Re:ゼロから始める異世界生活-Story of Zi-O-   作:きゃぷてん

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すべてを終わらせる時…!


2019:ソードマスターラインハルト

「……な、何じゃこりゃあ!?」

 

「すっ……ごーい」

 

エルザが突き抜けた盗品蔵の穴の空いた壁を見て、サテラとスバルの二人は驚愕の声を出していた。スバルに至っては当初、この光景を理解するのに数秒間は掛かったのだ。

 

「ふぃー……」

 

ジオウは、息を吐く。

 

「すげぇ! すげぇよソウゴ! アイツをぶっ飛ばしやがった! マジですげぇ!」

 

 目を輝かせながらジオウは駆け寄るスバル。

 

「あ、そういえば、どうしてサテラがこれを持ってたの?」

 

ソウゴは、ベルトのウィザードウォッチを触ってサテラに聞く。

 

「えっとね、実はソウゴ達に会う前に、変な人と会ったの」

 

「変な人?」

 

「すごーく黒い服装で、パック曰く、とてつもない悪意を秘めてるって。路地裏にいてて、何をしているのかって聞いたけど無視するから徽章の事を聞いてみたら突然逃げ出して、それで攻撃した時にそれを落としていったの」

 

「黒い……服装……」

 

 ソウゴは覚えがありげに呟く。

 

「俺の事か?」

 

突如男の声がして一同が見ると、そこにはソウゴのライドウォッチを取った例の黒いフードの男がいた。

 

「!この人よ!」

 

「やっぱりか……ライダーの力を返せ!」

 

サテラが男を見て思い出したように言って、ジオウは男に向かって叫ぶ。

 

「悪いがそうは行かないな」

 

そう言って男はバールクスライドウォッチを取り出し、ベゼルを回してスターターを押し起動する。

 

『バールクス!』

 

ウォッチを腰に装着していたジクウドライバーのD‘9スロットへと装填。ライドオンリューザーを押し、ベルトのロックを解除。

 

「変身」

 

そう呟いて、ベルトを360度回転させる。

 

『ライダータイム!仮面ライダー!バールークース!』

 

男は仮面ライダーバールクスへ、変身した。

 

「はああああああっ!」

 

バールクスは長剣を持ってジオウに斬りかかり、それをジカンギレードで受け止め、甲高い音を立てる。

 

「ふっ!」

 

ジオウは長剣を跳ね返し、手を翳して魔法陣から鎖を召喚し、バールクスを拘束する。

だが、バールクスはそれを力尽くで引きちぎった。

 

「何!?」

 

「でやあっ!」

 

再び長剣が振られ、それをジカンギレードで受け止めた。

剣戟が繰り広げられるが、甲高い音と共に火花が散る。

剣戟が繰り広げられていたその時

 

「ぐあっ!?」

 

突如、腹に刃物で切られたような痛みが走り、ジオウは後ろに吹っ飛ぶ。

見るとそこには、ナイフを構えているエルザがいた。

 

「まだ、やられてなかったのかよ……!」

 

スバルはエルザを見てそう言った。

 

「ふふ……よくもやってくれたわね……!もう腹を切るだけで済ませてあげないわ。ズタズタに引き裂いてあげる……!」

 

エルザは相変わらず微笑んでいるが、その目は微笑んでおらず、殺意の篭った淀んだ瞳。

ジオウは、立ち上がりジカンギレードを構える。バールクスとエルザは共に駆け出した。

ジオウは二人の長剣とナイフの同時攻撃を受け止め、弾き返し手から炎を噴かす。

エルザはその攻撃に怯むが、バールクスにはその攻撃が効いてる様子は無く、迷わずジオウに突っ込んでゆく。

土の壁、ディフェンドの魔法が発動し、バールクスを阻むが、それはすぐに破壊された。

その後も、防戦一方の展開が続いた。

 

「おいおい、このままだとやべぇぞ……!サテラ、どうにか……」

 

「どうにかしたい所だけど……二人とも強いみたい、パックがいないと私でも厳しいわ」

 

「マジか……」

 

スバルはサテラの返事に苦虫を噛んだような顔をする。

 

ーーーーこのまま、また、終わるのか。

 

スバルの脳に、そんな考えがよぎったその瞬間。

 

「そこまでだ」

 

盗品蔵の屋根を貫き、一人の人物が登場した。

その者の登場に、バールクスとエルザも動きを止める。

その人物とはーーーー

 

「危ない所だったようだけど、間に合ってなによりだね」

 

「ーーーーラインハルト!」

 

燃えるような赤い髪と空のような青い瞳を持つ青年、ラインハルトであった。

 

