Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O- 作:きゃぷてん
またもや短編
ある朝のロズワール邸にて。
「ごちそうさまでした」
常磐ソウゴが食事を終え、さっさと食堂から出る。
「? なんか……ソウゴ、急いでる? あんなにさっさと出るの、珍しくね?」
「そうね……いつもは皆が食べ終わるまでここにいるもの」
普段とは少々違うソウゴの様子に、スバルとエミリアは首を傾げた。
しばらくして、ソウゴが戻ってきた。
「皆ー、俺ちょっと今から出かける。晩御飯までには帰るからよろしくね」
「すげぇ突然だな……出かけるってどこにだよ?」
「それは————」
スバルに問われると、「あー……」と声を漏らしながら考える素振りを見せるソウゴ。
「んー……まあ少し遠くに」
「えらく抽象的だなぁ……」
「そういうわけだから、行ってくるねー」
それだけ告げてソウゴはささーっとその場から去った。
「…………何処行くんだろ」
「遠いってことは、王都?」
「わかんねぇ……」
エミリアの疑問にスバルは分からんとばかりに両手を上げた。
◇
何処かにある、喫茶店。ドアが開かれ、鈴の音が鳴る。
「やっ」
「来たか」
来客してきた青年と店のマスターの間でそんなやり取り。
「へぇー……良い感じじゃん。繁盛してる?」
席に座り、メニューを開きながら尋ねる青年。
「悪くはないな」
「ほーん、良いじゃん。あ、カフェラテお願い」
「承った」
「承ったて」
マスターの返事を思わずそのまま返す青年。
待ってる間、他のメニューを見てみる。
ゆでふきのとう、剣士のエクレア、悪魔コーヒー牛乳、創世きつねうどん、アルケミストオムライス、ガブガブ・お菓子パラダイス。
一部の名前が壮大かよ、と青年はツッコむ。
「お、お待たせしました」
と、カフェラテが運ばれてきた。
「ああ、ありが……と……」
運んできた店員を見て、青年は
「? どうしました?」
「……いや、知り合いにそっくりだなーって」
「そうなんですか……あ、え、えっと、握手してくれませんか?」
「んぇ? 良いけど……」
握手をねだられた青年はそれに応じる。店員は嬉しそうな顔でその場を離れる。
「あれ、ウールだよね?」
「別時空のな。貴様のファンだ」
「マジか」
「ここではバイトとして雇っている」
「バイト募集してるんだ……」
「今はいないが別時空のオーラとスウォルツもシフトを入れてる」
「マジかぁ」
別人とはいえ、敵だった面子がこの店でバイトしてるというのは中々の絵面である。
その時、扉が開かれ鈴が鳴り響いた。
「いらっしゃい」
マスターが客を迎える挨拶を。青年はふと振り返り、その客を見た。
「「あ」」
知り合いだったから、そんな声を互いに漏らした。
「…………ども」
「…………ああ」
青年が先に会釈しながら挨拶、相手も同じように。
どうやら複数人で来てたようで、ボックス席へ移動した。
「……ねぇ、あれクォーツァーの人達だよね? 来てたの?」
「常連だ」
「マジか? マジで?」
「マジだ」
「そんなこと言うキャラだったっけ」
「常連と言えばだが、門矢士と海東大樹も来たぞ。そこの壁にサインも飾ってある」
「知り合い来すぎじゃない? ってかサインって。貰ったの?」
「あっちが一方的に書いて渡してきたからな」
「絵面の想像がつくな〜」
ツッコミながら、カフェラテを頂戴。少し飲んで、置く。
「————これが、やりたいことだったんだ」
「……ああ、そうだ」
「なんで喫茶店なの?」
「…………叔父さんと、食卓を囲んでる時間が好きだった」
「——————」
マスターの目は、遠くを見つめていた。青年は、溢れた言葉を黙って聞く。
「幼き時に父と母と、食事を摂る時間が幸せだった」
もう戻れない日々の時間を、見つめていた。
「誰かと共にいれる時間は幸せだっただろう?」
「うん」
もういない両親と、叔父と、家臣と、友達と。
彼らと共にある日々は、青年にとって色褪せぬ思い出。
「人が幸せを共に出来る場所を作りたい。だから、この店を開いた」
「…………そっか」
マスターのその言葉を聞いて、青年は少し口角を上げながら返した。
「じゃあ……今は、幸せ?」
「ああ。おかげさまで」
誰かを幸せにすると言う幸せ。
それで心は満たされてる。
だから、彼は幸せな笑顔を浮かべられた。
「近々、叔父さんと父と母の墓参りに行こうと思ってる」
「あ、そうなの? 俺も一緒に行っていい?」
「構わん」
「んじゃ、行く時は連絡よろしくねー。あ、お供え物とかどうしよ」
「私がアップルパイを作ろう。叔父さんのレシピがあってな」
「おっ、良いじゃーん」
「それと実はだな。近々物を修理するサービスも初めてみようと思っている」
「叔父さんの影響?」
「当然だ」
「そりゃそうか〜」
それからしばらく、ポツポツと雑談を続けて時間が過ぎていった。
「んじゃ、そろそろこの辺で。お会計お願い」
「ああ」
それから青年はマスターにカフェオレの料金を払う。
「折角だ、これでも持っていけ」
マスターは青年に袋を差し出した。
「これは?」
「お菓子トピアで買った高級菓子」
「トピア……あー、ゼンカイジャーか」
「余りにも大人気でな。店の近くのホテルにわざわざ泊まって朝から並んで買ったのだ」
「すんげー用意周到じゃん。皆で分けるね〜」
青年はそのまま袋を受け取り、店から出ようとする。
「あっ、あの!」
その時、ウールが青年に声を呼び止めた。
「えっと……さ、サイン書いてくれませんか?」
「お、サイン? 良いよ〜」
青年はウールから渡された色紙にペンで名前を書いて、渡した。ウールは満面の笑みを浮かべ
「ありがとうございます!」
と、青年に礼を言った。
「それじゃ、また」
「ああ、元気でな」
それから、青年は————常磐ソウゴは去る。
それをマスター————常磐ソウゴが見送った。
◇
「たーだいまっ!」
ロズワール邸にて。
皆が食堂に集まってたその頃、常磐ソウゴが帰宅した。最初に反応したのはスバル。
「おー、お帰り……って、その袋は?」
「お菓子。皆にお土産だよーっ」
それから机に袋を置いた。袋の中を覗き込む一同。
「うおーっ、なんか高級そうなお菓子が入ってそうな箱だ! こんなんあったのか!?」
「こんなお菓子、初めて見ました」
「ふーん……悪くないわね」
スバルがお菓子を取り出して驚いた様子を見せ、レムとラムも興味深そうな様子。
「わっ、この箱すごーく可愛い! 何処で買ったの?」
エミリアがお菓子の箱の一つを持ちながらソウゴに尋ねる。
「貰い物なんだよね〜、どこの店のかは知らない」
「こんなもん貰うとか……お前結局、何処行ってきたんだよ?」
お菓子の箱を若干訝しげな顔をしながら見つめ、ソウゴに聞くスバル。
その問いに、少しソウゴは目を閉じながら「うーん」と唸る。しばらくして目を開き、告げた。
「————友達の所」
とりあえず幸せなおじいちゃんが書けたからOKです