「幽々子は倒せたけど、西行妖が…!」
そして、輪花は西行妖をみた。完全に黒色に染まりつつある桜。恐らく、漆黒になった刹那、周りの霊を喰らい始めるのだろう。
「どうすれば…!」
魔理沙が慌てている。
「…今、花びらを落としている暇なんて無いし…!」
咲夜が唸る。
-一方、霊夢は、何も言わなかった。
怒っていた。『博麗の巫女』という名をここで汚してしまう。しかも、周りを巻き込んで。…自分自身に、怒っていた。
そして、無意識に歯を食いしばった、その時。
「…私が行く。」
-その声がした方を、全員が向いた。その声の本人とは-
-朱莉だった。
「私が行けば、恐らく、あの桜は静まるわ。」
「………え?」
輪花は自然と声に出ていた。
「…私はみんなも知っている通り、私は怨妖。つまり、怨霊が集まってできた妖怪。それを解き放てば、収まるはずね。みんな、離れて。」
そして、朱莉はゆっくりと歩き出す。
「-だ、ダメ!」
輪花が駆け出し、朱莉の腕を掴んだ。
「他に何か方法が-」
「…あるの?」
輪花の言葉を遮り、輪花の方を見る。
「………。」
輪花は何も言えず、腕を掴んでいる手の力を弱めた。
朱莉は再び歩き出した。
「……朱莉……。」
魔理沙は最早名前をつぶやくことしかできず、歩いて行く朱莉を見ることしかできなかった。
「…っ!」
輪花は朱莉の方へ駆け出そうとしたが-
-頭部に鈍い痛みが走った。
その痛みに耐えることができず、輪花はゆっくりと倒れていく。
そして、最後に目に写ったのは-
-風雅だった。
「…風雅、ごめんなさいね。こんなこと…。」
「いや、構わん。…こいつを放っておいたら、何をやるかわからんからな。」
「…そうね。」
輪花を気絶させたのは風雅だった。峰の部分で思い切り切ったのだ。
そして、朱莉はみるみる近づいていき、西行妖に、手を触れようとした、その時。
「…朱莉。」
朱莉の名を呼ぶ声が聞こえ、朱莉が振り向く。そこには、霊夢がへたり込んだ体制で、俯いていた。
「…ごめんなさい。貴方は何も悪くないのに…。博麗の巫女という立場なのに、私は何もできずに…。」
絞りだすように、俯いたまま霊夢は言う。
すると、朱莉は微笑み、
「大丈夫よ。気にしないで。…私達が首を突っ込んだのも悪いんだし。」
「…っ。ごめん……。」
そして、霊夢の足元に、黒く小さい、丸い染みができていく。それが少しずつ増えていく。
-霊夢は、泣いていた。
すると、朱莉は-
「 」
それだけ言うと、朱莉は歩き出した。そして、西行妖に手を当てる。すると、朱莉から、黒い、幽霊のようなものが大量に吸い取られていく。
「……それじゃあ、みんな。」
魔理沙は泣き、咲夜、風雅、妖夢は俯き、何も言わなかった。
霊夢はというと-立ち上がり、真剣な顔で、成り行きを見つめていた。
『異変解決を見守るのも、巫女の仕事じゃない?』
そして、西行妖が光輝き、周りを白く染めた-
-それが晴れた時、一人の少女がいたところには、一枚の赤い羽根が、桜とともに落ちていた。
作者「はい、これが終結です。」
風雅「そして、秋春異変は終わった。次回は宴会ではない。これは地上の者達には一切の影響がなかった異変だからな。」
作者「次回、#25『行末』。では。」