「その声は、ソウゴかい?随分と、変わった鎧を着込んでいるね」

 

自身を呼んだジオウを、声ですぐにソウゴだと見抜く。そしてその姿を見て感想を述べるが、直ぐに相手の方に向き直った。

 

「黒髪に黒い装束。そして北国特有の刀剣。君が腸狩りかな?」

 

「えっ、何その物騒な名前は……」

 

「その殺し方の特徴的な所からついた異名だよ。危険人物として王都でも名前が上がっている有名人だ。実際は、ただの傭兵という噂もあるらしいね……所で、君は確かあの時の……」

 

「ああ、俺か。俺はナツキ・スバルだ。あん時は、助けてくれてありがとな」

 

「いやいや、当然の事をしたまでだよ。僕は、ラインハルトだ。宜しくね、スバル」

 

「おおう、いきなり呼び捨て……」

 

微笑んで早速呼び捨てにするラインハルトの距離の詰め方に軽く驚くスバル。

 

「……さて、腸狩りの隣にいる君は誰かな?どうやらソウゴと似たような鎧を着込んでいるようだけれど」

 

ラインハルトは再びエルザ達の方を振り向き、バールクスに訪ねる。

だが、バールクスは何も答えない。

 

「アイツは仮面ライダーバールクス。前に俺が戦った敵だ」

 

「成る程、彼はソウゴが戦った敵か……だが、何故こんな所に?」

 

「分からない、というか、前に倒した筈なんだけど」

 

「倒した筈の敵が何故か再び現れた、か……」

 

ソウゴの言葉に、ラインハルトは顎を持って思考するように俯く。

が、直ぐに頭を上げ

 

「とにかく、色々聞き出したいこともある。御二方、投降をお勧めしますが」

 

「血の滴る極上の獲物を前にして、飢えた肉食獣が我慢するとでも?是非とも、その腰の剣を使って戦ってほしいわね。伝説の切れ味、味わってみたいわ」

 

「この剣は抜くべき時以外は抜けないようになっている。鞘から剣が出ていないということは、その時ではないということです」

 

「安く見られたものねぇ」

 

「茶番はいい。さっさと片付けるぞ」

 

二人の会話をバールクスは茶番と一蹴する。

 

「あら?何故貴方の指図を受けないといけないのかしら。出会ったばかりなのに」

 

「ふん、指図もなにも、倒すべき敵は一緒の筈だが?」

 

「ふぅん……まあ、いいけれど」

 

そう言ってエルザはナイフを構え、バールクスも長剣を構えた、

 

「さて、使う武器は……」

 

「あっ、これ使って」

 

そう言ってジオウは出現した魔法陣に手を突っ込み、そこから取り出した二本目のジカンギレードをラインハルトに渡す。

 

「ありがとうソウゴ。有り難く使わせてもらう」

 

剣を受け取り、礼を言うラインハルト。

そして、バールクスへと向き直り構える。

 

「さあ、行こうか」

 

「ああ!」

 

剣聖と魔王が並び立ち、二人の敵と相対する。

そして互いは同時に駆け出し、戦闘は開始された。

刃がぶつかり合い、火花が散る。

その戦いを見守るスバルとサテラの前に、ある人物が来た。

その人物の土を踏む音にスバルは気付く。

 

「フェルト!」

 

「はぁはぁ……間に合ったみてーだな」

 

肩で息をする少女は、八重歯の目立つ金髪の少女であった。

 

「何でここに……」

 

「逃げてる時に、あの赤髪のにーちゃんに会ってさ、それで今ここに来たってわけだよ」

 

スバルの質問に答え、フェルトは戦闘中のラインハルトを見る。

 

「で、あの赤髪のにーちゃんと戦ってる鎧の奴は誰だ?」

 

「ああ、あいつはソウゴだよ」

 

「ソウゴって……あの変な剣持ってたにーちゃんの事か。随分と変な鎧を持ってたんだな」

 

「うん……言われてみれば顔にカタカナって変な鎧だな……」

 

フェルトに言われたスバルはジオウの顔を見る。顔には、ピンクのクリスタルで『ウィザード』とカタカナで書かれている。

 

「はあっ!」

 

ラインハルトはジカンギレードを銃モードに変え、バールクスに向かって撃つ。

 

「くっ」

 

その弾は矢当ての加護の力により、バールクスにダメージを与えた。

 

「近距離も遠距離も対応出来るのか。中々面白い武器だね」

 

ラインハルトはジカンギレードを見ながらそう言って、再びバールクスに向かって引き金を引いて撃つ。

 

「はっ!」

 

