Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O- 作:きゃぷてん
「兄ちゃん避けるォォォ!」
「うおっ!?」
フェルトがスバルを掴んでその場から飛び出し、地面へ転がる。
「あら?避けられちゃったわね」
見ると、女性が首を傾げながら、手にはくの字に折れている内反りのナイフーーーーククリナイフを握っていた。
鈍い輝きを放つ凶器を握りながら、女性は変わらず微笑みを浮かべる。
「でも、今度は外さないわよ?」
そう言って、ナイフを再び構える。
『サンダーホーク!』
『コダマスイカ!』
と、その時、小さな二つの影が現れ、一つは鳥が雷で攻撃し、一つは小人が黒いスイカの種のような物で攻撃を行う。その突然の攻撃に女性は思わず怯む。
次に、ピンクの光線が二つ程女性に向かって飛ぶが、それはナイフによって防がれた。
女性がその光線が飛んだ方に視線を向けると、そこにはソウゴがは銃を構えていた。それはジカンギレードであった。
「皆は早く逃げて!」
「に、逃げろって、にーちゃんはどうするんだよ!?」
「俺がこの人を足止めする!」
「にーちゃん一人に任せて逃げれる訳ねぇだろ!」
フェルトがソウゴの言葉に反論する。その顔からは焦りが見えた。
「そうじゃ!わしも歳は食ってるがまだまだ若いもんには負けんぞぉ!」
そう言ったロム爺は大きな棍棒を持つ。
両手で持つのでさえ苦労しそうなサイズだが、ロム爺はそれを軽々と持っている。
「どぉりゃああああああああ!」
「よせロム爺!あんたじゃエルザに敵わない!」
ロム爺は棍棒を持ってエルザと呼ばれた女性に突撃しようとする。それをスバルが制止するが、それも虚しく、戦闘が始まった。
「巨人族と殺し合うのは初めてよ?」
「抜かせ、小娘!挽肉にして大鼠のエサにしてやるわ!」
ロム爺は棍棒をエルザに向かって次々と振るうが、それは軽々と避けられていく。
その際にも、ソウゴはジカンギレードの引き金を引き、ピンク色の閃光が乱舞する。
先程の鳥や小人も雷やスイカの種で攻撃するがそれも避けられていった。
「こいつ、中々すばしっこいわい!」
「どうにか隙作れないかな?」
「悪いけど、そう簡単に隙を見せるほど甘くないわよ、私」
「背中はガラ空きだけどねー」
中性的な声が聞こえてきたかと思えば、扉から氷塊がエルザに向かって飛ぶ。それに気付いたエルザは咄嗟に避けた。
「ありゃ、避けられちゃったか」
扉には、サテラとパックがいた。
「サテラ!?何でここに……」
「遅いから心配して来ちゃったんだけど……大変な事になってたみたいね」
スバルの問いかけに、サテラは答える。
その時、ロム爺はサテラの容貌をじっと見て
「お嬢さん、もしやエルフか?」
サテラは少し瞑目して、小さく吐息した後、
「……いや、違うわ。私がエルフなのは、半分だけ」
「ハーフエルフで、しかも銀髪じゃと!?しかもさっきサテラと……よく分からんが、何やら深い事情がありそうじゃな」
ロム爺が納得したように小さく頷いた。
「──精霊、精霊ね。ふふふ、素敵。精霊はまだ、お腹を割ってみたことないから」
その中でエルザは恍惚の表情でパックを見る。
「くっそてめぇ、どういうことなんだよ!これを買い取るのがアンタの仕事だろ!?」
フェルトは手に持っていた徽章をエルザに見せる。
「ここを血の海にするなら、話が違うだろうが!」
「盗んだ徽章を買い取るのがお仕事。持ち主まで持ってこられては商談なんてとてもとても。だから予定を変更することにしたのよ」
