Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O- 作:きゃぷてん
「終わったな」
最初に喋ったのは私だったと思う。
「そうだね」
「殺してないが良いのか。あの調子だとまた来るぞ、あの男は」
「別に。また倒すだけだよ。それに、何度も戦ってるうちにあっちの気持ちも変わるかも」
「だといいんだがな」
少しの間、黙った。
「まさか私が生き返るとはな」
「本当にね」
「まだ私を必要とする者がいるということらしい。物好きなやつもいるものだ」
「まあほら、キャラとライダーのデザインがカッコいいじゃん。あと声が良い」
「そういうものか」
「そういうもんだよ。それにさ、見えてるだろ。近い内の未来にまた必要とされるのが」
「……複数の私の敵になったり神に振り回されたりと大忙しか」
「近い内の未来といえばバールクスが後輩の戦いで再生怪人扱いされてたよね。正直あれ笑っちゃった」
「平成を否定してた者が平成のダークライダー達に紛れるとは皮肉なものだな。SNSだと尊厳破壊などと言われていたぞ」
「平成を消そうとしたツケが回ったってことだねぇ、そりゃ」
若き日の私が笑う。
昔も、私はあんな笑い方をしてたのだろうか。
今は、あんな無邪気に笑ってない。
50年の間で、笑うことなんてしなくなった。
してる笑いなんていつも乾いてる。
巨大な宮殿を持ち、数多の家臣を従え、王都を作りそれを統治し、そして、そして————。
王となる。
ずっと、幼い頃からずっと願っていた夢を掴んだ、叶えた。
でも、私は笑ってない。
私が夢を叶えた姿を見て欲しかった人は、その時には既にいなかった。
「叔父さんは元気か」
「勿論。バリバリ現役」
「良かった」
ずっと傍にいたものは、ある日急になくなった。
いつも日常で見てたものは消えた。
なくなったと知った時には泣いた。
それからもう泣いてない、と思う。
砂と水を両手ですくったことがある。
でも、粒と雫はこぼれ落ちてゆく。両手ですくっても、落ちてゆく。
集めようとしても、もう手遅れで、何も出来なくて。
この手があっても、一番すくいたいものは、すくえない。
いつもいつも。
何かを落としてて、何かが潰れてて、何かが崩れてた。
50年、墓を守り続けた。
ずっと愛してる人々を、いつも通りにある平和を、守る為に戦った戦士の墓を守ってた。
墓を建てたのは私だった。
戦士としての彼らを殺したのは私だった。
受け継いでるつもりだった。
無駄にしないって誓った。
悪のために鎧を剥ぎ取ってるだけだとも知らないで。
もう、役目は終わった。
それでも、罪は消えず、残り続けてる。
「はい、お供え」
「ありがとう」
もう一つ、役目が終わった今でも守ってる墓があった。
私がいる未来が消えてもその墓だけは残した。
常磐家之墓
ずっと会いたいって思ってる。
もう会えないって分かってる。
あの人たちが私を見つけても、私はあの人たちを見つけられない。
だから、此処で繋がれることを信じたい。
「これからどうするの」
「——————」
とある男がいた。
その男はずっと縛られて生きていた。
縛っていた鎖を破り捨て、その男は、思う通りに生きることを決めた。
「やってみたいことがある」
「へぇ」
私にそういう資格があるのか分からない。
望んではいけないって何処かで思ってた。
許されないだろうって思ってた。
でも、それでも。
望んでもいいのなら。
「じゃあやりなよ。アンタのしたいこと。自分の人生、生きたいんだろ」
その言葉を聞いて、自身の口が少し吊り上がっていくのに気がつく。
心に温かいものを感じた。
きっとこれからも、私は私を呪い続ける。
罪を積み重ねた事実は残り、十字の傷を背負ってゆく。
でも、停まり続けてた時間を、止めていた足を一歩でも動かしたいって今は思う。
「ならば、私は私の人生の為に行くとする」
「そう。じゃ、俺も皆のとこ行くよ」
立ち上がって、墓を見て。
「行ってきます」
踵を返して歩き始める。
若き日の私と何処かで別れる。
ふと、振り返る。前を見る。振り返る。前を見る。
振り返って、前を見る。
そうやって、歩いていく。
そして、此処にいる。
時間と共に、歩み始める。
おじいちゃんが未来に進もうとしてることが読み取れればいいよ
おじいちゃんが何をしたいのかはまた次のお話で