ジオウは手を翳し、魔法陣から鎖を召喚しエルザを拘束しようとする。

だが、エルザは飛び立ってそれを避けた。

 

「同じ手には2度も引っかからないわよ!」

 

挑発するようにそう言うエルザ。

だが、次の瞬間、ジオウのジカンギレードが突如伸びて、飛び立っていたエルザを拘束した。

 

「何!?」

 

そしてそのまま、地面へと落とされ叩きつけられる。

伸びた剣が再び元のサイズへと戻ったと同時に、取り巻いていた魔法陣は消えた。

 

「さあ、舞台の幕を引くとしようか」

 

ラインハルトはそう言うと、ジカンギレードを剣モードにし、低い姿勢で構える。

瞬間、大気が歪み、氷結魔法で下がっていた気温が更に下がる。

凄まじい剣気がラインハルトから発せられる。

 

『フィニッシュタイム!バールクス、タイムブレーク!』

 

ラインハルトと相対していたバールクスは、ウォッチのスターターを押し、リューザーを押しロックを解除して、360度ベルトを回転させる。

すると、長剣に赤いエネルギーが溜まる。

 

『フィニッシュタイム!』

 

ジカンギレードにウィザードライドウォッチをセットする。

すると、周囲に魔法陣が出現する。

それは火のエレメント、水のエレメント、風のエレメント、土のエレメント。

世界を構成する四つの元素が、ジカンギレードの刀身に収束する。

相対するエルザは、変わらずナイフを構え、三本目のナイフを取り出した。

その光景に、スバルとサテラとフェルトは息を呑む。

 

『ウィザード!ギリギリスラッシュ!』

 

その音声と同時に、ラインハルトとジオウは同時に剣を振るった。

ジオウの刀身からは、四色の輝きが放たれ、ラインハルトの刀身からは、白き極光が放たれた。

やがてーーーーその極光は、盗品蔵を引き裂き、空間ごと真っ二つに切り裂いた。

そして、大気が歪むほどの余波が暴風となり、盗品蔵の様々な物品を吹き飛ばす。

 

「おいおいおいーーーー!?なんじゃこりゃーーーー!?」

 

その暴風からロム爺を守っているスバルも吹き飛ばされないように踏ん張る。

やがて、その暴威は収まった。

その時には、もう盗品蔵は、軒並み破壊され、今にも崩れそうであった。

そこには、剣を下ろしているジオウとラインハルトが立ち尽くす。

 

「いやいや……やり過ぎだろ……」

 

スバルはその惨状を、唖然として見つめた。

 

「ふっ……流石は、剣聖と呼ばれるだけあるか……」

 

バールクスは、剣を地面に突きながら、膝を付いていた。もはやアーマーはボロボロとなっている。

 

「常磐ソウゴ……お前とは、何度も交差する運命にある……」

 

バールクスは、ジオウに向かってそう言った。

 

「いずれまた会うだろう……」

 

そう言って、バールクスは霧散し消えた。

 

「ちっ……いずれ、この場にいる全員の腹を切り開いてあげる。それまではせいぜい、腸を可愛がっておいて」

 

同じく、ボロボロとなっていたエルザも言葉を残し、廃材を足場にして跳躍し逃走した。

 

「あっ、待て!」

 

ジオウが叫ぶが、身軽に建物を飛び越える背中は直ぐに遠ざかった。

 

「逃したか……」

 

そう言いながら、ジオウはベルトのウォッチを引き抜き、元の人の姿に戻った。

 

「ご無事ですか、エミリア様」

 

ラインハルトは、エミリアと呼ばれた銀髪の少女へと近寄る。

 

「えっ、エミリアって……もしかして、それが君の本当の名前なのか!?」

 

「えっ、あっ……」

 

「あ、やっぱり本当の名前があったんだ?」

 

スバルがサテラという名ではなく、エミリアという名前だったことに驚き、ソウゴはやっぱりか、という顔をする。エミリアは、偽名であることがバレてしどろもどろになる。

 

「ソウゴも気付いてたのか?」

 

「うん、何か、名前を名乗る時、悩んでた感じがしたっていうか」

 

「えっと……ごめんなさい、二人を騙すつもりは無かったの。その、なんていうか……」

 

「別にそんな謝んなくても、怒っちゃいねぇよ。むしろ、君の本当の名前が知れて嬉しいくらいだぜ。改めて、よろしくな、エミリア!」

 

「ーーーーうん、よろしく、スバル」

 

スバルはにかっと笑ってサテラ改め、エミリアに笑う。エミリアも、一瞬呆然とした顔になるも、同じように笑った。

それに、ソウゴは微笑んだ。

 