怒りに顔を赤くしていたフェルトが、エルザの殺意に濡れた瞳に見つめられて息を呑む。そんなフェルトの恐怖を、エルザは愛おしげに見下した。
「この場にいる関係者は皆殺し。徽章はその上で血の海から回収することにするわ。あなたは仕事をまっとう出来なかった。切り捨てられも、仕方がないわ」
これを微笑みながらいうものだから、彼女のサイコパスな様が際立つ。
「……もう話し合いもクソもねぇ。戦わなきゃ生き残れないってか……!」
フェルトが顔を苦痛に歪めながらそう呟く。
「てめぇ、ふざけんなよ――!!」
エルザの言葉は怒鳴りかかるくらい、スバルを怒らせる原因となった。
驚いたようにスバルを見るエルザ。フェルトやロム爺、サテラもソウゴも例外ではなく。しかし一番驚いているのは誰でもなくスバル自身であった。
「こんな小さいガキ、いじめて楽しんでんじゃねぇよ! 腸大好きのサディスティック女が!! 予定狂ったからちゃぶ台ひっくり返して全部オジャンってガキかてめぇは! 命を大事にしろ! 腹切られるとどんだけ痛いか知ってんのか、俺は知ってます!!」
「……なにを言ってるの、あなた」
「自分の中の思わぬ正義感と義侠心に任せてこの世の理不尽を弾劾中だよ! 俺にとっての理不尽はつまりお前でこの状況でチャンネルはそのままでどうぞ!」
と、スバルの怒声にエルザが呆れたように小さな吐息をついた。
「よし、パック行けるか!?」
「全然行けるよー!」
見れば、エルザの周囲に先端を尖らせた氷柱が二十本以上包囲していた。
「まだ自己紹介もしてなかったね、お嬢さん。ボクの名前はパック。名前だけでも、覚えて逝ってね」
エルザに放たれたそれらは盗品蔵の床に突き刺さり、白く煙を上げる。
氷の射出速度は路地裏での速度をゆうに超え、着弾をかろうじて目で追えるレベルだ。本来ならば人体を易々と貫通し、絶命は免れない攻撃。
だが、
「やりおったか!?」
「何で今そのフラグを建てたーー!?」
ロム爺が言ってしまった。
そしてスバルの呼びに呼応するように
「備えはしておくものねぇ。着てきて正解だったわ」
煙を切り裂くようにエルザが現れ、羽織っていた外套を脱ぎ捨てる。
「どうやってあの攻撃を……!?」
「簡単な話。私の外套は一度だけ魔を払うことが出来る術式が編まれていたの。命拾いしてしまったわね」
ソウゴの疑問にエルザは丁寧に答える。ソウゴはすぐさまジカンギレードで撃つが、弾は全てナイフによって防がれた。
「サテラ!パック!一緒にこの人を止めよう!」
「ええ」
「勿論!」
二人が返答し、戦闘は再開される。ソウゴはジカンギレードでエルザに向かって撃ち、サテラとパックは氷柱を撃ち出していく。
ピンクと水色の弾幕が縦横無尽に乱舞するも、それを軽々と避ける。身を回し、身を伏せ、時には壁を足場にし、人間の域を超越したような動きをする。避けきれない攻撃はナイフで防ぐ。
「ちっ、あれもう人間の動きじゃねぇだろ」
スバルがエルザを見て思わずツッコむ。
「でも、このまま物量で押してけば消耗戦で勝てるか?」
「あの黒い娘の身のこなしが尋常でない。とはいえ、精霊がいつまで顕現できるかが勝負じゃ。精霊抜きじゃと一気に形勢が傾くぞ」
「そういえば……」
スバルの脳内に、ある言葉が浮かぶ。この場では、スバルだけが記憶しているであろう言葉。
『出てこれないっていうか、ボクはこんな可愛い見た目だけど精霊だからね。表に出てるだけでけっこうマナを使っちゃうんだ。だから夜は依り代の結晶石に戻って、お天道様が出てる間に備えてるんだよ。まぁ、平均的には九時から五時が理想かな』
「……前にそんなこと言ってたな。そろそろ五時を回るか!?」
