「探し物って……もしかして、さっき言ってた徽章のこと?」

 

「そうそう、それだよ。で、それがさっきの金髪の子、フェルトに盗られちまったんだ」

 

「フェルト……インク使ってそうな名前だね」

 

「それはフェルトペンな。それで、フェルトの奴、それを盗んで夕方に貧民街でロム爺っていう爺さんの盗品蔵でそれを売ろうとしてるんだ。だから頼む!それを止める為に手伝ってくれねぇか!本当に、助けられた身で頼むのは図々しいとは思ってるけど……頼む!」

 

スバルは張り詰めた様子でそう言いながら、ソウゴに向かって頭を下げる。それに対するソウゴの答えは……

 

「うん、分かった」

 

「!本当か!?」

 

ソウゴの返答に、頭を上げたスバルは顔を輝かせる。

 

「うん、だって困ってる民を助けるのは、王様の仕事だろ?」

 

「あー、うん、そうだな!とにかくありがとう!」

 

ソウゴの言葉を適当に流しながら、感謝の言葉を伝えるスバル。

 

「でもまず、あの子の元に戻ろう、待たせてるし」

 

「そうだな」

 

そう言って、二人は路地裏へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「お待たせ!」

 

「もう、遅い!少しにしてって言ったでしょう!」

 

「ごめんごめん、悪かったって!話し込んでたら長引いちゃって!」

 

怒った様子の少女に、スバルは頭を掻きながらそう言った。

 

「はぁ……まあ、いいわ。それで、貴方、徽章を盗った子のことを知ってるのよね?早く教えて頂戴」

 

「ああ、盗んだ奴は、フェルトって言ってな。そいつは盗んだ物を貧民街にある盗品蔵に売り捌いているんだ」

 

「ふぅん……そうなの、ありがとう。じゃあ私はこれで。それと今度からは、こんな人気の無い路地に入らない方がいいわ。厳しく脅したから、あの人達ももう関わらないと思うけれども一応ね。あ、これは心配じゃなくて忠告。次に同じような場面に出くわしても、私があなたを助けるメリットがないもの。だから、期待しちゃダメだからね」

 

と、早口でまくし立てて振り返り、路地裏の入り口にスタスタと去っていく。が、ソウゴがそれを止める。

 

「ちょっと待って!」

 

「何?言っておくけど、これ以上は私もちょっとしか付き合ってあげられないから」

 

「俺たちも、徽章探しを手伝うよ」

 

ソウゴのその一言に、少女は目を丸くして二人を見た。

 

「えっ……何で?」

 

「だってさ、困ってる民を助けるのは、王様の仕事だろ?」

 

「へっ……お、王様?」

 

「ま、まあとにかく君!俺達と協力するのも悪くない話だぜ?人数が多い方が、相手がヤバい奴だった時に数の差でどうにか出来るかもだし?」

 

「確かにそうかもしれないけれど……」

 

スバルの一言に、少女は言葉に詰まった様子である。

 

「まぁ、悪意は感じないし、素直に受け入れても良いと思うよ?」

 

少女の傍でふわふわと浮いていた先程の子猫が、そう少女に言う。

 

「って訳で、決定!あ、俺の名前は常磐ソウゴ!で、こっちは……」

 

「俺はナツキ・スバル!無知蒙昧にして天下不滅の無一文!」

 

「それは、随分と危機的な状況だね。あ、僕はパック。よろしくねー」

 

二人が自己紹介した後、子猫も自己紹介をする。

 

「で、君は?」

 

ソウゴが、少女の方を見てそう言った。

 

「……本当に、何のお礼も出来ないけど、良いの?」

 

「うん、全然良いよ」

 

「……そう、私の名前は、サテラ。サテラって言うの」

 

少女は、少し瞑目して、数秒沈黙した後に、そう言った。パックが「趣味が悪いよ」と、呟くが、それはこの場の誰も気付かなかった。

 

「それじゃあ、早く行きましょう?」

 

「ん、そうだね」

 

そうして、二人は路地裏の入り口まで歩き始める。

パックは、サテラの髪の中に入り込んだ。

そんな中で、スバルはサテラの背中を見つめながら

 

ーーーーこれが終わったら、君の本当の名前を教えて貰おう。

 

と、心の中で、呟いた。

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