「…本当にどの季節の花も咲いてるわね………。」
霊夢はそう言って、輪花とともに人里の周りを飛んでいる。
「あ、ほら、迷いの竹林も…。」
輪花はそう言って竹林の方を指さす。そこには、竹林が白くなっているようにしか見えなかった。
霊夢は少し考える。そしてー
「…また幽々子の仕業かしらね…。」
霊夢は冥界の方向へと飛ぶ向きを変えていった。
しかし、輪花は考え込んだ。
「…僕は竹林の方に行ってみる。」
「あら、そう?分かったわ、別行動ね。」
そうして、二人は各々の方向へと飛んで行った―
「…やっぱり、桜がさいてるわね…。」
そういいながら、霊夢は冥界の階段を上っている、否、飛んでいる。
「またあの桜を咲かそうって魂胆かしら…朱莉の思いを踏みにじって…。」
すると、いつも階段の終りで待っている妖夢が、階段に座っていた。
そして、妖夢は霊夢の姿を確認したかと思うと、立ち上がり、剣を抜いた。
「…何、やっぱりなにか企んでるの?」
霊夢はいつもの調子で霊夢に問う。
しかし、妖夢はいつも以上に冷静で、こう答えた。
「…何も企んでませんよ。」
そして、ただ無言で、静かに霊夢を睨む。
しかし、霊夢はいつもと様子が違う妖夢に気が付いていないのか、頭を掻きながらお祓い棒を妖夢に向けて、こう言い放った。
「そういうのが一番怪しいのよ。ほら、さっさとそこを通しなさい。」
「…本当に、花が咲いただけだと思ってるんですか?」
いつもの妖夢なら、ここで仕方なくも剣を抜くところだが、今回は霊夢に問いかけた。
「…何よ。何か隠してるようね、洗いざらい話してもらうわよ。」
「…断ります。」
そして、なんと妖夢は霊夢に背を向けて歩き出したのである。
「…あ、ちょっと!…何なのよ、まったく…。」
…が、流石に妖夢の様子がおかしいのを感じ取ったのか、霊夢はそれ以上問い詰めず
「…また一通り回ったら来るから、その時は覚悟してもらうわよ!」
と、言い捨て、戻っていった。
「…ここは…すごいね、竹の花とか初めて見たよ、こんなにたくさん…。」
一方、輪花は竹林の中を飛んでいた。
「…あら、あなたは…。」
と、制服を着た一匹のウサギが竹林の中からやってきた。
「あ、えっと…。」
「…鈴仙よ、鈴仙・優曇華院・イナバ。…久しぶりね。」
「あ、うん…あの、前はありがとうね。」
「いえ、大丈夫よ。それにしても…。」
と、鈴仙はじっと輪花を見つめる。
「…?」
つられるように輪花も鈴仙を見つめ返す。
「…いえ、なにもないわ。ただ、貴女がここに来るのは珍しいわねって。」
「あ、うん…そうなんだけどさ、君たちはこれ見ても騒がないなーって。」
「ああ、それね…。」
それで、と輪花は言葉を続ける。
「…君なら何か知ってるんじゃないかってねー…。」
そう言って、輪花は鈴仙を見つめ返した。
「あら、何故分かったのかしら?」
「だって君たち騒いでないけど、こんなに竹に白い花が咲いてるっていうのに…珍しくないの?」
その問に、鈴仙は改めて周りを見回す。竹の花が咲くこと自体が稀であり、ましてやその花が一度に大量に咲くなど-普通はありえないだろう。
「ええ、珍しいわね。」
「‥?じゃあ-」
でも、と鈴仙は輪花の言葉を遮り、言葉を続ける。
「別に、60年前に同じことが起きたしね。その前にも…。」
そう言って、鈴仙は竹林の奥へと飛んで行く。
「…話してあげるわ、お師匠にもあったら?」
「あ、うん…。」
-今回は、輪花の勘が冴えていたようだ。