現在、夕刻の戦闘開始からそれほど時間は経過していないが、これだけ魔法戦をすれば溜め込んでいたマナとやらも盛大に使っているだろう。
「楽しくなってきたのに、心ここにあらずなんてつれないわ」
「モテる雄の辛いところだねぇ。女の子の方が寝かせてくれないんだからさ。でもさ、夜更かしするとお肌に悪いだろう?」
その時、エルザの動きがふいに止まる。
「そろそろ、幕引きと行こうかな?」
「ーー足が」
エルザの足は、氷によって床に縫い付けられていた。
砕かれた氷塊の破片が降り積もり、エルザの足を絡め取ったのだ。
「無目的にばらまいていたわけじゃ、にゃいんだよ?」
「してやれたって、ことかしら?」
「年季の違いだと思って、素直に称賛してくれてもいいよ?じゃ、オヤスミ」
パックがサテラの肩の上に飛来し、その小さな体が小刻みに揺れる。
まるで必殺技でも放つかのようなポージング、両手が前に突き出され、そこからこれまでで最大級の魔力が集中し、そして発射された。
もはやそれは破壊光線と呼べるもので、射線上の全てを凍てつかせた。
直撃すれば、氷像とかするのは免れない。だが、
「おいおい……嘘だろ……」
「嘘じゃあ、ないわよ。ああ、素敵。死んじゃうかと思った」
それは直撃していれば、の話である。
「女の子なんだからぁ、そういうのは僕、感心しないな」
不満げに声を漏らすパック。それは技が外れた事によるものでは無く、エルザの行為に対する不満であった。
エルザの右足から、血が滴っていた。氷結魔法の射線上からわずかに離れ、素足で立つ彼女の右足からはおびただしい出血が見られる。 当然だろう。なにせ、彼女の右足の底は、ばっさり削がれているのだから。
「うげぇ、痛そ〜……」
ソウゴが顔を引き攣らせて言った。
「ええ、そうね。痛いわ。だけど素敵。生きてるって感じがするもの。それに……」
エルザはその足を躊躇なく傍らの氷塊に押しつけた。大気のひび割れる音にエルザの喉が鳴り、ナイフが振われ氷の表面を削った。
そして、乱暴な止血は完了した。
「ちょっと動きずらいけど、これで充分よ」
エルザは足音を響かせる。
エルザの足にある氷塊は、まるでガラスの靴のようにも思える。
「パック、行けそう?」
「ふぁ……ごめん、すごく眠い。ちょっと舐めてかかってた。マナ切れで消えそう」
軽く欠伸をしたパックはサテラの呟きに答える。
その姿はぼんやりと輝いていた。
「後はこっちでどうにかする。だから今は休んで。ありがとね」
「君に何かあったら、僕は契約に従う。いざとなったら、オドを絞り出しても僕を呼び出すんだよ」
その言葉を残し、パックは消えた。
「ああ、いなくなってしまうの?それは酷く残念なことだわ」
エルザは肩を落とし、失望にしたように言った。
だが、すぐに戦闘は再開された。先程の破壊光線に巻き込まれないように控えていた鳥と小人ーー改め、ソウゴのサポートメカ、タカウォッチロイドとコダマスイカも戦闘を再開する。
「ちっ、フェルト、せめてお前だけでも逃げろ!」
「は、はぁ!?いきなり何言ってんだよ!私にけつまくって逃げろってか!?」
フェルトはスバルの逃亡を催促する言葉に反論する。
「そいつの言う通りじゃフェルト!せめてお前だけでも生き残れ!もう勝算も分からん!」
「ろ、ロム爺まで!」
「年上の言う事を聞け!俺は一応18だから、多分お前はこの中で一番年下だ。したら、お前が生きる確率が一番高いとこを選ぶのが当たり前だ。当たり前なんだよ」
「んだよそれ……」
「ーー大丈夫さ、また会える」
ーーこれ、一度言ってみたかった!