「はあー!何かどっと疲れた気分だ!」

 

そう言って、スバルはその場に寝転がる。

 

「これが全部一日の出来事だなんて信じらんねぇよ」

 

スバルは空に輝く月を見ながらそう言う。

月を見ながら、スバルの瞼は下がって行き、意識を手放した。

 

「あ、寝ちゃった」

 

「無理もないわ」

 

ソウゴがスバルの顔を除き、エミリアも顔を覗いた。

 

「ラインハルト、助けに来てくれてありがとう。でも、何でここに来てたの?」

 

「王都を散策していた時に、銀色の物体に乗る男二人が、貧民街に向かって爆走しているという噂を聞きつけてここに来たのです」

 

「「あー……」」

 

ラインハルトの言葉を聞いて、ソウゴとエミリアは覚えがあるように声を漏らした。二人の脳には、ライドストライカーが思い浮かんでいる。

 

「そして、彼女と出会ってここまで来ました」

 

ラインハルトは、ロム爺を看護しているフェルトを見る。

 

「そう、あの子に」

 

エミリアもフェルトを見た。

フェルトはその視線を受けて振り返り、気まずげにその瞳を伏せた。

 

「エミリア様、彼女とは……」

 

「ラインハルト。色々と力になってもらってありがとう。助けてもらって感謝してる。でもその上でお願い。ここから先のことに、口出ししないで」

 

強い口調で言い切られ、それ以上の言及をラインハルトは諦める。

 

「な、なあ、ねーちゃん」

 

フェルトはおずおずとして様子で、エミリアに声を掛ける。

そして、懐からある物を取り出しエミリアに差し出す。

 

「ロム爺を助けてもらったからな。恩知らずな真似は出来ねー。これは返す。今度は、盗られないようにしろよ」

 

「出来れば、こんなこと二度としてほしくないけど」

 

「はっ、それは無理な話だ。こっちも、色々あるんだよ」

 

エミリアの頼みをすぐに切り捨て、強かな笑みを浮かべるフェルト。

そして、フェルトがエミリアに徽章を渡そうとした時ーーーー

 

「これは……」

 

「え……」

 

フェルトの手を横合いから掴んでいた。

その様子にフェルトとエミリアとソウゴの三人は驚いた表情でラインハルトを見る。

 

「ちょっ、いてぇよ!離せ!」

 

首を振りながら手を離そうと必死に抵抗するフェルト。

だが、ラインハルトの力は緩む気配は無い。

 

「なんて、ことだ……!」

 

震えるように呟くラインハルト。

その言葉に、エミリアは瞳に動揺を浮かべ

 

「待って、ラインハルト。確かに、お咎めなしで済ませるのが難しいことなのはわかってるの。でもその子は徽章の価値を知らなかったの。そして盗られた私自身はそれを問題にしてないし、盗られた私に落ち度があったことだから。だから」

 

「違います、エミリア様。僕が問題にしているのは、もっと別にあるのです」

 

強い口調で言われ、エミリアは困惑して押し黙る。

ラインハルトはフェルトの顔を見る。

ラインハルトの視線を受けたフェルトの瞳は不安に揺れた。

 

「君、年齢を教えてくれるかな?」

 

「えっ……多分、15だ。というか誕生日知らねーんだよ私」

 

「名前は?」

 

「ふぇ、フェルトだよ」

 

「家名は?」

 

「か、家名なんて大層なもんはもっちゃいねえよ。ってか、離せ!」

 

話している内に調子を取り戻したのか、乱暴な口調でフェルトは暴れる。

ラインハルトはエミリアを見つめると、

 

「エミリア様、先程のお約束は守れなくなりました。彼女の身柄は、僕が預かります」

 

「何かあるの?ラインハルト」

 

ソウゴはラインハルトに訪ねる。

 

「……すまない、ソウゴ。その質問には、答えることが出来ない。もしかしたら、これはこの国を揺るがす事態かもしれないんだ……」

 

「……もしかして、王選に何か関係でもあるの?」

 

「……ふっ、やはり君は凄いな」

 

質問に答えず唐突に自身を褒めるラインハルトにソウゴは困惑の表情を浮かべる。エミリアも同様だ。

 

「君にはついてきてもらう。すまないが、拒否権はない」

 

「てめぇ、ふざけんな。助けたからってあんまり調子に……っぁ」

 

そして突如、フェルトの体勢が崩れ、意識を失いその体はラインハルトに抱えられた。

 

「フェルト!」

 

「大丈夫、少し寝てもらっただけだよ」

 

意識を失ったフェルトにソウゴは思わず名を呼ぶも、ラインハルトはすぐにそう返した。ラインハルトは、フェルトの手から徽章を優しく奪い、エミリアに差し出す。

 