と、スバル本人は全力のイケボのつもりでかっこつけて言った。
「こんな時にかっこつけてんじゃねえよ!」
「うるせー!言いたかったんだよ!とにかく早く逃げろって!」
フェルトからツッコまれるが、スバルは反論して逃亡を促した。
フェルトは歯を食いしばってくやしそうな顔をし
「……っ、にーちゃん、ロム爺!強く生きろよ!」
「勿論じゃ!」
「オッケー!」
そしてフェルトは目にも止まらぬ速さで扉に向かって走り出す。
「行かせると思って?」
だがエルザはそれを阻もうと懐から抜き取ったナイフを投げた。
「こっちとしては行ってほしいんだよ、なっ!」
そう言ってスバルはすぐ傍にあった転がっていた椅子を投げ、ナイフにぶつけた。
甲高い音を立て、ナイフは椅子と共に落ち、フェルトの脱出を許した。
「……少しだけ、腹ただしいと思ったわ」
「はんっ、ざまぁみやがれ」
トーンの低いエルザの声に、スバルはしたり顔で挑発した。
「反撃開始じゃあ!」
ロム爺は再び棍棒を持ってサテラとソウゴと戦闘中のエルザの元へ突撃し、その棍棒を振るう。
「ダンスに横入りだなんて、無粋じゃないかしら?」
エルザはそう言いながら棍棒の攻撃を避ける。
「そんなに踊りたければ最高のダンスを躍らせてやるわ! そら、きりきり舞え!」
そう言ってロム爺は棍棒をまた振るう。
そしてエルザが上に飛んで避け、同時に棍棒も上に振ろうとした瞬間
「なぬっ!?」
踵で棍棒を蹴った。そして、そのとてつもない脚力によってロム爺は棍棒を思わず手放してしまったのだ。
地面に転がった棍棒に意識を奪われてしまい、ロム爺は隙を見せてしまう。そして
「ぐあっ!?」
背中に、激痛が走る。
それは、いつの間にか背中に回っていたエルザがナイフで切ったからだ。傷は深く、ロム爺は地面に突っ伏してしまう。
「ロム爺!」
スバルが思わずロム爺の名を呼ぶ。
「さあ、あなた達もダンスを楽しませてくれるのよね?」
エルザはソウゴとサテラにナイフを向けて言う。
そして、エルザはサテラに向かって駆け出す。
サテラは氷の盾を作り、エルザの攻撃を防ぐが、その速さによってエルザはすぐに横に回り、そのナイフを首に突き付けようとする。
が、
「ふっ!」
すんだの所で、ソウゴがジカンギレードの剣モードで防ぐ。
エルザは一旦後ろに大きく飛ぶ。
「そろそろダンスも疲れてきたんじゃない?」
「いいえ、むしろ足りないくらいだわ」
「……そっか。サテラ、ロム爺の治療頼める?俺がこの人を食い止めるから、その時に」
「えっ、でも」
「大丈夫……行ける気がする」
そう言って、ソウゴはジクウドライバーを取り出して、腰に装着する。
ジオウライドウォッチを取り出して、ベゼルを回してスイッチを押し起動する。
『ジオウ!』
ウォッチをD‘9スロットに装填。
ライドオンリューザーを押してベルトのロックを解除する。
「変身!」
ベルトが360度回転すると、世界も回転した。
『ライダータイム!仮面ライダー!ジオーウ!』
そうして、もう一つのオレンジと黒に彩られたウォッチ、ゴーストライドウォッチを、ベゼルを回して起動する。
『ゴースト!』
それをD‘3スロットにセット。
ライドオンリューザーを押し、ロックを解除しベルトを360度回転させる。
『アーマーターイム!カイガン!ゴー・ス・トー! 』
仮面ライダージオウ・ゴーストアーマーに変身。
「……あなた、何者?」
エルザが目の前のジオウに聞いた。
「俺は、仮面ライダージオウ!」
幽霊の戦士の力を纏いし王が、殺人鬼と対面した。
(電話)どうして終盤まで変身しなかったんですか?どうして……
大人の
事情