「スバルはこっちで預かっておくわ。そっちもお願いね」

 

「ええ、分かりました」

 

エミリアの言葉に、ラインハルトは一礼。

 

「それで、スバルを連れて帰るけれど、ソウゴも来る?」

 

「え、いいの?」

 

「うん、全然。というより、むしろ来て欲しいの。お礼だってしたいから」

 

「お礼? そんなの全然いいのに」

 

「でもソウゴが居なかったら、私は今頃どうなってたか分からないわ。それぐらいすっごく大きな恩があるの」

 

「うーん、でも」

 

「ひとまず、一度屋敷に行きましょう。スバルも寝ちゃってるから」

 

「まぁ、そうだね。俺もちょうど色々あって家に帰れない所だったし」

 

「帰れないって……お家の人と、喧嘩でもしちゃったの?」

 

「いや、別にそうじゃないけどさ……まぁ、そこはいいじゃん。さ、早く行こう」

 

そう言って、ソウゴはバイクライドウォッチのスターターを押し、起動する。それは変形し、ライドストライカーになった。

 

「銀色の物体……成る程、それの事だったのか」

 

ラインハルトはライドストライカーを見て納得したように頷く。

ソウゴはライドストライカーに跨り、ヘルメットを被る。

 

「さ、エミリア、乗って。ちょうど、約束してるしさ」

 

「あっ……そうね。分かったわ」

 

そうして、エミリアはスバルを背負ってソウゴの後ろの座席に乗る。

 

「しっかり掴まってね!」

 

「うん!」

 

エミリアは、ソウゴの腰に手を巻きつける。

 

「それじゃあソウゴ、エミリア様、お気をつけて」

 

「ラインハルトもね」

 

「ふふ、ありがとう」

 

ラインハルトは笑ってソウゴに返事をすると、ライドストライカーのエンジンは火を噴きタイヤが甲高い音を出しながら、バイクはラインハルトの元から走り去っていった。

走り去って、フェルトを抱えて一人立つラインハルトは、空に浮かぶ、青白く輝く月を見て

 

「落ち着いて月を見れるのは、今日が最後かもしれないな……」

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーかくして」

 

暗い空間の中で、コートを纏う青年は呟いた。

 

「常磐ソウゴは一つ、ライダーの力を取り戻した」

 

青年は、『逢魔降臨暦』というタイトルの本の頁を見ている。

 

「彼の異世界で歩む覇道は始まったばかり。彼が取り戻すライダーの力は、後、11個。それは、ある物達の手に渡ったーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーうん?」

 

月を見上げていたラインハルトは、あることに気付く。

それは、空から小さな一つの赤い光が降ってきたのだ。

その光は、やがて地面に優しく着地した。

その光に、ラインハルトは近づく。

 

「何だろう、これは」

 

ラインハルトはその光を拾い上げる。

それは、黒と赤で彩られているライドウォッチ。

それは、2014年に生まれし、スーパーカーで駆ける、正義の熱血刑事の力。

 

 

 

 

 

 

「ーーーーそして、次に手にする力は」

 

青年は本の頁を捲る。

 

「青き鬼が持つ、響く鬼の力」

 

 

 

 

 

 

 

とある紫の光が、ある屋敷の庭に降り、着地する。

 

「何でしょう、これは」

 

それを、青き髪の少女が拾った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ……あの攻撃で、ライダーのウォッチが何処かに行ったか」

 

何処かで、バールクスに変身していた男は苦い顔をして呟く。

 

「まあいい……常磐ソウゴにさえ見つからなければどうという事は無いだろう。だが、回収はしていた方がいい」

 

そして、男はふと、思い出したように呟く。

 

「結局、あのウォッチは何処へ行ったのだろうか」

 

男の頭に浮かぶのは黄金のライドウォッチ。

 

「オーマジオウの力……手に入れた直後、突然何処かへと消えた……何故だ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処かの荒野。

 

そこにはポツンと玉座があり、そこに一人の男が座る。

 

その男の手には、黄金のライドウォッチが握られている。

男は玉座から立ち上がる。

そして腰に、黄金のベルトを出現させた。

 

「変身」

 

『ーーーー祝福の刻!』

 

男の声に呼応するように、地面に赤き巨大な時計が出現する。

 

『最高!最善!最大!最強王!オーマジオウ……!』

 

全てのライダーの力を統べし最強の王。

今ここに、君臨した。

 

「……」

 

王は、意味深気に、空を見つめた。




勝ったぜ。投稿者:一般高校生(不登校)
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